月組『幽霊刑事』さっくり感想

 

月組『幽霊刑事』を配信放送にて拝見しました。

さっくり感想をまとめていきます。

 

魅力輝く月組スターたち

 

まずは各キャストについての感想を。

 

主演である珠城りょうの仕上がりっぷり、良かったですね。

『ピガール狂騒曲』の時から思ってましたけど

憑き物が落ちたかのように軽快で

芝居が楽しい!!という雰囲気が伝わるような存在感。

 

トレンチコートもスーツも似合うし、包容力もお茶目な雰囲気もあった。

この芝居の肝である、相手役(笑)たる鳳月杏とのやり取りも軽妙で、

約2時間半の作品を上手く引っ張っていました。

 

芝居でいうと、やはりMVPは白雪さち花嬢でしょう!!

しゃがれ声に不敵な笑み、薄汚れた格好。

だけどここは宝塚、その枠内にちゃんと収まってるし、上手い。

 

役得と言えば、英かおとも目立ってましたねぇ。

革ジャンもジャージも着こなす「彼氏感」っぷり。笑

最後の方の大ナンバーも見事に歌いこなしてました。

 

時々『マスカレードホテル』の飛龍つかさと被って見えたのは、

役柄がほぼ一緒だからかな。

 

あと結愛かれんがめちゃめちゃ可愛くなってたのと、

下級生のはずの蘭世惠翔の妙な色気も良かったです。

娘役で言うと白河りりの超絶美声もよく響いてました。

 

天紫珠李は想像以上にヒロインしてましたね。

男前女子が凄く似合うし、

歌も想像以上に安定してました。

 

95期ファンとしては輝月ゆうま×晴音アキの並びに、

本当ご馳走様です、って感じ。笑

2人とも脇役としての上手さが光ってて、

出てくるとより安心するという。

 

その他、スターの個性が光る小劇場公演で、

月組の今の魅力がよく分かる作品だったんじゃないかと思いました。

 

「THE・石田昌也」的作品

 

んで、肝心の内容については、

「THE・石田昌也」って感じでしたね。

 

石田氏と言えば、価値観が微妙に宝塚ファンに合わないというか、

独特な表現(時に女性が嫌悪するような)をすることがあるじゃないですか。

 

私自身は、今までそんなに引っかかったことがなかったんです。

月組『カンパニー』も楽しくみられましたしね。

だけど今回はうーん、だったかなぁ。

 

まずド頭の「君の柔肌さわれない」でズッコケましたよね。

昭和丸出しというか、阿久悠とかの世界観やんけっていう。笑

 

なるほど、これは古めかしい重厚なノリでいくのかなと思いきや、

署内では婦警たちがポンポン持って歌って踊るし、

冒頭のキャラ紹介ソングが言葉数多すぎてみんな途中で息切れしとるし、

石田先生にありがちな舞台転換のブツ切れがずーっと続くし。

 

全体的に溢れるB級感的軽妙なノリが

「しんみりさせ過ぎない演出意図」だと気付いた時にやっと、

話が頭に入ってきた感じでした。

 

なので2幕に入り話の核心に近づくにつれ、面白くなってきましたよね。

…ってこれ別に石田氏の手腕じゃなくて

ミステリーものなら当然な展開なわけですけれども。笑

 

ただ一作品としては、もうちょっと心理描写を

丁寧に描いて欲しかったなぁというのが正直な感想です。

もっと言うと、登場人物の背景にあるはずの物語

あまり見えなかったんですよね。

 

例えば、京三紗ママの刑事の妻と母としての涙のシーン、

それを受けて神崎の「すまない、お袋。」で、

これまでの家族の絆という物語性を勝手に夢想出来るわけですが、

そういうのが他の主要人物ではあまり無かった印象。

 

特に読めなかったのが…実は鳳月杏演じる早川篤。

ぶっちゃけ、全然カッコ良くなかったというか、

私には「ただの霊媒体質の人」という人となりにしか見えず。

 

なので神崎達也×早川篤というコンビに物語性を感じないというか、

珠城りょう×鳳月杏が芝居を通じてワチャワチャしてる だ け に

見えてしまったというのが正直な感想です。

 

ま、この作品は珠城×鳳月でバディものをやりたくて、

かつそこにサヨナラ風味を醸すという前提で企画されたのでしょうから

「たまちな」がワチャワチャ楽しげにしてて

珠城りょうが笑顔でこの世を去る姿に感動できれば

それで良い作品なんですけれどね。

 

ミステリー物語の法則?

 

ちなみに、真犯人は開始15分でなんとなく勘づいちゃいました。笑

2時間サスペンスで出演者の中に秋本奈緒美が居たら、

ぜってー犯人だろって気付いちゃう的な。

(というかそういう人多かったんじゃないかな?)

 

そして石田先生の作品って、何回か見て初めて面白くなるというか、

軽妙な分、何回も気軽に食べられる的なところがあるので、

「2度見たら面白い作品」なんだと個人的には納得しました。

 

珠城りょうの思い出作り公演として、月組の個性と実力が光る公演として、

ささやかな小品と言うには豪華過ぎる、そんな作品だったと思います。

 

以上、さっくり感想でした。

 

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コメント

  1. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    この作品、世代によっても受け止め方が分かれる作品かな?1990年に「ゴースト・ニューヨークの幻」という、死んだ主人公が幽霊になって恋人を守る映画が大ヒットしまして、

    90年代はそのモチーフの作品がたくさん作られて、個人的に「幽霊刑事」もその流れにあるのかな?と思うんですが

    「ゴースト・ニューヨークの幻」では、その時点で懐メロだった「Unchained Melody」という曲が印象的に使われていて、

    ♪ Oh, my love, my darling
     I’ve hungered for your touch
     A long, lonely time ♪

    これを「君の柔肌触れない♪」にひっかけているのかな?

    スタンダード過ぎて、もうあまり歌詞の意味がどうのと意識されていない懐メロに、新しい意味づけをもたらしてハッとさせるこの手法を、「幽霊刑事」では70年代懐メロの「切手の無い贈り物」を使って、

    あ、「切手がない贈り物」って、天国からの贈り物だったのか!と気づかせる。

    犯人が誰だ!よりも、そっちのほうが「本当は怖い絵」的な気づきがあって楽しかったです。

    しかしあっけらかんとしているようで巴東署って、ジョージ・フロイド事件で解体されたミネアポリス市警察並みに、闇が深いですよね・・・