宙組『シャーロック・ホームズ』感想

 

さっそく見てきました宙組公演!!

書きたいことが山ほどあるのでさっそく参ります。笑

 

私は『シャーロック・ホームズ』を読んだことがない、だけでなく、

シャーロック・ホームズが探偵であることくらいしか知らない、

そんな知識レベルの人間の感想であることを、前置きしておきます。

 

さっくり全体感想

 

実は個人的に、事前期待値が物凄く高かった作品です。

自分が生田大和作品と比較的相性が良いこと、

久しぶりに宝塚で見られる19世紀末イギリスという華やかな舞台背景、

ポスターのクオリティも素敵を通り越している。

 

うん、絶対に楽しめる予感がする!!

…という前提で見に行ったところ、あれれ?

 

原作未読で設定が分からないからか、セリフが説明過多に聞こえ、

薄暗い中での感情表現的人波ダンスも多く、

「つまらない」というよりは「置いてきぼりをくらって」しまい、

全く集中することが出来ず、むしろ、正直、眠かった…ローマより。笑

 

んだけれども、たぶん瑠風輝が活躍(一応ネタバレ回避)するあたりから、

話がグルングルンひっくり返されて、急転直下な展開が続き、

お、面白くなってきたぞ?と思ったら、あれよあれよとエピローグ。

 

結局は綺麗に収まって「もう一回見たいかも?」と思わせ終わってくれた、

そんな小粋な作品でした。

 

勝手に頭脳派同士のバトルだと思い込んでいたので、

最後はまさかの肉弾戦になり、滝つぼに落ちていく衝撃的な展開に、

えええ!!と思ったら、原作通りなんですね。

見終わった後に他の方の感想ブログを読んで知り、ビックリしたのでした。笑

 

あと、一番最後のオチが秀逸という事前情報を聞き、

ネタバレを踏まないようにしながら最後まで見たのですが、

どっちの部分(現れた方か消えた方か)が小粋なのか分からず…。

寝かけたところに伏線があったのだろうか。(小声)

 

あとはもちろん衣装が全体的に素敵で、

舞台演出も久しぶりに金がかかって良かったです。笑

 

そして全出演者にちゃんと出番があったし、

トップである真風涼帆はじめ、スターがみんなカッコ良く見えた。

宝塚ファン的には楽しく見られる作品だなと思った次第です。

伏線だらけの展開含め、リピートした方が楽しい作品でしょうね。

 

キャスト別感想、選抜3名。

 

キャスト別感想、色々と書きたいのですが

主要人物が多過ぎるので、特に目を惹いた3人を選抜して書きます。

 

まずはヒロインのアイリーン・アドラーを演じた潤花。

雪組ファンとしては嫁に出した気分で見ていました。笑

 

個人的に、雪組時代から彼女は路線系娘役の中で、

一番一般受けする美人(私の好みというわけでなく)と思っていまして。

管理人からは「悪い意味でなく一番男受けする顔」と言われましたが。笑

 

その華やかな容姿、スタイル、オーラが衣装に負けておらず、

圧倒的ヒロイン感で舞台を彩っていたと思います。

まさに大輪の華系ですよね。

 

そしてミソはやっぱり、声。相変わらずの美人声です。

今作も得意の音域で攻めてて、それだけで大勝利って感じ。

 

しかしながら、他の組替えトップ娘役と違い、

同組のお付き(例:綾凰華、綺城ひか理、美風舞良)を伴わず

コロナ禍の中で単身宙組へお輿入れ。

 

しかも相手役は10期も上の任期6作目のトップスターだし、

2番手歴6年の上級生スターも居る中、

全く臆さない、その肝の座りっぷりが本当に凄いと思う。

改めてトップ娘役就任、おめでとう!!

 

 

そして2人目は、桜木演じるワトスンの彼女役の天彩峰里。

まず最初に言いたい、「お見逸れしました!!」と。

 

彼女って、顔が綺麗で、歌も上手くて、って知っていたけど、

こんなに芝居出来る人だったんですね?

本公演だとキャンキャンしてる役が多かったので気付いてませんでした。

 

『夢千鳥』では退廃的な色香と艶を感じさせる名演を披露しましたが、

今作はただの小娘でなく、なんと母性を感じさせる表現力。

アイリーンに優しく声をかけてあげる場面、本当に素晴らしかったと思います。

 

人事の話はしないですけれど、

改めて実力高位置な娘役だと気付いたのでした。

これからの活躍に期待です!!

 

 

ラストは、みんな大好き、和希そら!!笑

レストレード警部、今までで一番の当たり役だったと思うぞ!!

 

「本公演で女役を演じた直後の男役は伸びる」という個人的仮説があるのですが、

彼女は本作、まさしくその通り。

『アナスタシア』リリーという名演を踏まえ、

男役として何倍も成長して舞台に戻ってきたなと思いました。

 

彼女が、こんな年齢設定上目な役で、ポケットに手を突っ込み、

眉間に皺を寄せながらイケボで喋る、そんなカッコつけが映える役、

実は意外とやってませんよね?っていう。

 

原作のレストレード警部というキャラを知らない私からしたら、

背が地味に低いのが、また可愛いんだな。

(私はこれを香川照之現象と勝手に呼んでいる。例:朝美絢アラン・ショレ)

 

こんな男らしくてイケボでカッコつけなのに、チビ。

絶っ対コンプレックスでしょ、みたいな。笑

 

そんなキャラ萌えをしながらニヤニヤしていましたが、

それを楽しめるのは、もちろん和希そらの舞台技術が安定しているから。

実力と男役芸がより極まり、明らかに一段階上に成長しています。

 

宙組生として本公演ラストの作品で、

こんな男役冥利に尽きる役(出番は少なめだけど)が出来て、

良かったねぇとしみじみ思ったのでした。

 

充実の宙組が楽しめる作品

 

もちろん他のキャストもみんな素晴らしく、

まさしく真風涼帆率いる宙組の充実が分かる作品だったと思います。

 

改めて、みんなビジュアルが良いよなぁ。

衣装も全体的に素敵だし、みんなくるくる着替えるしで、

見ていて楽しい、まさしく宝塚らしさを楽しめる作品だなと思いました。

2度目は話を整理しながら見られて、楽しそう!!

 

次はレビュー作品の感想です。

 

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コメント

  1. 杏仁豆腐 より:

    宙組観劇されたのですね!楽しんでこられたようで嬉しいです!

    ホームズ知らない人だとやや置いていかれるというのはごもっともかと!(生田先生の作品そうゆうのが多い気がするのですが、、、)
    もしお時間があれば、シャーロックホームズ原作の「ボヘミアの醜聞」と「最後の事件」だけでも見ておくとかなり解像度上がると思うので見てみてください。そこそう繋げたのか!ニクいね〜!みたいな気持ちになるところが多いです(笑)

    しかし、やっぱり宙組は安定してますよね〜コーラスのクオリティと充実のメンバー!
    繰り返し見るほど楽しくなってくる作品だと思うので、印象が変わったらまた感想聞かせて頂けたら嬉しいです。

  2. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    個人的に「ホームズ」は、小学生の頃、図書室のポプラ社?の子供向けホームズを読み漁っていたので、この宙組版、個人的には原作を刊行順に読んだらみんな思うだろう

    「アイリーン・アドラーはどうなったの?」「ホームズは滝つぼに落ちたはずなのに、何で次の巻であっさり登場?空白の期間何をしていたの?」のミッシングリンクを埋める、ホームズオタの解釈として、興味深い作品でした。

    が、原作やTVドラマなどで流布された「ホームズ」を全く知らない方が初めてこの作品を見たら、どう思うのだろう?というのが一番気になっておりました。率直なご意見をありがとうございます。

    そうですよねえ、生田先生のホームズへのオタク愛が濃すぎて、ホームズについてまっさらな状態で観劇したら、ギリシャ神話も聖書も全く知らずにルーブルに行く、みたいな印象になりますよねえ。

    これはいわゆる「一次創作」としての作品ではなく、パスティーシュ。コミケで頒布されている「ぼくが考えた、原作の空白を埋める最強の解釈」風な「二次創作」的なものを、あたかも「一時創作的なもの」として舞台に上げている感がありますね。

    これからまた観劇の機会がありましたら、東京創元社の「シャーロックホームズの冒険」の第1話「ボヘミアの醜聞」だけは読んでから行くのをお勧めします!

    個人的には、ホームズは「女嫌い」なところが魅力なのに、宝塚版ではホームズが女性に恋するキャラなのがムズムズするのですが(笑)まあ、ヅカですし。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      言われて見たらこんちゃんさんが指摘される普段の逆なんだなって思いました。笑
      前知識が無い人にも分かるような作品作りって大切ですよね…。

  3. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、興味深く拝見しております。

    シャーロック・ホームズ~は、生田先生のこだわりが満載とかです、が、すみません、よくわからなくて(シャーロックシリーズは、かなり昔に何話かは読んだくらいで)。
    霧と煙の街ロンドンなんだなぁ、と。舞台上の小道具も凝ってらしたんですね。気付かない私には、豚に真珠か・猫に小判(CHの影響が…)。
    それにしても、芹香さんモリアーティ側の面々は、イケメン揃いですね。悪い役が似合うことったら。
    お役人たちも、皆さんスラリとした、おじ様集団。
    チビッ子たちも、生き生きしていて、かわいー(娘役さん達ですよね)。
    潤さんは、女優さんだ。
    大劇場の時より、随分深みがましているとかで、凄いな。
    宙組のそらくん、本公演では見納めですね。凛城さんも(淋しいなぁ)。
    大千秋楽を配信でみるのを、楽しみにしていまーす。

  4. かのこ より:

    初めてコメントいたします。
    ブログ、いつも楽しく読ませていただいております!シャーロック・ホームズ、ご覧になったのですね。

    ホームズ好き(といってもいわゆるシャーロキアンと言えるレベルにはないです)としては、良くも悪くもいろいろ突っ込みが出来て楽しめたのですが、なるほど言われてみれば、先の花組「アウグストゥス」と同じく、その作品の背景に関する知識量で楽しさが変わってしまう作品だったなぁと。
    そういう意味では蒼汰さんの書かれている最後のオチもそうで、ここに関しては原作ファンへのサービスも含んでいるのだと思います。
    私は観たとき、思わず心の中で「あっ!」て叫んでしまいました。

    皆さん上げてますが、もし原作を読まれるなら「ボヘミアの醜聞」「最後の事件」そして「空き家の冒険」をぜひお勧めしたいです!

    (ちなみに私はS潮社文庫で揃えたクチです。なので短編集が他の出版社のものより一冊多くて混乱します(笑))

  5. コスモスハート より:

    蒼汰様

    置いてけぼり?そうなの?

    潤花ちゃんのヒロイン力はバリバリ感じました。これで歌がもっと上手かったら、無敵?!と、思わずにいられない。
    始まりの方法が、ひかり降る路の彩凪翔さんが登場した冒頭シーンに似てるなあ、って思いました。
    和希そらくんが、あれ?太ったの?あれ?って思いつつ、めっちゃ確認してしまい、そうか多分中年体型を人工的に補正などで作り込んでいたのだろうと、想像。
    おじさんぽいのは、初めてというか、トップハットの時、ちょこっと出てきた花屋の社長が、結構なおじさんだった。
    あっ。。作品は?ジャックザリッバーが、セリフの中に出てきてたけど、私としては、ミュージカル、ジャックザリッバーと比較してしまって、もう一つ、物足りなかった。私はあっちが好みなんだ‥きっと。
    もう一度見たら、と考えたけど、全く観劇出来ず。ライブ配信の日もアウト!残念。
    蒼汰さんの感想の続きを楽しみにしています。

  6. MS より:

    確かにこの作品は原作をある程度知っている方が楽しめますよね。
    モリアーティ教授は、ホームズの人気シリーズを終わらせるために作られたキャラクターですし、彼が登場するということはライヘンバッハの滝での対決があるのかなーとか思ったり、常々女性を軽視していたホームズが、ただ1人出し抜かれたアイリーンアドラーの名台詞「こんばんは、シャーロックホームズさん」がさりげなく使われていたり。
    実は私はこの公演があると分かってから、映画やアニメをたくさん見ました。私は結末を知ってからでないと安心して楽しめないんです(笑)
    ただ、元恋人との回想シーンとかは、もう少し短くてもいいかなと思いましたが、ショーが楽しかったので通っているうちに、毎回少しずつ違うお芝居にどんどん引き込まれたというか。
    台本どうりに演じているというより、1人1人のクオリティーが高く、4人のジャック達の動きや、ホームズの部屋でのイレギュラーズ達が可愛すぎて。モリアーティ教授の絵の前で3人がやりとりする現場は原作ファンはたまらないだろうなと思ったり。それに、やはりライヘンバッハに向かう流れには、クライマックス感があります。
    前の回の月組公演の桜嵐記で結構感動していたので、ホームズは感動というよりは、普通に楽しめる作品って感じでしたが、初見より2回目3回目が楽しかったです。そういう意味では評価としてどうなんでしょうね(笑)
    でも舞台の使い方は、ウエクミに匹敵するくらい上手いなあと思いました。

    • さわら より:

      久々にコメントいたします。
      *前回おおいに盛り上がった?例の件について、実は私もモヤっていたクチで、蒼汰さんの記事及び皆さんのコメントで勝手に気持ちの整理・昇華に活用させていただきました。ありがとうございました。

      さてさて、宙組観劇されたとのことよかったです。感想記事待ってました!
      私も浅い知識しかなかったからか、1回目観た時は、内容はなんとなくわかるけど…という感じで説明台詞が多くて正直眠気を誘われました。(霧の都ロンドンなので仕方ないですが舞台が薄暗いのがこれまた…)

      展開や結末を把握した2回目の方が断然楽しめましたね!長いと思っていた台詞もちゃんと聞き取れて、世界観に入り込めました。
      それとやっぱり宙組はコーラスがうまい!!厚みがあります。
      全体コーラスもそうですし、ヤードメンバーのこの街で何が起きてる!ソングや、「The Game Is Afoot!」モリアーティのターン、ホームズのターン、出てくる面子が悉く上手くて笑いました。

      オチの件ですが、滝の場面での掛け合いが伏線かなと。私はラストシーンで勝手に、滝での二人の台詞が脳内再生されました(笑)

  7. せち より:

    おっしゃる通り、今の宙組の充実ぶりを表す公演だったと思います。
    潤花の肝の座りっぷりは本当にすごい。堂々とした姿とクリアな声を生かした台詞回しや歌唱が雪組時代より洗練されてきた印象を持ちました。
    真風とのコンビも似合っていて、この2人を組まそうと思った人は、先見の明があるなと感心しました。

    天彩峰里も、芝居は異人たちのルネサンスのサライやってたときにうまいなと思ったんですが、子役や少女って印象だった彼女が夢千鳥での他万喜、そしてメアリーと大人の女性を演じられらようになっていて、これも感慨深いというか。メアリーの聡明さや母性をしっかり演じられてて、彼女の今後の活躍に期待したいですね。芹香の別箱ヒロイン、今度はどう演じられるか、楽しみです。

    和希そら、ムラで観劇したときはまだレストレード警部を掴みきれていないような印象ありましたが、東京ではしっかり演じられてるようで。
    若干の和希そら贔屓の私なので、ショースターの和希そらにひと場面与えなかった野口くんは、どこに目があるんだろう?と思ったりしました。

    あと。
    瑠風がついに紫藤りゅうをはっきり抜いたことがわかった公演でもあり、人事の手厳しさも感じましたね。 

    また、次の感想をお待ちしてます。