凪七瑠海の羽根、瀬央ゆりあの羽根。

 

今から約半年前、星組の別箱公演が発表された頃、

「トップコンビを離すなんて」「凪七瑠海が今更全ツ主演?」

局所的に阿鼻叫喚が巻き起こりました。

 

しかしながら、蓋を開けてみたら星組は見事に人事をサヴァイブ。

前後含め次期体制に向けた布石を打った1年となりました。

 

今振り返り、改めて『パッション・ダムール・アゲイン!』の意義、

そしてそれぞれの羽根事情について考えていきます。

 

凪七瑠海の羽根事情

 

今更凪七瑠海が全ツ主演をするだなんて、

元サイコパスな月P出身の木場理事長のことだから、

トップ落下傘就任を狙っているなんて違いない!!!!!!!!

 

…なんて素っ頓狂なことを言う人は、

さすがにもう当ブログコメ欄には居ませんでした。笑

 

なぜ、今更凪七瑠海が全ツ主演をしたのか?

それは、水美舞斗と瀬央ゆりあの専科異動が決定した今なら分かります。

そう、この2人より立ち位置を上にしておかねばならなかったからです。

 

瀬央ゆりあは頑なに正2番手扱いされなかったものの、

水美舞斗は2番手羽根を背負い、

本公演ポスターにも載っちゃう正真正銘の正2番手スター。

 

一方、凪七瑠海は実は小羽根(飾り羽根)までしか背負ったことがなく、

このままでは立ち位置が完全に水美舞斗>凪七瑠海になってしまう。

 

そこで全ツ主演を果たし、ついでに大羽根を背負わせることで、

スター専科における年功序列を守らせた、という目論見があるように思います。

 

そして鍵は、あくまで直接的に人事に関係のない別箱事情であること。

これが本公演でキッチリ水美舞斗を抜かさせると色々と面倒なことが起きるため、

あくまで、なんとなーーーーく、凪七瑠海の方が、上?

みたいな空気感が出せればオッケーだった。

 

ですから、例え凪七瑠海は全ツ主演を果たそうとも、

今更トップ戦線に絡んでこないし、

引き続き色んな立ち位置で特出できるジョーカーポジションを死守。

 

劇団的には使い勝手の良い立ち位置に据え置けるし、

本人は久しぶりの主演公演を果たせたしで、まさにwin-winな結果となりました。

 

瀬央ゆりあの羽根事情

 

そして、もう一方の瀬央ゆりあ。

繰り返しになりますが、

星組は彼女を何が何でも正2番手扱いしませんでした。

 

それは次期トップの暁千星の邪魔にならないようにするためですが、

賢い星組は無理やり抜かさせることで、

人事的軋轢が起きるのを避けようと考えます。

 

全ツ版『Gran Cantante!!』は必殺・番手ボカシエト発動、

からの『JAGUAR BEAT』では完全同格のW2番手?3番手?モード。

 

そして今回の全ツ『バレンシアの熱い花』。

ほとんどの人は「まーた番手ボカシ演目かよ」と思ったはずです。

 

しかし、蓋を開けてみたら違いました。

星組は壮絶なチケット難になると分かっていて敢えて、

暁千星を礼真琴チームに入れ、瀬央ゆりあを外箱単独2番手扱いさせます。

 

なぜなら、星組の次の演目は1本物の『1789』。

当然、羽根は無いわけですから、

2番手羽根を背負わせてあげられるとすれば、

この『パッション・ダムール・アゲイン!』しかなかったからです。

 

そして、それを本公演でやって「あげない」あたりが、

人事上手にして公私をきっちり分ける残酷な星組らしさですよね。

 

ま、私は変に期待を持たせないやり方や、

正2番手にならなかったことで専科生として特出しやすい環境を作ったことは、

ある意味で「優しさ」だと思いますし、評価したいなと思います。

 

人事上手な星組の神髄

 

よって、発表当初は非難轟々だった2023年春の星組別箱公演は、

 

・長期確定の礼真琴&舞空瞳における味変タイム

・凪七瑠海に全ツ主演&大羽根を背負わせることでスター専科内のパワーバランス調整

・瀬央ゆりあに2番手羽根をあげて専科に向けた餞別

・暁千星は礼真琴に帯同し帝王学学習

・有沙瞳に破格な全力餞別

・詩ちづるの顔売り

・W2番手役で極美慎アゲモード本格化

・天飛華音アゲモードも開始

・乙華菜乃をお試し抜擢

・天華えまにご褒美バウをあげてガス抜き

・稀惺かずと&大希颯率いる若手陣の地力底上げ

 

を、同時にこなしてしまうというスーパー荒業だったのでした。

…いやほんと、よくこんな技思いつきますよね。(褒めてます)

 

ちなみに、瀬央ゆりあが専科特出することで、

極美慎が(たぶん)3番手に昇格。

 

当然ながら、この道筋が立ったからこそプッシュモードが再開したのだろうし、

聖乃あすか&風間柚乃に続く100期生の人事バランスも調整出来ているあたり、

いやー、面白い。

約1年半前まで愛月ひかるが居た組体制とは思えない変貌ぶりですね。笑

 

暁千星が2番手に昇格したら、礼真琴は最終章に突入モードでしょう。

これからの星組のさらなる飛躍が楽しみです。

 

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コメント

  1. 虹夏 より:

    はー!なるほどー!と記事を読んで思わず声に出しました。笑
    (凪七さんはアパショナード振りの羽根でしたね。あのサイズはいまだに不思議に思ってます。)
    水美さんはディナーショーを終えてからの専科異動に対し、瀬央さんは本公演終わってすぐの異動と言う点も個人的に気になっています。
    専科生として開催する可能性もあるとは思いますが、せっかくなら星組の瀬央チルドレンの皆さんと開催してほしかったです。

    これだけ専科に若手(?)が集まったので久しぶりに専科公演も行ってほしいですね。

    • 虹夏 より:

      思いついたことがあり追記させていただきます。
      もし宜しければ蒼汰様の考えを聞かせていただきたいです。

      多数の専科異動は新しく組を作るためだったりしないでしょうか?
      働き方改革が施行され、一応カンパニーではあるので…まぁ劇団が適応しているのかどうかは不明ですが…
      水美さんは2番手羽根を本公演で背負っている状況なのでトップになれる立ち位置ではあるかと思いました。
      その下に瀬央さんが2番手格に付くかと言われるとうーん?となってしまいますが。。
      組の新設立は実現し難くはないかと思いますが、いかがでしょうか?

      • 蒼汰 蒼汰 より:

        マジレスすると無いと思います。
        …てか6組にしてどうやって公演を回すんですか?一回の公演期間を短くして年10公演にします?あるいは稽古組、西、東、外箱稽古組、外箱、それ以外に丸々お休み組が有るってことですか?それが働き方改革?よく分からんです。せめてもう少し具体的な案を頂けないとコメントのしようがありません…。

        • 虹夏 より:

          “働き方改革”という言葉が違いましたかね…考えが浅く申し訳ございません。

          全くの何もしないおやすみ組を作るのではなく、お稽古が始まる前に少しゆとりを持たせるということはできないでしょうか。
          現状、千秋楽から集合日まで1週間ほどしかなく、そこから1ヶ月で新たな作品を作り上げるの繰り返しで、あまりにもハードすぎるように感じています。
          公演日数は変えずに組を増やすことで千秋楽から集合日までに余裕ができ、身体を整える時間ができ、お稽古時間も長く取ることができるかと思います。
          大劇場公演中は2回公演の日ですと12時間拘束だったりしますので、少しでも調節できる時間があれば怪我の休演などもなくなるのではないでしょうか。

          • 蒼汰 蒼汰 より:

            言わんとしてることは分かるのですが、私にはまぁ綺麗事にしか聞こえないですし、もし6組作るなら専科なんかに行かさず最初から6組化をぶち上げてから全員を異動させるのが筋なんじゃないですかね(宙組の時ってそうじゃありませんでしたっけ?)。
            いずれにせよ今の段階では絵空事過ぎて現実的ではないと思います。

  2. YK より:

    いつも楽しく拝読しております。いつもより更にゴリゴリの考察、面白かったです。
    個人的に専科の北翔さんや凪七さんのようにエトワールから主演まで色んな番手で出れることがスター専科の強みだと思うので、瀬尾さんにも専科として輝いて欲しいです。でもマイティーはどうするんですかね?2番手羽に縛られて身動き取れなくなると可哀想だなと今更ながら思いました。

  3. 三日月 より:

    毎度ながら見事な考察です。
    今考えればフィレンツェに燃えるも演目的にマイティへの餞別だったんでしょうね。この作品は元々組替えの餞別として2番手の順みつきさんへの当て書きだったらしいです。
    フィレンツェ、今回の星組全ツ別箱がマイティ、瀬尾さん、有紗さんへの餞別だったとは、劇団も慈悲深いですね…。
    それにしても今回のブログを読んでよりマイティに2番手羽を背負わせた理由が分からなくなりました。それも巡礼、うたかたの2作品だけ。これで花組に特出することはまず難しくなったと思います。が、まだその頃は専科に行くと決まってなかったとか?
    95期を専科に集めようとしてるのではないかと言われてますが、これからどうなるのか楽しみですね。

  4. コスモスハート より:

    蒼汰様

    まとめていただき、ありがとうございます。
    わかりやすい。
    改めて、本公演だけではできない人事微調整の技、上手いですね。
    本当に、愛月さんが2番手になった頃からすると下級生も大躍進。あの頃、苦戦中?

    ファンの気持ちの行き場を奪わないことも大切ですし、双方上手くおさめる。
    蒼汰さんが人事上手と言われていたけれど、ファン初心者の頃、あまり実感しなかったのですが、今はめちゃくちゃ実感しています。

  5. ゆうまま より:

    こんにちは、いつも楽しく拝読しております。

    昔すずみん今カチャのファンですが、前々からせおっちのポジションが柚希政権後期のすずみんに似てるなと思ってまして、すずみんのようにパッと辞めちゃうのかなと思ってましたが、専科を選択されたのが正直意外でした!益々のご活躍をお祈りするばかりです!

    カチャファンとしては主演の話はまだしも羽根までも95期の調整だったのかと正直複雑です…。カチャは超将来的には越乃リュウさんのようなカッコいい系の組長ポジションが終着点なのかなと思っていたので、羽根を背負ってしまったがために彼女のキャリアプランが振り回されないか若干心配。。。

    ところでマイティについて、最近「月組なら出られる」みたいな投稿が多いですが、あれどうなんでしょう、、、専科ってプロデューサーさんが各組に売り込んでくれるわけじゃないですよね??脚本と組事情ありきというか、専科時代のみっちゃんですら蓋登板が多かった気がするのですが。。。今の月組、ちなつさんはともかくおだちん順当にあがって長期トップやりそうな気がするんですけど、月Pがマイティ使って蓋する必要あるのかなーと。。。

  6. 素麺 より:

    こんにちは、いつも楽しく拝見しております。
    あえて名前を変えて投稿しております、ご容赦ください。

    今話題に上がっている方を贔屓として応援しており、
    今回の発表には本当に驚きました。
    蒼汰さんも仰っていた通り、仮に選択を迫られれば
    専科へ異動するタイプだとは思っていませんでした。

    全ツの振り分けが発表されたときは正直、
    あの理事の下で2度も2番手を張り、
    礼さんのもとで仮にも2番手的活躍をしている彼女が
    今更凪七さんの下につくのかと思いました。
    しかし公演を実際に見てみて、あまりの活躍ぶりに
    むしろこの公演は贔屓のためのものだったのかも、
    巻き込まれたのは凪七さんの方だった?
    もしかしたら次の公演で…と思っていましたが
    蓋を開けてみればまさかの専科異動。
    今回の記事は全て納得でき、
    贔屓組ながらあまりにも人事上手すぎるなと苦笑してしまいました。

    これも蒼汰さんが何度も仰っていましたが簡単に専科に行ってほしいなどと言えるはずもなく
    特別願ってもいませんでした。
    価値観が多様化している中でナンセンスかもしれませんが在団している限りは
    結婚も出産もできず一般的な女性の幸せを得ることはできません。
    水美さんがトップを狙うための長い茨の道を選択したのと同じだとは思えず、
    本当に予想外で今は心の整理もつきません。
    しかし贔屓の大きな決断を心から尊重し、混乱の中ではありますが
    これからも変わらず応援し続けたいと思っています。

    長文駄文失礼いたしました。

  7. 夏みかん より:

    見事な考察、恐れ入りました!
    凪七さんの全ツ主演は、退団が近いのか?くらいしか思いつきませんでした。専科内にも序列、確かにクリアになりましたね。
    そして瀬央さんは羽根を背負って広島へ凱旋し大喝采。故郷に錦を飾った2週間後に専科行き発表とは、優しいのか厳しいのか劇団よ…。
    専科生としての水美さんと瀬央さんの立場は、微妙に違うように思います。これからどんな作品にどんな立場で出るのか、95期祭りはどうなるのか。組子の時と違う新たなワクワクドキドキが始まりそうです。

  8. ずんだもち より:

    星人事のやり方、十分愛があると思います。
    一見厳しいですけど、「Aの道は無い  でもBの見に進むなら協力してあげられる」と劇団の方針をはっきり伝えるのも大事でしょう。
    Bの道の好例がまさに凪七瑠海なのでしょうね。 凪七さんも色々あって後辿り着いた場所かもしれませんが、
    クレオパトラから李鴻章まで、時には別箱主演もやっちゃう。今や自由自在に飛んでいるようにも見えますよ。
    瀬央さんが“瀬央ゆりあにしかできないもの”を見せてくれるといいですね。
    劇団が95期を手放したくないのかどうかは‥どうなのかな

  9. サントン より:

    私にとっては星組の方が人事上手に見えますが、二人の今後を眺めないと何とも言えないところもあるとはいえ、当事者にとって(ファンにとっても)2番手羽根ってどれくらい価値のあるものなんでしょうね。トップになれるかどうかは置いておいて、2番手羽根と特出がしやすいことはどっちが本人たちの望むところなんだろうなあ…。最終的な2番手羽根と専科異動前の2番手でもまた違うでしょうし…。そして、極美さん(多分)3番手おめでとう!

  10. 五條 より:

    ここまで花組と被らせますかねw 2番手羽根の有無はありますが…
    任期の前半は同期萌え。後半は次期トップの育成期間。同期は専科へ。100期が3番手に。偶然?なわきゃない。どこまで狙ったんだかはわかりませんけど。
    そういや娘役2番手の音くりすも退団しましたね(我ながらコジツケくさいw)。

    しかし水美は2番手羽根背負っちゃった影響で、客演しづらくなってますよねえ。他組に出ればどこでも同期萌えが発生しファンが喜ぶでしょうに。正2番手がいる組には出づらいような。扱いとしては、大階段を3番目として降りるんですかね?生粋の花男水美、生粋の星男瀬央。2人とも色々と濃いですし、人気もある。他組と混ざって生じるケミストリーが面白そうなので、ガンガン客演してほしいですね。雪に来ないかな瀬央…

    大阪万博で常駐させる、とかいう予想もありました。専科&各組若手で別箱扱いでやるなら、ちょっと面白そうな気がします。

  11. こころ夫人 より:

    いつも楽しく興味深く、拝見しております。
    素晴らしい考察、本当に勉強になります。
    羽根、階段降りに一喜一憂。いちファンながら、厳しい現実を知らされてしまいます。
    近い過去では、3番手羽根で卒団した星の七海さん、2番手羽根で卒団した花の瀬戸さん。
    その点に渋りがちな雪組で、和希さんや雪娘さんたちを今日からの公演で、劇団の采配(?)、どう見せてくださるのか、新トップコンビお披露目と共に、パレードも楽しみです。
    雪組本公演、待ってましたよー!

  12. せち より:

    凪七さんの全ツ主演に関しては退団か!?って思ったのですが、考えてみれば芸歴20周年を祝う意味だったのか…と思っていたところに、水美と瀬央を専科異動させた時の上下関係を示すため…という蒼汰さんの考察を読んで、大変納得しました。
    プラス星組の人事のうまさを感じましたねー。宙組とか花組とか…もっと上手にやれんのか?と思うこともありますもの。

    蒼汰さんの考察はいつも、なるほど!と納得させてもらえます。

  13. はる より:

    凪七さんの全ツ主演は退団か、、?と思った一人です。
    凪七さんは3番手主演の別箱を支えたり、他にも作品で重要な役をやったり、時には2番手より先に階段降りがあったりしながらも、別箱主演もやれちゃう自由自在な立ち位置になれるスターのイメージに変わりました。
    今までの凪七さんへの労いと新たに専科に行くスターへのプロモーション的な意味もあった今回の全ツ公演だったのかと思いました。
    ご贔屓のファンの方には申し訳ないですが、どこへ行っても95期がスター格にいるのでNOW ONは95期祭りになる事はほぼ間違いなし。
    自在に動かせるスターが増えてやれる作品も増えるのでは?と思ってます。