テーマはずばり「変化球」・星組『JAGUAR BEAT』感想

 

前回に引き続き、星組『JAGUAR BEAT』の感想を書いていきます。

 

【星組『ディミトリ』の感想はコチラ】

 

※現在、舞台感想の書き方を模索中のため、いつもと違う雰囲気で書いています。

 

テーマはずばり「変化球」

 

舞台を観劇するにあたり、私は初日映像をざっと眺めるだけで挑んだのですが、観劇後の第一感想としては「『BLUE・MOON・BLUE』みたいな雰囲気だな」ということ。観劇の後に公演プログラムを読んだら、齋藤先生がまさしく『BLUE・MOON・BLUE』に言及していて、なるほどやはり、と思った次第です。

たぶん、宝塚レビューの王道から外れた、亜流のような本作ですが、ネットに転がる感想を読んだところ、まさしく賛否両論といった印象。けどそれも、劇団的にも齋藤先生的にも計算通りなのかなと思われます。

礼真琴はトップ就任後、次期トップオブトップ候補生として実に手堅く歩んできました。レビュー公演だけ挙げていくと、お披露目公演は中村B先生らしいハードロック調でアゲアゲな『Ray-星の光線-』、続く『モアー・ダンディズム!』は岡田先生らしいロマンチックな世界観に酔いしれ、そして『Gran Cantante!!』はアツいアツいスパニッシュ藤井ショー。そう、実に王道ばかりなレビュー公演が続いているわけで、長期トップを狙うにあたりここらで一発変化球を投げておこう、というのが劇団の目論見だと思うのです。

その意味で言えば、最初から王道を目指していないから賛否両論でオッケー。ハイエナジーでガチャガチャした世界観をどうぞ召し上がれ、と勢いで貫いた一作と評価出来るのかもしれません。

 

賛否両論分かれた『JAGUAR BEAT』

 

じゃあ、私が見て面白かったかと言われたら…うーん、個人的にはNOだったかなぁ、ごめん。あ、一緒に観劇した管理人は大好物だったようで(さすが星ファン!!)、主題歌を今もずっと歌ってます。笑

総評としては、全体を通して場面にメリハリがなく、55分で一幕みたいなテンションだったのが非常に見づらかったです。星組らしいパッショネイトは確かに感じたのですが、静があるから動があるわけで、緩急無しだとただ目がチカチカするだけだったなぁという感じ。

あと、公演プログラムを読んで愕然としたのですが、「宇宙空間に浮かぶ名もなき星の荒廃した砂漠ーー。かつて花が咲き、生き物が歌う桃源郷であったその場所は、ブラックパピヨンの首領・マーリンたちにより侵され、今は生気をなくし、荒れ果てた姿となっていた。」だの「JAGUARは敵国に住む愛しのクリスタのもとへクリスマスの約束を果たすため、掟を破り営舎を脱走する。」だの、何の話???って感じですよね。凄い、プログラムを読んでより意味不明なるなんて思わなかった。笑

唯一「おぉ!!」と思ったのは、6th FANTASY「NARKISSOS」の場面。つまり暁千星と極美慎によるめくるめく爽やかBLの世界かな。あえて2人のビジュアルを寄せて来ているのか、観ていて一発で「ナルシスがテーマかな?」と分かりましたし、暁千星を惑わすような極美慎の大人な表情に、スターとしての大いなる成長を感じましたね。そしてそれを邪魔する有沙瞳の悪顔もツボ。笑。とにかく今までの星組では無かった方向性で、実に興味深く拝見しました。

 

次期2番手か、組替えご祝儀か。

 

そして正直一番印象に残ったのは、全編通して(『ディミトリ』も含め)暁千星が大活躍だった点でしょうか。『ディミトリ』アヴァクは主人公とヒロインを惑わす敵役…とは微妙に違う、自身も信念を貫きながらも最終的には主人公たちを認めるような役柄で、出番も多く、衣装がその他大勢と同じだった以外は超美味しい役どころだったと思います。そして『JAGUAR BEAT』もとにかく出ずっぱりで、ソロで芯を取ったかと思ったら舞空瞳と組んだ場面もあるなど、破格の扱いでした。

ざっと見た印象では、他の3番手ポジに居るスター、つまり永久輝せあや和希そら、もしかしたら桜木みなとよりも扱いが良くて、このまま『1789』で瀬央ゆりあと並んだ後にそのまま抜かしちゃうんじゃないか?と思った程なんですけど、けど瀬央ゆりあは歌劇の表紙を取ってますもんねー。なのでただの「組替えご祝儀」の可能性もあります。けど、とにかく歌わせ、クルクル回る以外のダンスもバリバリ踊らせ、出番を増やして顔を売るという、星組の本気育成モード感をヒシヒシと感じた公演でした。

そんなわけで本作は、次の外箱公演を含めた「礼真琴&舞空瞳の味変タイム」といった感じ。『ディミトリ』が王道な作品だからこそ出来た、まさしく珍味な作品なので、2度見たら面白く感じる可能性も有るのかも?ってことで残り数回観劇する予定なので、楽しみに待ちたいと思います。

 

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コメント

  1. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    プログラムの作品紹介引用をありがとうございます。まあ・・・中学2年生の妄想が炸裂したような世界観を、もうベテランの域に足をツッコミながらも演出できるサイトー先生の感性の若さはすごいと思います。

    私は、宝塚大劇場でのライビュに、職場を午後休を取って、ろくにお昼ご飯も食べずに駆け込んだのですが、

    ジャガビーのあまりの高カロリー輸液っぷりに、おなかいっぱいになって晩御飯を食べずに寝たのを覚えています。

    masa様、元来胃が丈夫な方でしょう(笑))

  2. はは より:

    ギンギラで
    ガッチャガチャで
    混沌で
    素っ頓狂で

    これ、「特殊な訓練を積んだ方」が観るショーで、宝塚初心者にはおすすめできませんね(笑)。

    が。
    このカオスがきちんと成り立つのが、今の星組の実力なのだろうなあと感じさせられました。
    真ん中の高偏差値は言わずもがな、適材適所に歌える人・踊れる人・キラキラの粉を振りまく人…。

    サイトー、天晴!笑笑

    個人的には、天華さんがなかなか上手かったと思います。美味しいところでしっかり目立たせてもらっていて、そこに本人もちゃんと答えているなと。
    バウも控えてはいますが、ここで人気が出ると逆にまた、人事がややこしくなるかもしれませんね。
    あと、極美さん…うーん…今の星組の主要面子を考えると…足りない部分が目立ってしまってもったいないなと…早めの組替えで、どこかもっと落ち着けるところに行かせてあげたい気がしました。

  3. 夜空の星たち。 より:

    大劇場で初観劇した時は、もう最初から音がうるさくて。(笑)
    どこかのブログで、具合悪くなるのでは??と書いてあったのを読んで
    年寄りには危険なのかも・・とか警戒心持って見ましたよ・・。(笑)
    ま、なんとか大丈夫でしたが、色もライトも音もガチャガチャで、
    うっとりするとか、気持ち上がるとかではなく、終わったーと、見終えた感じでした。
    ところが、お正月BS放送では、音がTVなのでそのあたりが調整されていて
    気楽に何も考えず、ストーリー仕立ても考えず楽しく見れました。
    東京ではチケットが流れたりして、あと1回しか見られないのですが、余裕をもって見られそうです。
    アリちゃんは、星で目立ちますね!期待大です。
    (ツアーでのアリちゃんのボニータ・・カッコよかったですもん。)