龍真咲主演の月組公演『舞音』を久しぶりに見ました。
この作品、個人的に超ツボでしてね。
全っっっく宝塚らしくはないんですけど、
改めて面白い作品だなぁと感激しました。
そして今見返してみると、
出演者が超豪華なんですよね。
トップの龍をはじめ、一つ前の作品で専科へ異動になった星条に、
凪七(研13)、美弥(研13)、珠城(研8)、宇月(研12)の路線組や
若手も朝美(研7)、輝月(研7)、夢奈(研6)、蓮(研5)、暁(研4)と
スターもたくさん在籍していました。
今振り返ると、
この頃の月組は充実期だったのかもしれません。
個人的に思う、ありし日の月組の魅力
月組の魅力は何か。
よく言われるのは「芝居の月組」ですが
「芝居」って見る人の好みに非常にされ易いため、
それを売りするのはなかなかに難しいですよね。
私が個人的に当時の月組の魅力を評するならば
個性豊かなスターが各々輝きまくる中で、
芝居という一つのファクターでまとまる、という集団芸であると思っています。
一見同じタイプに、柚希政権時代の星組も挙げられますが
柚希の場合、彼女の圧倒的オーラ・指導力のもとに組子が団結し、
その中でいかに自分が輝くかを体育会系のように競いあうイメージで
龍の場合は「私も好き勝手やるから、みんなもどうぞ」みたいな
組子たちをある程度好きに泳がせて(各自芸事を極めて)おいて
その成果をパズルのように芝居を通して嵌めていく、という感じでしょうか。
各々が輝きながら、芝居という集団芸を成立させるという
非常にタカラヅカ的な舞台を私達に見せてくれていたのが、
当時の月組なんじゃないかなーと個人的に思います。
月組は何を売りにするのだろう?
そんな『舞音』から4年、今の月組はというと…?
2019年4月以降の月組の体制を学年で考えてみましょう。
まずはトップは珠城(研12)。
路線組としては美弥(退団発表済)、月城(研11)、暁(研8)、風間(研6)。
脇路線として輝月(研11)、夢奈(研10)、蓮(研9)。
そしてここに鳳月(研14)が入ってくるわけですが…。
うーん、やっぱり当時に比べれば人手不足感が否めない気がします。
そもそも、劇団的には
これからの月組をどうプロデュースしていこうと思っているんでしょうかね。
超個人的なことを申し上げると、
一番思い入れのある組は、最初に自分のお金で見た星組であり
一番好きな組は、初演エリザから応援している雪組なんですけど
一番観劇数が多いのって、実は月組なんです。
なんだったら、珠城政権後の月組公演は
関東開催の別箱含め、ほぼ全て見ているんですよ。
現在の月組は、トップの珠城をはじめ
組子みんなが素晴らしいスターであることはもちろん
全員で努力し、極上の舞台を作ろうとしている気概を非常に感じます。
でもね、いやだからこそ
舞台を通して、劇団側(いるとすれば月組責任者)が
月組をどのように発展させるのかという、目指している方向性、
完成スタイルというものが、あんまり見えてこないんですよね。
特に今は、花雪星宙とそれぞれ分かりやすくカラーが振られていて
各組全体の目指すべき方向性(売り)が非常に明確であり
「こういう舞台が好きな人はこの組へどうぞ」と
分かりやすく示されているだけに
なんだか月の迷走っぷりが気になります。
でも実は、そもそも月の迷走って
今に始まったことではないんですよね。
『舞音』のときだって、結局は番手ぼかしが故に
あれだけ妙齢の路線スターが一か所に集まっていただけだし、
ある程度の経験を踏まえたスターがたくさんいたからこそ
スターたち一人ひとりの個性が光る芸を見せてくれていた、とも言えるわけで。
さらに、この公演中に龍が退団発表したことを踏まえれば、
『舞音』って奇跡のバランスで成立した作品だったんだなぁ…
と、一人勝手に納得していました。笑
蛇足。
現トップ・珠城りょうは『舞音』でファン・チ・クオンという
どうしようもない悪役を演じているわけですけど、
これがめちゃめちゃカッコ良いんだな。
前も別の記事で書きましたけど
個人的に彼女は、ホセやバッディといった堕ちきれてない悪役を演じることで、
翻ってそこに彼女の人の好さが見え隠れする、
というのが最大の魅力だと思うわけですよ。
このファンという役も、自分の出生を吐露する場面以降から
「本当は良い人かも?」「時代の犠牲者」感が出るのは彼女のスター性が故だし
それが強過ぎてお涙頂戴キャラにならないギリの存在でいられるのは、
ひとえに彼女の絶妙な演技力が故なわけで。
なので、せっかく今は彼女がトップなのですから
こういう面を押し出して、2000年代前半?あたりに流行ったような、
人間の業を描く、みたいな重厚な作品をやってみても面白いのでは?
と思うんですけどね。
少なくとも海外ミュージカルばっかやらせて客足を手っ取り早く伸ばすのが
長期的に見て良い方法ではないと思いますし、
「とりあえずイイ人」みたいな役ばっか振るのも、どうかと思うのですが…。
といっても、こういう役は2番手格だからこそできるわけですから
主演として立つとなるとなかなか難しいのかもしれません。
つくづくスター制度って大変だなぁ。
いやはや、これから月組はどうなっていくのでしょう。
とりあえず次の大作?とやらに期待したいのですが、果たして?
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コメント
コメント失礼いたします。
「マノン」、自分的には言いたかないけど「あの頃は良かった」。そう思うようになってはおしまい、だとは思いますが(笑)
人事的に迷走してようが、確かにあの頃の月組は充実していたのだと思います。私が真咲ヲタ、美弥・かちゃに同情、という個人的感情もあるのですが。
なのに、タイトルロールのはずの舞音と、2番手役のはずのレスコー(すいません。どうしても劇中名が覚えられません) が私の中で全く存在感がないんです。無論、抜擢前のさくら嬢が記憶にあるはずもなく。
それが今(と、少し前)の月組の中心なのだから、愛着など沸く訳がないんです。
確かに方向性など何もない。
月組は「芝居の」という以上に「妖精の」だと思っていたので、その真逆と化した月組の色は何なのか。
海外ミュージカルばかりやっても、「バカにするな!」としか。
せっかく歌ウマトップを頂く組があるのに、どうしてそっちに回さない、と(怒)
「アンナ・カレーニナ」LVを観て、こっちこそが月組の正統だと確信したのに、残念の極みです。
個人的怨みコメントで申し訳ありませんでしたm(__)m
コメントありがとうございます。
あぁ、確かに「妖精の月組」ってピッタリな表現ですね。
涼風さんに龍さんに明日海さん、逆ベクトルですが天海さん、真琴さん、紫吹さんも、まぁ宝塚の妖精ですしね。笑
そういう芸風とは現在は真逆な訳ですが、得てして宝塚って結局はトップによってカラーが変わるわけで
その変化がかけ離れすぎると従来のファン的には難しいのかもしれませんね…雪組の早霧→望海しかりですが。
それを思うと早霧と望海を(咲妃も含めて)トリデンテ売りした雪は上手くやりましたね。カラーが真逆でもついていけるファンも残りますから。
月組は根底から相容れないカラーに変わった上、従来のファンに反感だけを残すやり方…月Pなる人がいるとしたら、どんだけ無能なのかとw
(反感を買おうが組自体が崩壊しようが、それより大事なものがあるんでしょうか)
マノン、私は龍さんの相手役は愛希じゃなく美弥さんだと思いましたね。恋愛に溺れ破滅していく話、というより、とことん自分自身と向き合い、全てを失った末自分自身を取り戻す物語と解釈しました。
雪に関しては、さらにその次が望海(ビジュ難だが抜群の歌唱力)から彩風(舞台技術は低めだが高身長&ダンサー)という橋渡しもきっちりしてますし、
あと3作くらいで上手にファンの移行もできそうな気がします。雪Pなる人がいるとすれば、本当に上手ですよねー。
スポンサーを含め、いろんな人たちのいろんな政治によって事業の方向性やスターの進路も変わっていきますから…
もちろん予定調和に進む事業なんて宝塚含めて極めて少数ですから仕方ないにしても、自ずからぶっ壊すようなことは愚策だと思うのですが…
逆に歴史ある企業に限ってそういう風潮が見られたりすつものですから、仕方ないのかもしれませんね。笑
私も舞音大好きです!シンプルだけど感動する作品でした。
特に龍さんのシャルルの言動の芝居と、美弥さんのシャルルの心情を表した演技のコラボレーションがとても好きです。
なおかつ、そのあとのGJとの組み合わせも。
コメントありがとうございます‼
あの表現方法、最後の最後に台詞1つだけの美弥るりかとかも含め、だいぶ前衛的でしたよね。
そのあたりも踏まえとても見ごたえのある作品でした。レビューも面白い作品でしたよね。