管理人masaさんがありとあらゆる手を尽くし、
なんと大千秋楽間際に観に行くことが出来ました!!
前情報にたがわぬ佳作でした!!
いや、原作無しのオリジナル脚本としては
相当な高水準だったかもしれません。
大千秋楽に向け『元禄バロックロック/The Fascination!』
2つの感想をさっくり書いていきます。
『元禄バロックロック』感想
まず、一番初めに言いたいのは、
花組100周年という記念すべき演目にこの作品を当てがったこと、
それ自体を評価したい、という点です。
堅苦しい前例や古い価値観に捕らわれることなく、
自由な発想と、伝統を守りつつ、作品を生み出してきたこと。
それが宝塚の強みであり、だからこそ花組は100周年を迎えられた、
その象徴的な作品だったと思います。
脚本・演出はスチームパンク風な作風が特徴の谷貴矢先生。
なんと本作が大劇場デビュー作。
映像等の舞台演出と言い、衣装といい、エドという設定といい、
独自の世界観をブレずに表現出来るのは、
新進気鋭の演出家として最高の武器でしょう。
内容としては、日本人にはお馴染み、エンタメ的には使い古された忠臣蔵を、
「時が戻せる時計」を使い現代風にアレンジ。
確かにライトコミック風、というよりは電撃文庫風ですが、
堅苦しくなく、軽めなタッチで進めながらも
「過去に囚われることなく未来へ進む」という
主題がしっかり込められてるあたり、実に今っぽい作品だなと思いました。
何せノリが軽いんですよ。
クロノスケ(柚香光)は忠義なんて知らんと言わんばかりにかったるそうだし、
間のやり取りが全体的に軽口調で、
まるで京アニ作品や新海映画を見ているよう。笑
またタイムリープ自体も、正直使い古されたネタではありますが、
宝塚的美意識で展開される物語の作り方は、見事。
あなたを愛していたから時を巻き戻した。
だけど過去は変えられない。今を生きなければならない。
花が咲き、「クロ」い夜空に「キラ」めく花火、
仇討ちの冬が来て、そして新たなを迎える
巡る季節、回る風車、刻まれる時計の針。
連綿と生き続けてきたのは、私たちであり宝塚歌劇団でもある。
どれだけ辛いことがあっても、どれだけ失敗しても、
何度だってやり直せる、未来を信じ共に生きよう。
そんなメッセージが込められた、素敵な佳作だったと思います。
蛇足ですが、演出面で言えば、
透明の仕切りで前後で場面展開、人垣で感情や時間の表現、
トップコンビともう一組(コウズケノスケ×ケイショウイン)の愛の物語、
という点で、実に上田久美子みを感じたのは私だけ?
やはり演出家にとっても上田久美子の手法は手堅くて、
参考にされやすいのかもな…と思ったりしたのでした。
さらに蛇足ですが、谷先生作品ってヒロインが「実は全て知ってました」系で、
主人公がその手の平の上で人生について(色恋ではなく)苦悩する、
という内容が性癖なんだろうな、とも思ったのでした。笑
このあたりがラノベ風といわれる所以かもです。(小声)
「The Fascination!」感想
レビューの方は、分かりやすく花組100周年を祝う内容の作品。
フレッシュで、パステルで、名作シーンもあり、
そしてダンスの花組の復活が全面的に押し出された感じたね。
何せ今の花組路線陣は、とにかく若い!!
トップ柚香光、2番手水美舞斗は95期中卒入団で、
永久輝せあは97期ですがこの2人と実年齢が一緒、
星風まどか、聖乃あすか、音くり寿がこれまた100期生の中卒入団。
全体的に放つオーラがフレッシュでありながら、
中村B先生お得意の銀橋大作戦で若手も上級生もガシガシ前に出てきて、
伝統と気品を大切にしながらも爽やかなお祭り作品に仕上がっていました。
『第1章:プロローグ』では淡いピンクの燕尾服で、
花組生が代わる代わる歌い踊り、
まさに華やか過ぎる幕開きで掴みはオッケー!!
花組生・永久輝せあがいぶし銀味を醸す歌いつぎ、
からの『第2章:Fascination Music』では、
花組お得意のスーツとワインと薔薇の舞。
センターはもちろん水美舞斗、花男として全力全開でキメ、
相手役たる星空美咲を見事にリードしてみせます。
続く『第3~4章:花の伝説』では、柚香光お得意の人外系。笑
こういうのがハマってしまうあたりが柚香光の強みだなぁという感じだし、
返す刀で永久輝せあの白軍服は、まさに正統派という佇まい。
また、気品あふれる帆純まひろと野性味感が強い飛龍つかさのコントラスト、
美空真瑠&湖春ひめ花の次世代コンビが
コーラスで活躍しているのも見どころの一つ。
『第5章:The Fascination Flower!』では、
やはり柚香光・水美舞斗・真鳳つぐみの95期トリオの場面が胸アツでしょう…!!
今更ながら真鳳つぐみってこんなに綺麗でこんなに歌えるのですね?!
花組95期は長くこの3人で頑張っていたので
最後のハナムケとして本当に素晴らしい場面だったと思います。
『第6章:オマージュ』は、
ここで聖乃あすかを使ってくるあたりが花組の強さだと思います。
彼女もだいぶ押し出しが出て来て、実に花男らしくなってきたぞ…。
鍵盤ガールズのセンター付近に、
私の推し・青騎司がダイナミックに踊っているので要注目です。笑
名曲メドレーは帆純まひろが『EXCITER!』に選ばれたことが地味に嬉しいなぁ。
そして『第7章:フィナーレ』は、
「エーデルワイス」や「情熱の花」といった、
誰もが聞き馴染みのある曲で展開されていくのが面白いですね。
冒頭、まずは飛龍つかさ&星空美咲の銀ちゃん美声コンビが露払いし、
羽立光来&和海しょうの94期別格歌ウマコンビが歌い継ぐ。
この登用も愛が感じられる素敵なものでした。
星風まどかがセンターを取るエイトシャルマンは、
衣装の色違い感が昔っぽいなーと思いつつ、
続く黒燕尾は若さと伝統が感じられる素晴らしいものでしたね。
揃い方も見事で、まさにダンスの花組の復活!!を感じたのでした。
改めて東京公演一部中止が残念
今回観劇して思ったのは、
オリジナル2本立てでこんな素晴らしい作品だったのに、
東京公演が一部中止になったことにより、
多くの方に届かなかったことが、非情に残念だということです。
大千秋楽のライブ配信は本日13:30から放送の予定。
素晴らしい作品でしたので、
お時間のある方はぜひ見てみて下さい!!(宣伝)
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コメント
蒼汰様
どうしよう、見られるか、見られないか、ギリ、千秋楽配信、なんと、楽天は13時15分だと販売終了だったけれど、U-NEXT では購入可能だった〜、観劇できました。
こちらのブログを見て、やはり諦めずに見てみたいと思いまして、よかったです。
花組の100周年のお祝いにも参加できました。
花組だけに、ショーでは様々な花がテーマというか、歌になっていましたね。
毎回思うのですが、花組は路線スター以外の別格?のスターに見せ場を作って盛り立てるのが上手いなあと思います。
明日海さん時代の鳳月さんは、まさに、花組で人気のスターになっていったとも思えるからです。
そして、卒業される方、組長、銀橋で歌を聞いて、次の組長へと歌でバトンを渡すような演出に感動して、涙腺崩壊‥
こちらのブログを読んでいなかったら、諦めて見ていなかったかもしれません。
お芝居では新しい感性の中に今を大切にする心を、ショーでは伝統的な雰囲気に未来への躍動を感じて、観劇できてよかったです。ありがとうございました。
蒼汰様
いつも楽しみに拝読しております。
生でご覧になれたのですね!ね、よかったでしょう(笑)!
伝統の忠臣蔵に現代の京アニ・電撃文庫・ラノベ文化を振りかけ、ブロードウェイでもソウルでも北京でもたぶん見られない、美しくも摩訶不思議なステージ。
東京オリンピックの式典で、日本にはこんなキラキラした楽しいものがあるんだぞ!とアピールしたらよかったのに(笑)
谷先生とウエクミ、よきライバル関係ですね。上田先生は「イノベーティブな変人になりたい」そうで、変人に憧れる秀才、
谷先生は自分を「変人」だとわかっていなさそうな鬼才。
こういうライバル関係があってこそ、文化は盛り上がる。両者の次回作が楽しみです。
ルネサンス蒼汰さま
毎日楽しくブログを拝見している者です。
おかげさまで、花組千秋楽のライブ配信を見ました。
いやー感動しました!
改めて、れいちゃんとまどかちゃん、ホントにお似合いですね。
お話もショーもとても楽しめました。
実は、観に行く予定の花組公演がコロナ禍で飛んでしまい、あまりのガッカリさに花組関連のスカイステージ番組すら見る気力も失せ、
もちろんライブ配信も全く見るつもりは無かったのです。
ところが、今朝の蒼汰さんのブログを読んで、
「蒼汰さんがそこまでおっしゃるなら、きっと私も楽しめるに違いない!」と、確信し、一念発起?して見ることにしたのでした。
本当に本当に見てよかったです。
これを見なかったら•••と思うと、もったいなすぎました。見てよかったー。
これからもハッピーな記事を楽しみにしています。
1/29(土)のチケット持ってました
何故か友会が微笑んでくれてまして
関東の友人を誘っていて、とても楽しみにしてくれてましたが、
中止期間に入り、1/30(日)から再開。。。
なんで土曜から再開してくれないの?と泣きました(T-T)
私は大劇場で観たので良かったのですが、
柚香光くん好きの友人には気の毒な事をしました
蒼汰さんの仰る通り、とても華やかでいい公演だっただけに
友人が観劇できなくて本当に残念です
生観劇できて良かったですね。
今回の花組は最初の頃に宝塚で1回だけ観劇し、今は宙組公演が始まるのをまだかまだかと待ってる状態で、だいぶ記憶が遠くなっていましたが、確かに、蒼汰さんがおっしゃるように、新海作品ぽかったですね。なんかストンときました。記憶よみがえりました。(配信は仕事で観てませんが)
君の名は、なんかにハマった若者達にもウケそうですね。逆に忠臣蔵にロマンを感じていた年配者にはキョトン?の友人もいましたが(笑)私は一貫してハッピーエンドを好んでいるので、雪組のルパン3世や、宙組のアナスタシアのように、悲劇の過去の人物が実は幸せでしたっていう話は大好物で、花組公演良かったです。