ラストデイ

 

本日、宙組『宝塚110年の恋のうた/Razzle Dazzle』の大千秋楽。

すなわち、芹香斗亜の退団日であり、

タカラジェンヌとして生きる最後の日、

そしてトップスターという看板を下ろす日です。

 

今日と言う日に改めて思うことを、

徒然なるままに書いていきます。

 

スターの宿命

 

私は全組観劇派のライトファンとして、

『Le Grand Escalier』も、全国ツアー『大海賊』も、

そして今回の退団公演も、特に抵抗なくキッチリ観に行きました。

 

そこで常々感じていたのですが…

というか特に退団公演で如実に感じたのですが…

芹香斗亜は基本「ここにあらず」な様相でしたね。

 

菩薩のような微笑みを顔面に貼り付け、

相手役である春乃さくらと目を合わせることなく、

どこか遠い向こうを見ている感じ。

 

例えるなら、うち捨てられた人形が

雨ざらしの中で一人歌い踊る姿を見ている気分というか…。

ショービジネスの残酷さに改めてゾっとしますね。

 

「だったら辞めれば良いだろ」と言うは易し、

権利や契約で雁字搦めである興行の歯車として生きるにはそうはいかず、

彼女に与えられた役目はたぶん、全ての咎を引き受け幕を下ろすこと。

 

だからこそスターとして、誇り高く退団していくしかなく、

誰が味方で誰がそうでないか分からない中で、

これ以上傷つかないよう薄いバリアを張りながら、

鋭利な刃物でバラバラにされた心の破片を必死に繋ぎ止つつ、

与えられた任期を全うするため舞台に立っているのだな、と感じたのでした。

 

宙組の咎

 

芹香斗亜はコロナで運命を変えられてしまった人なのだと思います。

95期ツートップ(柚香&礼)に弾き飛ばされ、

宙組に行くまでは決定項だったとしても、

まさかその後、真風涼帆により9作も待たされることになるとはねぇ…。

 

真風涼帆が最初から9作任期だったのか、

それともコロナ禍で延長したのかは分かりません。

 

けど、長期の果てに組内の空気が淀み切り、

コロナ禍という誰もが余裕無くヒリついた状況となり、

それが最悪の結果として結びついたのが例の事件。

 

もし、もう少し早く代替わり出来ていれば?

あるいはコロナの無い世界線だったら、

違う未来が待っていたかもしれない。

 

ですが現実は、今まさにトップに立った瞬間に

奈落に突き落とされることになったわけで、

本人もファンも、そりゃ咀嚼出来ないだろうなー、と思ってしまいます。

 

基本的に私は、例の事件については

前任&前組長に重く責任があると思っているのですが、

とはいえ現トップ&現組長も2番手&副組長だったわけで、

ノー責任ということはない。

 

それに誰かが責任を取る、というより咎を引き受ける必要がある中で、

そりゃトップスターがそれを背負うしかない、というのも、

全うな流れだと思います。

 

「舞台に立つ資格なんかない」と大勢の人に罵られても、

それでも幕が下りるまで舞台に立ち続けるということ。

これこそがスターの宿命であり、

ショービジネスの残酷さでもあると改めて実感しました。

 

今、素直に思うこと

 

そして本日、ラストデイを迎えて思うことは、

とにかく「お疲れ様でした」としか言えないですね。

 

前任はあっさり結婚し、前組長は普通に舞台に出て、

そして現組長はとくに責任を取ることなく現役を貫く中で、

嵐のような中傷の中、駆け抜けたことをまずは労いたいです。

 

トップスターとしては、10年後にどう評価されるか、でしょうか。

「悪魔」なのか「悲運」なのか、

それは今までの彼女と功績と、

退団後の言動で定まるものだと思いますが、果たして。

 

そして退団後はひっそり表舞台から姿を消すのか、

それとも気の向くままに仕事をするのか分かりませんが、

まぁ彼女の人生ですし、納得のいくものであることを祈るばかりです。

 

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コメント

  1. あんがす より:

    コロナがなければ、厳しい指導も言動も、稽古後の食事会や年に何回かの宴会、組旅行等で親睦を深めることはでき、あのような事件にはならなかったのではないかと私は思っています。

  2. まりまり より:

    私も大きな抵抗を抱くこともなく、ご縁のあった公演を楽しみ、宙組の素晴らしいコーラスに感動する一方でトップ芹香斗亜の孤独な様相になんとも言えない胸の苦しさを感じずにいられませんでした。
    個人的には花組時代のマイヒーローが演目とキャストのバランスの良さでお気に入りでして、そこからふんわりと芹香斗亜も応援していたので、長すぎる2番手期間は正直気の毒で仕方なかったです。
    『たられば』は意味のないこととはいえ、本当にもう少し早くトップに就任させて欲しかったと思います…。
    貼り付けた笑顔の面を外して、あの細い肩には重すぎる荷を降ろし、心の底から微笑むことができるといいなと、1ファンとして静かに彼女の幸せを願わずにはいられません。

  3. ヤタロー より:

    仰る通り、彼女に掛ける言葉は先ずは「お疲れさまでした」ですね。
    >薄いバリアを張りながら
    →過去作品との印象の違いはそういうことかも知れないと腑に落ちました。
    退団後の彼女の人生に幸あれと願うばかりです。

  4. トムヤムクン より:

    蒼太様。私は宙組ファンとして劇場で観たかったもののチケットが手に入らずライビュで見守りました。
    桜木さんとの引き継ぎらしい会話もなく去ってゆく芹香さん。『いつかどこかでお会いできたら』と話していた芹香さん、、彼女のファンとゆうわけではないのですが、こんな嵐の中去ってゆく彼女が、『幸せな気持ちでいっぱいです』と言っていてなんとも言えない気持ちになりました。こんなあっさりな退団は記憶になく、水音さんが『芹香さん大好き、宙組大好き、お客様大好き』と言ってくれて救われたというか。。
    本当は舞台で輝く次の舞台の彼女をみたいのですが叶うのでしょうか。人一倍不器用で繊細そうなので、どんな風に活動なさるのかわかりませんがまだ30代です。もし芸能活動なさるならまた生で観たいなあと思っています。
    水美さんや叶さん、愛さん、きよらさん、二葉さんが加入され雰囲気は一変するでしょう。瑠風さんは組み替えされます。今までの宙組も大好きでした。これからの宙組にも期待しています。
    芹香さんや退団者のお二人の未来に幸あれ!

  5. みなとのシブキ より:

    あの頃、週刊誌の内容が気になって気になって何度か買って読んでしまいました。
    で、結局よく分かりませんでした。
    たかだか3、4ページの半分は写真。文章の半分は前回のおさらい。新しい情報はほんの少し。その分からない部分を読み手が勝ってに想像してしまうのでしょう。
    遺族側、劇団側が出したものも組子全員の行動、ましてや個人が特定される内容が一般に出される訳もなく、部外者が判断できるものではないと思いました。
    公演再開に、芹香さん続投で良いのかと疑問でしたが、色々考えてこの形しかなかったと今は思います。
    宙組と疑惑の生徒を少しでも擁護すると被災者のことを思わないのか、と憤慨する人もいますが、そんなことないですよ!悲しく思わない宙組ファンはいません。

    芹香さんにはお疲れさまでした。
    そしてこれからも宝塚の舞台に立ち続けると決めている宙組生に対しては、私は今まで通り宙組中心に応援するのでがんばってください。

  6. YK より:

    芹香さんに関してほぼ同じ意見です。
    舞台上もさることながら、スカステでの一言一言に失言をしてはいけない緊張感が伝わってくるのが彼女のファンでなくても見ていて辛かった。
    スカステの若い頃の溌剌とした映像を見るに、本当はフランクで明るい性格であったことが分かるだけに残酷だなと思います。
    恐らく退団後は宝塚関連以外ではほぼ仕事はないでしょうから、新しい生活の中で自分らしさを取り戻して頂ければ良いなと思います。

  7. もな より:

    花組時代から応援してきた者です。
    仰る通り、長い二番手時代を乗り越え、トップになった瞬間、奈落に突き落とされ、それでもスターとして、1人のタカラジェンヌとして、全ての咎めを引き受け、幕を下ろすという責務を務め上げた今、彼女に伝えたいのはただ一つです。本当にお疲れ様でした。

    長年彼女を応援してきた者としても、彼女の笑顔から哀愁を感じずにはいられない時があります。どんな思いで舞台で立っておられるのか、、考えただけで胸が苦しくなります。

    花組から宙組への組み替えがなかったら、コロナの世界がなかったら、沢山のifを考えたら、キリはないですし、同じ組の者として、トップスターとして、組を再生させることもできたかもしれません。
    よく舞台に立っていられるわ。謝罪はないのか。とのお声が多くお見かけしますが、劇団が監督責任が全てですとしたならば、劇団の顔として表向きに謝罪の言葉を述べることは難しいのは、組織にいる経験がある者ならば、痛いほど理解ができます。(とはいえ、インタビューなどでの発言や言葉の選択に配慮することも必要だとは思います。)

    あの悲しい出来事の後でも舞台に立つという精神力、集中力、覚悟、、並ならぬものだったと思います。少なくとも、彼女より年上であろう私ならできないとも思ってしまいます。

    舞台に立つタカラジェンヌ、宝塚のファンは誰一人、宙組での起きた悲しい出来事は誰も忘れてはいません。それでも上がった幕を最後まで務め上げることを選んだ宙組生の皆様を応援したいと思います。

    繊細で不器用で決して成績優秀で入団された訳でもない芹香さんが研鑽や努力を積み重ね、ここまで歩んで参りました。
    簡潔だった退団挨拶も、ご自身のイメージを次期へ引き継がないように緞帳前の引継ぎをあえてしなかったことも、彼女の配慮を感じました。

    失われた尊い命に祈りを捧げ、タカラジェンヌの皆様が心身ともに健康に輝けることを、そして、退団者の御三方の第二の人生が豊かなものとなりますよう、願っております。
    みんなが笑顔で生きられる世界に願い込めて。

  8. こころ夫人 より:

    いつも楽しく興味深く、拝見しております。
    一夜、明けました。
    宝塚での千秋楽は劇場で、東京大千秋楽は配信で、観ました。
    これまで、沢山のお役をされてきたんだなぁ、スーツの着こなしが素敵だなぁ、と観ていました。
    常に厳しくも愛ある蒼汰さんの記事、ただただ、だからこそ、これは、と唸らせる最終章であったならと、無責任にも感じております。
    労いの拍手だけでは、舞台人として辛かろうとも、これもまた無責任にも思っております。

  9. 甘栗プリン より:

    こんにちは!
    映画館で千秋楽ライブビューイングを観ました。
    芹香さんはとても温かくてユーモアがあって、千秋楽公演も楽しんでいるように思えました。
    ただ、心の中の苦しみをお顔に出さないように必死で毎日身を削るように舞台に立っていたんだのだろうな、とも感じました。

    退団挨拶は短く簡潔、カーテンコールでも一切次期トップコンビの事には触れず、自分だけの最後のステージを全うした、それが芹香さんのプライドなのか。

    トップスターはただでさえ激務なのに本当に色んな辛いことがありました。
    春乃さくらさんがデュエットタンスで幸せそうだったのが救いです。

    私も心から「お疲れ様、ありがとう」と言いたいです。