年末恒例企画ということで、
「輝く?!ルネサンス宝塚大賞2019」と称し、
2019年東京宝塚劇場で公演されたレビュー作品の
全作レビューをまとめていきたいと思います!!
ルールとしましては
・第2位~最下位、からの第1位(ルネサンス宝塚大賞)という順番に発表します。
・順位は私の好みだけではなく、芸術性や大衆性(主観)を加味します。
・あくまで私の独断と偏見によるランキングです。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
それではさっそく発表していきましょう!!
(ランキング形式ですので、そういうのが苦手な方はバックをどうぞ)
2019年レビュー作品全作レビュー
第2位:花組『シャルム!』
花組トップスター・明日海りお退団公演。
テーマはパリの地下都市カタコンベ。
とはぶっちゃけ関係なく、明日海の退団公演として
彼女にさせたい、ありとあらゆる場面を詰め込んだ幕の内式レビュー作品。
軍服、タンゴ、パステル、燕尾など、
彼女の男役としての様々な姿が楽しめるわけですが、
結局一番ハマるのは、冒頭の「孔雀一夜」の場面なのが面白い。
孔雀の羽根を広げ、妖しく観客を誘うその姿は
「可愛らし過ぎる」と言われ続けた彼女が磨き続けた男役像の集大成であり、
まさにトップオブトップの称号に相応しい雄姿。
トップ娘役・華はフルフルちゃんとして邪魔にならないよう配慮され、
次の旦那・柚香とだけイチャつく演出は、
下手に照明が当たるくらいなら私は正解だったと思います。
最後は一人で熱唱し、一人で去っていく明日海の姿を見るにつけ
彼女は最後まで孤独なスターだったんだなと思うと同時に
それが背負った宿命なんだなと納得も出来る、不思議な作品。
第3位:月組『クルンテープ 天使の都』
月組トップ娘役・美園さくらお披露目公演にして
89期・美弥るりか退団公演。
まず最初に断っておくと、
ここから3作品はほぼどんぐりの背比べ。
では何が違うかと言うと、演出側のその姿勢。
今作はテーマが「タイ」ということで
金ぴかで頭が重そうなゴージャスな衣装だったり
演出が全体的にアジアンテイスト全開なわけだけれど、
内容だけ見れば、実は王道な宝塚レビュー。
なんだけれど、曲でEDMを使ってみたり、
LGBT的なネタをブッ込んでみたりと、
新たな文化・ブームを取り入れようという気概を、強く感じた作品なんですよね。
エンタメ事業の最大の敵は、ずばりマンネリ。
宝塚が105年続いたその理由は、古き良きを大切にしながらも、
新しいことに挑戦し続けてきたからなわけで。
このタイショーが成功か失敗かは置いておいたとしても
その挑戦心は素晴らしいな、というのが評価の理由です。
とはいえ、なんだかんだメインテーマは頭に残るし
嫁入り、ムエタイ、一蓮托生、アジアンクラブナイト、女装祭りと
タイ感で統一されながら緩急ある作風は、さすがと言ったところでしょう。
風間の抜擢、美弥への餞別、暁・月城・輝月の活躍など、
見ていて楽しい、バランスの良い作品だったと思います。
第4位:星組『ESTRELLAS ~星たち~ 』
89期・七海ひろきの退団公演。
紅ゆずるの任期が5作と決まっていたとして、
お披露目はスカピンだから一本物、
2作目『Bouquet de TAKARAZUKA』はクラシカルな魅力でパステル、
3作目『Killer Rouge』は台湾に持っていくキラーチューンで紅色、
退団公演『Eclair Brillant』は退団公演だから集大成。
4作目はそれらに被らないよう考慮して作らねばならない結果、
青で、夜空の星で、スパニッシュで、ムーディーな感じ。
…という演出家側の苦悩をまざまざと感じた作品かな。
他のレビュー作品3つに比べると、
ハッキリ言って特徴が薄く、どうにも中途半端。
とはいえ、礼真琴率いる『Back!』の場面は
まさに宝塚の枠を越えた歌唱ショーとして見ごたえがありましたし、
『星メドレー』での七海ひろきの餞別場面は
彼女らしく爽やかで非常に良かったと思います。
だがしかし、メインテーマが紅の声域ギリギリを攻めていて
結果、千秋楽で喉を潰してしまったわけですから、これは大減点でしょう。
歌の苦手なトップには、
せめてそれに合うメロを作ってあげて欲しいです。
第5位:雪組『Music Revolution!』
一番回数を見た公演なのに…。笑
中村一徳氏の、そして宝塚の、マンネリの集大成という感じ。
冒頭、キンキラバックに黒い衣装でトップが仁王立ちって
まんま『Dramatic “S”!』だし、
どこかで見たスパニッシュ、どこかで見たダンサー特化シーン、
ダサイ衣装ですらどこかで見たことがある中詰め。
もうね、新しいことへ挑戦する気持ち無いんか?と問いたい。
そもそも望海&真彩のショー作品だから
「歌」で「Music」でその「起源」がテーマって、安直過ぎるでしょ。
説教臭い「Music is My Life」は
サヨナラショーで使う気満々感があざといし、
銀橋での早口クラシックメドレーは
滑舌危ないスターは何言ってるか聞き取れないという。
それでも何とか見られたのは、
ショーに強い今の雪組だったからこそであり、
歌で、ダンスで、顔面で、なんとか場を埋めてい印象。
ようは公演内容ではなく、スターを楽しむという
宝塚の原点に立ち返った作品と思えば良いのかもしれません。
しかしこれが既に再演2回目が決定というのが恐ろしい。
もちろん最初からその予定だったんでしょうけど、
ならばもう少し作り込んで欲しかったなぁ。
…いや、最初からその予定だったからこそ
使いまわしがしやすいような作品にしたのかもしれませんけどね。
と、ここまで2019年上演作品をまとめてきました。
皆さんいかがだったでしょうか?
それではお待ちかね、
ルネサンス宝塚大賞の発表です!!
ルネサンス宝塚大賞・レビュー部門 発表!!
ルネサンス宝塚大賞:星組『Eclair Brillant』
星組トップコンビ・紅ゆずる&綺咲愛里の退団公演にして
彼女たちの最高傑作でしょう。
紅ゆずると彼女率いる星組の「個性」と
宝塚らしい「クラシカル」が上手に調和した名作。
よく分からないスペーシーな衣装に身を包み
「Je t’aime」という一言で始まる幕開きから、
返す刀で宝塚の王道・ラテンのシーンやコンテンポラリー的『ボレロ』。
礼&舞空の華々しい未来を予感させる風のシーンや、
華形&退団者コンビ(如月&麻央)による華やかなニューヨークなど、
一つのレビュー作品としてまさに完璧、隙が無し!!
演出や展開は非常に古典的でありきたりながらも
スターたちの個性がその枠の中でさりげなく光っていて、
管理人曰く「メリーゴーランドみたい」な
華やかさと気品が見事に調和した作品だと思います。
これが個性の塊である紅ゆずるが
トップとして行った公演であるというのがまた面白いですよね。
「紅ゆずるを素晴らしい作品で送り出そう!!」という
劇団側の熱い気概を感じるとともに、
この作品を見るにつけ「色々あったけど良かったね」と言いたくなるような
そんなサヨナラに相応しい作品でした。
そんなわけで、今年の大賞は
星組『Eclair Brillant』に送りたいと思います。
2019年大劇場レビュー作品・総括
ハッキリ言ってしまいますが、
今年はレビュー公演不作の年だったと思います。
だって去年はウエクミの意欲作『BADDY』にはじまり、
ライバル野口氏ど真ん中の『SUPER VOYAGER!』『BEAUTIFUL GARDEN』に
宙組初の和レビュー『白鷺の城』に20年越しの『シトラスの風-Sunrise-』、
黒塗りの『Gato Bonito!!』、星組全開の『Killer Rouge』ですよ?
一本物増加に伴い、ただでさえレビュー作品が減っているのに
この落差はちょっとよろしくない気が…。
確か「宝塚と言えばレビュー」なんですよね?
その根本を胸に、来年はぜひ色々と挑戦して欲しいなと一ファンとして思います。
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コメント
蒼汰さん仰る通り、『レビュー不作年』と感じました。
その中でも『シャルム』が私の中ではNo.1です。
以前の記事でコメントしてくださったように、明日海りおは一人でも輝けるトップスターというのを体現していたショーだなと。
退団公演なので、いつもより想いが強くなるのですが。笑
彼女のようなタカラジェンヌもう現れないだろうと、時間が経ちさらにロスが続いております。
コメントありがとうございます‼
私も彼女の過去作品を見ながら、やっぱり偉大なスターだったなぁとしみじみ実感しています。
早くシャルムの音源が欲しいのですが、まだitunesにないので待機中です。笑
公約実現ありがとうございます!楽しみにしておりました。
Éclair Brillantへのコメントに同意です。パッサァの最後を飾るというコンセプトの筋が通っていて、「宝塚って総合芸術だなぁ」と改めて感じたレビューでした。いつか再演してほしいです。
大劇場のアクアヴィーテもなかなか楽しくて、まさに体感5秒でした。このランキングに載れないのが残念ですが…もし東京で観劇されるなら、ぜひ感想を聞いてみたいです!
コメントありがとうございます‼無事実現できて本当に良かったです。
総合芸術、まさにそうでしたよね。宝塚の様々な価値観を内包しながら、でも星組の個性が輝く素敵な作品でした。
いやー楽しみなんですよアクアヴィーテ!!藤井氏好きなので今から楽しみで仕方ありません!!来年はショー豊作になるといいですね。
「Eclair Brillant」1位に納得です。構成、演出、組子の総合力と熱意が凄かったです。
2019年は総じて星組は別箱含めて
作品運に恵まれた印象です。
。(運と言っていいのか分かりませんが)
最近は打ち込み系や視覚的にもギラギラしたショーが多く、クラシカルな”ザ”レビューな作品がなくなってきてる中で「Eclair Brillant」は古き良きレビューの世界観で当に温故知新じゃないですか?
是非、劇団はレビューの演出家育成をお願いしたいです。
コメントありがとうございます‼
今年の星組は当たり作品が多く、まさに勝ち逃げ的な印象でした。笑
確かに古き良きレビューってあんな感じなんでしょうねきっと。個人的には田渕大輔氏とかにやらせてみてはどうかと思うんですけどね。いやはや育成は急務でしょうねきっと。
私は全公演観劇できたわけではないのですがEclair Brillant1位納得です。ミュージカルでお笑い全開、ショーでは男役としてのスター性を発揮というバランスも含めて素晴らしい舞台でした。
古き良き~とマンネリって紙一重だと思うんですが、何が境目になるのでしょうね?よかったらご意見聞かせてください。
コメントありがとうございます‼
実はこの記事を書きながら私も考えていたのですが、結局のところ前後の作品とスター性とのバランスなのかなって思いました。
ミューレボに関しては冒頭がドS、彩風のジャズダンスはSVの海の見える街、スパニッシュはSVでもガトボニでもやった定番の型をスペイン兵という設定に変えただけ、
中詰めでの朝美絢の銀橋登場はガトボニの冒頭彩風&豹柄朝美のドッキング版。こんだけ被ればそりゃマンネリ感凄いなって思いました。笑
エクレアは王道でありながら礼&舞空の風ダンスやボレロって、少なくとも紅体制後の星組では目新しかったと思いますし、
そういう挑戦心と緩急が古き良き作風の中にいかに馴染むかが大切なんだと思います。たぶん。
私も一位の『Éclair Brillant』に納得です。
間延びする場面が一切なく、すごく良かった。
二階1列目から観たボレロの群舞の美しかったこと!!
全体的に品がありました。
とにかく、紅さんとあーちゃんの良さをうまく活かした作品でした。
前作の『ESTRELLAS ~星たち~』では礼真琴さんがどの場面でも踊りまくり歌いまくり出ずっぱり、、、で観てる方が礼さんの身体は大丈夫なのか?と心配になるほどの活躍ぶりでしたが、今回のショーは舞空瞳ちゃんが加わっただけで、精神的にも肉体的にも礼さんの負担が軽くなったように見えました。
星組は歌えて踊れる素敵な娘役さんが多いので、これからのショーも見応えがありそうです。
来年は私も1月の宙組が初のショー観劇です。
楽しみですね(^ ^)
コメントありがとうございます‼
トップコンビを素敵に魅せるという意味で、まさに完璧な公演でしたよね。
言われて思い出しましたけど、エストレの礼さんは出ずっぱ過ぎて私も心配になったのでした…そういう意味でも適材適所な公演でした。
宙組は一応3回くらい見に行く予定なので、今から本当に楽しみです!!
確かに、昨年はレビューが豊作でした。
順位つけると確かにそうなると思いますね。
エクレア、本当によかったですよね。ボレロは今年のレビューの中でも最も印象に残った場面でした。
コメントありがとうございます‼
私もボレロが印象に残ってますねー。ああいうマスゲーム的なのって宝塚では結構珍しいような気がするのですが、それを紅率いる星組がやるのがまた面白かったです!!