雪組『BONNIE & CLYDE』をライブ配信で観劇しました。
えーっと、私が雪組ファンであることを差し引いても、
相当面白かったですよね？？？
個人的には『今夜、ロマンス劇場で』ぶりの当たり作で、
本公演でやってたら大賞間違い無しな面白さでした。
ボニクラは主題として有名過ぎますし、
ブロードウェイ作品かつ再演物ですので、
今回は脚本の中身ではなく、キャスト感想を主点に綴っていきます。
新トップコンビ・彩風咲奈＆夢白あや
まず一番に書いておきたいことは、夢白あやの覚醒っぷりですよ!!綺麗で芝居が出来ることは知っていましたが、唯一の弱点であった歌唱力が大幅に向上。発声方法からして変わっていたので、たぶんボイトレ的なものに通ったのかな？高音はまだちと弱いですが、普通に聞く分には充分なレベルにまで引き上げられていて、まずそこに感動しました。
そしてボニーという、はすっぱヒロインが似合うこと!!ガーターベルトして寝っ転がっても、男に「死ねばいいのに」と言っても、品良く小悪魔的な可愛らしさが感じられるのが凄い。その一方で、一幕最後のクライドと一緒に車に乗って逃亡していく場面以降は、狂気を孕んだゾッとするような美しさでしたね。フィナーレのウインク＆バーンも含め、これがプレお披露目とは到底思えない貫禄。彼女の場合、まさに「寝かせて正解」。娘役として今まさに花開き、最盛期を迎える瞬間にトップに立って良かったと思います。
そして主演の彩風咲奈。彼女が今までで一番に似合っていた役の一つが『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』のマックスだと思うのですが、それを踏襲するようなDV系スーツ野郎でしたね。うん、やっぱり彼女はスーツ姿がよく似合う。面白いのは、その時は恋人のキャロルを銀橋で引っ叩いた一方で、今回はボニーに引っ叩き返されるという、対照的な場面があったこと。そう、彩風咲奈の相手役を務めるには、夢白ボニーのようなこざっぱりした強気な美人が良く似合います。
ってことで彩風咲奈＆夢白あや新コンビが、想像以上にお似合いで私は本気でビックリしました。彩風咲奈は似合う役＆スーツである以上に、夢白あやが隣に並ぶと100倍カッコ良く見えた不思議。よく見ると鼻から口にかけてが微妙に似ていることも含め、これが「お似合い」というものなのでしょう。
朝月希和時代に雪組和物と代表作『蒼穹の昴』という中華物を消化し、任期後半はこういう洋物でいきまっせ、という見事な計算が見えたプレお披露目公演でした。
和希そら／野々花ひまり／咲城けい／華世京
続いて良い役だなぁと思ったのが、ブランチ役の野々花ひまり。彼女も本当に良い娘役になりました…。土臭いありふれた女性の一人を上手く演じられるような、夢白あやとは真反対のスター性だからこそ、互いに高め合える見事な娘2ポジションだったと思います。前半パートの堅実な物言いがゆえに映える、和希そらとの最後の悲哀を感じる結末が泣けました…。中盤の夢白あやとのデュエットも良かったですね。
2番手格バック・バロウを演じた和希そらも、安定した活躍っぷりでした。最初は兄貴に見えない…と思いながら眺めてましたけど、イケボと包容力のなせる技でしょう、しっかり設定通りに見えましたし、彼女の少年っぽさと兄貴肌が上手く融合された芝居に感心しました。あと、ビジュアル的には後頭部の外ハネが反則です。笑
3番手格は華世京…ではなく、テッドを演じた咲城けい。冒頭の芝居からして、まんま礼真琴の表情と芝居の仕方で笑っちゃいました。これが星DNAか…。序盤から歌がアレレで心配しましたけれど、見た目爽やかなのにどんどん狂気じみていく様が似合っていて良かったです。そんなに背が高くないのにスラりと見えてカッコ良かったのは、補正が上手いってことなのか？組替え生だからこそ、少し違う色に輝くスター性が役にハマっていたと思います。
で、今回は組替えご祝儀として咲城けいに花を持たせた華世京は、クライド一味の一人として少し出番が抑えめ…。そんな中でも安定した舞台運びでした。あと、化粧が進化し『蒼穹の昴』新人公演に比べ自然なビジュアルになっていて良かったです。
その他、気になったキャストたち
今回のMVPはボニーの母・エマを演じた杏野このみでしょう。夢白あやの母役として、引けを取らない美女っぷり!!そしてこんなに台詞のある役を初めて見ましたけど、普通に芝居出来るやん…。ブローチを夢白ボニーに渡すくだりも、二幕で2人と再会する場面も、母の嘆きが感じられて良かったです。
上級生チームは、歌特化で場面を繋いだ久城あす、たくさんバイトしながら最後にイケオジ枠をかっさらう桜路薫など、さすがの大活躍。
そんな中、下級生チームのビックリ抜擢は幼少期のボニクラを演じた104期・愛陽みちと106期・夢翔みわのコンビでしょう。愛陽みちが歌ウマなのは知ってましたけれど、夢翔みわは同期に華世京がいる中でよくこの役を勝ち取ったと思います（たぶんオーディションですよね？）。
その分、聖海由侑あたりが割りを食ってた気がしますが、群衆芝居の中で常にセンターを取っていて、顔立ちと表情の作り方からして作品の世界観に似合っていて良かったです。
あと、二幕で女性知事役をやった愛羽あやねの芝居っぷりが良かったですねぇ。さすが『蒼穹の昴』新人公演で白太太を演じただけあります。まさか透真かずきを尻に敷くような芝居をするなんてと、軽くビックリしました。笑
外部っぽかった『BONNIE & CLYDE』
全体的に、芝居の構築の仕方や歌い方が、
宝塚的でなく外部っぽいなと思った『BONNIE & CLYDE』でした。
洒脱でオシャレな感じが彩風咲奈＆夢白あやに似合っていて良かったです!!
『SUPER VOYAGER!』の海の見える街、『ファントム』のジェラルド、
そして『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』のマックスという、
彩風咲奈のこれまでの当たり役が見事に昇華された作品でしたし、
夢白あやはプレお披露目から当たり役に巡り会えてラッキー、という感じ。
そんなスタイリッシュ＆シックという、
新生雪組のカラーが見事に打ち出された本作。
無事、最後まで完走して欲しいと思うと同時に、
これからの雪組がさらに楽しみになった私でした。
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コメント
初めまして。初めてコメントします。
早々に感想ありがとうございます。全文同意です！
普段は事情があってライブ配信みれないんですが、今回はなぜか絶対見なきゃダメな気がして見ました。結果大正解！
夢白あやちゃん、私もびっくりしました！98年の月影瞳さんはトップ娘役円熟期にボニーを演じられてましたが、夢白さんはこれがプレトップお披露目だなんて末恐ろしい…まるでボニーに憑依しているかのような自然な演技、スタイルの良さ、華、歌唱力の大幅な向上と、とにかくすごい娘役さんだと思いました。下着姿でごろごろしてる姿（笑）や後半の狂気を孕んだ表情に私もゾクゾクしました。そして咲ちゃんとの並びの良さですよ。咲ちゃんが本当に今回数倍格好良く見えましたね。ようやく咲ちゃんの格好良さが活きる良作に出会えた気がしています。（蒼穹の昴も良作だとは思いますが咲ちゃんの格好良さはボニクラの方が断然上ですね）
個人的に今年はディミトリや今回のボニクラと早くも大当たりの公演が多いです。
夢白さん素晴らしかったですね！
原作の影響もあるにせよ、かなりの夢白劇でした！
作品全体としても個人的にはカルトワイン以来の大当たり作品でとても面白かったです。
私はむしろ夢白さん「寝かせすぎたのでは、、？？？」と思ってしまいました(笑)トップ娘役は初々しさや、就任後の成長ストーリーを求める人も多かったと思うのですが。
最近はトップ娘役も初々しさより完成度や自立したところが求められるのであれば、就任はやはり新公卒業くらいが目安になってくるんですかね？(夢白のような超路線でも研6くらい)
最近の娘役の育成スピードを見ているとコロナの影響とか関係なく方向転換中なのかな？という気がしていますが、どうなんでしょうか。
あたしゃ『ハイ、これ、ソウタ兄さんが騒ぐやつな！』ってピンときましたとも笑。
夢白×野々花デュオは、滑舌が良く、声量があり、丁寧な歌い方で、むしろ心を打たれました。（リアル歌ウマの美容院マダム＝希良々・有栖と、シーンを別にしたのも良かった）
あの、スリーピース暴力クズ男に、妙な説得力を感じてしまうのはなぜだ。等身おばけと三白眼、そして、彩風さんが元々持つ「瀬戸内ソフトツッコミ気質」（←“思考系ボケたがり関西人”を上回るインパクトが捻り出せない）にフィットしているのでは、という仮説を立てておきます。
ボーッとした天月父さん、調子に乗る眞ノ宮保安官など、中堅が誇り高く『脇』を守っていたのも、芝居の深みにつながりましたね。新生雪組も楽しみ！
夢白きましたねえ。ここまでやるかと。真っ当な娘役ではないデンジャラスな女をまあ堂々と…こいつは只者ではない。ボニクラってタイトルからしてもW主演みたいなもんですし、最後も夢白の歌で〆るのか…って。
さて、次作はかなり作風が違うであろうライラック。どう見せるのか楽しみです。彩風も朝美もある程度は予測できますが、夢白はどう作ってきますかね。
野々花も目立ってましたねー。娘役2人でデュエットってあんまり見ないような気がします。もう娘役トップは難しいかな？という時期が来たら、娘役から女役にクラスチェンジしたほうが役付きよくなるのではないでしょうか。キララとか、月行ったみちるとか。
しかし反社の雪組とはよく言ったもので。彩風はマックスやダントン等、強気で危険な男がよく似合いますね。しかし悪い役は数あれど、トップが一般人射○するような演目はなかなか見ないような…。徹頭徹尾ど直球の犯罪者。執行猶予つかないタイプ。結構凄いことやらせるなあと思いました。これも雪の売りなのかもしれません。
今となっては夢物語ですが、真風でめっっっちゃ圧の強いモラル完全無視のダークヒーローものが見たかったなあ。客が引くレベルの凄い怖いやつ。まあキャラ的にやらせなかったでしょうけどね。
御園座に初めて行き、早い段階でリアルに拝見しました。
夢白さん、すごい、女優さんだ、と強く感じました。
その前に、うたかたの恋と、ディミトリという作品を見ていたことも影響したかなと思いましたが、娘役というより、女性の主役という印象。美しく、魅力的でした。今後、その魅力がどのように生かされていく、楽しみですね。
ファン新参者としてはほとんど知らなかったのですが、蒼穹の昴の配信で拝見した雪組新人公演も素晴らしかったことから、力がある人というのがよくわかりました。
そのほか、野々花さん、杏野さんなど、娘役さんたちの力量を見ることができましたし、ストルーエンセの配信で見た愛すみれさんもよいし、娘役さんたちの力をもっともっとみたいですね。
夢白さんが魅力を発揮すれば、彩風さんのさらなる魅力アップにもなると思うので、期待しております。
（宙組さんも楽しみですね。）
私個人としては、現在、トップ娘役としていろいろな役を与えてもらっていて、その芝居力を十二分に発揮できているのは海乃美月さんなのではないかと感じていますが（月が芝居上手というのもあるのでしょうが）、蒼汰さんはじめ長年のファンの方はどうかんじておられるのでしょうね。
いつも楽しく、拝見しております。
おっしゃる通り、彩風さんの任期後半は様物作品で！、なんですね。
朝美チーム出演の音彩さんにもピッタリでしょう。楽しみ！
純和物は月組と、次期トップ花組にお任せするのも、良いのかもしれません(やはり、雪贔屓なんです、私)。
この先、どんな小池作品が雪組にくるのやら…(妄想)。
先日、御園座では杏野さんと咲城さんに注目しました。
この記事で学び、叔母と一緒に、もう一度観劇してきます。
東京から日帰りで御園座ボニクラ観てきました。
蒼汰さんのブログを読んで、楽しみが増していましたが、
本当に想像以上でした。
夢白あやちゃん、圧巻でした。
咲ちゃんもひらめちゃんコンビの時に醸し出していたほんわかした雰囲気とは真逆の
色っぽくてスタイリッシュな雰囲気にびっくり！
相手が変わって
ここまで咲ちゃんの違う魅力が引き出されるとは！
3年前の驚愕した娘役組替え大作戦は、ここまで読んでいたのでしょうね。
真風さんと潤花ちゃん、
柚香さんとまどかちゃん、
そして彩風咲ちゃんとひらめちゃんからの夢白あやちゃん
本当に見た目も雰囲気もぴったりなコンビが次々と誕生して
さすがだなぁーと唸っています。
雪組ファンの私は、これから益々楽しみです。
もちろん
蒼汰さんのブログも楽しみにしていますよー！
こんばんは(^^)
ボニクラを記事にしてくださって、本当にありがとうございます！！
ボニクラを御園座で1回、配信で１回観てから、もう病のようにハマりまくってます、、、笑
あやちゃん凄すぎる！！の一言。。
女優、、、歌もとても上手いどころか、声質というんでしょうか？セリフのイントネーションや、何もかもがもう好きすぎて。
そして特筆すべきは、隣に立つ人が変わると、男役ってここまで見え方変わるの！？と驚いた、咲奈さま、、、。
正直に告白すると、咲ちゃんは、オフの時の素化粧はとても美人なのに、舞台上ではちょっとクセが強すぎるように感じていて、あまり好みではなかったんですね。
それが、あやちゃんの横に立つ咲ちゃんは、そのクセが気にならない！
むしろアウトローの役がハマりすぎていることもあり、もう癖が逆に私の心に刺さってしまい、、とても中毒性が高いです！！最高。。
咲ちゃんがあやちゃんのことをうっとり見つめる表情なんかもたまりません。。
そらぴ、ひまりちゃん、あす様あたりまでの役のはまり具合も含め、今年1番の作品だと今から確信しています。
咲あやの雪組はチケット取りにくくなるんじゃないかな(^^)