えーっと、わたくしごとですが、
今週末でやっと一山(繁忙期)越えました…。
この激務の中、新人公演のライブ配信を見られたのは
本当に奇跡とした言いようがない。我ながら頑張った。
ま、二つ目の山が目の前に迫っているんですけど←
とりあえずやっとこさプチ落ち着きしたので、
雪組『ベルサイユのばら』のキャスト感想をまったり書いていきたいと思います。
【全体感想はコチラ】
主要3役のキャスト感想
主人公・フェルゼンを務めた彩風咲奈。93期生って古めかしい歌舞伎芝居がハマる最終世代だと思うのですが、まさに集大成。フェルゼンって実はしどころのない辛抱役で、その立ち姿だけで主人公であることを示さなければならない難役なのですが、バリバリ真ん中しててさすがでした。行けフェルゼンなんて、彼女のために作られた場面だったんじゃないかと思うくらいベタはまり。足長すぎ…っ!!ベルばらに憧れて宝塚を目指し、最後の新人公演でフェルゼンを演じ、そして退団公演で同じ役を再び演じるという、まさにベルばらの申し子として華麗過ぎるフィニッシュを決めたと思います。本当にお疲れ様でした。
ヒロインのマリー・アントワネット役は夢白あや。103期生なのに驚くほど歌舞伎芝居がハマってしまうのは、彼女の天性のスター性でしょう(その片鱗は『蒼穹の昴』新人公演の皇太后役から見え隠れしていましたが…)。そのビジュアルで「パリの紅薔薇」を納得させてくるのはもちろん、母としての目覚め、王女としての目覚めという、一連の覚醒の流れに説得力があったのも良かったです。「このお人形がわたくしで、わたくしがお人形だったのですね…」のなんと物悲しいことよ。最終版の白髪モードの彼女も萎れた薔薇のような美しさがありました。素晴らしいです。
オスカル役は朝美絢。いやーーーーーーーーーーーー、天才!!ありがとう、朝美絢。観に行く前からSNSでバズっててさすがのスーパービジュアルスターですが、生で観たらもっと凄かった。二次元だった。し、オスカルが持つ熱き魂の揺さぶりがそこにあった。冒頭の「無礼者ぉー!!」が甲高くて少し驚きましたが、オスカルが男装の麗人である説明がないまま三角関係モードが始まってしまうので、こういう表現をするしかないのかなと勝手に解釈しました。が、そこからの陶酔芝居っぷりはさすがで、フェルゼンへの思いに苦しむオスカル、アンドレと思い通じるオスカル、全てを捨てて民衆のために立ち上がるオスカル、そして息絶えるアンドレに絶叫するオスカル…。観客をグイグイ引っ張る熱演の嵐。そして最後のバスティーユの場面、「行こぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!!」の大絶叫からの少し間抜けな、だけど歴史と伝統を感じるダンス場面、そして十字架の絶命と、もう圧巻でした。マジで泣いた。これをやり通せるパワーが彼女にあることを改めて知らしめてくれました。ありがとう、朝美絢(2回目)。
主要キャストの感想
アンドレ役は101期生の縣千。真っすぐでパッションな役どころが彼女にピッタリで良かったです。ビジュアル的にも朝美絢とベタハマリで、改めて相性の良さを実感しました。今宵一夜の場面、観客のほとんどがオペラを持ち上げ固唾を飲んで見守ってましたけど、その期待に応えられたんじゃないかと思います。←
ベルナール役は106期生の華世京。彼女もまた、真面目そうでフレッシュな役が似合っていて良かったと思います。これくらい下級生がベルナールを演じた方が物語的に説得力があるのかも、と思わせてくれるくらいハマってました。また、新場面のパリ革命ダンスシーンでは、多くの上級生を率いてバリバリ踊っていてさすがでした。
ジェローデル役は99期生の諏訪さき。出番は少な目ですが、こういう脇にいる抑えの役が似合うし、堅実にキメてくれるのが彼女の良さですよね。クルクルヘアーも意外と似合っていて、数少ない古き良きヅカの後継者だなと思います。
アラン役は100期生の眞ノ宮るい、ですが、アランらしい場面はほぼ全カット。「隊長の命令を待っている」セリフと、オスカル絶命後に剣で礼をしているくらいですかね、目立っているのは…。個人的には新場面のパリ革命ダンスシーンで、一番バリバリギラギラ踊っていたのが目に留まりました。全体的にサラっとしている雪組の中で、差し色のように一人だけ花男みたいにキメッキメで良かったと思います(褒めてますよ?)。
ロザリー役は99期生の野々花ひまり。彼女もまた、娘役としての集大成が今回の芝居に詰め込まれていて良かったですね。戦場に咲く一輪の花のように楚々とした、だけど確かな芯を持つ女性を、瑞々しく的確に演じていました。出番的には後述のジャンヌの方がインパクトがありますけど、敢えて退団公演にロザリーを回してあげたことに劇団の愛を感じました。
そしてジャンヌ役の105期生の音彩唯。もう、大勝利ですね。美味し過ぎる名脇役を見事に演じ切ってました。彼女は天性のヒロインスターですけど、こういう悪女な役をやらせても上手い、けどスターらしい華やオーラが消えないのが素晴らしいです。よく通る澄んだ声で凄む彼女に、何かが目覚めてしまいそうになるくらいでした。←
その他のキャスト感想
メルシー伯爵を演じた専科の汝鳥伶。さすが泣かせる芝居で見事なワンポイントリリーフを決めてくれました。あの一瞬の芝居で泣かせにかかる技量はさすがです。やはり古めかしい歌舞伎芝居はこれくらいウェットじゃないと。
真那春人演じるプロバンス伯爵、いつもは悪者というか策略チームに含まれることが多いですけど、今回は普通の良い人で少しビックリ。真那春人らしい温かみのある芝居で良かったです。
1幕にて、フェルゼンを監視するデュガゾン役の94期生・久城あす。最初はニコやかに登場し、だけど一瞬の表情の揺らぎで腹に一物キャラと表現、そのまま密告のシーンという、一連の流れとその技量に改めて感服しました。
モンゼット夫人役の専科・万里柚美。本当はマリア・テレジア女王陛下を演じて欲しかったですが(まだ言う)、悶絶夫人を軽妙洒脱に演じていてさすがでした。ビジュアルもまぁ似合うこと。失神夫人ことシッシーナ夫人の杏野このみも負けないビジュアルで眼福でしたなぁ。
あとは、壮海はるまが陽気な近衛兵チームの中で一際輝いて見えたことと、桜路薫が珍しく重めの長髪ヘアーで、舞台を中心に活躍する未デビュー30代ジャニみたいなビジュだなって思ったことと、小公女の華純沙那が2幕冒頭でとんでもない長台詞を嚙まずにスラスラ話していて凄いなーと感心したことが印象的でした。
仕方ないことだけれど
あと、前回の感想で書き忘れたことで、ラストのパレードで個人的な文句が一つあります。
それは…夢白あやにエトワールをさせたことでもなく、彩風咲奈にベルばらに関係ない曲を歌わせたことでもなく、舞台上に一瞬誰もいなくなることでもなく…、降り順を華世&音彩→諏訪&野々花にしなかったことです。最後は99期の同期シンメで降ろしてやりなよーーーーー!!と、シンメ厨の私はキリキリしちゃいました。
が、もちろんこれは今後のことを考えて、路線構図的に華世京が諏訪さきを抜かさせる必要があったわけであり、なんならこのために前回の『FROZEN HOLIDAY』パレードの下級生4人組を、わざわざエトワール扱いにしたんでしょうけれど、99期応援隊としてはピエンでした。
改めて『ベルサイユのばら』という作品の素晴らしさを実感した本公演、雪組生の熱演にも是非注目頂きたいです。
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コメント
いつも楽しく、拝見しております。
繁忙期の波間をぬっての更新、ありがとうございます。。
雪組、ベルばら、素敵ですね。
大千秋楽を配信で、サヨナラシヨー込みで、楽しみにみさせていただきます。
彩風さん、一時代を作り上げましたね。
いつも興味深く読ませてもらっています。
今回の朝美絢さんの箇所、何回も読ませていただきました。本当にその通りで、ベルばらなんてなんなら100回以上観てるしセリフも全て覚えてるのにオスカルの死の場面で知らない間に涙がでていました。
そこには確かな「死」があり朝美さんの演技力に脱帽でした。あんな心にくるバスティーユは初めてです。
今回のベルばらの勝因のひとつに役変わりがなかったことがあると思います。数回の稽古で演じれるほどオスカルの内面は簡単ではないという事がよくわかりました。
あの演技巧者の朝美さんもかなり悩まれたそうなので。
オスアンが通し役だからこそ何回も足を運ぶ観客がいるのだと思うと今回はキャスティング勝ちだなと思っています。
また記事を楽しみにしています。
最初に「えっ?ベルばら」と思ってしまったことを謝りたいです。
キャストの感想有難うございます。心から同意です。
バスティーユの場面では泣いてしまった自分に驚きました。
わが友人で、舞台大好き人間で、ときどき宝塚を観る程度の人が、観劇後、(脚本には物申したいところはあるが)大満足と言っておりました。
フェルゼンとマリーは素敵だと言ってましたし、オスカルの存在はスチール写真を漁ってかえるところに、口だけではないなあと感じてます。
何回も見たいとのことですが、チケットがない。
キャトルレーブルの欲しい写真も数少なくなってしまっており、やはりすごい演目なんですね。
新しい作品と、過去の作品とうまくバランスをとって、演目を継続していくことが大事なのかなと感じた次第です。