年末恒例企画「ルネサンス宝塚大賞2022」と称し、
2022年東京宝塚劇場で上演されたレビュー作品の
全作レビューを書いていきます!!
ルールとしましては
・第2位~最下位、からの第1位(ルネサンス宝塚大賞)という順番に発表します。
・順位は私の好みだけではなく、芸術性や大衆性を加味します。
・あくまで私の独断と偏見によるランキングです。
なお、今年は花組『Fashionable Empire』を残念ながら観劇出来なかったので、
泣く泣く除外しランキングします。
詳細はルール説明の記事をご覧ください。
前提として正直に申し上げると、
レビュー作品って組ファンは基本楽しめるものですから、
ランキングの鍵は、大衆性と、名場面が有るか否か、だと思います。
それではさっそく参りましょう!!
2022年レビュー公演全作品レビュー
第2位:良い意味でのマンネリ作品
■星組『Gran Cantante!!』
宝塚レビュー作品の重鎮、藤井大介先生といえば、
安定ヒットを打つタイプの演出家なわけですが、
最近は良いマンネリと悪いマンネリが極端に表れると思うのです。
で、本作はずばり、良いマンネリの方。
冒頭からして『Apasionado!!』やんけというツッコミは置いといて、
礼真琴×舞空瞳でスパニッシュ、似合わないはずがなかろう!!
「一度切りの命 情熱燃えて愛し抜きたい カルメンのように」
というフレーズの通り、命削って歌い踊るトップコンビから感じられるのは、
燃え盛る愛と、儚く香る死の匂い。
最後のデュエットダンスのフィニッシュまで、
全力全開で歌い踊る星組生たちの熱きパッションが感じられる一作でした。
第3位:スウィングさせて誤魔化す戦法
■月組『FULL SWING!』
トップコンビお披露目公演のはずなのに、笑っちゃうほど渋い一作。
ですが、その渋さこそが月城率いる新生月組の売りなのだと、
分かりやすくパッケージした作品だと思います。
ダンスが苦手ならとりあえずスウィングしとけば良いじゃない?
というのが三木先生の作戦なのかどうかは知りませんが、その戦略は見事成功。
よ~く見ると、一部場面意外はそんなに激しく踊っていないのに、
軽快な横ノリ気分で満足出来るのだから凄い。
ジャス系レビューは例えば円盤差し替え祭りになろうとも、
やっぱり見る分には楽しいですね。
あ、謎の「アデュー」はご愛敬ということで。笑
【蛇足】全ツ公演を見る限り『Fashionable Empire』はここに入ります。
第4位:公演時間が55分という意義
■花組『The Fascination!』
花組100周年を記念したアニバーサリーレビュー。
そして、二本立てのレビュー作品がなぜ55分なのかを教えてくれた作品。
中村B先生に珍しい上品でしっとりとしたオープニング始まりに、
過去の名曲や名場面を挟みつつの手堅い作品だったのですが、
途中から「長い…」と感じてしまった不思議。
ゆったりとしたテンポで続くもんだから、余計に。
レビュー作品って「え、もう終わり?もう少し見ていたかった!!」と、
惜しみつつ終わるくらいでちょうど良いのだなと本作で学んだのでした。
そんなゆーったりテンポの中、突然最後のデュエダンだけ、
「綺麗な花には棘がある」的な緊張感の有る場面で素敵だなぁと思いました。
第5位:悪い意味でのマンネリ作品
■宙組『Capricciosa!!』
藤井先生らしい、手堅い作品だったと思いますが、
これぞまさしく悪いマンネリ。
ハッキリ申し上げますと、
真風宙組×藤井先生なら『アクアヴィーテ!!』の方が100倍良かったよね。
全体的にどこかで見たことがある風(桜木みなとの女装でさえ)で、
目新しい場面は…何だろう、歌ウマチームが若返ったくらい?
そう、ぶっちゃけ宙組の顔ぶれの変わらなさも、
本作のマンネリに繋がってしまっているなという印象なのです。
これが真風涼帆(&潤花)退団公演であれば、
もっと全力でサヨナラ感を押し出せただろうに、
中途半端なタイミングでの2度目の登板なもんだからさぁ…。
唯一の救いは、ヅカロー目当ての方々が、
普通に楽しんでいらっしゃる方が多かったことでしょう。
これは藤井先生と宙組生の安定感がゆえでしょうね。
ここまで2022年上演作品をまとめてきました。
それではお待ちかね、ルネサンス宝塚大賞の発表です!!
ルネサンス宝塚大賞・レビュー部門 発表!!
■雪組『Sensational!』
彩風咲奈率いる雪組の、
スタイリッシュで洒脱な雰囲気を打ち出した一作。
中村B先生も相当紋切り型な演出家(しかも雪組ばかり)であり、
人海戦術ばっかりだなという印象も確かにあるのですが、
これが逆にダンサーばかりが集まった今の雪組との
相性が抜群に良かったと思います。
あと、個人的にこの1年間のレビュー作品において最も印象に残ったシーンは、
新メンバーである和希そらを迎えたオーロラの場面。
和希そらがシャカシャカダンサーから「抜け感」を得て光り輝く様は、
まさにオーロラのようで神秘的で美しかった。
雪組の「個」の勝負ではなく「全体」での団体芸を見事に演出した本作に、
ルネサンス宝塚大賞を送りたいと思います。
レビュー作品における由々しき事態
ところで、今年1年間のレビュー作品を振り返って思ったことがありまして、
それは予算が露骨に少なくなっている、ということ。
一番衝撃的だったのは『Gran Cantante!!』にて、
お披露目の108期生がシャンシャンを持ってなかったことなのですが、
『Capricciosa!!』も衣装ペラッペラだし、
『FULL SWING!』も背景が簡素だったなぁという印象。
(中村先生2作にはあまり感じなかったのは予算配分が違うとかなのかしら?)
このあたりもコロナの影響なのかなぁとしみじみ思ったり。
あと、演出家の顔ぶれが笑っちゃう程同じ人たちなので、
そろそろ新しい血が欲しいなとも思います。
今年『Rain on Neptune』やった若谷先生や、
田渕先生あたりに登板をお願いたいのですが、どうでしょう?
来店あたりデビューしてくれないかな?
次は大詰め、スター部門の発表です!!
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コメント
今年も楽しみにしていた企画をありがとうございます!
そしてランキングは蒼汰さんらしいと納得するとともに見事に私は正反対で、これだけ色々な趣味・好みの人を取り込める宝塚の多様性に感心してしまいました。個性も味付けも違う組や演目を通年で毎年上演しているって、本当にありがたいことです。
個人的には上からCapricciosa!!、The Fascination!、Fashionable Empireでした。見事にかぶってません(笑)
こんにちは!
いつも楽しく拝見しております。我が家の今年1位は毎日のBGMでもあるカプリチョーザです笑 周りの初・宝塚の方でもわかりやすく、とても良いショーと評判です♪我が家の夫も沼り初めてBlu-rayを買い毎日口ずさんでいます笑
いい意味で宝塚らしく、わかりやすく、男役の魅力が満載で音楽も素敵でした。確かに予算は低めかもですが、それを感じさせない宙組さんたちの魅力が凄かったです。ハイカプで沼った新規ファンがたくさんいて、やっぱり宙組は新規ファン獲得にもってこいの組だなと感じる演目でした笑
今年の予算は「目指せ芸術祭大賞受賞!!!」な「蒼穹の昴」に目いっぱいぶち込まれてたんじゃないかなーと。
今年も楽しくルネサンス大賞を拝見しました!
お芝居のランキングはズバリ私と一致したのですが、ショーのランキングは正反対でした!
(アクアヴィーテよりはカプリチョーザ、Sensationalよりはファシネが好みです!笑)
好みは異なりますが、コメントの内容はそういう意見が出るのもわかるなぁ〜と納得もいくものでとても面白いです。
近年のショーは低予算だとも思いますし、その後の全ツ演目で使いやすいように構成してるのかなと思います。(元々藤井作品は全ツ使用率が高いですが)
カプリチョーザも芹香さんのお披露目別箱あたりで再演するかもなぁ〜と思ってます。
話が逸れますが、真風さんのナイスガイや彩風さんのルポァゾンのように、ちょっと前のショー作品リバイバルをしてくれると組ファンとしては差し色があって面白いのですけどね。大劇場公演後にほぼ同じメンバーで即再演するのも個人的には変わり映えがなくておもんないなぁ…と感じちゃいますが、コロナで稽古時間が大きく取れないから芝居ショーともに新作別箱は難しいんでしょうね…。
みなさんのコメントと同じCapricciosa‼︎はaquavitae!!とはまた違うテイストの素晴らしいショーでした!同じ考えの方がいらして嬉しいです。
大介先生による、真風さんが銀橋でゆらゆらするだけでショーが成り立つことを証明したかった作品なのかなと思いました。
そんなスターさんはもう現れないのかなぁと思うと、残りの時間を楽しもうと思います!