時代と価値観の変化を感じる・花組『DEAN』感想

 

極美慎主演『DEAN』をライブ配信にて観劇しました!

さっくり感想を書いて参ります。

(ちなみにテレビは映るようになったのですが録画がダメなので、いまだスカステを見られてません…。これを機に解約しちゃおうかな。←)

 

時代と価値観の変化を感じた『DEAN』

 

私は過去の上演作を観ていないので分からないのですが、演出や脚本などはそのままなんですかね?それとも結構弄ったのでしょうか?個人的には結構キツかったです。小劇場作品ってどの組でも安打なイメージでしたが、今作は、うーーーん…。

まず大前提として、最近の宝塚、ひいては現代の男役像として、悪い男(主人公)って本当に見なくなりましたよね。ここでいう「悪い男」とは、性根が腐った犯罪者ではなく、酒とタバコが似合う、血や銃声の香りがするアブなげなアウトロー野郎で、そんな男が私(ヒロイン)にだけ見せる優しい瞳や純真さに胸が高鳴る…これこそが昭和ロマンなわけです。でも、令和の価値観を踏まえると、それを平成生まれの女性たちに演じよと言うのは、もはや難しいのだろうと思います。これは宝塚に限らず社会全体の価値観の変化なので、誰が悪いという話ではありません。実際、大人の男役芸を売りにしている鳳月杏ですら、「ワルっぽいけど実はいい人」ではなく、「そもそも普通に良い人」として演じてしまうので、まさに時代の変遷なのかもしれません。

そして極美慎が演じたジェームズ・ディーン。彼の魅力は「反抗的なワルっぽさの裏に、孤独と優しさを抱えた繊細さが同居していること」(ネット調べ)だそうですが、極美慎の演じ方からして、全然反抗的な非行少年(by美風舞良)っぽく見えないんですよ。特に第一幕は、ただの愛着障害のメンヘラ青年にしか見えず、周囲の大人や女性に当たり散らす姿に、可哀想というより、もはや不快な気持ちの方が勝ってしまった……というのが正直なところ。

けど、そもそもジェームズ・ディーンの生き様から考えるに、本人の繊細さをクローズアップした作品のようなんですね。だとしたら、そんな彼の生い立ちや性格をもっと分かりやすく前提条件として説明する必要があるのでは?という。ライブ配信だったからスマホ片手に調べながら見られましたけど、くらーい舞台で逃げ場なく見せられても、厳しいだろうな…と思ってしまったのでした。

 

だけど花組生は最高なのです

 

それでも舞台を最後まで観られたのは、ひとえに極美慎の圧倒的な顔面とスタイルを堪能できたからです。いやはや、本当にカッコ良い…。そしてほぼ一人芝居のような形で舞台を引っ張り続けた技量にも感服しました。星組から異動して、花組へ本合流する前に突然これをやらせるとは、まさに武者修行でしょう。この試練に見事耐え抜き、スターとして一皮むけたなと思いました。

一皮むけたといえば、103期生・希波らいとも非常に良かったですね。もともと恵まれた体躯と、存在するだけで舞台が華やぐオーラは持っていましたが、今回は発声や滑舌がぐっと安定し、舞台度胸も備わって、いよいよスターとしての輝きを増した印象です。コメディちっくなオーバーな芝居もやり過ぎずちょうど良い塩梅で、本当に目を惹きました。そんな彼女と対になる存在として、104期生・天城れいんも素晴らしかった。高い技術力を活かし、ストーリーテラーとして舞台をしっかり牽引していました。『ドン・ジュアン』ですっこけた印象でしたが、今回で一気に払拭されたように感じます。スタイル特化の大スター様と、小柄で高い技術を持つハイスキルスターという対照的なライバル関係が、これからの花組を一層盛り上げてくれそうで楽しみですね!

そして出番は少ないもののしっかりヒロイン位置にいる美羽愛も、だいぶ歌唱力が向上していて良かったです。出番こそ多くはないものの、舞台に立った瞬間に漂う楚々とした雰囲気が実に魅力的で、物語の空気をやわらかく整えてくれる存在感がありました。何より極美慎との頭身バランスが良く、萌え萌えだったのも高ポイント。

娘役でいえば朝葉ことのも上手かったですし、個人的には美風舞良の侍女役だった湖春ひめ花がだーいぶ垢抜けていたのが嬉しかったです。ちょっとした立ち振る舞いも丁寧で、思わず「おおっ」と唸ってしまいました。

 

意外過ぎる落とし穴?

 

そして期待の超新星・彩葉ゆめも美声を響かせ大活躍でした。極美慎の周りをウロチョロする幼少期のディーン役で、すでに相性確認が始まっている感じ?と邪推してしまうほど。…だけど、今回横に並んだ姿を見て思ってしまったのは、いまいちしっくり来なかった、ということです。頭身が違う?作画が違う?あるいは芝居や歌の作り方が違う?上手く表現出来ないのですが、パズルのピースとして上手くハマっていない感じがして、むしろ美羽愛との方が相性良く見えてしまった、という。

ただ、彩葉ゆめはまだ研2で経験が浅いですし、これだけで判断するのは時期尚早というもの。2人の行方はまだまだ見守りたいと思います。

以上、花組『DEAN』感想でした。合流後の新体制も楽しみです!!

 

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