ひとみさ化学反応・花組『ドン・ジュアン』感想

 

永久輝せあ&星空美咲のプレお披露目公演、

花組『ドン・ジュアン』をライブ配信で見ましたーーー。

 

めーっちゃ楽しみだった『ドン・ジュアン』、

色々と興味深かったので、さっくり感想を書いていきます。

 

ひとみさ化学反応

 

宝塚では望海風斗主演で一度上演している本作ですが、公演時間がトップ仕様として約30分伸び、その分色々と場面やセリフが増えた結果、だーいぶ見やすい内容になっていたように思います。それに生田先生が演出家としての技術が向上したのか、それとも(VISAパワーで)資金が潤沢なのか、舞台演出が華々しいけど無駄のない凝り具合で良かったです。けど、一番興味深かったのは、主演を張った望海風斗と永久輝せあのスター性の違いが如実に出たかな、という点です。

望海ジュアンは性のパワーに満ち満ちていて、だけどその背景には怒りや劣等感が溢れていて、暴力と血の匂いがむせ返る陰の色の濃い、いかにもスペインな作品だと思うんです。一方で、望海風斗が反社なら、永久輝せあは素行の悪い大学生というか、リアルで行き過ぎた男性性をそぎ落とし、世界観が少しマイルドになったことで「ザ・宝塚」ナイズトされた人物像になったのと同時に、望海ジュアンにはない人間の情を感じるので、マリアに恋に落ちる理由が分かるし、どこか嗜虐心が煽られる役作りに見えました。その結果、望海版がドン・ジュアンという男の人生譚だとしたら、永久輝版はドン・ジュアンのロマンチックな愛の物語だったなと私は感じました。

で、永久輝ジュアンに星空マリアが並ぶと凄いのよ。2人が1幕ラスト・2幕冒頭で抱きしめ合う時の永久輝ジュアンの顔…!!本当に恋してるの。可愛いの。だけどそれは、星空マリアの大いなる母性が永久輝ジュアンを包み込んでいるから成立しているですよね。

ってまんま『冬霞の巴里』やんけって話なんですけど、この三白眼でギラギラな男役と、それすらも包み込む無垢で面倒見の良いお姉さんのような関係性って、今までの宝塚でありそうでなかった組み合わせで、実に興味深い。この萌えを『冬霞の巴里』から感じ取って星空美咲を相手役に選んだ宝塚は、審美眼があるなーと強く思った一作でした。作画も声質もピッタリでしたし、ひとみさは想像以上に萌えるカップリングになりそうです!!

 

主要キャスト感想

 

ではキャスト感想を。

まずは主演の永久輝せあ。えーっと、これってプレお披露目でしたよね?主演としてハマり過ぎていて、もう3作目くらいの安定感がありました。トップとしての責任感がより彼女を大きく、スターに見せているのでしょう。ガナりに望海風斗みを感じる一方で、前述の通り彼女らしいジュアン像を楽しませてくれました。しかし、改めて顔がカッコ良いなー。こういう正統派な顔立ちって実は久しぶりな気がするので、眉間に皺を寄せながら筆頭組のトップとしてさらなる活躍を期待したいです。

マリア役の星空美咲。凄かった。MVPだわ。なぜ彼女がトップ娘役に選ばれたのかが良く分かりました。路線格の中でぶっちぎりで歌が上手くて、顔が可愛いくて、芝居も上手い。こういう実力者がトップ娘役になれる世界線って素晴らしいと思う。星空マリアは顔が可愛い不思議ちゃん(おもしれー女)って感じで、そりゃ永久輝ジュアンは好きになるだろうなと理解しやすい役作りでした。

ドン・カルロは103期生の希波らいと。圧倒的スタイル、凄い。メイクもだいぶ上達したのかスターのオーラが溢れてましたし、スターとしての気合も充分。想像より歌えていたし、永久輝せあとの並びも新鮮でグッド。本人の陽属性っぷりがカルロにピッタリで、本作唯一の常識人として物語を生きていましたし、エルヴィラに惹かれていく様も自然で良かったです。

ラファエルは104期生の天城れいん。彼女もまた、自身の陰属性がラファエルにピッタリで良かったです。が、希波らいとの好敵手として上がるのならもう少し舞台技術が安定すると良いなぁと思ったり…。もちろん新公経験が少な過ぎる影響がモロに出てるのは分かるんですけどね。顔は綺麗でスターオーラもありますし、綺麗にまとまらずガンガンいって欲しいなと思います。

 

その他、キャスト感想

 

騎士団長&亡霊は97期の綺城ひか理。本人のロボットみが役に生きていて面白かったですが、タッパがあるから単純に怖ぇぇぇぇー。2幕のニヤニヤモードなんて、完全にホラーっす。ジュアンもラファエルも彼に振り回されることにビジュアル的な説得力があって良かったです。

エルヴィラ役は104期の美羽愛。雪組版の有沙瞳がザ・怨念って感じだったので、全く違う清純で無垢なエルヴィラ像だったのが興味深かったです。正直、歌はうーんでしたけど、特に2幕の闇堕ち後の芝居は光っていました。

アンダルシアの美女の紫門ゆりやは眼・福。しっかし身体がガリガリ過ぎて、どこに内蔵があるん???と心配になるくらい。

アンダルシアの酒場でソロを取った愛乃一真&咲乃深音の101期コンビはとても良かったですね。咲乃深音ははすっぱな役どころがさらに板についてましたし、ビジュアルが進化したのかagoが気になりませんでした。愛乃一真はヒゲの似合う良い脇系男役になったなぁとしみじみ…本公演でもっと使われるようになるといいですね。

ホセ役の105期・美空真瑠は相変わらずやり過ぎなくらいガツガツしてますが、そこが彼女の持ち味なんで良き。1幕ラスト前の砂漠の場面なんて一人ダーダー泣いてて凄かったですね。同じくマルセロを演じた106期・遼美来はやはり愛音羽麗に似てるなって思いました。

そして専科の美穂圭子。彼女のドンジュァ~ン♪がやっぱり好き。英真なおきはいつも以上にビジュアルが光っていて良い意味でビックリしました。永久輝ジュアンとどことなく顔立ちが似ている気がしたのも面白かったです。

 

ひとみさでエリザが見たい

 

で、今回の『ドン・ジュアン』を見て思いました。ひとみさで『エリザベート』が見たい!!と。

星空美咲は上背があって歌も上手いのでシシィにピッタリだし、これに永久輝トートが絡んだら新解釈『エリザ』になりそうじゃないですか?(というか2幕中盤の白い薔薇の前で歌う2人がトートとシシィに見えたのは秘密)お披露目でやりはぐったので、任期6作目、添い遂げ退団の時にやろうぜ!!

とまぁ、冗談は置いといて。←

改めて新体制花組が楽しみになった本作でした。

 

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コメント

  1. アライグマ より:

    ドン・ジュアンを御園座二階席でしたが観ることができ、28日の配信も観ました。

    永久輝さんの気合というか、ぶっちぎりの迫力に魅了されました。悪い顔のなんと魅力的なことか。

    私は、望海さんのドン・ジュアンを知らないので、比較はできないのですが、
    彼女にとって思い入れが強い作品だというのはひしひしと感じました。

    星空さんについて
    私は、愛希さん、真彩さん、美薗さんというトップ娘役さん達は、誤解を恐れず言えば、決して、いわゆる美人女優さんの範疇ではない(素顔の美人顔としては、95期だと月城さん、瀬央さん、朝美さんら男役の方が思い浮かびます。)が、舞台化粧をして、衣装を身にまとい、舞台で誰かになって、演じ始めると恐ろしく魅力的な主演女優になるタイプの女優さんだと思っています。
    そして、そのようなタイプのひとりが星空美咲さんなのかなと感じました。

    永久輝さんも、徹底的に憑依して演じたいタイプのようで、そうだとすれば星空さんと実力と魅力というのがぴったりはまる、そういうトップコンビだったのかもしれませんね。

    希波さんは、歌が本当によくなっていた。望むらくは、もし、トップを目指すなら、もう一息、ドン・カルロの歌にしてもらえるなら、さらにいいのでは。でも、十分期待できそう。

    美羽さんも、当初思っていたより、ずっと、エルヴィラとして歌えていて、客席で聞いていて、ストレスは感じなかったです。ただ、星空さん、美穂さんの歌を聞いてしまうと、もう一息頑張ってほしい。伸びしろはあるように思う。
    ただ、彼女には華がある。

    天城さんも魅力的な生徒さんであることは間違いない。
    あちこちの感想にあるように、他の人達が歌える分、うーん、歌が・・と感じてしまった。そうか、舞台経験か。なんとなく探してしまう魅力があるので、本当に頑張ってほしい。

    最後に、専科さんはいわずもがな、綺城さんの亡霊、そして亡霊ダンサー達は、わくわくしましたし、兵士たちが撃たれて倒れていくところも、どんどん引き込まれ、みんなが役に入りこんでいるのを感じることができました。

    作品としても、非常に満足感の高いものでした。
    新生花組が楽しみです。

  2. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、興味深くはいけんしております。
    御園座で、みてきました。
    雪組でラファエル役を演じ、今回の主演、永久輝さんは、やってみたい作品だったんだな、と感じ入りました。
    控え目にみえた彼女が、真ん中に立っての魅力全開で、星空さんと共に作り上げる、新生花組の本公演も楽しみになりました。
    今作品での97期の3人の絡みに、内心ずっと微笑んでしまいました(怖かったのに、なぜか)。

  3. むぎ より:

    プレお披露目とは思えないほどの相性の良さですよね!生田先生の気合いも感じましたし、ひとみさの魅力が伝わった作品だと思っています。
    ひとこちゃんと美咲ちゃんの美しいハーモニー、花組生たちの熱いフラメンコ、ぜひ御園座であのふかふかの座席に埋もれながら感じていただきたかったです笑