超大作歴史絵巻・雪組『蒼穹の昴』感想

 

雪組『蒼穹の昴』をさっそく観劇して参りました。

 

 

しかしながら凄いですね、劇団の力の入れっぷりが。笑

 

専科大量投入はもちろんのこと、

舞台、衣装、公演パンフまでも超豪華仕様で、

彩風咲奈の代表作を作ろう!!という意気込みをひしひしと感じました。

 

相変わらずの敢えての予習無しで挑んだ観劇記、まとめていきます。

 

雪組『蒼穹の昴』全体感想

 

まず大前提として、宝塚に限らずエンタメ興行に対する私の中の評価基準として、

「何も知らない一般人が楽しめるか」が結構大きかったりします。

 

で、皆さんに一つ確認したいのですが、

この話、分かりました?

 

んーっとですね、日本史と中国史が大学受験で止まっている身としては、

(西洋史は好きなので大人になってから雑学として学んだ)

スターの顔で登場人物を判別しながら話の中身を追うのに精一杯でした…。

 

雪組贔屓の私ですらこうなのに、

登場人物がみな似たような衣装と発声をする中で、

宝塚をよく知らない人(かつ世界史に疎い人)がこの舞台作品を見て、

果たして楽しめたのだろうかと心配になった、というのが第一感想です。

 

内容的には、人々の心情描写を描くというより超大作歴史絵巻的で、

感情移入(もといキャラ萌え)はし辛かったかな、と思います。

 

それでも「運命は自分で変えられる」という強いメッセージは感じられましたし、

苦境の中でも這い上がろうとする李春児と、

取り巻く白太太や京劇メンバーとのくだりを見ると、やっぱり感動しましたね…。

 

今は苦しくても心の中の昴を信じて歩み続けよう、というのは、

長く続くコロナに喘ぐ私の心に強く響いたのでした。

 

あと、個人的に兼ねてから宝塚の中国物を一度は見たいと思っていて、

それはなぜかって豪華絢爛な衣装やセットが見られるからなのですが、

想像以上に大迫力のスーパーゴージャスでしたね!!

 

特に第一幕の日清戦争の場面と

第二幕の最後に朝美絢が「紅牆の道」を駆けてくるあたりは特に感動しましたし、

「原田先生、めっちゃこれやりたかったんだろうな」という

演出家としてのエクスタシーを感じてしまいました。笑

 

キャスト別さっくり感想・主要キャスト編

 

さて、ここからはキャスト別感想を書いていくのですが、

書きたい登場人物が多いので、マジで「さっくり」書いていきます。

 

主人公、梁文秀を演じた彩風咲奈。

スタイルと包容力を生かした、まさにピッタリな役でした。

改革を進める立場のはずなのに、不思議と受けの芝居が多かったのが印象的。

歌唱力も大幅アップし、メッセージ性の強いソロ曲が心に響きました。

 

ヒロインである李玲玲を演じた朝月希和。

主人公との絡みが薄いのにこれで退団?という文句も分からんでもないですが、

密やかに主人公を慕い、助け、思い続けるという役どころは

彼女にピッタリだったと思います。

 

裏主人公である極貧の少年・李春児を演じた朝美絢。

これはずるい、そりゃみんな助けてあげたくなるような可愛らしさ!!

声を高くし、キラキラした瞳や表情、そして一挙一動で、

ちゃんとそう見えるよう芝居しているのだから、大したのものです。

 

科挙を次席で通ったイケボの既婚者こと順桂を演じた和希そら。

出番的にはちょーっと渋かったですけど、

フィナーレの歌手のキラキラオーラで帳消しでしょう。

ところで爆弾のくだりは精神世界に飛んだのかと思ったのですが、どうやら違うようですね?

 

悲劇の王子・光緒帝を演じた縣千。

われは皇帝ぞ!!という圧倒的なオーラが凄かったですね、さすが御曹司育ちです。

こういう抑えの芝居も路線として上がってうえで大事な経験だと思います。

 

洋務運動を進める将軍・李鴻章を演じた凪七瑠海。

上級生としての余裕が感じられる芝居でした。

本人がえらく楽しそうに演じているのが透けて見えて良かったです。

 

キャスト別さっくり感想・脇役編

 

ここで白状してしまうと、今回は主要キャストたちよりも

脇役キャストの方に私は萌えたんですよね。

 

ってことでまずは李玲玲に片思いしてしまった譚嗣同を演じた諏訪さき。

これまたズルイ、泣いてまうやろーーーーーーーーーーー!!

こんな展開、韓ドラ中ドラで鬼のように見ましたけど、それでも泣ける不思議。

 

叶わぬ恋と改革への信念を貫きながら、主人公を助けて死んでいくなんで、

諏訪くん、エエ役貰ったなぁ…と感動してしまいました。

 

西洋かぶれの皇族・鎮国公載沢役の咲城けい。

涼しげな顔立ちなのに「イェエエエエエエス!!」と叫んで踊るという、

圧強めなキャラ作りが星育ちって感じでした。笑

 

魅惑の美女たるミセス・チャン役は夢白あや。

想像より出番が少な過ぎましたが、美しさが際立ってましたね!!

 

アメリカ人記者のトーマス・バートンを演じた壮海はるま。

個人的にはMVP…というより垢抜け大賞を差し上げたいと思います。

ここに来てグッとカッコ良くなりましたねー!!

『ほんものの魔法使』から応援していた身としてはプチ感動。

 

日本人記者・岡圭之介を演じた久城あす。

こういう役どころお得意ですよねーという安心感。

ストーリーテラーとしてもバッチリ大活躍でした。

 

李鴻章の部下となる王逸を演じた一禾あお。

102期生とは思えぬしっかりとして芝居と発声で舞台を彩ってました!!

やはり強い別格枠として歩を進めましたね。

 

同じく強い別格枠候補となった眞ノ宮るい。

朝美絢のおししょー様役、自身の技を全て継承して死んでいくなんて、

これまたずるい、超カッコ良い!!

中二心をくすぐるビジュアルもサイキョーです。笑

 

李鴻章の後継となる袁世凱を演じた真那春人。

今回の登場人物で一番好きかも。大好き小悪党!!

『CITY HUNTER』以降こういう役が続いているからか、さすがの安定感でした。

 

上級生ながら影で支える印象が強かった透真かずきは、

今回は李蓮英という比較的美味しいポジションを取っていたのが、

雪組ファンとしては嬉しく思いました。

スチールの通り舐め腐った顔で舞台に出ていて良かったです。(褒めてます)

 

専科チームはさすがですね。

威厳と悲哀を見事に両立してみせた西太后役の一樹千尋、

声色から慈しみが滲み出ている白太太役(スチールの涙がイイ!!)京三紗

豪華過ぎるワンポイントリリーフ、伊藤博文のそっくりさんこと汝鳥伶、

腹黒黒幕系かと思いきやまさかの常識人枠、楊喜楨役の夏美よう、

ここまでガッツリ悪役なのを初めて見た栄禄役の悠真倫、

みんな、みーんな凄かったです。

 

一禾あおと咲城けいの番手的な空想話

 

最後に、番手的な空想話です。

 

科挙を首席で合格した梁文秀役に、同じく首席入団彩風咲奈。

科挙を次席で合格した順桂役に、同じく次席入団和希そら。

 

ここまで役と本人の出自がピッタリな配役が続いているのに、

なぜ科挙を3番で合格した王逸役に、同じく3番入団咲城けいではなく、

一禾あおにしたのだろう?と単純に疑問に思いました。

 

…いや、もしかしたらそのつもりだったけど、

普段の評価あるいはオーディションにおいて、

劇団あるいは雪組の評価が一禾あお>咲城けいになってしまったのではないか?

と邪推してしまったのでした。

 

ぶっちゃけ鎮国公載沢って一禾あおでもピッタリだし、

そもそも新人公演の配役も2番手が咲城けいだと思っていたところに、

最終成績含めまさかの一禾あおに番手をひっくり返されていますからね。

 

このあたり、路線至上主義とはいえ劇団もシビアだなぁと思った配役でした。

 

以上、長々と書いた感想編でした。

あと何回か観劇する予定なので全力で楽しんで来ます!!

 

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コメント

  1. より:

    『咲城さき』になってる部分がございます…毎記事のように誤字脱字がありますが大丈夫ですか…?

    蒼穹は何も知らない身には眠たい授業のようで、けれど朝美さんの出番になると面白いなと感じていました。
    観劇後に原作について調べると朝美さんのお役が本来であれば主役だったそうで、尺の足りなさも含めやはり無理があったのだろうなという印象でした。
    咲城さんは星組新公の歌の拙さが響いたのかもとも思うのですが、個人的には一禾さんの芝居の酷さも同レベルだったので生え抜きに軍配というのもあるような気がしています。

  2. 五條 より:

    他ブロガーの方もおっしゃってる方何人かいらっしゃいましたね。1度目意味わからんかったと。で、2度目からはスッキリ楽しめたと。私は浅田次郎ファンなのですぐわかりましたが、初見だとそう感じるものなのですね。2度目からは楽しめるようですが…まあそれはそれで如何なものか、と思わなくもないですw

    一禾はものすごくデカい役貰いましたね!セリフも出番も多いし、彩風和希と一緒に歌うシーンまであるとは…。
    個人的に、これアンバサダーシャッフルないかも?と感じました。同郷の縣支えに感じたのです。歌が上手く縣と距離も近く歌える彩海が抜けたこともあって、同郷の諏訪と一禾(2人とも歌えますし)を上げて縣を支えていくよ、というような匂わせ?といいますか。
    次もこの京都3人組一緒ですしね。今後の雪組は、2人(+眞ノ宮と希良々も?)の出番を増やしていくのかなあ、と。
    最近地味に95期の扱いもよくなってるような気もしました。夢介で愛と桜路、今回の天月(やってること専科やん!)。次、白峰に出番があるといいなあと思います。

  3. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、拝見しております。
    豪華な舞台、衣裳、各キャストの魅力に溺れ、あらすじは…、すみません、よくわかっらずのままで、観劇に通いました。
    ふと原作本を手にし、購入したものの(これもまた、ジェンヌさん起用版表紙のものを!)、結末が知りたくて4巻のみ読了、というありさまです。
    気がかりなのは明年の『おとめ』誌で、天月さんの舞台スチールが『安徳海』掲載なのか、です。これは、現公演中の星組美稀組長も、ですが。

    千秋楽まで、無事完走できますように!

  4. ラングドシャ より:

    初めまして、いつも楽しく拝読しております。主に配信や円盤で宝塚を楽しんでいる、超超ライトファンかつ初心者です。このブログで、宝塚のことを色々と勉強させて頂いています。

    「蒼穹の昴」、ご覧になったのですね。私は原作を予習したところ物凄く面白くて大好きになってしまい(とは言っても、続編たちは読んでいないのですが……)、この大作をどのような形で舞台化するのだろう……と、不安半分期待半分の気持ちで宝塚公演の配信を観ました。

    結果、あの原作を二時間半に凝縮させた舞台作品として、ほぼ妥当な形にまとめられていたな、という印象です(何様だよ……。すみません)。
    舞台機構も衣装もゴージャスだし、何より原作の魂が強く伝わる作品になっていて、原作好きとしては満足でした。
    とはいえ私も蒼汰さんと同じく、「予備知識がなければ理解できない」というのはエンタメ作品としては致命的な失点であると考えています。

    私が改めて言うまでもないことですが、あの大長編をフィナーレ入れて二時間半の舞台で描こうとしたのがそもそも無理筋ですよねぇ……。
    あらすじを粗くなぞるだけで精一杯で、観客に理解してもらうための工夫を入れ込む余地がない。せっかくの多彩な登場人物たちは大幅に場面をカットされ、ミセス・チャンのように、原作では印象的な活躍を見せるのに舞台では極めて薄い扱いになってしまった役も。
    二時間半じゃあアレで限界だったのはわかる、わかるけど……!

    原作は本当に名作で、歴史モノや人間ドラマが好きな方にはかなりおススメなんですよ……。
    (以下、ネタバレというほどでもありませんが、原作の内容に若干触れているのでご注意下さい)
    春児の苦難と奮闘が詳細に描かれているため、運命をも変えてしまうほどの彼の不屈の意志がより強く伝わってきます。文秀が受けた科挙の過酷さも同じく。
    さらに、舞台では触れられなかった、脇役たちそれぞれの印象的なエピソードや名場面が数多くあり、後半からは群像劇の彩りも帯びていきます。文秀と玲玲と譚嗣同の関係にも、強く胸に迫るものが。

    実在した18世紀のイタリア人宣教師も登場しますよ!文秀・春児の物語とは時間軸を異にする(そして微妙に重なる)アナザーストーリーの核となる役どころで、作者はかなりの文量を割いて彼の物語を綴っています。世界史がお好きな蒼汰さんには興味深い描写などもあるかもしれません。お時間と興味がおありでしたら、いつかぜひ。

    初心者なのに長々と失礼致しました。

  5. えびす より:

    いつも楽しく拝見しております。
    私は歴史に疎かったので、正直なところ1回観ただけでは、話について行けずわかりませんでした。笑
    「1回しか観れない人もいるのに、それは有りなのか?」と思ってしまうのですが、2回くらい観に行くと「なるほど!そういうことか!」と理解が深まりました。笑

    他の観劇者も「2回観てわかった」と話される声が聞こえたので、多くの方がそうなのかな…と勝手に思ってしまいました。笑

  6. はる より:

    原作なしで観ましたが、私も2回目でスッキリ入りました。そもそも中国人の名前が入ってこなくて誰がどうしたとかが分かりづらいですね。
    3回目から個人的な萌えで楽しめるように思いましたが、チケットは簡単に降ってこないので萌えが出来るのは千秋楽近くでしょうか?「紫禁城の落日」を生で観てますが、主要登場人物が多めなのも話が追いづらいんだろうと推測します。原作が壮大ですから仕方がないのかもしれません。映画みたいに前編後編にして上演も出来ないし詰め込むだけ詰め込んだのでしょう。何故専科さんが6人も必要なのかも良く分かりました。年配の登場人物が多いのもありますが、短い出番で説得力のあるお芝居が必要だったのですね。
    雪組の上級生は達者な人多いのに何故だろうとずっと疑問でした。観て納得しました。個人的にゆうちゃんさんのセリフがもの凄く刺さりました。
    これが原作者の伝えたいメッセージなんだろうなと思いました。
    中毒性がある作品なので何回でも観たくなりますね。
    衣装やセットの豪華さにも宝塚だ〜!ってなりました。笑
    無事に最後まで駆け抜けられますように。

    因みに私もあの2人の逆転には??ってなっておりました。。

  7. より:

    予習して正解でした!でも、原作のこの場面映像化されてる!という楽しみ方をしてしまったので、舞台の筋書き自体を楽しめたかというと、疑問符がつきます。特に2幕はちょっと無理があるな…と思いました。どうして文秀を逃がそうとするのかという説得力が弱くて、梁文秀の活躍をもう少し派手に演出してくれればな〜と思いながら観たのですが、朝美春児が逃げてくれと泣きながら訴えるあの演技でもうサヨナラホームランというか。春児のために亡命して!って気持ちになりました。
    話の筋は納得しづらい部分もありましたが、衣装と舞台装置の絢爛さ、専科さんと雪組生の熱演は素晴らしかったです。
    千秋楽の配信も楽しみですね!

  8. きょうこ より:

    はじめてコメントさせていただきます。
    蒼穹の昴はかえって初心者のおじさんとかのが話を合いやすいかと思います。

    あわよくば好きなスターを見つけたいヅカオタは今回衣装の違いも少ないので推しを見つける/認知する&話をおっかけるので初回観劇は大変なのかなと。

    大河ドラマとかたまにみて嗜むタイプには、誰がどういうひとかしらなくてもわかって楽しめると思います。

    ちなみに私はひかりふる路の初見の際にすべては理解できませんでした。
    ファントムも、なぜクリスティーヌが逃げるのか(それがストーリーに組み込まれてるのか)初めてスカステでみたとき分からなかったです。
     
    今回の作品は中華モノとして構えてみると初見は難しく思うかもしれませんが、少し距離をおいて見れば革命ものであり、よくヅカではある女帝と皇子(皇帝)そこに官僚が絡んできて彼らが主役になったと考えると理解しやすい物語だなと思いました。