マンネリの予兆・月組『侍タイムスリッパー』感想

 

月組『侍タイムスリッパー』のライブ配信、

本当は用事があって見られない予定だったのですが、

思いのほか早く終わったので無事観ることが出来ました。

 

さっくり感想を書いていこうと思います。

 

感想を書きたいけれど

 

…えーっと、ごめんなさい、全っ然面白くなかったです。話題作であった原作の邦画を舞台用に2時間半まで広げたことが原因なのかとにかく冗長で、特に前半は話が動かな過ぎて本当に退屈でした。ライブ配信は一度集中力が途切れると舞台に意識を戻し辛いのも難点でしょうね…生で観たら月組生の芝居力で上手く誤魔化せそうですけど、とにかく本がつまらなかった。これだったら『RRR』よろしく1時間半程度に思い切って再構成して、大劇場サイズでテンポよく見せた方が良かったのでは?と思ってしまうくらい。ま、前日に観た『雨にじむ渤海』がジェットコースターのような展開だったこともあり、その差が余計に際立ってしまったのかもしれません。

主演の鳳月杏も、2番手の風間柚乃も、さすが安定感のある芝居で、特に最後の「真剣」バトルの迫真の芝居たるや本当に素晴らしかったです。けれども、ある意味想像の範囲内で、良くも悪くも安パイだったなぁと。ファンにとっては「見たい姿」なのだろうと思いますが、個人的には驚きや発見はあまりありませんでした。天紫珠李は、本来の持ち味である大味な印象を上手く消していて、フツーな地味な女の子にきちんと擬態しているあたり、とても良かったと思いますが、やはり歌になると、うーん、という感じ。

ただ、この間延びがちな物語を最後まで破綻させずに見せ切ったのは、この3人が引っ張ってくれたからこそだと思うので、その実力については改めて評価したいと思います。(フォロー)

 

楽しく観られたのは

 

そんな中でも、私が一番興味深く楽しく観られたのは若手や中堅どころの扱いです。

まず目を引いたのが、107期生・美颯りひとの大抜擢ぶりですよ!!『雨にじむ渤海』で礼華はる・彩海せら・七城雅の中堅若手トリオが抜けていて、番手的に果たしてどうなるかと思っていたら、まさか彼女がおいしいポジションを任されるとは!!冒頭から鳳月杏と芝居をし、歌い、要所要所で出番があるという、いわゆる期待の若手枠的な役どころを担っていました。そしてそれを、きちんとやりこなしているのが見事でしたね。可愛らしい顔立ちからは想像できない、しっかりした男役の発声もとても良かったです。同期の一輝翔琉が早期退団したことで、天つ風朱李との路線争いがどうなるかと思っていましたが、ここで思いのほかはっきりと差がついた印象。107期は全体を見ても男役の路線候補が少ないだけに、これはなかなか面白い展開になってきました。

そして108期生の雅耀、洋顔なので和物でどう見えるか少し心配していましたが、和装もよく似合いますね。隠しきれないキラキラオーラでしっかり発光していました。

99期生の英かおとは、別格上級生的な二枚目役を伸び伸びと演じていて、とても良かったです。新公主演経験がありながらなかなか活かされない月組お得意の微妙路線に甘んじていた印象がありましたが、ここ最近は扱いが上がって個人的には嬉しいです。

106期生の花妃舞音も、学年が上がってロリコン臭が抜け、良い感じに成熟してきましたね。原作を観ていないので分かりませんが、きっとこれでも出番をかなり増やしてもらっているのかな?娘2格として可愛らしいピンクの着物を着せてもらっているあたりに配慮を感じますし、しっかりちゃっかり路線役を上手くこなしていたと思います。

 

鳳月杏の去就に思う

 

ってことで、作品そのものには正直まったくハマれませんでしたが、月組の若手・中堅の現在地を観察するという意味では、なかなか興味深い公演だったというのが最終的な感想です。103期生の羽音みか、彩路ゆりかも良い芝居を見せてくれましたしね。

ただ、正直なところここに来て月組のマンネリ感が結構酷いなともうっすら思い始めています。なんせ月城政権期から大規模な組替えが起きておらず、メンツがほぼ一緒。中堅若手の台頭は素晴らしいけれど、いかんせん上の方の顔ぶれが変わっていないので、想像を超えてくる感動、みたいなものがあまりないんですよねぇ…(というのをガイズの時から感じてしまっている)。

「ひとまずいつもの」は本人ファンにとっては楽しくて嬉しいんでしょうけれど、そろそろ何か動きが欲しいなと思ってしまう外野ファンなのでした。

 

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コメント

  1. りんご より:

    いつも記事を楽しく拝見しています。初めてコメントさせて頂きます。

    東京で何回か観劇しました。私はご感想と異なり、この1年…いやもっと遡ってもここ最近の宝塚で一番面白い演目だなと感じ、さすがは大ヒット映画!と思ったのですが、また異なる感想が聞けて興味深いです。そういえば観劇時、近くの席に座っていた20代くらいの若い方がこんなに笑いが起こる理由が分からないと話していました。ある意味人を選ぶ演目なのかもしれないですね。

    そして当方は観劇後に原作映画を観たのですが、花妃さん演じる会津家老の娘(家老の夏美さんも)や、美颯さん・雅さんが中心の白虎隊の面々は宝塚版オリジナルです。原作ではかなーり役が少なく、また若者が殆ど出てこないので、若手の為に小柳先生が苦心して作られたお役かと思います。わざわざオリジナルの役で、目立つポジションに宛てがわれたことに意味があるのでは無いかなと思っていますし、ご記載のように停滞感のある中でも若手が目立つ場面を作って下さり感謝しています。

  2. ゆきんこ より:

    上演時間については、原作は131分なのでフィナーレを省くと同じくらいだと思うのですが…

    • masa 蒼汰 より:

      そ、そうなんですね…。他の方からもコメントを頂きましたが、あれでもだいぶ膨らませたり弄ったりと頑張った方なのかと思うと、そもそも原作映画がアレだったのか?と少し不穏に思い始めました。観てみようかなぁ。

  3. より:

    お芝居もショーも人によって好みや評価、感想が全然違うので面白いですね!そしてスターというよりはその好みで贔屓組が自然にできてゆくような気もします。
    私は去年や一昨年の作品を含めてもいちばん好きでした。笑いどころと泣きどころのバランスが良く、原作映画にまでハマって今は時代劇を漁っている始末です笑
    人事については昨年末にあるかと思われた大規模組替えがなかったので、そのせいで諸々停滞しているのかなとも思います。しばらくジリジリする日が続きそうです。

  4. 夏みかん より:

    蒼汰さんにはハマらなかったのですね。私は面白かったです。
    原作映画を見て、これをどうやって宝塚にするんだろう?と思いましたが、ちゃんと宝塚になっていました。生舞台で見られたのも良かったのかもしれません。
    もともとストーリーはそれほどなくて、時代を超えてきてしまった人が驚いたり悩んだりしながら一生懸命生きていく姿にクスリとする、そんな作品なのでしょう。鳳月さん風間さんの持ち味が生きていたし、原作にない昔のシーン(夏美さん花妃さん白虎隊)や、タカラジェンヌ役もあって、月組生たちの幅広い活躍が楽しめました。
    時代劇主題歌のフィナーレは、意外な相性の良さがたまらない!この曲でタカラジェンヌが歌い踊るのを見る日が来るなんて!と感慨に浸っています。

  5. mimi より:

    夏美・花妃・白虎隊あたりは小柳先生の完全オリジナルです。
    原作映画を観ているかどうかでも評価はかなり変わってくると思います。個人的には登場人物の少ないあの作品をうまく宝塚様式に落とし込んだなと思いました。

  6. たね より:

    なかなか辛口の感想、意外でした。
    原作の舞台化だけでは補えないとして、会津藩と白虎隊のシーンが加えられたのだと思います。また、役を増やす意味もありましたが。

    私は配信、楽しめました。
    ここまで良く纏められたと。
    確かにマンネリ化は否めませんが、この面子での公演ではベストでしょう。
    特に、フィナーレは特筆ものでした。
    時代劇主題歌オンパレードでのダンスナンバー、真剣に踊るデュエットダンスなど。
    時代劇をリスペクトしているのが伝わりました。大衆向け作品で良作です。

    人事については、
    ぱる&あみ問題がどうなるかで、月組に新しい風が入ると期待したいです。

  7. YK より:

    いつも楽しく記事を拝見してます。
    自分は原作映画のファンなので、元ネタが上手く演出されており、クスッと笑える楽しい作品だったと思います。
    鳳月さん、風間さん(+今回は別働の礼華さん、彩海さん)の並びにマンネリ感を感じるのは同意ですが、個人的には彩海さんを劇団がどうしたいのかが見えないなと思っております。路線落ちも当然しないけど、同期の天飛さんみたいに上級生を追い抜かさず何となくベースダウン。2年前くらいは月城さん退団したら3番手みたいな雰囲気あったんですけどね。
    その一方で美颯さん、雅耀さんら若手の伸長が著しいので重さが出ないようになっているのだと思いますが、それも限界がありますよね。近いうちに人事大シャッフルの中心になるのではと思ってます。
    あとフィナーレで踊る汝鳥さんを見れて良かったです、貴重!
    これからも楽しい記事お待ちしております。

  8. ピースメーカー より:

    こんにちは。真逆の感想でとても面白いです。

    自分、こんなに笑った演目はなかなかないですね。フィナーレの汝鳥伶、夏美よう、梨花ますみで遂に吹き出しました。もはやもうこれはおめでたい正月の縁起物レベル。

    原作映画は個人的に「確かに面白くないわけではないけど世間でブームになる程か?」って感じだったので冗長も退屈もさもありなんです。しかしながら、造形があんなにも違うのにも関わらずキャラを落とし込んで自分のものにして月組の侍タイムトリッパーを作り上げた鳳月杏と風間柚乃は素直に凄いと思いました。田舎侍が主人公の時代劇、十分興味深くチャレンジャブルでした。

    自分にとっては、貴方の感想が自分の「ボー・ブランメル」の感想にそっくりで驚きました。あれこそ冗長で退屈で”ひとまずいつもの”でマンネリ。

    まあ5組もあるので、お気に入りの組の好きな演目を楽しめばいいってことなんでしょう。

  9. 華芽 より:

    当然に「※個人の感想です」なので、反対の感想をコメントするのも野暮だよなぁ…と思って控えていましたが、コメント欄拝見して、私も自分の感想を!と思ってしまいました!
    いやぁ、大変面白く満足度の高い作品として楽しめました!
    一幕のマツケンサンバ等、少々冗長かつお寒さを感じる場面もありましたが(フィナーレだけで良かったのでは…)、路線・別格・ベテラン・若手の全てが大活躍で本当に素敵でしたね。
    ストーリーとしてはそこまで捻ったところもないのですが、細けぇことはええんだと思って見れば大団円で楽しく終わりました。
    また、ワンフレーズずつの歌唱ではありましたが、雅耀がガイズ新公よりだいぶ歌えててびっくり嬉しかったです。

    月組の真ん中付近が月城時代から変わっていないことは確かなんですが、個人的にはそこまでマンネリを感じない…というのはさすがに贔屓目かもです。
    パレは観れていませんが、礼華さんに勢いを感じているのも確かなので、たとえば3年が振り返った時に、たとえば邪馬台国の風の頃の花組や、壬生義士伝の頃の雪組のように、「この時代のこの組のメンツ、強すぎだろ!!!」って思えるような未来が来ればと期待してしまいます。

  10. みんみん より:

    こんばんは。所々面白さもありましたが、私も心動かされないまま終わりました。西で観たのですが始まる前から会場がほくほくしてるのが分かったし、チケット難だし、期待しすぎたかと思ってたのですが、面白いことしてます雰囲気の冗舌さが苦手だったのかも。あと客席が笑いに安すぎて(何でも反応)にちょっと興ざめしてしまいました…。
    宝塚要素に不足は無かったけど、久しぶりにどの点がタカラジェンヌと馴染んでやることにしたの?と思ったけど、出演者もみなさん楽しまれたようですので自分が少数派のようですね。

    そろそろ月組の生え抜き偏重ぶりが隠せなくなってきましたが、でも美颯さんの安定感が露出出来て良かったと思いました。

  11. t より:

    全組観劇派ですが
    月城時代からすでに、珠城政権から上のメンバー変わってなくてマンネリだなあと思っていたので、まさかここが固定されたまま今に至るとは思っておりませんでした。
    月組は代々トップ娘役もずっとその組の舞台に出てる生え抜き娘役ですしね。