生きてて良かった・雪組『愛するには短すぎる/ジュエル・ド・パリ!!』感想

 

雪組全国ツアー『愛するには短すぎる/ジュエル・ド・パリ!!』を、

神奈川県民ホールで観て参りました!!

 

 

少し間隔が空いてしまいましたが、

私なりのざっくり感想を書いていきます。

 

『愛するには短すぎる』主役トリオ感想

 

いやー、生きてて良かった。

私はこの作品が本当に大好きで、彩風・朝美・夢白のトリオに絶対に似合うし、ぜひ再演して欲しいなと思っていましたから、その夢が叶い、そして実際に観ることが出来て本当に幸せです。

4日間という限られた時間の中で紡がれる、船上の人々の群像劇。友情、つかの間の恋、壮年から若者までの男女の駆け引き、その隙間を縫う窃盗事件に自殺未遂騒動…。正塚先生らしい宝塚的価値観が有りがらも、粋で小洒落た映画のような雰囲気があり、4度目の再演も納得の完成度を誇る作品です。

主人公は彩風フレッド。見た目は遊び人風(byバーバラ)なのに真面目で朴訥としていて、最後のモラトリアムの狭間で揺れ動く好青年像がとてもリアルで、だけどカッコよくて、本当にハマっていました。『ファントム』キャリエールの頃から思っていましたけど、こういうシュッとした現代服が一番ハマる気がします。たぶん、今までのトップ主演作の中でも一番なのでは?

夢白バーバラは、女優を目指していたダンサーという役がピッタリな美貌と、色々と含みのあるウェットな芝居で、まさに「忘れられない女」そのものでした。これぞ宝塚のトップ娘役と言うに相応しい華で、まさにファムファタル。彼女の持ち味にピッタリだし、彩風咲奈とも実に「絵になる」並びで、眼福でした。朝美アンソニーも、これまた軟派なチャラ男くん、だけど恋には少し真面目?奥手?な感じが、彼女の持ち味にピッタリでしたね。彩風咲奈との掛け合いも抜群で、シティハンの頃から続く安定の「さきあさ芸」も見どころの一つ。実は月組版には研4の時にモブ役で出ていて、そこから約10年、男役としても本当に立派になりました。

この3人は元から湖月(大柄朴訥系)・白羽(正統派ファムファタル)・安蘭(枯れた美少年)の初演トリオに似ていると思いましたけど、生で観るとより笑っちゃうほどピッタリ。だけど雰囲気はやはり令和版にカスタマイズされ、新たな『愛するには短すぎる』として楽しむことが出来ました。

 

『愛するには短すぎる』その他のキャスト感想

 

主演トリオ意外の役についてもざっくり書いていくと、凛城ブランドンは、これまた想像以上にオモシロ執事として舞台を引っ張っていましたね。カミカミなのは芝居なのか素なのか分かりませんが、それすら笑いに引っ張ってしまう実力者。これが雪組への里帰り芝居と考えると、色々と胸アツです。諏訪オコーナーは、正塚先生から「正統派2枚目で」という発注があったからこそのカッコ良さと、だからこそ笑いになる終盤の展開が良かったです。本人もノリノリで演じている様子が、こちらも楽しくさせてくれました。華世フランクは、さすがにまだ演じきれてない部分もあったかなと思いますが(というか初演版の柚希礼音がハマリ役過ぎる)、ここでこういう男役らしい男役を研4で経験することが大事なのでしょう。

あとは華やかで可愛らし過ぎる音彩ドリー、彼女を大事にしてやれよ…と言いたくなるジゴロ風マネージャー紀城デイブの、105期コンビは目を惹きましたね。また、雪組が誇る高身長チーム、一禾あお・壮海はるま・紗蘭令愛・蒼波黎也の船員カルテットがめちゃめちゃカッコ良くて、全ツならではの活躍に雪組ファンとしてはアガりました。そして何より、船長・マーシャル役の叶ゆうりのカッコ良さよ!!!!タッパもあって髭で眼圧も強くて、大男風だからこそコミカルな芝居・歌がより引き立っていました。まさに叶ゆうりだからこそ演じられた雪組全ツ版マーシャルに、大・満・足です。

 

全ツ版『ジュエル・ド・パリ!!』感想

 

続いて『ジュエル・ド・パリ!!』ですが、本公演から変わった点を中心に感想を書いていきます。

まずは冒頭、誕生石になぞらえて歌い継ぐ場面にて、まさかの華世京ソロに度肝を抜きました。あっさり一禾&紀城を抜き去るのね…さすが御曹司様です。最後のフィナーレも外箱一人を果たし、着実にステップアップ中の模様。

朝美絢を中心とした「モンパルナス」の場面。相手役が野々花ひまりから音彩唯に変わりましたけど、カーワーイーイー!!熟達した大人な「元気娘」芸も素敵ですが、華やかフレッシュガールとの組み合わせも、また良きでした。

「コンコルド広場」の場面より、オベリスクはまさかの叶ゆうり!!これがまたピッタリなのよ!!もともと彼女はファラオ顔ですけど、その男役として恵まれた体躯で、まさか肌を出して踊りまくるもんだから、そのギャップというか違和感みたいなものがよりエキゾジックで艶めかしく、素晴らしかったです。この一場面だけでお金を払う価値あり。続く「ルーブル美術館」では沙羅アンナがソロを取ってて、これまた驚きの采配でした。彼女、普通に歌えるんですね…。ってわけでこれまで雪組を陰で支えてきた97期コンビが大活躍なのが印象的でした。

「カルナヴァレ博物館」では、久しぶりに客席降りが復活!!私個人としては『はばたけ黄金の翼よ/Music Revolution!』ぶりかな…?え、4年前???やはりジェンヌ達を間近で見られるのは良いですね…客席が煌めき立ってました。ま、ここの目立つ3番手格を諏訪さきじゃなく、凛城きらにさせるあたりに大人の事情を感じましたが。←

続く『サン・ジェルマン・デ・プレ教会』の場面の冒頭は、美穂さん率いる娘役たちの場面に変更。さすがのディーバ感と、退廃的な空気づくりはお見事!!で、このまま最後まで特に場面の変更は無しですが、エトワールは本公演に続き音彩唯。これが本当に絶品なのよ…!!この一節を聞くだけだけでお金を払う価値あり(2度目)で、また聞けて良かったです。

本公演で観た時は「普通に楽しい」レベルだった本作ですが、なんかこんなに面白い作品だったっけ?ってくらいブラッシュアップされていて良かったです。たぶん、珍しい抜擢がチョイチョイあったからでしょう。雪組ファンとして味変で楽しめました。

 

久しぶりの「全国」ツアーに感動!!

 

以上、雪組全国ツアーの感想編でした。

本当は北海道3日間に行きたかったし、ガチで行くつもりだったのですが、

繁忙期と丸被りだったので断念…。最後まで完走出来ることを祈っております。

 

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コメント

  1. あやこ より:

    わたくし梅芸と、LVで、2度乗船したのですが、りんきら執事の『かしこ、かしきょまりました!』が、同じ噛み方だったのです!はい計算!お見事!
    バーバラの言い回しが「そうなのね」ではなく「そうなんだ」だったりするあたり、夢白さんの自力した人物像と正塚マジックが、スカッとはまっていましたね。全ツルート、そろそろ西日本にも回ってこないかなぁ。。。

  2. 12がつ より:

    蒼汰さま
    梅芸、神奈川と何回か観ることができましたが、ブランドンの噛み芸は毎回全く同じで、脚本ですね。
    素晴らしいなと思いました(笑)
    夢白あやの声がいい、というか、3人ともほんとにハマり役!まるで当て書きでしたが、アンソニーはチャラい遊び人風でありながら、なんとなく育ちの良さが感じられて、初演の時にはあえてフレッドとの身分格差があったようなので、ちょっと新しい解釈だったし、それが朝美絢だから醸し出しているように見えました。
    ショーも本公演から好きでしたが、やっぱりいいですね!
    雪組で繰り返される作品になるといいなと思います。
    神奈川の観劇の時に近くにいた人が、「楽しかった〜!雪組がうらやましいわ〜」と言ってるのを聞いて、なかなか言われない言葉に嬉しくなりました(笑)

  3. おかず より:

    全ツ感想待ってましたー!私も来週観劇してきます。実は初の生観劇なんですよね~。ライビュや配信ではちょこちょこ観ているんですが、今回チケット取れてからは、もう楽しみで楽しみで仕方なくていました。それでこの感想ブログ読んで、なお一層楽しみになってきました!あ~待ち遠しいよ~!

    取り乱して失礼致しました(笑)

  4. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、拝見しております。
    ありがとうございます、嬉しい観劇感想の記事で、また観たい!で、また行きます。
    姪は朝美さん2番手時代の全ツは今回が最後だ、と頑なに主張。
    親を説得して、雪追い北上します。妹(心配する親心)と、私(もろ手をあげ)は、ひたすら付き添いです。

  5. ずんだもち より:

    「愛するには─」初見ですが、観られて良かっです。
    舞台セットが極限までシンプルな分芝居の善し悪しがはっきり出そうですが、主役の二人の心情が丁寧に描かれていますし、フレッドvsアンソニー、フレッドvsブランドンの掛け合いも、コメディ要素もやり過ぎずちょうど良く、大作ではないけれど小気味よい作品と思いました。
    私のツボは船長の叶ゆうり。イケオジなのに登場すると面白くてww
    「ジュエル・ド─」のロケットの場面  
    本公演では全身黄色の衣裳とバックのセットが相まって、どうしても三十三間堂に見えてしかたなかったのですが(スミマセン)、全ツでは人数も少ないしバックも違っていたので大丈夫でした。笑
    ゆうりパトラさまの細マッチョに長~い手脚は彩風に負けてないですね
    音彩ちゃんの素晴らしいエトワールも聴けて、いつものダイスケショーだけど大満足。
    音彩ちゃん、まどかちゃん卒業後でいいので何かの機会にアナスタシアのIn My Dream唄ってくれないかな

  6. keiko より:

    こんばんは。
    蒼汰さんの興奮冷めやらぬ様子が伝わってくる感想、ありがとうございます!
    梅芸と配信で観劇しましたが、宝塚を観た感が凄くて本当に楽しかったです。
    正塚先生の自然派お芝居と咲ちゃんが予想以上に相性が良く、さきあやもさきあさも相性抜群、特にさきあさのコミカルなやり取りが楽しかった〜!

    ショーは大劇場で観劇した時から大好きなのですが、まさに味変も楽しめて大満足。
    さきあやの並びを見るたび、「ほんまにお似合いやわ〜」とつくづく思います。
    元々新トップコンビお披露目作品ゆえ、あさあやの絡みはほぼなかったですが、是非次はショーでの絡みも観たい!
    ベタですが、あやちゃんをさきあさで取り合うみたいなのも観てみたい(→野口先生、ぜひお願いします)

    配信を見てひとつびっくりしたのは、コンコルド広場のりんきらさんソロと、カンカンレディーのあやちゃんのソロ(頭とラスト)が、多分フランス語になってた事!
    梅芸は間違いなく日本語だったので、神奈川からの変更?まさかの配信スペシャル!?
    (蒼汰さん観劇時もそうでしたか??)

    何はともあれ、まるで台風に追いかけられるように北上する全ツチームの安全と、千秋楽まで無事に公演できますことを祈っています。

    • 甘栗プリン より:

      こんにちは!
      フランス語の件、以前咲妃みゆさんがDVD収録の為?その回だけかな、英語で歌った事ありましたよね?

      日本語の歌詞だと楽曲差し替えになるからなのかなと思いました。

      その時はただただ、歌詞が替わっても完璧に歌ってて凄いなーと驚きました!

      記憶違いだったらすみません

      • 蒼汰 蒼汰 より:

        はい、基本的に映像記録するものは差し替え防止のために原曲で歌うイメージです。

        • keiko より:

          甘栗プリンさん、蒼汰さん、教えて頂きありがとうございました!
          なるほど、そういうケースもあるのですね。
          てっきり、文化庁のアートキャラバン絡みかなと思っていました(^_^;)
          歌詞が変わっても、お二人とも素晴らしかったです。

  7. 山形のもも より:

    いつも拝見しています。
    ふと思ったんですが、もしかして有栖さんはお嫌いですか?(笑)いや、別にいいのですが、ちょっと気になりました(笑)

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      普通に好きですよ!ノートルダム大聖堂のソロはさすがの荘厳さでした。