花組『悪魔城ドラキュラ』観てきましたー。
管理人は西で観た時に大層ハマったようで枚数を増やし、
その評判の良さに私も回数重ねて観る予定です。
そして、これは確かに面白い!!
ってことでさっくり感想書いていきます。
「掴み取った成功」のカギは
まず、声を大にして言いたいのは、本作は「約束された成功」ではなく、キャスト陣含め関わった人間たちが「掴み取った成功」である、ということです。そしてその成功のカギを握ったのが、主演である永久輝せあでしょう。今回の彼女は本当に凄まじかった!
その2次元舞台化にハマるビジュアルはさることながら、特筆すべきはやはり芝居力の高さです。吸血鬼と人間の狭間で生まれ、永遠の孤独を背負いながらも、母との約束を守るために剣を取る。孤高の存在でありながら、少しばかり可哀想で、だからこそ母性本能を無自覚的にくすぐってしまうような、そんな魅力的な人物像を見事に描き出していました。
バトルシーンでの美しい立ち振る舞いも含め、これは新公時代の『ルパン三世』『るろうに剣心』で培った経験を血肉にした結果なのだと思うと、アツいですよねぇ。刀じゃなくて剣だけど、やはり彼女には早霧せいなの血が流れている…。その「成功を掴み取る」DNAが感じられたことこそが、本作の一番の収穫なのかもしれません。
マリアを演じた星空美咲も、その圧倒的なヒロインパワーが本当に素晴らしかったです。ただ可憐なだけでなく芯の強さを持つマリアを、自然な芝居と美声、そして運動神経で見事に演じ切っていました。動きがセーラームーンっぽいのが謎にツボ。リヒターを演じた聖乃あすかは、短髪マッチョ剣士としての爽やかなヒーロー像と、長髪闇堕ちモードという一度で二度おいしい変化を一気に堪能できたのが良かったです。もちろんその美貌は健在で、原作ファンにも胸を張れる理想のヴァンパイアハンターだったことでしょう。そして専科の輝月ゆうまは、もはや何も言うまい、椅子に腰掛けるその姿すら完璧なドラキュラ伯爵は、絶対的な支配者という威厳、そして悲哀までも内包したその芝居に、完全に魅了されました。
その他、マグヌス&サキュバスの90年代後半ビジュアル系お耽美悪魔コンビをはじめ、神官シャフト(実は隠れMVPだと思う)に死神様と、任にあったピッタリな役が回され、まさに「この組のこの瞬間だからこそ上演出来た一作」になっていたと思います。
感動の大王道!!
珍しくキャスト感想から綴ってしまいましたが、もちろん本の内容も良かったですねぇ。
まず、本作は原作ゲームファンからも高く支持されている模様。それは荘厳な舞台美術、原作音楽のアレンジ、多くのファンサービス…。そして、名場面の切り貼りではなく、様々なキャスト・物語を構築し直し壮大なドラマへと仕立て上げ、結果として「原作を壊さず、むしろ引き上げた」キャラ像を作り出したこと。これらがファンの心をわし掴みにした理由なのでしょう。
それ以上に良かったのが、原作を知らない宝塚ファンも楽しめるという点です。前のめりで頑張り屋なヒロインと、少し気だるげで斜に構えていて、だけど母性本能をくすぐるアンチヒーローのラブストーリー。それ自体が萌えを生み出すキュンキュンものなのに、ストーリーの核心は母と父の、そして父と子の親子の物語であることです。ドラキュラ伯爵とアルカードの、400年を超える憎しみと因果。子は母との約束を守り、そして父は愛ゆえに息子に討たれる宿命を背負う。「あるべきところに帰れ」というセリフが、こんなにも胸迫るものとは…。愛と宿命が交錯する瞬間に宝塚らしい耽美と抒情が宿り、瑞々しい感動の波が生まれるのでした。いやー、鈴木先生も相当頑張りましたね。おイタをして10年近く干されていた彼ですが、これで禊は済んだ、かな?←
演出面もとにかく凝っていて、「人を憎んではいけない~決して~♪」のリフレインはゾクっとしましたし、場面を繋ぐ群舞やコーラスも若手中堅に出番を与えつつ飽きさせない努力を感じました。そんな原作ファンも宝塚ファンも唸らせた『悪魔城ドラキュラ』。まさしくこの作品は「約束された成功」ではなく、花組全員が力を合わせて掴み取った成功だと言えるのではないでしょうか???!!!
た、だ。
人事屋的に気になったのは、永久輝せあの見た目が『エリザベート』のトートだし、親の子殺しという状況は逆だけど親子愛というテーマは『ファントム』っぽい。そう、上演を望まれているこの2つと酷似している作品を昇華したことで、きっとやらないんだろうなぁと思ってしまったのは内緒です。←
『愛, Love Revue!』も
そして『愛, Love Revue!』も良かったっすね!!
これまた宝塚の大王道で、岡田先生らしいロマンチックでドリーミーな世界観。もちろん名場面「バッパワ」を生で観られた感動もひとしおでした!!これぞ宝塚レビュー、という醍醐味を味わえた作品だったと思います。
西はチケットが余っていたからこそ、新規を呼び込んで裾野を広げることに成功した様子。これもまた舞台興行の「正しい在り方」かもしれません。
東京公演はまだまだ続きますが、一人でも多くの方がこの作品に触れられるよう祈っております。
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コメント
いつも楽しく興味深く、拝見しております。
掴み取った成功~。最大級の賛辞かと、なんだかとても熱いものが込み上げてきます(相変わらずの熱波の日々ではありますが)。
雪での下級生時代あればこそ、なんでしょうか、嬉しい懐かしいです。
おっしゃる通り、大作ミュージカルは、無いのかと思います。
黒マントでの包容は、ファントムを連想させられました。
峰果さん、確かにMVPですね(拍手)。