やっとやっと、月組公演を観に来ました!!
本当は全部で3回観劇予定だったのですが、
1回目は当日中止を喰らい、インフルを呪っていたら、
自分が感染して2回目を管理人の友人に譲るハメになるとは思いませんでした。
この時ほど因果は巡るなと実感した時はありません。←
そんなわけで結果的に1回しか観られず、
これが中止になったらどうしようとハラハラしながら来ました。
そして最初に書きましょう。芝居も、ショーも、どっちも良かったです!!
まずは芝居の方から感想を書いていきます。
いわゆる「良いサイトー」
サイトー先生どうした???(良い意味で)というのが私の第一感想でした。実は私、齋藤先生との相性がすごぶる悪く、お寒い平成ギャグも過剰な映像演出も何もかも合わないクチだったのですが、本作は本当に心から楽しめました。なぜって、そういう齋藤先生の強い個性が薄くて、あくまで無難で大衆的でベタで分かりやすい、感動的な物語だったからです。
東西に分断されたベルリンを舞台に、東側の軍人である頭の固い月城ヨナスが、西側のポップスターである海乃ナディアのコンサートを担当することで物語が始まり、最初反りが合わなかったものの次第に解きほぐされていく…。うーん、ベタです。まるで宝塚版『愛の不時着』か!!ってくらいベタ。だがそれが良い。それでいて、宝塚らしく大量のキャストに役を振りながら、それがちゃんと似合う役・考えられた役だったりしたうえで、きちんと物語が筋道だって展開し、一切の無駄がなく綺麗に集束していきながら、「人と人、国と国に国境は無い」という普遍的な、だけど情勢不安な今だからこそ深いメッセージ性まで伝わって来る。
特に一番評価しているのが、これが完全オリジナル作品であること。まぁ『国境のない地図』まんまやんけというツッコミも聞こえなくはないですが、現代(令和5年)的にアレンジされていて、私は普通に別物として楽しめました。私がここまで完全オリジナルでツボだったのは、花組『MESSIAH』ぶりだったかもしれません…。それくらい素晴らしい作品でした。
演出面で言えば、羽をモチーフにした石風素材に映像を映すにとどめ、あくまで物語の内容で、そしてキャラクターの魅力で展開していった齋藤先生の気概に驚きました。今まで口酸っぱく「無駄な映像演出は止めろ」と言ってきた私なので「やればできるじゃーん!!」と感動しきりでしたが、最後の最後でやっぱり捨てきれなくて出してきて笑っちゃいましたが、まぁご愛敬でしょう。衣装もトンチキで奇抜でカラフルなのに、そもそもの舞台の色味が暗いからこそそれらが映えて見えたのも効果的でしたし、軍人チームと私服チームの活動性が分かりやすくて(ロミジュリの赤と青みたい)良かったと思います。
主要登場人物を語る
では、登場人物について語っていきましょう。
まず印象的だったのが、海乃ナディアがいわゆるお高く留まったわがままブロンドガールというプロトタイプな役じゃなくて、意外と品行方正なキャラなのが現代的だなと思いました。事務所の社長に頼まれたら断れないし、揉め事に巻き込まれても機転を利かせるし、言うほどわがままも言わない。むしろ、月城ヨナスに影響されて東西統一のために激しく運動しだしたり、母親を探し当てたりと、スーパー活発レディですよね。ここが「愛する月城ヨナスのため」とかじゃなくて、自分の信念の方が強い雰囲気なのが今風だなと思いました(メロドラマなら壁崩壊の時に抱き合ってキスしたことでしょう)。
一方、実にプロトタイプだなと思ったのが、鳳月杏演じるヘルムート。東側の過激思想派でテロも辞さない人物で、分かりやすい黒幕にして悪役。若者への非道、手下との会合、独房聴取と、悪役場面3点セットを全部与えられ、ノリノリにこなす鳳月杏が見られます。その最後については是非がありそうですが、私は当然の選択だったと思います。それでこそヘルムートなりの信念が本物であったことの証明なのだろうし、むしろ「自殺しない」なんてありえません。また、彼の改心は別に物語的に何も重要じゃありませんから、ばっさり死んで退場で綺麗だったと思いますよ。あと、ここだけ展開が古典的なことでむしろ宝塚美学がキープされている印象すらありました。
風間ルイスは、これまた印象的な美味しい3番手役って感じで、かつ彼女の飄々としたキャラい合っていて良かったです。まぁ「NATO」と歌っている歌詞が「謎」と聞こえて、自分に対して謎かけしながら去っていくように見えたのが難点です…ちゃんと正体については台詞で説明させた方が良かったのでは?
最後、主役の月城ヨナスについてですが、もう語るべもないほど完璧で最高でした。芝居・ビジュアル・歌とぜーんぶ完璧。なんですが、さすがに腰の調子が悪いのか、補正がキツそうだなと感じられてしまったので、やはり任期5作が限界だったのかなと思いました(後期の紅さんみたいになっとる、との管理人談)。あ、主要2人がキスすらせず、最後「イイ感じ」になって終わるに留まってるあたりも現代的だなと思いますし、この作品の雰囲気に合っていて良かったと思います。
その他、気になったキャスト
ここからはさっくり行きます!その他、気になったキャストについて。
まずは彩みちるがとんでもなく綺麗になっていたこと。いや、マジで。なぜにこのタイミングでビジュアルがさらに完成されてきてきてるの?という驚きの美しさでした。
天紫珠李は、サーシャ役よりも最後のダンサー登板(フリューゲル役)の方が印象深かったです。ショーの方でもロケットガール務めてますし、今期はダンス重用なんですかね?
トーマ演じた礼華はる、路線役がしっかり板につき、カッコ良さと愛嬌もあって素敵でした。逆にゲッツェを演じた彩海せらはいつものパターンって感じで、辛抱役だったかなぁ…。あ、英かおともいつも通りカッコ良くて眼福でした。ああいう根明だけど真面目な気のいいニーチャンを演じさせると右に出るものはいないと思います。
今回で退団となる蘭尚樹、最後の最後で男役冥利につきるような正統派悪役をやれて良かったですね…。悪チームの中だと、芝居上手がゆえにいつもクセのある役を回されがちな佳城葵が正統派悪を演じていて、やっぱり目を惹きました。
そして同様に退団者である蓮つかさ。ド序盤にインパクトのある役を1つと、後半からは温かみのある弁護士役。1度で2度美味しい餞別でした。ありがとうサイトー先生。そしてありがとう蓮つかさ。
狂言回しを100期生の桃歌雪が取っているあたりに、時代の流れを感じました。もちろん上手くて納得の抜擢。これからの活躍にも期待大です!!
モブ役ですが、レストランの主人役として出た一星慧に叶ゆうりみを感じました。彼女の男役としての成長も実に楽しみですね。
白雪姉さんの老女役は、ガチモンの舞台人の演技技術で度肝を抜きますね。車椅子に座っていた時の目つきが、完全に痴ほう入っている人のソレで驚きました。温かみのある芝居、深みのある歌、もちろんどちらも完璧。さすがです。
そして光月るうが居るかと思ったら、まさかの春海ゆうでビックリしました。もう彼女もこういう老け役をやるようになるのかー。
本当はあともう1回観たかった
以上、ざっくり感想でした。久しぶりに良いもん見せてもらいました。
やっぱり宝塚っていいなって心から思いましたね、うん。
ガチで本当はもう1回観て内容を深めたいんですけど、
今回は縁が無かったということで諦めます…。
次はショーの感想編です!!
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コメント
いつも楽しく、拝見しております。
博多座、バウホール、での星組パッショーン、が無事に終演し、東宝で月組が頑張ってるのですね。
お江戸での『万華鏡』だなんて、もう、ね。
月城さん鳳月さんの姿を眺めたくて、千秋楽配信を楽しみにしています。
自分が数日前見に行った時は高校生の芸術鑑賞教室と一緒でした。幕間で男子高校生数人が「オレめっちゃ感動したんだけどおおおお」と盛り上がっていましたね。女子生徒たちの「トップの人やばくない!?」の声には、心の中だけで百回首肯しました。やっぱり宝塚っていいなと。無くなってほしくないです。
いつも楽しみにしております。
月組見られたようで良かったです。
ここ最近の事件の影響でもしかして宝塚への熱が冷めてしまったのでは…?と
思っていましたので。
(前回の雪組の更新で少し安心しました)
星ミーマイとバウ配信は見られていないのですね。(管理人さんが星組ファンだと思いますのでてっきり見られるのかと思ってました!)
彩海さんの役どころ、本人にも合っていて美味しいと思いましたが、彼女はああいう役をよくやっているんですかね。(彩海さんの過去の役はあまり詳しくないもので)
彼女もトップになったら星のようによく死ぬ立ち回りになりそうなくらい、葛藤する役が似合うなーと思いました。
ブログ主さんは東京出身者でしたでしょうか?
万華鏡の更新楽しみにしております。
わかります。
今回はとにかくみちるちゃんが
綺麗すぎて驚きました。。。
退団前特有のものでないことを祈ります。
月城さんと一緒に退団する説ありそう…