月組『ダル・レークの恋』キャスト別感想

 

 

古き良き宝塚を感じさせてくれた

月城かなと主演『ダル・レークの恋』。

 

前回はさっくり感想をまとめましたが、

今回はキャスト別に感想を書いていきます。

 

【前回の感想はコチラ】

 

主要キャスト・さくさく感想

ラッチマン/月城かなと

 

まず、あのターバン姿が似合う時点で反則。

そして、立ち姿だけで薫る色香も反則。

さらに、やってることも言動もよく考えたらアレだけど、

それが全部ロイヤルな気品漂う人物像に昇華出来ちゃうのも反則。

 

つまりまぁ、ビジュアル・芝居ともに

最強のハマり役ということです。

 

特に彼女はさりげない芝居が上手ですよね。

古典作品らしい大味な話の展開の中でも感情の流れが丁寧といいますか、

大きな動作があったわけではないのに「あ、怒ったな」と分かる感じとか。

 

個人的には第2幕にて、

千海パパが暁ペペルに喧嘩を吹っ掛ける後ろで

「おいおい大丈夫かよ」からの「こっちに火の粉を掛けないでくれ」の

さりげなーい表情の変化に唸っておりました。

 

『I AM FROM AUSTRIA』にて

美園エマが最後にみんなの前で心情を吐露する場面でも

同じように表情の変化を見事表現してましたよね。さすがだわ。

 

あと、芝居が出来るうえに

歌唱力も「聞ける」レベルで上手なのも凄いっす。

主演者としての落ち着きも見事でした。

 

カマラ/海乃美月

 

綺麗でしたねー。

気品と風格が備わってて、クラシカルな雰囲気が良く出てました。

 

個人的には、やっぱりフィナーレが見事だったかな。

舞空瞳に隠れがちですが、実は彼女も相当なダンス力の持ち主。

 

というかバレエ系ダンサーとしては

在団する路線娘役ナンバーワンなのでは?と思うほど。

ドレスの裾捌きがとにかく綺麗なのです。

 

ダンスが唯一苦手な月城を上手にフォローしつつ、

しっかり男役としてカッコ良くみせられるのは流石の一言です。

 

ペペル/暁千星

 

やっぱ男役って10年経つと一皮剥けるのね、

というくらい大躍進でした。

 

いや、彼女の進化は以前から薄々感づいてましたけど、

この作品を通して改めて思いました。

暁千星、一皮剝けてます。

 

得意のダンスがキレキレなのはもちろん、

歌ですよ。本当に安定してました。

もともと声量「は」ある方でしたけれど

今回はそれを上手にコントロールし、感情を上手く表現出来ていました。

 

学年が上がるにつれ、いわゆるバブ芸から

もともとの本人の気質であろうクールな一面が見え隠れしてましけど、

ここで芝居の表現でも地に足着いた印象。

 

役柄的には稀代のワル系ですが、

ジャニ顔の彼女が演じると三下ホスト崩れのような軽さが出て、

それはそれで良かったと思います。

(きよらリタちゃん悪いホストに騙されてるよーと突っ込みたくなった。笑)

 

美味しい2番手悪役をちゃんと昇華出来るのも、

大切な、そして立派な彼女のスター性。

 

そして、大人顔芝居達者の月城とアイドル系キラキラダンサーの暁は

やはり相性最強だなと思いました。

 

クリスナ/風間柚乃

 

多くの宝塚ファンの中で、

相当ハードルが高まっているであろう風間柚乃氏ですが、

今回はビックリするくらい普通の役。

 

普通の役を普通にこなせるあたりが流石ですし、

歌いだすと「やっぱり上手いなぁ」と唸らせるのも流石です。

 

リタ/きよら羽龍

 

ついに出番の増えた3人娘(舞空・夢白・きよら)、最後の1人。

 

要所要所の出番をしっかり押さえ、

噂通りの超絶美声を鳴らしていました。

 

『Anna Karenina』の時から薄々思ってましたけど、

芝居については結構クセ強めですよね。

美園さくらと同じく、洋画の吹き替え系というかアニメ系というか…。

 

ま、彼女は中卒入団ですので伸びしろは充分。

ヒロインとしてのさらなる進化に期待したいです。

 

酒場の亭主・ハリラム/蓮つかさ

 

祭りの場面で歌いだしたおっさん役を見て、

「この歌上手い別格スター誰だろう」と思っていたら

途中で気付いてビックリ、蓮つかさやんけ!!

 

本格的な老け役は初挑戦ですかね?

ハリラム含めめちゃくそ上手に演じ切ってました。

限りなく別格に近い路線枠として、貴重な一打となったことでしょう。

 

その他、気になったスターたち

 

インディラ役の梨花ますみ

まさにリアルインドのボス!!という雰囲気が流石でしたね。

ああいう人、本当に現地にいそう。

 

チャンドラ役の千海華蘭は、

「こういう役も上手に出来ちゃうなんて本当ずるいわー」という感じ。

全ての元凶のはずなのに、

憎めないおっちゃん風に仕上がってて良かったです。

 

水の青年こと彩音星凪は、まさに役得。

心象表現として色んな場面で通して出ていて、よく目立ってました。

高身長を生かしたダンスにリフトにと大活躍でしたね。

 

ジャスビル役の礼華はるは、

とにかくその異次元スタイルが凄かった!!

 

ビーナ役の詩ちづるは、出番は少ない(研2にしては充分)けれど、

破綻なく芝居が出来ていて良かったです。

今後の抜擢が楽しみですね。

 

月組若手陣がアツい!!

 

宝塚の古典作品って大味の芝居、舞台演出が多いゆえに、

ハイレベルな歌と芝居が求められるわけですが、

それを難なくやってのけた月組若手陣は本当に凄いと思います。

 

次のトップが誰になるのかまだ分かりませんが、

今作を見て次期体制が色々と楽しみになりました。

『幽霊刑事』の方も楽しみですね!!

 

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コメント

  1. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。ハイダラバードの王族ならムスリム?あのファッションはヒンドゥー? ???が止まらないライビュ専科の地方民です。

    個人的に、助演男役賞は風間さん!20世紀初頭の、インドの名門ハイダラバードのマハ・ラジアだというのに、妻の尻にひかれるマスオさん的お人よしに見えて、

    子どもの頃から可愛がってきたカマラを、一族の名誉のため、ラジエンドラに”差し出す”時、「僕は君の味方だよ」的な勇気づけ?セリフを言う時、

    ラッチマンの素性が明らかになり、「あの人にもう一度会いたい!誤解を解いてやり直したい」的なことを言うカマラに「ああ、できるといいね」と励ます的なセリフを言う時、(すみません。セリフはうろ覚えです)

    優しく温厚に見えて、内心ではこの先がお見通しで、まあ、無理だろうなと突き放しているような、セリフの”ヒヤッとした”肌触りが、

    インドのマハラジアの事は全く知らないのですが、その辺の庶民のおっさんがオタオタしているのとは、妙に異質でリアルな、やんごとなき”ヒヤッ”に感じました。

  2. なか より:

    いつも楽しく拝見しています。

    月組凄い!を受けて蒼汰さんに聞いてほしくてコメントします。

    月組!良いですよね!!
    そう思う毎に同時に去来する想いは・・・皆さんがよく言う「月組闇人事」の延長線上に「今の月組」があるということ。
    雪組も雪組素晴らしい!!ですよね。
    同時に思うのは客席が埋まらなかった「あの雪組」の延長線上に「今の雪組」があるということ。

    宝塚の生徒達はどんな条件の元でも全力を尽くします。
    命を削る想いで覚悟を決めたトップさん。トップさんを、あらん限りの力で支える組子。その努力の積み重ねが己を成長させる。個人も組も今の通過点が必ず次へ繋がる力になる。

    ある一瞬の点を摘まみ上げれば理不尽に思える出来事も、全力を注ぐことで出来事の意味さえ替える。
    子どもの頃はただ華やかさと格好良さで惹かれたステージでしたが、人生後半の今は生徒達の想いと行動、結果のステージに感動します。
    その感動が私に力を与えてくれます。

    部外者から見ても一見理不尽な決め事が良いとは思いませんし、必要だとも思いません。でも、自分の立ち位置で全力を注いだ結果が、卒業する時あの清々しい笑顔に繋がるのでしょう。努力し続けなければ味わえない尊い笑顔です。現実から目を背けず精進し続ける生徒達へエールを送り続けます。

    誹謗中傷がそんな彼女たちのエネルギーを削ぐことになってほしくないです。精進し続ける生徒が(ある一点での評価判断ではなく)成長し変化することを見守り応援する「文化」こそ100年以上の歴史の源と思います。

  3. kobara より:

    月城さんのロイヤルさが際だっていましたね。現在のトップや2番手あたりの方と個性が被らないのは強みですよね。
    トップになったら、美しさをいかして宝塚らしさ全開のグランドロマン的な演目を沢山やってもらいたいものです。
    個人的にはトップコンビは弱点を補い合うより、得意なことを一緒に伸ばしていただきたいと思う派なので、月城さんの芝居や歌を一緒に昇華していける相手役だといいなと思いますが、果たしてどうなるんでしょうね。

    きよらさん、思っていたより色んな意味でクセがあるなと感じました。クセの強さはヒロインとしては弱点になってしまうことが多いですよね。期待の娘役さんなので個性は大事にしつつヒロインらしさは失わないように成長して欲しいものです。

  4. コスモスハート より:

    蒼汰様

    途切れず更新、ありがとうございます。

    ダルレークの恋って、初演が1959年!
    一周回るどころか、何周もしてる‥(笑)
    ラッチマンを春日野先生演じて、演出もされていたと、しかも初演月組、再演は一回星組でやっているけど、あとはずっと月組。
    やはり、宝塚歌劇団の歴史の中に名作として存在していると感じた。
    月組生が、誇りとプライドを持って、取り組んだと推察する。
    どの出演者も、まさにこのタイミングで、この役、似合っているし、次が楽しみだし、改めて宝塚歌劇団の素晴らしい〜
    別にゴマすっているわけではありません。
    別箱が、全く系統の異なる今風の作品。
    実に良い組み合わせと思った。