年末恒例企画「ルネサンス宝塚大賞2021」と称し、
2021年東京宝塚劇場で上演されたレビュー作品の
全作レビューをまとめていきたいと思います!!
ルールとしましては
・第2位~最下位、からの第1位(ルネサンス宝塚大賞)という順番に発表します。
・順位は私の好みだけではなく、芸術性や大衆性(主観)を加味します。
・あくまで私の独断と偏見によるランキングです。
詳細は下記の記事をご覧ください。
前提として正直に申し上げると、
レビュー作品って組ファンは基本楽しめるものですから、
ランキングの鍵は、大衆性と、名場面が有るか否か、だと思います。
それではさっそく参りましょう!!
2021年レビュー公演全作品レビュー
第2位:モダンとクラシカルの融合
■星組『モアー・ダンディズム!』
現在のトップ陣で最も現代的なスター性を持つ礼真琴&舞空瞳が、
敢えて最もクラシカルな岡田敬二作品に挑んだ一作。
正直、岡田先生のセルフカバー作品ですし、
そこまで期待していなかったのですが、
むむむ、思いのほか良いぞ?
礼真琴は小柄で童顔な自分をよく理解しているからこそ、
誰よりも大きく、男臭く魅せようと努力してきたわけで、
そんな彼女が生み出す計算しつくされた舞台表現は、まさにダンディー。
そんな礼真琴を筆頭に、基礎技術が明らかに向上している星組生たちの、
乱れぬ統率力、隠しきれないパッションエナジーの熱さ。
それが本作の見どころだと思います。
「キャリオカ」「アシナヨ」といった
過去作品へのリスペクトも素晴らしいけれど、
唯一新作シーンである「ミッション」の場面も捨てがたい。
ダレることなく最後まで楽しめた、まさに佳作。
第3位:計算し尽くされた終焉
■雪組『シルクロード~盗賊と宝石~』
この公演はまさしく、生田大和プレゼンツ、
「オレが考えた、最強にカッチョイイ望海風斗大全集」。
どうやら望海風斗という素材は生田先生の嗜虐心を大いにくすぐる様子で、
演出家の性癖がこれでもかと全開な作品は珍しい。笑
西へ東へ、とにかく虐め抜かれる望海風斗が見られます。
とはいえ、生田先生による望海&真彩のお披露目公演
『ひかりふる路』にかけ「シルクロード」。
「夢に見た旅が今、始まるわ♪」と歌い始める『SUPER VOYAGER!』にかけ
「共に歩んだ旅路の果てで最後にもう一度 君の最後を僕が奪おう 誰にも渡さない」
と締めるだなんて、なんて上手い物語の終結。
場面としては、やはり「ダスカ」のクオリティが半端ないですよね。
キメる望海風斗、バイブス高めに歌う真彩希帆、
その流れでトライアングルタンゴ…2021年を代表する名場面です。
第4位:それは胎児の鼓動のようなもの
■雪組『Fire Fever!』
彩風咲奈率いる新生雪組による、全力全開のダンスショー。
芝居の早霧せいな、歌の望海風斗と、歴代の雪組カラーを一新し、
自身の売りを分かりやすく明示した、という意味では大成功かなと思います。
全体的に展開は古めかしく、どこかで見たことある系ですが、
それが彩風咲奈のクラシカルな魅力と相まって、
オールドファンの心をくすぐる一作になったんじゃないでしょうか。
無駄にテンションの高いティンパニと、
激しいダンスを踊る雪組生の足音、息遣いは、
まるで新生雪組という名の胎児の始まりの鼓動のよう。
熱さと神秘さを湛えた、不思議な作品。
第5位:華麗なるマンネリ作品
■花組『Cool Beast!!』
宝塚が誇る、大御所レビュー作家・藤井大介先生。
彼は常に平均以上のヒットを飛ばす作家だけれども、
今作は華麗なるマンネリ作品だったかな。
正直『Fire Fever!』と作品のノリがほとんど変わらんのですが、
何が違うかと言えば、花組の内輪感が強いこと。
なにせトップコンビ、2番手、3番手の4名が全員生え抜き花組生という、
史上稀に見る組体制でのレビュー作品。
新生・ダンスの花組を押し出した、アツいアツいラテンショーで、
柚香光のギラつきは、まさに野生の獣であり、
華優希はその名の通り華で…と計算は完璧なんだけれども、
なんというか、小さくまとまってしまっている印象が…コロナの影響もあるかもですが。
もちろん組ファンは楽しいだろうけれど、
もう少し食べやすく演出出来たでしょ先生?と
藤井先生に問いただしたくなる一品となったのでした。
第6位:レビュー作品に大切なものとは?
■月組『Dream Chaser』
最初に断っとくと、とても無難な作品だったと思います。
その中でもスパニッシュ、
からのミロンガの流れは実に素晴らしかった。
じゃあなんで第6位かって、理由は単純、
本公演2回(しかもそのうち1回はSS席!!)に配信で博多座でリメイク版まで見たのに、
主題歌が全く思い出せないから。
レビュー作品に一番大切なものって、覚えやすい主題歌だと思うのです。
ふいにモチーフを口ずさんでしまうからこそ、
場面場面がその時々に思い出され、宝塚の甘美な世界を反芻出来る。
この記事を書くために初日映像をyoutubeで見返したのに、
それでもまだ歌えないのだから、よっぽど印象に残らないのだと思います。
レビュー作品でそれは、やっぱりダメよね。
そんな主題歌と同様、全体的にサラっとしていて、
引っかかりが薄かったのが、本作の感想でした。
ここまで2021年上演作品をまとめてきました。
皆さんいかがだったでしょうか?
それではお待ちかね、ルネサンス宝塚大賞の発表です!!
ルネサンス宝塚大賞・レビュー部門 発表!!
■宙組『Délicieux!-甘美なる巴里-』
野口先生大勝利!!
個人的には、今一番安定感が凄いレビュー作家だと思います。
淡いパステルカラーかつメルヘンチックな世界観から返す刀で、
蕩けるように甘い耽美さも湛えた、めくるめくハイカロリーレビュー作品。
何が面白いって、アダルティな魅力が売りな真風涼帆を中心に、
全体的に高身長かつ薄味なのが美点である宙組生が、
ここまでパステルかつエネルギー強めな作品を作り上げられたこと。
そして新トップ娘役・潤花のお披露目公演として、
これでもかというくらい全力でピックアップされつつ、
かつ彼女の魅力が十二分に発揮されていること。
さらに「甘いもの(宝塚)を食べて、明日も元気に生きよう!!」という
メッセージ性もさり気なく潜ませてくるあたり、もう完璧。
作品としての一定のクオリティを打ち出したうえで、
宙組生の魅力を最大限に引き出す野口先生の手腕はお見事の一言です。
レビュー作品は、新たな才能を求む!!
1年を振り返り、改めて思ったことは、
宝塚歌劇団はレビュー作家の育成が急務であることです。
コロナ禍以降、一本物が明らかに減りレビュー作品が多くなった2021年ですが、
だからこそ変わり映えのしない演出家による、
どこかで見たことのある場面が、あまりにも多過ぎるように思います。
野口先生という新たな才能が輝くのは、素晴らしいことです。
だからこそ、さらなる新顔の発掘は急務!!
今後は田渕先生、谷先生、あたりが候補になるんでしょうかね?
そろそろ女流作家が生まれても良いと思うのですが、果たして?
次は大詰め、スター部門です!!
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コメント
『Delicieux!―甘美なる巴里―』が私の中で2021年の圧倒的1位だったので、大賞に選ばれて嬉しいです。
蒼汰さん仰るとおり、色気だだ漏れの大人の男性にしか見えない真風涼帆が、可愛いスイーツの世界でも違和感なく輝けるって、やはり宝塚は素晴らしい夢の世界だと、改めて感じました。
この恒例のルネサンス大賞が、私の毎年の宝塚納めとなります。
いつも愛のある記事をありがとうございます。
これからも楽しみにしております。
更新お疲れ様です。
一本物が減ってショー付き公演が増えたコロナ禍以降の風潮は個人的には嬉しいです。
一本物の芝居から続くフィナーレも好きですが、ショーがあると一粒で二度おいしい、みたいな気分になって満足感があるので。
アクアヴィーテの演出が素晴らしかったのでその分クールビーストがいまいちに見えてしまいました。
楽しかったは楽しかったんですけどね。
藤井先生へのハードルを上げて見てしまったなと。
芝居の方は新人の演出家さんが出ていますものね。
演出家発掘のためにもっとバウのショーをやってもいいのでは?と勝手ながら考えています。
野口先生にとってのA-ENのような…
若手スターにとってもショーを作り上げるのはいい経験になると思うんですよね。
徒然とコメント失礼しました。
スター編も楽しみにしてます!
こんばんは。
いつも興味深く読ませていただいております。
私もデリシュー圧倒的1位でした!!
お衣装も小道具も過去1可愛かったし、カンカンが凄く好きでした。
オデッセイは残念ながらチケット取れなかったので、配信で参戦したいと思います。
確かに若手のショー演出家さんもこれからどんどん出てきて欲しいですね!
栗田先生とか、夢千鳥を観た感じだとショーのほうの素質もありそうだから、近いうちに作ってくれたりしないかな〜と、密かに期待してます。