ラッキー娘2論・野々花ひまりの面白い立ち位置

 

娘2ポジションというものは実に流動的であり、男役以上に不安定であるからして、

分かりやすく明示されることは非常に少ない。

 

ですが、大きく分けると2つのパターンがあって、

トップ娘役候補だったのになれなかった人が辿り着いた場合と、

知らない間にそのポジションに立っていた場合があるように思います。

 

後者を私たちはラッキー娘2ポジションと呼んでいて、

最近だと遥羽ららなんかがその位置に居ましたが、

つい最近、そんなラッキー娘2ポジに収まりそうな娘役が現れました。

 

それが、雪組99期生の野々花ひまりです。

 

様変わりした雪組娘役戦線

 

野々花ひまりの話をする前に、

雪組の娘役事情について軽くおさらいしていこうと思います。

 

トップ政権交代時に男役の印象をガラリと変えてくる雪組ですが、

こと娘役に関しては、実は硬直状態が長く続いていたように思います。

 

歌の場面は舞咲りん、ダンスの場面は沙月愛奈が取り、

芝居の重鎮かつ文筆家の早花まこが居て、

さらに早霧政権時には大湖せしる御大まで在籍していた。

 

望海風斗政権になると、ラッキー娘2ポジションとして朝月希和がやってくるし、

久しぶりの大型新人として潤花の育成が始まったことにより、

星南のぞみ、彩みちるの外箱ヒロ経験者組は大きく割りを喰うことになります。

 

そして野々花ひまりなんて、さらにその下の扱い。

一応新公ヒロを2回経験している娘役路線なのにも関わらず、

この時代は全っっっっっっっっく目立つことはありませんでした。

 

ところが、ですよ。

舞咲りん、早花まこ、沙月愛奈と上級生が相次いで退団。

潤花は宙組へお輿入れ、朝月希和が反復横跳びして雪組トップ娘役に就任、

星南のぞみも退団、彩みちるが月組へ組替えと、あれよあれよと情勢が一変。

 

気付けば、野々花ひまりの目の前は視界良好、

突然の娘2ポジション候補生として一気に躍り出ることになります。

 

野々花ひまりの面白い立ち位置

 

そんな野々花ひまりですが、

『CITY HUNTER/Fire Fever!』では彩みちると夢白あやに娘2ポジを譲り、

自身は冬野葉子という飛び道具役で活躍。

 

続く『夢介千両みやげ』も、これまたおぼこいお松役でしたが、

『Sensational!』の扱いを見るに夢白あや(のが若干上ですが)W娘2ポジに至った。

 

そして今回の『ODYSSEY』ですよ。

私が見た前半日程は美穂圭子ポジションに音彩唯が入ったことにより、

彼女がガンガン目立つスーパー抜擢に霞んでいますが、

本来の役どころを見ると、しっかり(外箱)娘2ポジションですよね。

 

スピークイージーの場面でドセンで踊り、

カルメン&赤と黒では耐え忍ぶ娘側の方を表情とダンスで表現、

華世京と歌い、踊り、最後も階段降りメンバーとして縣千と組んだ。

 

つい2年程前、例えばコロナモードの前頃に、

彼女がここまで美味しいポジションに登りつめると、

一体誰が予想していたことでしょう?

 

そして同時に、野々花ひまりの、というよりラッキー娘2ポジションの強みは、

はなからトップ娘役候補生と思われていないこと、です。

 

雪組次期トップ娘役が誰になるかを今回は明言しませんが、

たぶん彼女ではない可能性は非常に高い。

ですが、だからこそ娘役職人として活躍できる場面があるというものです。

 

高い身体能力と、歌や芝居を卒無くこなせる舞台技術は確かで、

やろうと思えば一場面を任せられる程のスキルの持ち主だし、

本人は元スカイナビゲーターズであるからしてトーク力も有り、

ぽっぷあっぷやナウオンを持ち前の明るさで回せてしまう。

 

報われてない…という悲壮感が無い、そんな爽やか&好感度の高さから、

以前コメント欄にて彼女のことを雪組の佐藤栞里と表現された方がいましたが、

まさしく!!と個人的に思っております。笑

 

99期生のダークホースになるのか?

 

ところで。

記事の中の記述の通り、野々花ひまりと全く同じラッキー娘2ポジだったはずの、

朝月希和が現在トップ娘役として活躍していることは、実に興味深いです。

 

いずれ記事にまとめますが、朝月希和の任期3作であったことからして、

やはり彼女の登板はピンチヒッターだったのだと思われます。

 

よって、もしかしたら、何かとんでもない緊急事態が起きた場合、

もしかしたら野々花ひまりもトップ娘役になる機会が巡ってくるのかも…?

 

元々99期生は路線が少ない学年ですし、実は100%ありえないとは言えない、

というのが娘役人事は水物と呼ばれる所以です。

 

ま、そんな天文学的奇跡について今は論じるつもりはありません。笑

(もしかしたら退団してしまうかもしれませんし…。)

彼女のようなポジションが居てこそ、組体制に厚みが出るというもの。

野々花ひまりのこれからのさらなる活躍を期待したいです。

 

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コメント

  1. 五條 より:

    わかります!
    CHでの諏訪とのコンビ芸はお見事でした。宝塚では場面転換等の際、ごく少数の芝居で場を繋ぐシーン(よーく聞くと後ろでゴゴゴゴ…とかセットが動く音がする)がたまーにありますが、完全にこなしてました。客が2人芝居に集中するので、役を処理できず迷いが見えたら即バレて、場が冷めます。熱をキープしたまま数分間繋がなくてはならない。路線の仕事ではないかもしれませんが、下手くそには任せられない重要な役目。正に芸達者。組から信頼されてるんでしょうね。

    同じ役目を花組では飛龍と音に感じていた(ナイワの時とかそんなんだったような)のですが、まさかの退団…。歌に注目されがちですが「路線抜きで、2人芝居だけで数分持たせられる別格枠」が消えるほうが、組にとってはイタイような気がします。歌もダンスもそこそこやれて、芝居もシリアスコメディなんでもござれ。こーゆー便利屋ってそうそういない気がするので。

    路線なのに別格も余裕な花組瀬戸、雪組彩凪とか、客ながらすげー便利な人だなーと見てました。今だと月組鳳月ですかね。瀬央もこっちにいくのでしょうか。

  2. あやこ より:

    えぇ、あえて言わせて頂きますよ、彼女の魅力は『ぶさカワ』(最大の褒め言葉)だと。それでいて、あのプロポーションと、キレのあるダンス、屈託のない笑顔。あぁ、素晴らしい。
    雪組は意図的に「おっちょこちょいうっかり娘2」を育成しているような気もします。こじらせ少年役やトークコーナーで場慣れさせ、こっそりセンター付近へ。後継者の筆頭は、千早真央と大予想!
    薔薇や百合だけが花ではないと思わせてくれる、素敵な娘役さんたちです。

  3. でぶちょ より:

    最近になって大好きな娘役さんなんですよね。
    明るくて可愛いけど、アクは強くない。でも、適度な押し出しはあって、演出家からの信頼も高そう。

    次の雪組娘役トップは、夢白あやはほぼ確定でしょうから仕方ないとはいえ、心中恋の大和路の梅川も、彼女だったらまた面白かっただろうな。夢白あやだと身を落とした遊女にしては気高い?というか、身を落とさなそう(笑)野々花ひまりの方が、情に流されそうなイメージがあってるんです。完全に私見です。