怪物の予感・彩海せら

『ファントム』全作レビューを書くにつけ、

ちょうど放送中だった雪組新公『ファントム』を「ながら見」していたのですが、

個人的に印象的だったのはシャンドン伯爵を演じた彩海せら。

 

以前から『ファントム』新公での活躍の噂は聞いていたものの、

実際見てみるとやはり凄い!!

ということで本日は、そんな期待の新人について書いていきたいと思います。

 

華麗なる若手路線スターの歩み

 

彩海せらは舞空瞳、潤花を擁する102期生。

一番最初にスポットが当たったのは、

たぶん望海風斗お披露目公演『SUPER VOYAGER!』にて

望海の少年時代を演じたことからでしょう。

 

その後は『ファントム』の幼いエリック、

『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』ドミニクなど、

少年専科のような立ち位置に見えますが、

とはいえトップスターの少年期と言えば路線スターの登竜門。

 

エリック少年期は野々すみ花、実咲凛音、

トップ演じる主役の少年期と言えば星風まどかが思い起こされますが、

みんな娘役やんけというツッコミは、まぁ置いといて、笑

逆に言えばトップ娘役の登竜門たる立場を彼女が演じたということは

それほど彼女に期待をかけているということでしょう。

(裏を返せば雪組に本命若手娘役がいなかったとも言えますが。)

 

そんな活躍を足掛かりに『PR×PRince』では永久輝せあ演じる主役の3兄弟の1人、

『壬生義士伝』で新公初主演を務め、

全ツ版『Music Revolution!』では一場面(「サッチャナイッ!!」)有り、

『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』でついに階段降りを果たします。

 

なんとも順調な路線スターとしての歩みですが、

舞台での彼女を見るにつけ、その抜擢は納得と言うものです。

だって彼女、なんでも出来てしまうんだもの。

 

彩海せらに見える「大物の影」

 

彼女の武器は、まず甘めなマスクであること。

そして歌唱力が高水準であること。

そしてそれ以上に芝居心があることだと思います。

 

例えば『ファントム』新公のフィリップ伯爵。

登場時のチャラい小金持ちの王子様的役柄よりも

クリスティーヌが攫われた後の奪還の決意を込めたシーンの方が

より感情がノッてるように見えました。

 

そして『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』新公のジミー。

残念ながらスカステでの映像をチラっと見ただけなのですが

意外や意外、とてつもなく骨太な芝居を見せてくれていた印象。

 

思うに、彼女は数少ない憑依型(対義語:音感型)の芝居の人であり、

それであの歌唱力、ビジュアルを有するのだから

そりゃ推されますわなと言わざるを得ない実力者だと思うのです。

 

ちなみに、似たような立場だと月組100期生の風間柚乃がいますが、

彼女はいぶし銀的魅力が強みであるのに比べ、

彩海はどこまでもキラキラ感が突き抜けている印象。

 

そしてなんとなくですけど、

彼女を見ていると明日海りおの若手時代ってこんな感じなのかなぁと思います。

 

同組には先に劇団が推すと決めた上級生(龍真咲・縣千)がいるのだけれど、

得も言われぬ少年的魅力と舞台実力があるがゆえに

劇団側も見逃せず、どちらも同時に推すことになった感じも似てる…のかな?

(当時を知らないライトファンの戯言と思ってください。)

 

明日海と彩海の現時点での違いで言えば、

明日海は若手時代から「少年らしさ」を嫌ったがゆえに男役芸に邁進し、

その歪みが「陰」となって、よりスターの魅力に繋がったのに対し、

彩海はその「少年らしさ」を

積極的に武器として使っている印象があることでしょうか。

 

特にスカステ等の番組を見るにつけ、

「現時点では」そんな少年らしさを誇張した言動が多いイメージでして、

個人的には時々グルメレポする地方局の女子アナみたいに見える時があるのですが、笑

 

とはいえ1期上のライバル・縣千が典型的な骨太男役ですから、

現段階でそっちの方向性に走るのは正解だと思うわけです。

雪組本での二人の並びはまさに「ライバル」、対照的で良かったですし、ね。

 

いやー、この2人を見るに雪組の未来は明るいなぁと

一ファンとしてつくづく思います。

 

大器の予感・彩海せら

 

と、ここまで書いて「1期差同士でお互い切磋琢磨させながら上げていく」って

まんま彩凪翔&彩風咲奈と同じだなと今更気付きました。笑

 

この2人の場合は結局のところ彩風が本命だったわけですけど、

とはいえ縣はアンバサダーメンバーに大抜擢、

だけど実は新公主演は理事一回分だけという不思議な立ち位置。

うーむ、状況はどうとでも転びそうですね。

 

少なくとも、彼女たちの心のうちがどのようであるか、

あるいは何を目指そうとしているのかは赤の他人である私には分かりませんが、

とはいえ二人とも只者ではないことは良く分かります。

 

そんな中で、彩海がどのようなスターへと進化していくのか、

明日海りおのように「自分に無いもの」を求め続けるのか、

あるいは自分の得意分野を突き詰めていくのか。

今後の活躍に大いに期待したいです!!

 

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コメント

  1. AKIRA より:

    彩海せらさん良いですね!壬生義士伝での吉村寛一郎息子役には関心しました。新公主演作はチラッとしか見ていないのですか、蒼汰さん仰る通り骨太さとキラキラ感を併せ持つ素晴らしいジェンヌさんですね。でも、彼女のフェアリー的な雰囲気から連想させる、「グルメレポする地方局の女子アナ」とは言い得て妙ですね。本人はもっと骨太な男役を目指しているみたいですけど。。。
     今後が楽しみな一人です!

    • てんか より:

      101期の卒業式の動画を見ていて気づいたことなのですが、この2人は掃除の分担さんの関係なんですよね!ドリタイでも本科予科の関係を強調していましたが、分担なら納得がいきます。
      そして縣くんの分担さんは100期の極美くん!このキラキラの系譜興味深くないですか?笑
      公式に発信していることではないので難しいかもしれませんが、いつかこのお掃除分担のメンバーの謎を記事にしてほしいです!
      ちなみにこの分担場所(講堂機械らしいです)には月城かなとさんなんかもいらっしゃいます。

      • いのさん より:

        彩海さんを取り上げて下さりありがとうございます!
        彩海さんは新公でも本公演でも、ほとんどの若手男役さんに感じる「無理してる感」が全くなく、ものすごく台詞や歌が聞き取りやすいです。縣さんも着実に男役力をつけている印象ですが、彩海さんの舞台センスの良さは驚異的ですね。

        雪の102期は潤花さん、彩海さんに加えて有栖妃華さん、一禾あおさんと実力派、個性派が揃っていますね。有栖さんは全組の若手娘役の中でも歌唱力はトップクラスだと思うので、個人的には次のfffは彩海・有栖の同期コンビで観てみたいです。
        でもそうなると彩海さんが縣さんの上に行ってしまうので、それは無いのかな?

        雪ファンには当分贅沢な悩みが続きそうですね。

  2. ちるちる より:

    彩海さんを初めて認識したのはPR×PRinceでした。その時から注目していたのですが、この間天飛さんと出ていた「ゆるりふんわり」を見て、んー明日海さんぽい?だから気になるのかなぁと思っていたところでした。明日海さんは準トップ時代からしか知らないので、若手の頃は蒼太さんのおっしゃるとおり、彩海さんに似ていたかも、ですね〜。これからの成長が楽しみです。

  3. yu より:

    はじめまして、ファントム新人公演を見たあとにこちらのブログを拝見し、大変共感してしまったのでコメントさせていただきます。
    彩海さん、これまで舞台をちゃんと見たことがなく…綺麗な顔をされた方だなくらいの印象でした。が、今回ファントムを拝見し、芝居と歌唱力の素晴らしさに驚きました。
    彩海さんに近い学年に、フェアリーなキラキラ王子様が似合う方って意外といない気がするので(私が知らないだけかもしれませんが)、その個性と技術を活かした男役さんになってほしいなと思います。