真風涼帆の任期「9作」に思う

 

先日退団を発表した、宙組トップスターの真風涼帆。

 

退団会見をネットニュースやスカステの映像で拝見しましたが、

彼女の飄々とした晴れやかな姿に、実に「らしいな」と思いました。

 

本日はそんな彼女の任期について、正直な思いを述べていきます。

 

真風涼帆の任期「9作」に思う

 

真風涼帆といえば、まさに男役らしい圧倒的なビジュアルを持ち、

クラシカルな魅力をと現代的な洒脱さを合わせ持った、

その類まれな存在感でコロナ禍に立ち向かう宝塚を牽引した、

男役の覇者(by anan)です。

 

入団当初から抜擢を受け続け、研12でトップスター就任。

任期9作が確定、現在は在位5年目を迎えています。

 

私自身、そんな真風涼帆率いる宙組には、並々ならぬ思い入れがあります。

まず、私が宝塚に出戻った頃がちょうど宙組の代替わりの時で、

真風涼帆トップ就任劇から見守り続けたこと。

 

前ブログ時代、最初にバズった記事が、

「宙組は今、最も「宝塚らしい」組だと思う話。」であり、

この一本で一気に上位アクセス陣の仲間入りを果たしたこと。

 

そして、当ブログ名である「ルネサンス・宝塚ブログ」

真風涼帆主演『異人たちのルネサンス』から貰ったこと。

 

長く見続け、愛着があるからこそ、

真風涼帆が先の見えぬコロナ禍を舵取りする人材として、

劇団が大切にしてきたスーパートップであること、

そしてその功績も知っているつもりです。

 

任期9作、確かに彼女に相応しいトップ在位期間であると、納得する一方、で。

長い。長いよ…。

いやー、さすがに在位6年は長過ぎたと思います、正直。

 

それは、真風涼帆が長期トップに相応しくない、という話でなく、

そもそも論として宙組の顔ぶれが変わらな過ぎて、

単純に見飽きたというのが本音です。

 

人事硬直が起きている宙組

 

なぜ見飽きてしまったのか。

それは、人事の風通しが良くなかったからです。

 

確かに、愛月ひかるが専科に行き、桜木みなとが繰り上がり、

星風まどかがスライドし、潤花がやって来て、など、

ちょこちょこと入れ替わりがありました。

けれど、真風涼帆×芹香斗亜、ここが膠着状態過ぎたのが大問題でしょう。

 

事実、愛月ひかるを出した後の任期3作目以降からは、

主役が真風涼帆で、芹香斗亜はエキセントリックな役どころで、

桜木みなとが拗らせてるか主役の横にいるイイヤツキャラ、が全て。

 

その舞台がロシア、スペイン、ロンドンと、単純に入れ替わっていくだけ。

これで飽きるなと言われる方が難しいです。

 

けれど、宝塚を始めとするエンタメ事業において、

「飽き」「マンネリ」は最も回避せねばならない事態のはずです。

 

実際、真風涼帆と任期が同程度である長期トップたち、

すなわち明日海りお、柚希礼音、春野寿美礼、和央ようかは、

組内体制の顔ぶれをコロコロ変えることで、

組の新鮮さを維持していた、という実績があります。

 

例えば、前代のトップオブトップである明日海りおは、

2番手を専科特出北翔海莉→芹香斗亜→柚香光と、

相手役も蘭乃はな→花乃まりあ→仙名彩世→華優希と変えていった次第。

 

なので、真風涼帆が長期トップとして決まっていたのなら、

組内の顔ぶれが変わらな過ぎるのはいかがなものよ?というのが本旨です。

 

予定外の契約期間延長だったのか?

 

ところで、真風涼帆はその挨拶ぶりやスカステ等での番組を見る限り、

とても頭の良い人だなと思うのですが、

今回の会見の内容を聞くと、その回転の早さを改めて知ることが出来ます。

 

17年11月のトップ就任後、退団は「トップはいつか終わりがあるもの。つねに時期は意識し、劇団とも相談しておりました」と言い、「2022年を目標に歩んできた」と語った。

2022年に特別な思い入れがあったわけではなく、退団を決意した具体的な作品なども「とくになかった」と言うが、トップ就任した際の覚悟として、ゴールを想定してきた。

ただし、コロナ禍で大幅にスケジュール変更があったことから、劇団と相談を重ね、来年6月の退団へ「この時期に決心いたしました」とも明かした。

全て宝塚宙組トップ真風涼帆、退団は「トップはいつか終わりがあるもの。つねに時期は意識」より引用

 

色々と綺麗な言葉で語っていますけれど、

要するに、芹香斗亜が真下に居ることも含め、

長過ぎるだろと思われていることを重々分かっているうえで、

「私は劇団の方針に従っただけ」というのを暗に匂わせていますよね。

 

実際、任期中3本も小池氏の一本物を上演したり(大劇場公演の1/3ですよ?!)

2022年のカレンダーや雑誌の表紙等の流れを見るに、

もしかしたらコロナの影響により8作予定が9作に延長したのかもしれません。

 

また、そもそも芹香斗亜が宙組に来たのは、

劇団の柚香光&礼真琴プッシュモードに押されたからであり、

かつ途中で月組に行こうものにも月城かなとに押され落下出来ず、

そのまま宙組でトップを待つかたちとなっただけ。

 

つまり、芹香斗亜が待たされ続けているのは真風涼帆のせいでは一切無く、

それがコロナ禍での急な任期延長と重なって、

劇団としても仕方なく宙組マンネリ体制に落ち着いてしまったのかもしれません。

 

けれど、結果として芹香斗亜は研17の高学年就任になったし、

最後の最後に小池一本物をやるもんだから、

スカピン等の大作で華々しくお披露目!!も出来なくなったわけですから、

うーーーーーーーーん、と微妙な気持ちになったりしています。

 

なんかこう、もっと上手くやれなかったのかな?と思ったりしますが、

それも含め全ては結果論。

人事にifは無いから仕方ないのかもしれません。

 

真風涼帆よ、永遠なれ。

 

とまぁ、文句ばかり書いてきましたが、笑

宝塚全体が若返りを図る中、アダルティさが魅力なスターが彼女しかいないこと、

また、ウィットに富んだ切り返しの出来る彼女が、

コロナ禍で宝塚を牽引する存在として必要だった、

という劇団の意図は分かるつもりです。

 

そしてその役目をしっかり果たし、

余計なことを言わず粛々と退団していく彼女もまた、

プロの舞台人なのだなぁとしみじみ思います。

 

彼女の今後の人生がさらなる彩りで満ち溢れるよう祈りつつ、

新時代を迎える宙組の更なる飛躍を期待したいと思います。

 

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コメント

  1. ねね より:

    芹香さんの月組落下傘は本人が断ったという話もあります。
    落下できずという強い言い切りに根拠はあるのでしょうか。
    これからトップを務めていく芹香さんにマイナスになるような書きかたは、ファンとしてとても心外です。
    根拠があるなら根拠を、根拠がないなら書きかたをあらためてください。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      あまりに愉快犯過ぎるのでコメント返しますけど、月組落下傘を本人は断ったって、一体何を証拠におっしゃるんです?誰かがオフィシャルな場で発表しましたか?
      そして実際月組は月城さんがトップに立っているのだから、芹香さんは月組でトップに落下出来ていない、それがありのままの事実なのでは?
      噛み付くならせめてもう少し事実関係と根拠とやらを整理してからにしてください。

  2. ムーミン より:

    実際、後半は劇団が真風長期政権を盛り上げるために準備したと思われる作品ばかりです。
    ・シャーロックホームズ(生田先生「ぜひ長身面長の真風で」)
    ・初舞台ネバセイ再演
    ・FLY WITH MEとHiGH&LOW
    (野口先生「H&Lは宙組しか出来ない[路線多?])
    そして007はザ男役である真風さんの集大成でしょう。
    準備は何年も前から始まって、これをせずにやはり辞めますというのはあり得ない。
    真風ファンとして、コロナ禍で命をかけて舞台に立っているという発言はショックでしたし、もともと長期だったのならもっと歓迎ムードの中でさせて欲しかった。相当な嫌がらせもあっただろうし、聞きたくないことも耳に入っていながら、毎日舞台に立ち、組を引っ張ってきたと思うと、本当にありがとうという気持ちです。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      正直、宙組の顔ぶれに見飽きないがらも楽しめたのは、やっぱり演目が良かったからだよなと思います。
      けど、正直ネバセイはコロナパニックの中の苦肉の策にしか見えない(スーパーナイスアイデアですが)ですし、そもそもコロナになって2年以上経っている今、任期後半の演目はほぼコロナ以降に決まった、つまり長期コースになったからこそ決めた演目だと私は思いますけどねぇ。
      歓迎ムードはおっしゃる通り、なんでこんな顔ぶれ変えずにしたのでしょう…難しいです。

  3. ずんだもち より:

    ブログ更新楽しみにしております!

     真風長期ならもっと幅広い演目をやって欲しかったです。
    真風に闘う男が最強に似合うのはわかりますが、芹香と桜木はバディと敵役を交互にやるしかなく、2人とも多彩な人物を演じられるのに、その機会が減り、残念な気持ちになります。
    似たような演目。同じ顔ぶれ。飽きたので、桜木あたりを替えろ という声が上がるのも無理からぬことでしょう。私は絶対絶対嫌だけど。
    真風と芹香は対談させると面白いので、コメディもやれたのでは?
    芹香就任時に「スカピン」を望む方は多いと思いますが、ずんちゃん小池作品でまた悪役?もうかんべんして!というのが私の本音です。

  4. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    後世のファンが宝塚の歴史を振り返れば「100周年特需~コロナ禍まで」「コロナ禍以降」という年代区分になるのでしょう。その中で真風さんは、コロナ禍以前に大劇場公演を4作済ませていた。

    そこにコロナ禍によるリスケや休演というじりじりする異常事態が続いたので、時間間隔が狂ってしまって、なんだか10作以上の超長期の在位だったような感覚に陥りますね。

    個人的には、LDHとのコラボ企画であるHiGH&LOWの、宝塚舞台版と同時上映している映画版の制作・公開が当初予定から延びたらしいので、それに合わせて宝塚側が、急にホームズをいれたりネバセイを再演したり、ずいぶん気を遣ってスケジュールを合わせたのか?ともおもうのですが。

    個人的には、このLDHコラボにより、宝塚の客席に新たな客層が予備込めれば、いろいろひずみを出しながらもスケジュール調整したかいがあるとおもうのですが、LDHファンが次の007に、さらに他の組の演目に来てくれるのでしょうか?

  5. より:

    こんばんは。
    いつも楽しみに拝読しております。

    芹香斗亜さん体制の宙組でのスカピン、すごく観たいなと常々思っていたところでしたので思わずコメントさせて頂きました。
    マルグリットが天彩峰里ちゃんなら最高!桜木みなとさんのショーヴランも観たい!なんて勝手に思っていたのですが、やはりこの頻度で小池先生の一本物やってると回ってこないものなのでしょうか。。。残念です。
    (真風さん任期が一作伸びたのだとしたら、次のイケコ一本物枠は本当は芹香さんお披露目だったのでは?なんて妄想までしてしまいました)
    芹香さんの任期、短期〜普通くらいと思っているのですが、お披露目でなくともどこかのタイミングで回ってきてほしいなと願うばかりです。

    現宙組体制、おっしゃる通りマンネリ感は拭えなかったですね。安定して高クオリティーな舞台が観られるので、初観劇の知人を連れて行くにはもってこいでしたが。
    真風×芹香の仲良しコンビの並び、トークも安心して見られて尚且つ面白いのが好きでした。長い長いと思っていたものの、次が最後となると少し寂しい気もしてしまいますね。

    駄文散文で失礼いたしました。
    次回の更新も楽しみにしております!

  6. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、興味深く拝見しております。
    真風さん。仕事人ですよね。1つの部署を任せられ、責務を全うする。素晴らしいと思います。
    花組の事情ではあれ、持ち味の違う(トップさん自身の言)星風さんの組替から、雪娘の潤さんとの新コンビは思いの外お似合いで、大いに驚いたのは、ついこの間のような…。

    真風×芹香コンビは、『オーシャンズ11』が最高でした。『天は赤い~』や『シャーロック~』など、数々の格闘シーンもあり(安心して向かっていける、との芹香さんの言)、サヨナラ公演では、どんなバトルがあるのやら。

    代替わりの際には、トップと2番手は順当に番手が上がるように、と切に願います。
    そして、今は『High~』の東京公演が無事に完走し、沢山のファンが、真風宙組を堪能できますように、と祈ります。

  7. N より:

    いつも楽しく拝読しております。

    真風長期政権で一緒に語られることの多い芹香の2番手が長すぎる問題ですが、そもそも組のトップと言えども2番手を選ぶことはできないのに、何故その矛先が真風に向くのか疑問に思っていました。
    研12で就任なので、ある程度の任期は想定されていたと思いますし、途中でスポンサーがついたことやコロナ禍、ハイローとのコラボ等で1、2作延びたかもしれませんが、それは真風自身がどうこうできることではありません。
    (蒼太さんがそう思っているという話ではなく)
    劇団が95期重用を含む人事のやり方に問題があると思うのです。
    真風も仮に永久輝や暁が2番手として組み替えして来たら、もっと違う魅せ方をできたかもしれません。しかし、それは叶わぬifであり、今は残された時間を潤花と充実して幸せに送ってほしいと願っています。

  8. エカチェリーナ より:

    いつも楽しく拝見しております。
    私は芹香さんのファンですので、真風さんはいつ退団するのかずっと気になっておりました(やめてほしいと思ってたわけではないです)。
    しかし、蒼太さんのおっしゃる通り劇団が真風さんを手放すわけにはいかなかったことは重々承知しております。95期体制がほぼ完成し、星組が長期政権に入り始めた今、ゆりかさんを退団させても問題ないと判断したのかと考えていたここ数日です。彼女が純花さんと宝塚生活を納得のいく形で終えられることを願います。
    長期政権は真風涼帆→礼真琴→永久輝せあと変わっていくのかと思っておりますが、蒼太さんはどう思われますか?機会があればぜひ教えていただけると嬉しいです。

  9. はる より:

    真風さんの退団会見を見て私も思いました〜。何気におっしゃってるな。と。
    コロナとかスポンサーとか演目とか各組のバランスとか色んな諸事情の結果が今だって話だなと頭の整理が出来ました。いつも有難うございます!

    皆んなに平等は絶対に無理ですから割りを食う方も必ず居ます。
    いかに今を楽しめるか?ですよね。
    心穏やかに残りの宝塚生活が過ごせますように。と願っております。

  10. Kz より:

    真風さんの退団会見はすっきりとしていて個人的にとても腹落ちのするものでした。
    彼女恐らく一般企業で働いても優秀だろうなぁなんて思ったり笑
    退団を決意した作品も初舞台から任期中もお世話になった小池作品が挙がってもおかしくないところが今コラボをしているLDHに対しての配慮も忘れない、任期が間伸びしている理由もサラッと述べる。
    退団会見を見ているといつもなんとなく穿って見てしまう要素が彼女の会見には見当たりませんでした。

    実はずっと気になっていたのが、ホテル・スヴィッツラ〜のプログラムで演出の植田先生が作品の依頼が通常よりも遅かった(急ピッチ)とコメントされていたことです。予定されていなかった作品だったのかな?と気になっていました。
    彼女の会見から今となっては調整の中で生まれた作品なのだろうなと腑に落ちました。

  11. かのこ より:

    こんばんは。
    確かに、宙組の番手の動かなさは凄かったですが、じゃあコロナ禍と他組のトップ交代が続く中で果たしてどんな手が打てたのかと考えると…劇団を庇うわけではないんですが、難しい気もします。
    (私が人事や経営の道のプロではないので思考の広がりがないのもありますが)
    あの時期における安定と安全牌として宙組の人事的固定(と花組への星風さん異動も?)があったのだと思いますし。
    あと真風さんと芹香さん、たぶん普通にコンビ人気が高いので、劇団としては離したくなかったのかもしれません。(と、書いたところで今後の花組と星組が頭を過りましたが(特に長期を継ぐのであろう星組)、それは置いておくとして…)

    もしかしたら打てたかもしれない手としては、芹香さんが月組トップとして宙組を離れることによる宙組内部人事シャッフル(もし実現していれば和希さんの組替えと前後した感じでしょうか)でしょうか。
    (でもまさに本文中で触れられている通り、花組のときと同じく95期プッシュに圧されて難しかったのかなと感じます。真相は分かりませんけれども)

    それにしてもこの環境の中心で、そして恐らく色々なファンの様々な感情の一番のぶつけ場所になっていた可能性があるのは真風さんだと思うのですが、これは劇団を含め周囲にとっては幸運だったんじゃないかと。
    番組などで感じる印象ですが、頭の回転も早いし、メンタルコントロールの能力も高そうですよね。あと視点がわりと客観的。下級生の頃はそうでもなかったっぽいので、御曹司教育の副産物なのかもしれませんが、ともかく、そういう人が矢面に立ち続けてくれて助かったのでは。想像ですが。
    退団公演、一回も欠けることなく大千秋楽まで終えられることを願っています。

  12. Lily より:

    2人ともよい退団会見でしたね。
    他がトップ変わる中、コロナのことも長期のことも含め真風さんが全部受け止めていたんだろうなぁという思いがあります。

    よく顔ぶれが変わらなく…と言われていますが個人的にはメインキャストに歌われてもずっこけず華やかで芝居もよく高身長で外部からイメージする『宝塚らしさ』を保ってくれた組だと思いました。
    三拍子揃っているベテランの組が1つはあると安定します。
    顔ぶれの変わらなさは組子もさることながら演目と役の割り振り問題が大きかったですね。

    何かと95期問題取り沙汰されますけど今のトップ3人と王手かけてる朝美絢の顔ぶれを見るに必然のような気もします。
    彼女らの期がバラけててもトップまで来ただろうなと思えるので95期だから、というのは違うのかなと。