雪組『ほんものの魔法使』配信感想&Blu-ray発売決定!!

 

朝美絢主演の『ほんものの魔法使』を配信放送で拝見。

神奈川でも見る予定なので、

本日はさっくりと感想をまとめます。

 

脚本・演出の木村信司氏、通称キムシンは、

独特な色使いや演出、ダークな作風から

宝塚の中でも好みが分かれる先生だと思います。

 

また、作品の質も結構まばらかつ極端で、

良いキムシンと残念なキムシンというどちらかしか無い印象。

 

で、『ほんものの魔法使』はと言うと、

第一幕は残念なキムシンで、

第二幕は「良い意味で」残念なキムシンでした。笑

 

『ほんものの魔法使』良かったところ

 

残念なところをあげつらっても切ないので、

良かったところから思い出します。笑

 

まずは衣装がオシャレだったこと。

野々花演じるジェインの衣装はめちゃめちゃ可愛かったですよねー!!

魔術師チームはそれぞれのキャラがよく分かるいで立ちで、

全体的にカラフルだし見ていて楽しかったです。

 

朝美絢は前半のパーカースタイルだけでなく、

中盤の北関東の中学生男子の私服のような恰好も、

最後のキラキラタキシード姿も、全てが カ ッ コ 良 か っ た 。眼福。

 

あとは下級生に至るまで出番が多くて、

演者の楽しい気持ちがこちらまで伝わってきたこと。

 

その中でも、期待の新人・華世京くん。

噂通りの逸材ですね。

芝居だけでなく歌も安定していて驚きました。

 

フィナーレでは縣千とシンメで踊るなど大抜擢。

今後の活躍が期待されます。

 

…良かったところ、以上。笑

 

『ほんものの魔法使』残念なところ

 

続いて残念だったところを書いていきます。

簡単に言ってしまうと、100周年前の残念公演の典型例でしたね。

すなわち①展開が遅い②物語の山場が無い③舞台演出が少なく紙芝居的。

 

まず、全体的にスピード感が無かったですよねぇ。

『龍ノ宮物語』『夢千鳥』と言った、

若手作家の瑞々しい作品と比べると如実です。

 

特に第一幕はずるずると話が進んでいって、

山場が無いまま終わってしまいビックリ。

 

例えば幕開き、街に到着した瞬間をもっと華やかに見せたりだとか、

あるいは卵の魔術の部分をもっとクローズアップして

他の「手品」と「アダムの魔術」の違いを分かりやすく出すとか、

山場を作ろうと思えばいくらでもあったはず。

 

一方で、街の魔術師一人一人をヒロインの口からタラタラ説明させるなんて、

ウエクミだったら絶対にしないだろうな、という時間もあって、

もうちょっと上手に取捨選択出来なかったのかなという感じ。

 

第二幕は、トンチキメーカー・キムシンの実力発揮と言ったところで、

唐突に蜂や牛が踊りだしたり、あるいはアダムが闇を見せたり、

かと思いきや自己啓発セミナーみたいなことを言い始めたりと、

全体的に情緒不安定で面白かったです。(褒めてます)

 

だがしかし、オチ。あれはビックリ。

原作だと爽やかで余韻を感じさせる終わり方だったのに、

あんな闇に刺す一筋の光みたいな改変には驚きました。実にキムシン的です。

 

なんだか全体的に、キムシンの原作への愛が重過ぎて、

焦点がぼやけてるなぁという感じでした。

…生で見たら色々と印象が変わるんでしょうかね?

 

『ほんものの魔法使』円盤発売決定!!

 

この残念な感じ、伝説の問題作『CAPTAIN NEMO』を思い出しましたけど、

(思えばこれも雪組東上作品ですね。)

あれは演出だけでなく内容も衝撃的過ぎるからネタになるのであって、

本作はそこまででも無い中途半端な作品というのが一番痛いところ。

 

そんなわけで、久しぶりの直球一本勝負の凡作だったなぁというのが感想です。

ちなみに、なんでこんなストレートに残念感を出してるかと言いますと

「残念と言ってはいけない感」が漂うのがファンとして一番辛いからです。笑

 

…ま、まぁ凡作を演じ切ってこそスターの証ですからね。

朝美絢も路線の洗礼を受けたということにしておきましょう。

 

と自分を納得させていたところで、

なんと最後に本人の口から

円盤発売決定の報を聞いて全てが吹き飛びました。笑

 

なぜなら東上公演の円盤化は、2番手スターの証のようなものだからです。

例えば月城かなとは『ダル・レークの恋』は円盤化したけれど

『THE LAST PARTY』はされていない、というように。

 

おやおや、雪組新体制に向け一歩コマを進めたぞ?

ということで今後の展開が気になるところ。

 

もちろん、ファンとしてはオリジナル作品を作って貰えたことが本当に嬉しいですし

他の雪組生含めイケメンっぷりを堪能出来たので

生観劇、今から楽しみです!!(手のひらクルー)

 

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コメント

  1. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    まあ、ほぼ同意です(笑)衣装がおしゃれな劇団四季のファミリーミュージカル感。小説版の「不思議なピクニック」のシーンの、レイチェルカーソンの「センス・オブ・ワンダー」を読むような生命のキラキラした神秘への感慨はどこに行った?

    ただ、今回の配信を見ていた時、同じ部屋に息子もいて、後ろでマンガでも読んでいたのですが、普段私が見ている男と女の恋愛話には全く興味を示さない息子が、これは見入っていて「面白かった」と言っていた(笑)大人と子供の理解力や感性は違いますからね。

    この舞台にアクセスできるちびっこはレアでしょう。劇団四季に版権を売って、全国のリアルちびっこに見てもらったほうが生きる舞台作品かもしれませんね。

  2. 12がつ より:

    そんな風に感じる人も、いるんですね。
    この作品は社会的な差別などの問題へのメッセージ性もある、近頃にはめずらしい素敵な作品だったと感じていたので、残念と言うなら蒼汰さんの感想でした。
    まあでもそれは人それぞれ…
    何年経っても、子供の世代にも、繰り返し観て感じ取り、学びたい、お気に入りの作品です。

  3. 優浜 より:

    いつも楽しみに読ませていただいています。ありがとうございます!

    届いたばかりの原作を読み終えられないまま今日を迎えたのですが、登場人物が期待以上に素敵で可愛く面白くて、それぞれのビジュアルも個性的で、気づけばこどもたちと揃って観ていました。
    日曜日の配信でラッキーでした。

    朝美さんの魅力はこどもたちにも届いていました。そして全編通して野々花さんがチャーミングで、お声がとても愛らしく、フィナーレでの表情も心に残りました。
    BD発売のお知らせが嬉しく、朝美さんが2番手になられるのかと、これからの雪組さんがますます楽しみです。
    来月のご感想を改めてお待ちしています!

  4. MS より:

    私もほぼ同意です(笑)
    これは劇場で観たい作品ですね。長く感じた場面も、劇場にいると時間を感じない事が多いですし。独特の世界観のお芝居は、その世界に入っていかないと、現実の世界からでは取り残される事もありますしね。広い劇場に場所を移しての生観劇後の感想も楽しみにしています。
    この作品は、私って雪組の生徒さんって、こんなに知らなかったんだと自分で驚くくらい、お名前を知らない方がセリフを話しておられて、それが新鮮で楽しめました。噂の華世京くんは、末恐ろしいですね。最近新人公演を観ていないので、余計に新人さんに飢えていたのかなと感じました。
    作品の中身云々より、新しい生徒さんのお芝居が楽しかった、といった感じでした。
    あーさは、安定していて本公演が楽しみで、咲ちゃんはなかなかラッキーな人ですね。

    • こころ夫人 より:

      いつも楽しく、興味深く拝見しております。

      うーん、どうなんだろと、何が何と、いうわけでもなく、と感じたのは、以前、宙組バウ公演の、「リッツホテルのような~」、を観劇した時と同じなんです。
      具体的に分析していただいたので、そうゆうことなんだなぁ、と演出というものが、少しは理解できそうです。学ばせていただき、ありがとうございます。

      そして、ただ、やはり、朝美さんは美しかった…。
      祖母、姪は、生観劇でしたが、私は、配信を観て、主演・朝美絢さんの姿に、歓喜しております。私の場合、現実逃避のひとときで、あったかとも思います。
      次回の本公演、さらに楽しみになりました。

  5. めりり より:

    劇場で観たときと配信では印象が変わりました。劇場で観る分にはテンポの悪さはそこまで感じませんでした。舞台の端でずっとモプシーが動いてたりするので退屈することがないのもあるかもしれません。配信だと視点が固定されますからね。

    バウホールだとスケール感がちょうどよく感じたのですが、KAATに行ったとき小さく見えるのではと思いました。木村先生ならそこも考えているとは思いますが。

    たぶん劇場でみると感想が変わると思います。でも、ウエクミ作品や夢千鳥が好きな方には合わないかも…
    KAAT観劇の感想も楽しみにしています。

  6. orange芋 より:

    こんにちは!

    配信も見れず、生舞台も見れずだったので蒼汰さんの感想面白かったです。
    プログラムだけ購入してシーンの役柄など見てたのですが「犬運びマシーン」で一番笑いました。どういう役!?

    なんと!円盤発売ですか!?!?
    雪組、今後も目が離せませんね、色んな意味で。

  7. さくら より:

    今日5月31日は、4年前、朝美様が雪組生になった日です。あれから丸4年、あの時の気持ちを思うと、今、バウの真ん中に立って、東上も決まり、な、なんとBlu-rayまで発売になるとは、言葉にならないほど嬉しいです。

    8月のキャプテンネモ出演まで少し間が空いた時にも、「仕事がしたい」とおっしゃっていて、どれだけ舞台が好きなんだろう、と思っておりました。あれから、色々な方々の刺激を受け、お芝居は勿論のこと、歌、ダンス全てどれ程努力なされたか、と思うと涙が出てきてしまいます。
    作品の出来はどうであれ、あれだけ豊かな表情が観られて本当に幸せでした。

    キャプテンネモも1回目は、はぁ~?、という感じでしたが、何回か観るうちに、マトカの人々を守るために犠牲になる乗組員達の気持ちが美しくて、何回目からは、最初の幕が上がるときから泣けてきたのを思い出しました。

    神奈川で観劇予定ですので、さらに深くこの作品を味わいたいと思います。

    これからも楽しみにしております。

  8. ほり より:

    こんにちは☆
    私はバウでも観劇しての配信視聴でした!
    バウでの初見感想→う~ん、、なんとも盛り上がりが分かりずらい(1幕)、、でした。生の時も感想ほぼ一緒です。笑
    今回の配信で生との最大の違いは、ディズニー感が配信ではあまりなかった。生だとディズニーに来たのか!?と思うくらいファンタジーな世界でした。特に蝶々の場面。

    それでも、観劇重ねると段々と好きなポイントが出てきます。蜂さんの場面、副組長が女王バチで癖になるくらい好きです!
    他の場面もなんかほっこりするくらい組子が可愛い♪

    そして朝美さん。たぶん今回の役、相当難しいと思いました。なんだろう。いつものキラキラを封印して、それでいて主演の輝きを消さないようにする、、、難しい役を最高に仕上げてるなと思いました。黒燕尾の朝美さん、封印を解き放して輝き全開!!!痺れます。

    皆、期待が高まり過ぎてたのが最大の要因かも!笑(ファンタジーで元々盛り上がりが大きい作品ではなかったし。)

    蒼汰さん、好きな世界観じゃなかったようでしたら、より『朝美さん』を集中観劇すると良いかも。私はそうしました~深い役作りでたまらないです。笑

    次は舞音のような大人な物語の朝美さん観たいなぁ~(これ本音)

  9. より:

    蒼汰さんはお口に合わなかったようで残念でしたね。私はそもそも期待値が低かったので、結構楽しめました。
    山場がないということですが、あまりアダムが感情を出す役じゃなかったので、賑やかな演出にしてしまうとちぐはぐになりそうな気もします。街に到着したシーンも、閉鎖的な雰囲気を感じて良かったかな〜と。手品のタネを教えて!と皆が迫ってくるのが不愉快でしたね…。前半で抑えた分、後半の生命讃歌から蝶の魔術はインパクトがありました。
    さすがに卵の魔術は地味でしたけど…。映像なら卵見えるけど、舞台だとどうなのかな?と思いました。
    原作とラストシーンが違うんですね!原作を読んでしまうとイメージが出来上がってしまって嫌なので読まなかったのですが、気になってきました(笑)
    色々な演出家さんがいるので、たまにはのんびりしたストーリーの舞台があってもいいかな。演出・脚本は確かに普通でしたが、出演者全員の演技がとても良かったと思います。退団公演を乗り越え、一回り大きくなった感じがしました。

    しかし、朝美のレジスタンス観たいですねえ…。ゆるめのオールバックで、前髪がぱらっと落ちてくる感じのスタイルで。好きだった女を死なせてしまって、その妹(ヒロイン)が復讐のために近づいてきて…みたいなやつ。朝日が差してくる空の彼方を見つめていただきたいです(笑)