花組『フィレンツェに燃える/Fashionable Empire』辛口感想

 

配信ではなく、神奈川公演にて花組全ツを観劇しました。

 

『フィレンツェに燃える』は前評判が凄ぶる悪く、

私の場合、こういう時は逆にハードルが下がってむしろ楽しめるんじゃないか、

そんなお気楽モードで見に行ったのですが、甘かった。

 

なるほど、これはつまらん。

 

『フィレンツェに燃える』辛口感想

 

どうやら相当つまらないようなので、

これは宝塚の古典芸能を観に行く気持ちで行こう、

そう決意し、会場に向かいました。

 

するすると上がる幕。

中央に佇む、真っ白い衣装を着た柚香光。はい、美麗。

水美舞斗も出てくる、うん、なんだか2番手の覚悟を感じる佇まいだ。

豪華なドレスを着た星風まどかも星空美咲も出てくる。

 

で、四重唱で歌う「愛のエレジー」、イイ感じやん。

柴田先生らしい、古典芸能的な厳かな雰囲気のある場面。

なるほど、これは普通に楽しめるかもしれない。

…まさかここがハイライトだとは思いもしませんでしたね。

 

この作品の何が問題か。とにかく場面が暗い。

そして舞台上の人数が少ない。さらに大きな事件もなく話が動かない。

これが開幕1時間後のパレードの場面まで続くのだから、そりゃ退屈である。

 

私は機材席近く(つまり1階最後方)に座っていたのだけれど、

スタッフさんが退屈そうに姿勢を変えながら

「ンフゥーーーーーーーーーー」という吐く息が聞こえるほど、静寂でした。

 

途中から「これは花組の顔の良さを堪能しよう」と切り替えて、

ひたすら花組美形陣ばかりを見て時間を潰していましたが、

とはいえそれにも限度があるってもんです。

 

そして一番問題なのは、主役の柚香光が全くカッコ良く見えないこと。

ってかコレ、レオナルド(水美舞斗)が主役よな?

 

紳士な兄貴が悪い女に騙されそうになってたから一芝居打った、

そしたらなぜか悪い女を本気で好きになっちゃった。

昔の男が出てきたから殺した。女は腕の中で死んだ。自分は新地へ旅立った。

こう書くと面白そうなんですけどね…。

 

どうせウン十年ぶりに再演するのなら、

『霧深きエルベのほとり』ばりに潤色すれば良かったのに…。

劇団はどういう計算でこの公演の再演を決め、

大野先生はどんな気持ちで演出したのだろう?と単純に疑問でした。

 

まぁ繊細なお芝居好きにはウケる古典だろうし、

そういう意味では映像映えする、

つまりライブ配信でながら見するのが楽しい作品なのかもしれません。

 

『フィレンツェに燃える』キャスト感想

 

とまぁボロカスに書きましたけれど、

これはあくまで脚本・演出についての文句。

出演者に罪は(ほとんど)ございませんので、さっくり書いていきます。

 

まずはアントニオ役の柚香光。

こんなしどころの無い主演作ってなかなか無いですが、

思慮深い紳士の役は新境地として面白い役だと思いましたし、

髭も似合っていてカッコ良かったです。得意の音域なのか歌も安定してました。

 

パメラ役の星風まどか、最近は迫力がついてきましたね。

悪女なのか、それとも噂だけの淑女なのか、

私には最後まで分かりませんでしたけど、とはいえ気品を失わず、

それでいて成熟した女性の魅力があって良かったと思います。

 

オテロ演じる永久輝せあは、開幕して25分でやっっっと出てきて、

地に足ついた芝居を十二分に見せてくれました。

クールな役回りだし衣装もスタイリッシュに着こなしていた、

けど、いかんせん出番が少な過ぎて…途中で死んでるし…。

 

上手いという点だと、プチ抜擢であろうマチルド役の咲乃深音が良かったですね。

オテロの相手役、というより都合のイイ女枠を上手く演じ切り、

内容が無い脚本にギリギリ奥行きを加えてくれた大活躍でした。

 

そしてアンジェラ役の星空美咲、

相変わらずのヒロイン声とヒロイン芝居が素敵でしたね。

ツンデレ女になりがちな役どころを気品を失わず表現出来ていたと思います。

 

セクシー路線に舵切りし、路線としての覚悟も目出度い聖乃あすかですが、

これまた出番が少な過ぎてなんとも…。

あ、唯一の笑どころを持って行った技量はさすがです。

 

 

ここからは辛口パートです。(前置き)

 

レオナルド役の水美舞斗。うーん、正直私は微妙でした。

彼女って、コウズケノスケやショパンといった影がある役だと普通なのに、

軽妙さを出そうとすると、途端に上滑りしてしまうような気が…。

 

パメラに「似たようなところがある」と言ってのけるような、

計算高さというか、複雑な内面性が私には見えなかったです。

柚香光との芝居の相性の悪さを改めて実感し、

私には『メランコリック・ジゴロ』再びに見えてしまったのでした、残念。

 

あと、老け役カルロの航琉ひびき。

役職者として老け役も挑戦していかねばならないんでしょうけれど、

本人のスター性とあまりに合わな過ぎてなぁ…。

 

よって、レオナルドとカルロが引っ張る前半の芝居がなかなかにキツく、

これが物語に没入出来なかった私の超個人的な要因だと分析しています。

 

そして愛乃一真、侑輝大弥、湖春ひめ花と、新世代も頑張っていましたけれど、

とはいえ内容の無い脚本を埋める芝居が出来ていたかと言われると、微妙。

やはり優波慧、飛龍つかさ、音くり寿の抜けた穴は大きい印象です。

 

まとめると、今は転換期だから仕方無いとはいえ、

現時点での花組体制と作品の相性自体がイマイチに思えた公演でした。

 

『Fashionable Empire』さっくり感想

 

で、返す刀の『Fashionable Empire』。

本公演verはチケットが全て飛んだため残念ながら見られず、

配信で見た印象だと、正直微妙だったのですが、

『フィレンツェに燃える』の落差からか、100万倍楽しめました!!

 

やはりダンサーが多いと舞台が映えていいですねぇ。

平均年齢が若いうえに、この体制で1年半やった成熟味も感じられて、

そのバランスがとても良い感じでした。

 

正路線陣だけでなく、なんだかメチャメチャ目立ってた翼杏寿、

女装がゴツ過ぎて笑った侑輝大弥、千海華蘭似のショタ顔が目立つ美空真瑠、

分かりやすくポスト音くり寿として育成開始の湖春ひめ花、と、

色んな人が目立つのも、外箱公演の良いところですね。

 

あと、星空美咲が意外と踊れることを知れたのが、大きな収穫でした。

『Fashionable Empire』のリベンジが出来て良かったです!!

全ツも残り半分、最後まで無事完走出来るよう祈っています。

 

☆★☆★☆

ランキング参加始めました!!

ぜひポチっとお願いします↓↓

にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村

コメント

  1. REIREI より:

    まさに全力で同意いたします!!!

    贔屓がれいちゃんなので、梅田3、神奈川2、名古屋2と必死にチケットを取りましたが、毎公演1時間半が苦痛でたまりません。初日を花組ファンの仲間たちと観劇して、想像を超えるあまりの酷さに幕間では皆で酷評。30年来のヅカヲタ友達も「過去最低では?」と言うほどでした。なんせエピソードが全く描かれないので、それぞれの登場人物がなぜそこまでの恋なのか?そこまで好きになったのか?どこにも納得できる要素がないのです。

    悪評高かった朝ドラのちむどんどんが「過程を描かず、ナレーターで説明する」のと同じで、フィレンツェも登場人物のセリフで説明するだけです。パメラはそれだけで魅力的だ、とオテロのセリフでまとめて終わり。なぜ3人の男がそこまで惚れ込むのか、そこを描くことが脚本家や演出の役割ではないでしょうか?1場面にツッコミどころが10箇所くらいあります。何より、一番の問題は登場人物が誰1人として魅力的でないこと。アントニオも美咲ちゃんのアンジェラに中途半端に愛情かけていて、パメラに本気の恋だったの?と首を傾げたくなります。

    全ツで初めて宝塚を観る人たちに、宝塚はこんなにつまらないのだと思われてしまうのが悲しくて仕方ないです。花組主要メンバー勢揃いなのに。

    ショーは大劇場と東京で20回ほど観ましたが、人数減ってもダンスの花組らしくカッコよさ全開なので、それだけが楽しみです。お芝居の1時間半が辛いのでショーだけにしてほしいくらいです。

  2. jun より:

    はじめましてjunといいます。
    「殉情」の感想を楽しみにしていたのですが、今回ご覧になっていないのでしょうか?

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      残念ながらどっちの配信も予定があって見られずです…残念。

      • jun より:

        お返事ありがとうございます。
        どちらもご覧になれないのですね。
        感想が聞けないのは残念ですが、これからも更新楽しみにしております。

  3. 桜井 より:

    いつも楽しく拝読しております。

    水美さんへのコメント耳が痛いです…。かく言う私も初見で「昭和だ…」ととにかくたまげましたし、観劇を重ねてもレオナルドの心境の変化が未だにわからない状況です。ただ、ファンとして庇いたくなるのは、心情を書き込んでいないのに話は進むもんだから観客も(もしかしたら役者も)置いてけぼりで、レオナルドがパメラに惹かれる描写くらいは口で言わすだけじゃなくてエピソード挟んでくれよと思いました。これじゃあれだけ渋った義勇軍行きを決心させる理由にならんだろうと。

    ファンですら複数回観てなんとか飲み込んでいる(というか見所を必死に探している)作品なので、本当にどうしてこれを初見の方も多い全国ツアーに選んだのだろうでしょうか。せっかく4番手までいるならそれこそベルばらで回ればよかったのに…。

  4. より:

    全くもって同意です。
    お芝居は当時の評価はわかりませんが、今見て万人にウケるものからは程遠いかと思いました。私もひたすら花組スターたちの美麗な姿を鑑賞して凌ぎました。
    救いは後半のショーがとても良かったことですね。
    本当になぜこの演目を再演しようと決めたのかが謎です。

  5. タピゴリ より:

    いつも楽しく拝読しております。

    今回の再演にあたって、大野先生も脚本を読んでかなり戸惑われたようなことを書いており、関わるスタッフのどなたも初演も見たことがなく、花組子もナウオンでかなり困惑した様子があり、関わった方皆さん頭に?を浮かべながら作り上げられたのかなと想像すると若干面白いものがあります。それでも形にするのはさすがですが。

    個人的に水美さんのレオナルドは割と演技プランが分かったんですよね。複雑な所なんかなくて若く未熟で悪ぶってはいるけど性根は良くて結局は父兄が大好きな甘ちゃんな青年が、暴走した結果とんでもない結果を招いてしまい、深い悔恨を胸にとうとう父兄から巣立ちする…と物語が一応成り立っています。柴田先生が順みつきさんに当てた際に想定していたレオナルド像と一致するかは分からないけれど、このとっ散らかった話を現代でやるに当たりなんとか一本筋を通そうとしたのかなと。
    ただこの話、上述の通りレオナルドに関しては辛うじて起承転結のようなものがあるものの、他の登場人物、特に主役のアントニオに関しては、最初から成熟しており最後まで受け身で聞き分けがよいままで、起こった出来事によってどう人物が変化したかという物語における最も重要なファクターが欠けていて、そのせいでややメリハリがない物語になってしまっている気がします。(これは完全に脚本演出のせいです。どう演技プランを構築してもこうなってしまうと思いますし、むしろ柚香さんはこの脚本でよく心情の揺れ動きを表現出来るものだと感心しました)

    なんだかんだ言っても個人的には初演当時の演出意図と今の観客の受け取り方の齟齬を想像したりしてそれなりに楽しかったのですが、それは結局自分が最初から演者に好意的だから出来ることであり、確かに初見の方にはとっつきにくいだろうなぁ…とは思いました。

    長々失礼いたしました。

  6. キリ より:

    確かに映像映え作品と思います。
    私は現場で「暗くて退屈だな」っと全く同じ感想ですが、前日ライブ中継を観ました友達から「花組のみんなの演技がめっちゃ上手、マイティー最後涙が出てきて、自分も悲しくなりました。」という感想を聞いて、現場に行ったことちょっと後悔しました。
    繊細な演技をもっと現場に伝えれば……

  7. ポポロ より:

    蒼汰さま

    いつもなるほどーと、感心しながら拝見しています。
    私は、今回の公演は、配信でしか観ていませんが、同様の印象を抱きました。
    これは、初演の汀さん、高宮さん、順さんのキャラクターに合わせた作品だったと思います。
    中でも、パメラは、大人っぽく妖艶な容貌で、娘役というよりは女役というタイプの高宮沙千さん向けのお役であったので、星風さんはよくがんばったと思いますが、任ではなかったと思います。

    同じことが、柚香さんと水美さんにも言え、この作品をこの組にもってきた理由がわからなですね。

    私もレイマイでやったメランコリックジゴロを思い出し、がっくりしました。
    現在のレイマイファンのかたにはもう訳ないのですが、この組は演技力に若干課題があるかと思います。
    今回は、特に演技力のある3番手、4番手の出番が少なかったので、それが際立ってしまったと思います。

    劇団には、組の得意な部分を生かす作品を是非お願いしたいと思います。

    • みき より:

      私も同じことを思いました。
      この作品は、芸術選奨新人賞を受賞した作品です。柴田先生初期の野心作ともいえますが、恐らく初演、演技達者で知られていた汀夏子さん、順みつきさん、そして、まさに妖艶なヒロイン高宮さんと、行間を表現できる役者による当て書きでした。しかも演出も柴田先生ご自身で、以前、「忠臣蔵」の稽古場が放映されたとき、当時若手ながらの演技達者であった香寿さんでさえ、わずか1語の台詞でさえ、何度もダメ出しを受けていました。柴田先生の演出はそれほど緻密でもあるのです。

      当時、フェアリータイプの汀さんと大人っぽい高宮さんは合わないとも言われていましたが、柴田先生はこの二人の個性を生かして、
      名作「星影の人」も生み出しました。その意味では、今回の花組、星風さんでは、任に合わなかったと思います。(個人的には、星風さんは、実力に穴はありませんが、特に突出しているとは思わないので、評価の高さが分かりません。)

      今の花組に演技力がないと言う訳では全くありませんが、三人の微妙に絡み合った陰影を表現できる三人ではなかったかと。
      それを再演でどう料理するかが演出家の課題でもあるのですけどね。

      柴田作品の再演は、やはり上田久美子先生が見事でした。作品の持ち味を生かし、リスペクトしつつ、現代の観客にも上手く受け入れられるように料理されていました。謝先生は自分の個性に染めてしまいすぎですし。

      柴田先生の作品は、台本だけでなく、当て書きと、それを生かす柴田先生の演出も素晴らしかったのだと思います。その意味でも、柴田先生の作品を再演する際は、慎重に組を選んでほしいと思います。
      むしろ、この作品を再演するなら、今の体制では、月組が向いていたのではないでしょうか。

  8. みほさん より:

    こんにちは。フィレンツェ、配信で観劇しました。?マークが自分の中に現れ消化出来ずにいましたが、感じていたことを蒼汰さんが言語化してくださり、ありがとうございます。
    説明不足で物語が入ってこず、その中で『愛〜それは〜』ってべるバラか?と思いきや私の好きな柴田先生作品・・・
    柚香さんはキラキラを封印したお役でしたがパメラ、アンジェラに対しての包容力を表現され、演技の安定感を見せてくれたと思います。
    そして今回、星空さんをしっかり認識しました。今後が楽しみな娘役さんですね。とても可愛らしく、声、歌、ダンス、お芝居どれも安定されていますね。
    トップ娘役になられるなら誰の相手と楽しみですね。くせがなく誰とでも合いそうですよね。

  9. 宝塚ウォッチャー より:

    観ました。酷評?の原因は昭和の価値観との相性ですかね~?
    椿姫が大元とも思い、すんなりラストまで楽しめましたよ。
    初見の複数知人も喜んでいたので、上コメントの方安心してください。

    気になったのはマイティ。
    お芝居も歌唱も何言ってるか分からん場面が・・・。
    相性の悪さ(下剋上風味?)なんですかね。

  10. ドルチェ より:

    2回観劇した後に配信視聴しました。
    劇場では2階、3階後方席、遠くでスターが衣装着て立ち稽古してるのかと錯覚するほど動きのない芝居で、幕間に聞こえてくる感想はやはりマイナス評価ばかりでした。
    おそらく配信向きだろうと思い視聴したところ、やはり映像の方がだいぶマシでしたね。
    贔屓に会うためと割り切って観に行くおばさんの不平不満はさておき、おしゃれした小中学生を連れたご家族が初宝塚だったらと思うと劇団の選択に怒りすら覚えます。
    実際、幕間に帰りたいと訴えるお嬢さんを宥めるお母さんを見かけたので。
    上にもベルばらと仰る方いますが、私も賛成です。どうせ古くさい演目をそのままやるなら、定評あるザ宝塚の方がよほどマシです。
    生徒さんは皆さん頑張っておられますが、任でない役だと頑張りもあさっての方向に見えがちで気の毒です。
    水美さんのお芝居が上滑りに見えるのは、癖のある発声のせいもあると思います。
    子音が強すぎて1人で熱血芝居しているように浮いて見えます。物理的な音としては聞こえるけれど台詞の内容が届かないので、観ている方は感情移入ができないのです。
    座付きの演出家は生徒の個性も把握できているはずなので、「上から古い脚本やれと言われたから番手通りに役付けてそのままやります」ではなく、きちんと時代と組子の状況に合わせて潤色していただきたいです。

  11. キョウ より:

    はじめまして!いつも楽しく拝読しております。
    感想を見ていると結構難しそうな様子だったので事前にライビュで予習した上で昨日生観劇してきましたが、まさかのライビュで観たときの方が皆さんの表情から心情の移り変わりが読み取れて面白かったなぁ…という印象に終わりました。
    皆さん与えられた役を魅力的に演じてはいましたが、柚香さんとまどかちゃんコンビ推しの私としてはなかなか動きのない役どころだし二人の絡みも少なかったので、アントニオとレオナルドの配役は逆でも良かったのでは?と思ってしまいました。
    普段コロナ禍でなかなか遠征できないため贔屓の花組が地元に来ることが決まって、半年前から楽しみにしていたのですごく残念でしたし、宝塚ファンではないのにチケットのためにわざわざ友の会に入ってくれた初観劇の友人にも「なんか難しかったね…」と微妙な反応をされて複雑な気持ちです笑。
    ライビュ視聴だとお芝居でもショーでも目立っていた星空美咲ちゃんが、ご当地出身者として名前まで紹介されて大画面に映るので、これを配信したくて今回の再演をやったのかなぁという印象でした。

  12. せり より:

    初コメ失礼いたします。
    今回地元に数年ぶりに宝塚が来るので、楽しみにチケットを取りました。結果、お芝居もショーもどちらも楽しく見ることができました。
    お芝居は必要最低限の設定描写なのに、人間の信念や様々な形の愛の表現が絡み合い、一面性だけでない人間が描かれていて。改めて宝塚歌劇団は愛をテーマとする劇団なのだなぁと感じられました。
    また来て欲しいなぁ。
    …滑舌は正直色んな方が気になりました笑

  13. 氷な子 より:

    その昔「フィレンツェ・・・」の初演も観た者です。当時の記憶を辿って、今回の花組との違いを考えてみました。

    初演アントニオ役汀夏子さんは、髭もなくて爽やかな若い紳士でした。逆にパメラの高宮沙千さんは、元々の持ち味が娘役というより女役的でしたので、年上の訳あり女性と貴族の誠実な青年の悲恋物語という設定として、観客には無理なく受け留められました。またレオナルド役の順みつきさんも、普段から汀さんの弟分的な存在でしたので、直情型の弟役は自然でした。
    言わば、当て書きの配役で紡ぎ出されたテーマは、宝塚の根源「愛」。どんな状況下でも、愛は生まれる時には生まれる、どうしようもないもの、哀しいもの、残酷なもの、純粋なもの。

    今回の花組の主役3人では、柚香さんと水美さんは同期ですし、どちらかと言えば柚香さんの方が弟的な持ち味。また星風さんは愛らしい娘役さんということで、まずは三人共が見た目にも変化球にする必要があり、演技もその容姿に合わせて作り込んでいました。これも潤色ということなのでしょう。
    しかしやはり元々の作品のモチーフとは違うので、価値観も多様化してきた今には、残念ながら本来のテーマは伝わりにくくなってしまったのかと思います。

    今回私は、初日のみの生観劇でしたが、花組の皆さんの演技を観て満足しましたので、配信でもっと細かいお芝居もチェックしたかったです。
    柚香さんの、全く新境地である抑えた演技には感心しましたし、おヒゲも渋さも超イケオジ。パメラへの深い愛情を渋めバージョンでエレガントに、いつもながらに端々まで滲ませて本当に素敵でした。
    星風さんは、若いパメラで純粋さが勝っているような悪女でしたが、アントニオを見つめる熱い眼差しや涙あふれる瞳から、彼を想う気持ちがいつも痛いほど伝わってきて感動しました。
    やはりこの花組トップコンビは、どんな作品であっても最高に愛し合っている二人を体現できるコンビだと、改めて思いました。

    「コルドバ」、「フィレンツェ」、そして次の「うたかた」と、何故花組で柴田作品の再演が続くのか?不思議ではありますが、この二人なら、ルドルフとマリーの至高の恋で魅了してくれるはずだと信じて、楽しみにしています。