もし仮に彩風&潤コンビが
来年雪組で新トップに就任するとして
個人的に一番気になっていたこと。
それは、同じくダンサーコンビである
星組トップ礼&舞空とのキャラ被りだったのですが、
その不安は先日『ハリウッド・ゴシップ』を見て少しばかり解消されました。
というわけで本日は、
92~95期新体制に向けた各組の「住み分け」について
個人的に思ったことをまとめてみます。
今の宝塚人気を支える2つの価値観
礼&舞空コンビについて、
小川理事長は以前、豊島区長の高野之夫氏との対談の中で
「二人とも若手ながら「超」の付く実力派」と評していました。
そう、劇団がこの2人に求めているのは、
「宝塚的」な魅力を越えた、
「高品質な舞台」を作り上げるスターとしての実力なのでしょう。
この「高品質な舞台」の魅力と
「宝塚的」な魅力という相反する価値観は、
今の宝塚人気を支える2つの柱であると言えます。
それは、今の雪組と宙組の高い人気と
その違いを見れば明らかでしょう。
現在、望海&真彩コンビの雪組が
高い人気を誇っているのは明らかですが、
その人気の秘訣はもちろん、宝塚という枠組みを超えた歌唱力。
逆に「あんなものは宝塚ではない」という批判もあるわけですが、
それをはるかに上回るほどの人気を誇っているわけですからノープロブレム。
むしろ、宝塚という世界観に遠慮していたような
純粋なミュージカル好き等を引っ張ってきているわけですから
事業として、人事として「成功している」としか言いようがありません。
一方、真風&星風率いる宙組もまた高い人気を誇り、
就任後4作連続で大劇場公演のチケットは完売。
まさに宙組黄金期を迎えているわけですが、
その人気の秘訣を、私は以前からブログにおいて
「古き良き宝塚を体現しているから」と評してきました。
宝塚は歌が上手ければ、ダンスが上手なら良いわけでは無い。
男役としてのカッコよさ、スタイリッシュさ、
それを含めた総合芸術としての「スター芸」の魅力。
そしてそれをたおやかに支える娘役芸と、
並み居る男役スターたちとの団体芸としての美しさ。
「これぞ宝塚です」と一般人に自信をもって見せることが出来る組。
それが今の宙組の魅力であると、私は考えます。
つまり、今の雪組と宙組は互いのニーズを奪い合わず、
上手に両立しているからこそ
高い人気を誇っていると評せるのだと思います。
ち な み に 、付け加えるとすれば、
この「宝塚的」な魅力と「高品質な舞台」の魅力の良いとこ取りをしたのが
『ポーの一族』から『CASANOVA』までの明日海体制花組であり、
だからこそあんなぶっちぎりの人気を誇ったとも言えるのかもしれません。
礼&舞空と彩風&潤の違いについて
冒頭の話に戻りますが、
礼&舞空コンビに求められているのは、「宝塚的」な価値観ではなく
その枠を越えた「高品質な舞台」です。
つまりゴールは、望海率いる雪組的な体制、
さらにその先の明日海りお的トップオブトップの座であると言えると思います。
一方、彩風&潤のダンスの魅力は
どちらかと言うと「宝塚的な魅力」の方に近いんじゃないかなーと
『ハリウッド・ゴシップ』を見て思ったんですよね。
彩風は歌と芝居に関しては、スターとして「普通」ですけれども、
何よりも宝塚的なダンスの美しさ、
そして御曹司育ち特有のキラキラオーラを有しています。
この男役の魅力は、
潤花という娘役と一緒になることでより際立って見えたのが、
今作の大きな収穫であったと私は思います。
同じダンサーコンビでも、
外部公演顔負けのスーパー技巧か、
宝塚的なキラキラうっとり世界観か。
この「住み分け」は、ニーズを食い合わないという意味で
事業的には非常に重要なセンテンスであると言えますし、
狙ってやっているとすれば、正しい舵切りかなぁと個人的には思うわけで。
ち な み に(2度目)、さらに付け加えるならば、
次期花組トップコンビにおいて柚香に華を合わせたのも
「ダンサーコンビ」との住み分けを意識したがゆえのものなのかもしれません。
柚香は華と宝塚的芝居の世界観を追求し、
ショーでは水美や永久輝とガシガシ躍って、
「花組的男役芸」に特化していく…なーんて考え過ぎですかね?
92~95期新体制に向けて
宝塚を長く支えてきた89期体制が終わりを迎えつつあり、
92期~95期の新体制に向け、
人事が大きく動き始めています。
もし仮に本当に来年望海が退団するとすれば、
柚香(95期)、珠城(94期)、彩風(93期)、礼(95期)、真風(92期)となり
まさに92期~95期新体制という印象ですよね。
もちろんそのような中でも
「5組もあるのだから自分の好みに合わせた組を」という
価値観の多様化に向けたトップの住み分け人事を
今後も狙っていくのかなぁと予想出来るわけで。
それぞれの組がどういった売りを見出していくのか、
そしてそのためにどのような人事が起きるのか。
今後の流れに注目したいですね。
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コメント
こんばんは!いつも楽しく拝見しております。
柚香光さんに華優希さんをあてがったのは、住み分けもあるでしょうか、漫画原作モノで2.5次元売りのほうが大きいのかなと感じます。
少女漫画のヒーローポジが異常に似合う柚香光はもちろんのこと、華さんのおめめパッチリ舞台化粧(素化粧と結構違いますよね…!)と、ほっぺた膨らませて「いじわる〜」と言うのが似合う演技が、文字通り全身で”少女漫画のヒロイン”を体現しているなと感じます。柚香光の相手役に舞空瞳ではなく華優希が選ばれたのは、これまでに類を見ない2.5次元的売り出し方が期待できるからでしょう。
花組の2.5次元で原作漫画ファンを中心とする新規顧客獲得、キラキラした宝塚感を味わいたくなったら雪組、安定した実力を求めるミュージカル好きは星組と、組の個性が確立されそうで次期体制もとても楽しみですね…!
コメントありがとうございます‼
おっしゃる通り、漫画系なのでしょう。それを踏まえての「ダンサーコンビ」との差別化であると私は思いますが…。
個人的に思うのは、ただの2.5次元売りでは「ちぎみゆ」の二番煎じでしかありませんので、彼女たちらしい新たな売り出しをして欲しいなぁというところでしょうか。
とはいえ、それぞれの新たな組体制に楽しみなことには変わりありません。2020年がどうなるか楽しみですね!!
いつも楽しく読ませて頂いてます。
今回の記事の、彩風さんと礼さんの住み分け、「確かに!」と思いました。私もハリウッドゴシップは観劇しましたが、あのデュエットダンスの夢夢しさは、星組コンビには無いものでした。
星組コンビは、体のバネというバネを使いまくった、技巧派ダンスコンビですから、夢よりもまず技術に目が行きます。エクレールブリアンのパリの場面が、そうでした。
全組観劇派としては、中途半端に似た組を作られるより、特色がはっきりしてくれた方が見応えがあるので、今回のトップ絡みの人事には、満足しています。
特色を押し出す分、トップ双方の苦手な部分が浮き彫りになるのが不安要素ではありますが、何だかんだサポート役もきちんと揃えてきているので、大丈夫だろうと思ってます。
逆に特色を押し出しきれず、燻っているのが月組なのかな??と思います。
他組のカラーが濃すぎて、相対的に薄く見えるというか・・・。月のトップ自身、技巧派・宝塚派の、どちらとも言えないですし、娘役とのコンビ売りの感じもしません。
月組の人事ピラミッドは、ようやく綺麗に整い、組の人材的にも悪くないので頑張って欲しいのですが、今後どうなるのでしょう??
コメントありがとうございます‼全文同意です。笑
おっしゃる通り、エクレアのパリの場面は技術面ありきって感じでしたよね。同じ若手爽やかコンビにも関わらず、この違いは非常に興味深いです。
星組には愛月が、雪組には彩凪&朝美がいることで、トップとの補完関係もうまくいきそうですし、きちんと考えられてますよねぇ。
書こうかどうか迷って結局書かなかったのですが、月組は「良いとこ取りをしようと画策したのに、ドツボに嵌ってしまった」かなぁと個人的には思っています。
ちなみに星組は「みんなが望む星組らしさを究極に追及し続けた一つの答え」って感じでしょうか。笑
星組は礼&舞空で全く逆にベクトルに走って空気の入れ替えを行うわけですけど(早霧→望海で全く違うカラーに変えたのと同様)、
月組はしばらくまだ模索が続くでしょうから…果たしてどうなることやらですね。