和希そら・続究極の成り上がりジェンヌ

 

過去、とくに前身ブログを読み返すと、

手前みそですが我ながら興味深いこと書いてるなぁと思うときがあります。

 

今日の議題は、雪組への組替えが決まっている、

96期・宙組スターの和希そらです。

 

【別に続きものではありませんが、関連する過去の記事はコチラ】

 

3年間で一番「成り上がった」スター

 

最近の人事ニュースといえば、95期猛プッシュばかり話題になりがちですが、

この3年間で一番スターとしての立場を変えたのは、

実は和希そらなんじゃないかと思っています。

 

ちなみに、3年前、すなわち前回の記事を書いた2018年11月とは、

彼女が主演した『ハッスル メイツ!』直後の、

『白鷺の城/異人たちのルネサンス』公演中。

 

この3年間に何が起きたのか。

端的に言えば和希そらは瑠風輝とのバトルに勝利し、

路線スターの糸を自力に手繰り寄せた、といって差し支えないと思います。

 

そもそもこの2人、結構長い間、

スターとしては同格のポジションにいました。

 

『HOT EYES!!』で桜木みなととトリプルエトワールをした後、

『エリザベート』→『VIVA! FESTA!』では一緒に階段を降りるも、

『クラシカルビジュー』は降ろすスターの数を絞る稲葉作品なので2人とも除外。

 

代替わりし、『シトラスの風-Sunrise-』でまた一緒に降りるけれど、

『異人たちのルネサンス』ではまた外され、

その代わりフィナーレ冒頭の歌手を留依蒔世と3人で務めた。

 

その間、和希そらはショー系バウ主演を1回しているものの、

新公主演は1回、しかも遡ること2014年の『ベルサイユのばら』。

一方、瑠風は『エリザベート』やトップ退団公演含む、新公主演4回。

 

セオリーでは、どう考えても瑠風のが路線として上です。

だからこそ、実力があるにも関わらず、男役としては身長が低く、

かつ96期生である和希は、このまま宙組の別格路線として移行していく。

だけどそれじゃあ勿体ないよなぁ…。

 

そんな評価をされていたのが、

約3年前の彼女だったんじゃないかと思います。

 

ターニングポイントはいつだったのか?

 

ところがどっこい、現在の彼女は明確な宙組4番手として活躍中。

気付けば永久輝せあ、暁千星のスーパー御曹司2人とならび、

96期・97期・98期の代表格トリオ、みたいな括りの立場にまで登りつめました。

(少なくとも3年前はこの3人が一緒の括りになる扱いではなかった。)

 

そのターニングポイントはいつだったか?

振り返ると、私は『オーシャンズ11』なんじゃないかと思うんですよね。

 

彼女の演じたライナスという役は若手の登竜門で、

真風涼帆が研6で、芹香斗亜が研6~7で演じ、同時に新公主演。

そして結果、2人とも番手的に立派なスターになっている、という経緯があります。

 

なので、宙組再演の報を受けた際、キャスト発表がされる前、

ライナスは瑠風輝(当時研8)か、

それとも鷹翔千空(当時研5だが結果新公主演者)にやらせちゃう?

という感じて盛り上がった記憶が。

 

ところがどっこい蓋を開けてみたら、和希そらが取った。

ここで階段降りでも瑠風を抑えて上に行き、

続く『アクアヴィーテ!!』で衝撃の単独階段降りを果たし、

完全に路線スターの道に躍り出ました。

 

そしてとどめが2度目のバウ主演『夢千鳥』。

今の彼女のスターとしての立ち位置を盤石なものにしつつ、

雪組組替えへの足掛かりを作った(固めた)のでした。

 

…と、この記事を書き始める前までは思っていたのですが、

よくよく考えると『ハッスルメイツ!』の成功が、

本当のターニングポイントだったのかもしれません。

 

瑠風が和希を抜く算段を整える一方で、

妙に人気も実力もあるし、宙組20周年だし、

試しに和希「そら」に記念公演的ショー系バウをさせてみよう。

 

その結果、劇団的に想定を上回る出来栄え、そして人気へと繋がり、

オーディションを経てライナスを和希にした、みたいな流れなのかな、と。

 

逆に、やっぱり瑠風を上げようと思ったなら、『オーシャンズ11』の後に

『リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド』が決まってたわけですから、

ライナスを瑠風にさせるなり、あるいはこの時点で階段降りを誤魔化して、

バウ主演後に『アクアヴィーテ!』で抜く、という流れも出来たはず。

 

だけど劇団はそうしなかった。

と考えると、瑠風はライナスを取れなかったのが、

今の立ち位置に響いているのかなぁと思ったり。(あくまで想像です)

 

いずれにせよ、男役が詰まっている宙組で、

新公主演1回というカードでここまで成り上がり、

満を持して雪組へと組替えしていく和希そらは、

まさに自力で路線への細い糸を手繰り寄せたスターと言えるでしょう。

 

蛇足:留依蒔世のポジション

 

ちょっぴり蛇足。

現在公演中の『Délicieux!』を見て、

劇団的に本来想定していた和希そらのポジションって

今作の留依蒔世の立ち位置なんじゃないかと思ったんですよね。

 

それはすなわち、番手的に瑠風輝を邪魔せず、

脇で朗々と歌いまくる(踊りまくる)別格路線スター、というもの。

 

和希そらの組替え決定、というより、

そもそも和希が番手格スターとして昇格したことに伴い、

今後も見据え、留依蒔世をそのポジションに据え置き、ガッツリ歌わせた。

それが『Délicieux!』での留依の活躍なのかな、と。

 

なので最後の男役群舞のペアダンスで、

和希そらと留依蒔世が組んでいるのに妙な感動を覚えます。

「俺、路線として雪組に行くことになったから、あとはよろしくな」的な?笑

 

そして、しっかりと紫藤りゅうを抜いている瑠風輝は、

和希そらが抜けた後こそ、路線スターとしての本当の正念場となるはず。

 

新天地に向かうもの、自分の置かれた立場で上を目指すもの、

それぞれが今後どのような活躍を見せてくれるのか、

今から非常に楽しみですね。

 

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コメント

  1. せち より:

    ここのところの宙組を観ていて、密かに和希そらが好きになってきたんですが…。
    前ブログで取り上げて以来、記事にならなかったので、今回うれしく読みました。

    やはり、ハッスルメイツがキーポイントでしょうかね。
    路線に上げるつもりはないけれど、1回くらいバウ主演させておかないと瑠風上げるのにかわいそうかな?
    そんな、バウ主演だったのかもしれないですね。蒼汰さんおっしゃるように宙組と「そら」をかけたのもあるかもしれませんね。
    ただ、ハッスルメイツでの和希そらは、持っている実力を余裕たっぷりに見せつけ、瑠風・鷹翔との大きな差を感じさせ、真ん中力までも感じさせたところは、劇団の計画にはなかったのかもしれません。瑠風が思ったよりも伸び悩んでいたこともあるかもしれません。
    その後のライナスからの活躍はほんと目覚ましいですね。
    雪組に行ってからの活躍も楽しみです。
    まずは雪組での第1作、ODYSSEYでの踊りまくり、歌いまくりの和希そらが見られますかね。
    稽古期間が短いので、限定出演かもしれませんが。

  2. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    和希さん、雪のショーでは歌いまくり歌手としてバンバン活躍できそうですね!

    芝居でどのような立ち位置になるか。和希そらは悩めるモラトリアム青年や、女役では真ん中が似合う。いわゆる別格男役が似合わない。レストレード警部は「小物のオッサン感」がぴったりすぎて、ちょっと不安(笑)

    瑠風さんはなあ…「欠点という魅力」を欠いているのが唯一にして最大の欠点なのですよ。鷹翔さんにも同じ傾向を感じる。

    宝塚の路線の人気は「技術」評価時代と「華・真ん中力」評価時代と波があって、

    愛月さんの再評価の動きをみると、100周年以来の実力重視から、コロナ禍を経てそれでも宝塚ファンを続けている古くからの「華重視」ファンに受ける生徒が人気になる時代になっているのかな?

  3. まるこ より:

    ご無沙汰しております。同じ「まるこ」というお名前の方がいらっしゃるようですね。

    ハッスルメイツも転機ですが海11のキャスティングで鶴の一声があったのはアニータの評価だと思っています。
    ダンス歌はもちろん大事ですが、通して人物を演じる力、それが様になるか、何より退団後の活躍が想像できるのは強いですからね。安蘭ブリーザを思い出しました。男役も人を惹きつけるのは女優力だと思っています。

  4. ルルー より:

    蒼汰様
    いつも楽しく拝見しております。
    和希そらファンとして、取り上げて頂いたことが嬉しく思わずコメントさせて頂きました。
    雪組異動が決まり、これからはきっと記事に上がることが増えるかもなどと思ったりしていて、結局、蒼汰さんに自分の贔屓を取り上げて欲しいだけなのかなと我ながら可笑しく思う今日このごろ(笑)
    和希さんのターニングポイント、仰る通りハッスルメイツで力を発揮したことから始まっているように感じます。そして、さらに力を見せつけ大きくJUMPしたのがオーシャンズ11 のライナスかと。
    路線としてマイナス要因は多々あるのかもしれませんが、周囲を納得させるだけの結果を出し続けた結果が今なのかなと。ヤキモキする時期が続いたものの、最近ようやく着々と階段を登っているという印象でしたので、路線の詰まった宙組から雪組への組替えは楽しみしかありません。これからも蒼汰さんの記事を楽しみしています!

  5. みき より:

    こんばんは。今日、宙組を観劇してきたところに、
    和希そらさんの記事・・・嬉しいタイミングで拝見しました。

    今日は前から5列目でオペラなしで見られる良席で、
    和希そらさんを見て思ったのが、オールドファンとしては、
    「令和の順みつき」だなと。
    小柄ながら熱く濃い演技で、黒髪が似合い、印象的な瞳。
    よく似ているなあと思いました。
    順みつきさんが男役ながら演じて評判を博したスカーレットや
    バレンシアの熱い花のラモンなど、役柄もかぶりますよね。
    その意味では、トップもありかな。。。とすら思いました。

    番手的には、朝美さんの方が一歩リードしていながら、雪組
    でこの二人を競わせるのも面白いなあと思いました。
    スカーレットWキャストとか・・・

    妄想失礼しました。

  6. 杏仁豆腐 より:

    オーシャンズからの成り上がり具合が凄いですよね。
    「俺、路線として雪組に行くことになったからあとはよろしくな?」はめちゃめちゃ笑いましたwしばらくツボですw

    私はアナスタシアを見たときに、これに向けて番手整えてたの?とちょっと思ってしまったのですが、一因になってたりするんでしょうかね?大作だし、あまりにもぴったりだったので。

    そらくんのこれからの活躍、ここからが正念場の瑠風くん、やっと場が回ってきた留依くんも楽しみです。

  7. あやこ より:

    もうここまでくると、彼女たちの3年間は「スミレ色の地味メガネコンビ」と「お調子者のクレープ伯爵」に全て投影されてしまいましたね笑。
    お調子者にならざるを得なかった背景もあるし、だからここまでこれた。かたや、スミレらしさに忠実に、マジメに研鑽した結果が、地味メガネ。葛藤に立ち向かってきたであろうお2人の、どちらにも魅力を感じます。
    そして、朗々と歌いまくる留依!今後の「お立ち台芸」が目に浮かび、楽しみです。

  8. コスモスハート より:

    蒼汰様

    和希そらさんのライナス、好きだった。そらくんライナスがイジイジしている姿に胸キュンでした。あの時は、宙組の男役人の中で小柄に見えることも、一つの役に成り切る為の武器となっていたように思えました。
    確かに、ターニングポイントだったかも。以前、娘役アニータで話題になり、その実力を知らしめた。
    男役としては、身長が‥と思うが、
    背の低さから、ハッスルメイツでセンターを務めて、任に合わないということはなく、見た目より、皆んな着いてコーイ!というようなパワーというかエナジーが溢れているように見えた。
    スカステで、弟キャラで面白い発言をしていたり、
    一つ一つ、全力投球、何故か笑える空気を巻き起こす。

    博多座でショーの時センターで(私は映画館)画面に和希そらがドアップになった時、きたー!キレキレのダンスに大はしゃぎした(笑)
    全て、一瞬一瞬が、ターニングポイントとも言えるかも。
    決定打はアナスタシア、娘役だったが、やはり和希そらのミュージカルスター能力の高さと華を見せつけてくれた。
    しかし、宝塚では男役として生きる彼女。芝居の男役の中心を担うにはどうなのか?その疑問をバウ主演の夢千鳥で男役として魅せる力を多くの娘役と絡みながら発揮してくれた。
    彼女の底力は自分だけが輝くのではない。周りを巻き込む力、共演者も輝かせるエナジーを感じる。とは言い過ぎだろうか。
    まあ様がいなければ、今の自分はいない。
    だから後輩にも同じようにやってあげたい。と語っていた。
    感謝と志に人はついてくる。と、私なんかも仕事で教えられたけれど、彼女にそれを感じて引き寄せられる。雪組での活躍を期待せずにいられない。

  9. ねこまさ より:

    海11は転機でしたねぇ。

    オーシャンズ11とベネディクト7 だけでも男役路線別格新公期待枠含めて16人も必要なのに、直前で愛月ひかるを専科に出した。

    この作品は男役祭り状態だが、ダニー、ラスティー、ベネディクト、ライナスの4人が中心で、ライナスは役者を選ぶ。

    若手でヒヨコ感が必要。

    愛月がいたら、
    愛月ベネディクトはハマリ役だが、桜木みなとはライナス役者としては出来すぎ。

    専科に出たので、
    桜木は新境地、和希そらはライナス役者でピッタリ。
    しかも瑠風ひかると役替わりもせず。

    1部リーグ昇格と2部リーグにステイぐらいの大差で、瑠風は2年以上たってようやく2部リーグ突破が見えてきた。

    そんな感じで見てました

  10. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、興味深く拝見しております。
    3年間での大躍進なんて、凄いですね。実力をもとに勢いで路を切り開く…、立派だと思います。
    皆さん、努力している中でも、勝負どころとか、あるんですかね…。
    雪組での活躍も楽しみですね。あさそらコンビ!みたい。98期の瑠風さんのこれからも、楽しみですね。

    98期繋がりだと、未だに思いが残るのは(いつも間にかファンになってたようです)、彩風さん主演全ツ・「ル・プァゾン」で、長髪の遊吟詩人・綾さんがみたかった~、さぞ美しかったでしょうね(もちろん、諏訪さんの安定した歌も、立ち居姿も素敵だったので、適材適所で大成功でしたね)。

    でもでも、雪組は雪生粋のトップさんのもと、他組カラーでさらに彩りを増すのでしょう。なんといっても、雪原にファイアーでフィーバーですもん(笑)

  11. 90年代ヅカファン より:

    私も「アニータがターニングポイントに一票(第一次ターニングポイント?)」ではありますが、与えられた全てのチャンス(BWミュージカル女役の大役,ショーのバウ主演、一本物の出世役、お芝居のバウ主演…)を確実にモノにしてきた結果が、今なのかなと思います。若手路線がフィナーレで3人並んで銀橋で歌い継いでも全員上手いって、奇跡みたいなもんですよね笑。あの頃から組替えは必然だと思ってましたが、雪組でも愛されて欲しいです。

    • イチファン より:

      私もアニータに1票!?
      鳥肌立ちました。
      けど、チケットゲットが大変な公演でしたので。
      蒼太さん、そら君の雪くみでの活躍 ブログたのしみにしてます。

  12. kobara より:

    宝塚はルックス重視キラキラがなければというファンは多いですが、それとは逆に実力重視の層もかなりいますよね。望海さんが人気だったのはそれをよく表していると思います。今は礼さんだと思いますが、礼さん退団後の実力重視層の受け皿としては和希さんはうってつけだと思います。
    あと、2024年にベルばら50周年なので和希さんだったらオスカル編の思い出再演ができるな、なんて思ったりもして。(オスカルが似合っているかはちょっと置いておいて…)
    最近の宝塚において実力でのしあがって行くのはあまりないパターンなので和希さんを見ているとワクワクします。
    ここからどこまで行くのか楽しみですね。

    • ぴき より:

      約20年ぶりの宝塚観劇「アクアヴィーテ」で、魅力的で印象に残った男役が和希そらさんでした。長身自慢?の組に小柄だけど輝いてる。
      気になって調べると、新人公演主役は1回のみ。新公卒業後も本公演では群衆芝居。一期上の桜木さんとはずいぶん違う。「歌劇」のポートもない。
      路線街道の桜木さんと瑠風さんに挟まれながら、真摯に職人のように舞台に取り組んできた結果が今の立場なのかと思います。ターニングポイントは伝説のアニータや「ハッスルメイト」でしょうか。変な抜擢を受けたら叩かれたかもしれないし、本人の努力がチャンスを引き寄せたのでしょう。
      組替えで活躍の場が増えるのを楽しみにしてます。あの歌声で銀橋をゆっくり渡ってほしい。