月組『ダル・レークの恋』感想と次期体制を思う

 

月城かなと主演の『ダル・レークの恋』を配信で拝見しました。

これまで何度も再演されてきた作品ですが、

実は、初見。

 

観て思ったことをさっくりまとめていきます。

 

「古臭い」が一周回って新しい

 

いやー、楽しめましたよ。

まさしく「THE・宝塚」な世界観でしたね。

 

話の展開といい台詞回しといい良く言えば「クラシカル」、

ハッキリ言えば全体的に古臭いんだけれど、

それが月城かなとにめちゃくちゃハマるんですよ。

 

95期と言えば、ビジュアル特化の柚香光、

舞台技術特化の礼真琴がツートップとして走ってきたわけですが、

その隙間を縫う第3の男役として上げられてきたのが、彼女。

 

柚香&礼コンビの魅力は現代的でスタイリッシュ、

逆に言えば古典的宝塚の男役像とは少しずれるわけですけれど、

月城はTHE・宝塚な王道な雰囲気が本当に良く似合う。

 

内容で言うと、台詞がいちいち古くて逆にオシャレですよねー。

冒頭から「女の言葉は春の蜜蜂のようなものですわ」なんて

汎用性が有り過ぎて今後使っていこうと思いましたもん。笑

 

そして衣装や舞台選出も豪華絢爛!!

ACTシアター公演はそのあたりいつも金がかかってて

毎回見ていて非常に楽しいのですが、今回も本当に良かった。

 

海乃美月のグラデーションはじめ小物含め民族衣装系も凝ってたし、

湖や月、波紋や雪といった映像演出も非常に効果的でした。

 

最後が結ばれず悲恋として終わり、

とにかくトップスターがカッコ良ければそれでいい!!という押し出しも、

実に古典的で素晴らしいと思います。

 

こういう古臭さい作品、最近あまり見ないので、

一周回って新鮮な魅力として映っていたし、

それをキャスト、演出で見事に作り変えた作品だったと思いました。

 

別箱公演のガッツリ若手育成

 

そしてコロナ禍以降の他の外箱公演同様、

今作でも若手の登用が目立ってたと思います。

 

まずは105期4人娘の1人、詩ちづる。

蘭尚樹と「アツアツ」ペアとして登場し、

セリフも出番も多く目立っていましたねー。

 

そして104期の初詣ガールであるきよら羽龍

ついにここで娘2ポジをゲット。

歌って踊って芝居して、月城かなと、暁千星ともペアを組んでました。

 

娘役で他に目立っていたのは、

水の少女として全編しなやかに踊っていた菜々野あり。

 

その対の水の青年役は、101期生の彩音星凪。

ダイナミックなダンスで舞台を彩り、

特に1幕最後のグルグルリフトは圧巻でした。

 

その同期の礼華はるは、警備隊(?)役でセリフも多く、

こちらも非常に目立っていましたね。

 

この101期コンビはどうするんですかねー。

95期の朝美絢&輝月ゆうまみたいな感じで育てていくのかな?

 

そしてフィナーレでは若手の登用が盛りだくさん。

それぞれにきちんと見せ場があり、

若手も「ここがチャンスだ!!」と言わんばかりの全力投球で

見ていて非常に楽しかったです。

 

その分、割を食ったのが夢奈瑠音、蓮つかさなんでしょうけれど、

夢奈は梅芸版では格が1つあがりますし、

蓮もここで1つ老け役を経験しておくのは、

別格上級生としては良いチャンスだと思います。

(瀬戸かずやみたいな例もありますしね。)

 

かように、全体的に育成含めナイス采配という感じで

見ていてストレス無く楽しむことが出来ました。

 

今後の月組新体制に思う

 

そして改めて月城かなと×暁千星の相性の良さに感動しました。

特に2幕の博打で勝負の場面ね。本当にキラキラしてた。

 

ここは雪組における早霧(珠城)→望海(月城)→彩風(暁)のように、

順繰りに組内昇格した方が絶っ対に良いーーーーーーーーー!!と

一ファンとして思っちゃいましたよ。

 

そして月城かなと×海乃美月の相性の良さはもちろん、

2番手に暁千星、3番手に風間柚乃、

上級生別格枠として夢奈瑠音、蓮つかさ、あと千海華蘭、

若手枠で礼華はる、彩音星凪、きよら羽龍、詩ちづる、と完璧な布陣。

 

まさに、多くの人が考えるだろう

「理想の次期月組体制」という感じだったこの作品。

 

だからこそ、絶対このまま上がらないんだろうなぁ

捻くれ宝塚ファンとしては戦々恐々です。笑

(『ハリウッド・ゴシップ』で彩風・潤花・彩凪トリオの例もあるし…。)

 

まぁ月組は鳳月杏が残って別格2番手になる可能性もあるので、

瀬戸→鳳月、永久輝→暁と考えたら、

数年後の月組体制への布石(相性確認)を打った作品なのかもしれません。

 

月組若手陣は魅力的な人がたくさん!!

 

改めて、月組若手陣は魅力的なスターが多く居ることが分かりました。

全体的に芝居も歌もレベルが高く、見ていてとても楽しかったです!!

 

次期体制も非常に楽しみですね。

というわけでキャスト別感想も書こうかなー。

 

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コメント

  1. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    自然なセリフ、自然な演技が主流の現代で、『ダルレークの恋』の、これは歌舞伎かシェイクスピアか、なシアトリカルなお芝居も、10周回って新鮮ですよね。

    皆様の観劇感想を拝読していると、劇中のどのセリフを引用するかで、個性が出ますね。

    「女の言葉は春の蜜蜂のようなものですわ」・・・汎用性?・・・どういうシチュエーションでお使いになるご予定で(笑)

    まあ、このお芝居、日本では宝塚でもそれ以外でも滅多に見ない、インドの、「Anything Goes」を歌っているところからすると1930年代の昔話だから、エキゾチックな大人の絵本のように見ていられますけれど、

    たとえばこれが劇団新派で、喜多村 緑郎さん主演で、1930年代の軽井沢に集う華族様の世界に置き換えて上演したら・・・上流階級の皆様、結構生々しいというか、

    カマラ、「おばあ様に言われて、いやいや愛想尽かし」しているにしては、平民にとってグサグサくる言葉をまあすらすらと、お上品に刺々しいことをおっしゃるお姫様ですこと。そこに、菊田一夫の戦前の階級社会に生きたリアルを感じます。

    今の、子供の頃から「人はみんな平等」と教えられている人には、ちょっと書けないセリフ・・・ナウシカ歌舞伎より、よっぽど歌舞伎(笑)ウエクミが「霧深きエルベのほとり」を「私にはこれは書けない」と言った理由もわかる気がしました。

    追伸
    結局、「ポーの一族」ご覧になりまして?もしご覧でしたら、感想をお待ちしておりますわ。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      いつもコメントありがとうございます!!
      結局見ませんでした…わざわざコメントやブログで取り上げて頂いたのに申し訳ないです。何かのキッカケで見られたらいいなぁと。
      管理人が不機嫌で荒れたときに宥める意味もこめて「女の言葉は~」と言ってみようかなぁ…火に油を注ぎそうですけれど。笑

  2. こんちゃん より:

    masa様、殿方の女性へのホンネ、お聞きになりまして?「女の言葉は春の蜜蜂のようなものですわ」というセリフを使う機会を、虎視眈々とねらっておりますわよ。

    「まあ、失敬な。蜜蜂の働き蜂はみんな雌ですわ。雄蜂は英語で”drone bee”と申しますわね。雄蜂は女王蜂に”ご奉仕”するのがお仕事ですわ。」

    とでもお返しになったらいかがかしら?

    あら、こんな時間。では失礼いたしますわ。

  3. MS より:

    私も、”「女の言葉は春の蜜蜂……」を汎用性があり過ぎて”に、どこで使うねん!と突っ込みました(笑)管理人さんに使うんですね笑笑
    ダルレークは、あまり好きなお話ではなかったので、梅田で観劇するまでは配信も見ないでいたのですが、月組の今の体制を見るのは楽しみになりました。
    気付けばもう107期が初舞台をふみますからね。92期を2番手に置いてる場合じゃないですよね。
    さて、月組のトップコンビの発表が楽しみです。

  4. みき より:

    理想の月組体制・・・本当に、これで可憐な2番手娘役をおけば安定ですが・・・

    雪組もハリウッドゴシップの彩風、彩凪、潤花、そして朝美、綾、縣、彩海・・・ときたら、とても豪華で理想の体制だったと思いますが、今やドリームです。

  5. コスモスハート より:

    蒼汰様

    私も初見でして、一周回って新しい、上手いこと言われますね。
    クラシカルだけど、昔話として、ラッチマンが身分ではなく、自分自身で勝取りたかった愛が、そうはいかなかったラスト、安易なハッピーエンドではなく、考えさせられる余韻が、良かったです。
    月城さんの軍服姿、カマラの台詞から、私が好きなのは軍服、
    な訳ないやん、と突っ込みたくなるけれど、いやーわかるわ格好いいもん。参りましたm(_ _)m
    水の青年と少女が、二人の関係性と、心象風景を表現しているようにも見えて、なおかつ、ファンタジーな世界を盛り上げてくれるような感じ、素敵でした。

    今回、老け役でナイス、と思ったのは、蓮つかさ君、え?誰だっけと一瞬思いました。慌ててホームページの役名を確認しました。個人的に賞を差し上げたい気持ち…

    なんだろう、宝塚の過去作品、主人公がヒロインを守らない悪い男、必ずしも正義を貫かない、そういう主人公より、ラッチマンの方が好き‥‥ダルレークの恋、ラッチマンを取り囲む女性の一人になった気分でした。それこそが宝塚なんですかね。。

  6. 金の鳩 より:

    蒼汰さん、こんにちは。

    ダルレークの感想、記事の感想をどうコメントしようかと考え始めましたが、作品自体のこと、衣装、若手の活躍……ほぼ蒼汰さんが書かれている内容と同じ感想でしたのでそこは割愛します笑

    付け足すとすれば、月城さんのあの美しさは「美の暴力」でした。
    贔屓目もあるとは思いますが、幕が上がってターバン&タキシード&黒塗りの姿を見てから、ほぼ最後まで「えっ、ちょっと、何コレヤバいヤバい」という感情の中で見ておりました。
    2回観劇できて、2回目はだいぶ落ち着いて観られましたが、初回は終わってもダルレークの世界から抜け出せず、しばらくボーッとしていました。

    柚香さんのナイスワークでも思いましたが、劇団はスターさんのキャラやイメージに合う作品を本当によく探してくるなと改めて思いました。
    今後も、大人の事情ではなくそういう視点で作品を決めて欲しいです。

    それと、体制について。
    月城海乃コンビを生で観たのは初めてだったのですが、なるほど皆さんが仰っている相性の良さとはこういうことかと実感しました。ビジュアルは非常に良く似合っていました。
    ただ、海乃さんのお芝居、深みを今ひとつ感じられなかったんですよね。評価が高いので私の好みの問題なのかもしれませんが……。
    それでも、身のこなし等はさすがでしたし見た目(あと性格も?なのかな?)の相性が良いので、1~2作はやはりトップコンビとして組むべきなのかもと思いました。アダルトな雰囲気の組があってもいいなと。

    月城さんと暁さんの相性も良いですね!
    ただ、正統派な月城さんとアイドルタイプの暁さん、その良さを同時に活かせる作品って結構難しいのではないかなと思ったりもしますが、どうなのでしょう?

    いずれにしても、答えが待ち遠しいですね!