明日海りお・花組トップ本公演全作レビュー 前半戦

明日海りお花組トップの歴史、

それは、宝塚100周年以降の繁栄の歴史でもあります。

 

就任以降、劇団の顔であるトップオブトップとして

常に宝塚を牽引し続けてきた彼女も、

ついに来週、その任を終えることになります。

 

そんな明日海に敬意をこめて、

以前朝美絢でやった全作さっくりレビューシリーズを書かせて頂きました。

 

月組準トップ時代はあくまで「準トップ」ですので除外、

外箱公演も書こうか迷いましたが、やり出すとキリがないので、笑

花組トップ時代、きっかり10作に絞りたいと思います。

 

現在スカステで関連番組を一挙放送中ですので

おつまみ感覚(?)で、どうぞ。

 

※6点満点の採点付きでご紹介していきます。

感想とはあくまで個人的なものですので御容赦下さい。

基準は以下の通りです。

★★★★★★:後世に語り継がれるべき、伝説の一作。

★★★★★:誰もが楽しめるであろう名作。

★★★★:普通に楽しめるであろう佳作。

★★★:なんとも言えない凡作。

★★:残念ながら駄作。

★:ノーコメント、ある意味伝説の一作。笑

 

明日海りお・花組トップ公演全作さっくりレビュー

『エリザベート-愛と死の輪舞-』トート

 

明日海りおトップお披露目公演は、

宝塚・伝家の宝刀『エリザベート』の5年ぶりの再演、

かつ自身が新公主演を果たした作品のリフレイン公演という合わせ技。

 

これだけでも劇団がいかに彼女へ

大いなる期待を寄せているかが分かるというものです。

 

同期の盟友・望海ルキーニに、

抜群の安定感を誇る北翔フランツ。

芹香&柚香という豪華な役替わりルドルフに

ゾフィー桜一花、ヴィンディッシュ仙名彩世、などなど。

 

様々なキャストがピタリとハマり、

歴代エリザの中でも屈指のクオリティを誇るわけですが

いかんせんシシィ様が、ねぇ。

 

今振り返れば、研12の新米トップを支えるため

長期トップ娘役、しかも過去に新公で組んだことのある蘭乃が残ったという、

ただそれだけなのですが、当時のバッシングは本当に激しいものでした。

 

でもそんな批判も何のその、興行的には大成功を果たし

偉大なるトップの第一歩として素晴らしい公演となったのでした。

 

瑞々しい王子のようなトート像は賛否両論あるものの、

この時点で安定した芝居を見せてくれる明日海は、さすがの一言。

 

オススメ度:★★★★★(5点)

 

『カリスタの海に抱かれて』シャルル・ヴィルヌーブ・ドゥ・リベルタ

 

エリザの成功を胸に抱き、迎えた「千尋の谷」である2作目は、

青年将校が思い出の地へ赴任となり、

島民の女性との愛と旧友との友情の間で揺れ動き、

それはついに革命の夜と重なって…という、非常に王道な典型的宝塚作品。

 

島の娘と気持ちが通じたかと思いきや、

旧友の許嫁と知るや否や突然拒絶。

かと思ったら結局元サヤに収まって…という

話の軸のブレっぷり、ご都合主義的展開も、まさに典型的宝塚作品。

 

さすがの明日海りおも、

当時はまだ凡作を良作に引き上げるスターパワーを持ち合わせていない様子。

 

それもそのはず、当時の組体制で言えば、

トップの明日海が研13なりたて、相手役に花乃まりあを迎えたばかりで、

2番手・芹香が研9で3番手候補・柚香が研7。

 

って低年齢化なんてもんじゃない。

この学年でよく本公演をもたせたなと感動すら覚えます。

 

ちなみに、明日海のトップの歴史を振り返った時、

実は唯一のコスチュームプレイ公演でもあります。

彼女の麗しい軍服姿を楽しむことができる、

だけど逆に言えばそれだけともいえる公演かもしれません。

 

オススメ度:★★(2点)

 

『新源氏物語』光源氏

 

1981年に榛名由梨主演により初演された『新源氏物語』の再演。

 

煌びやかな平安絵巻。衣装も演出もひたすら華やかで、

娘役たちのコーラスすらも美しい。

宝塚の和物らしい、五感で楽しむ「源氏物語」と言えるでしょう。

 

とはいえ、あの長編小説を限られた時間に押し込めるのだから

広くて浅い紙芝居的展開になるのは仕方ないのかもしれません。

 

登場人物が多い割に話がさらりとサクサク進むため

場面展開の度に「という話でありましたとさ」と相槌がうたれちゃうような

作品として一本通った筋があまり感じられなかったのが残念なところ。

 

で、す、が。

明日海りおが光源氏って、そもそもその設定だけで勝ちってもんでしょう。

圧倒的美貌に、あの美声で朗々と歌われたら

そりゃ世の中の女たちは全員コロっといくわという妙な説得力があります。

 

ちなみに、この公演で最も名を上げたのは、

実は六条御息所を演じた柚香光じゃないかな。

彼女の情念系演技の片鱗が、この頃から既に見えているのが面白い。

これがアランや山田祐庵に繋がるのだろ思うと興味深いですね。

 

オススメ度:★★★(3点)

 

『ME AND MY GIRL』ビル

 

もはや説明不要な宝塚の代表作の1つである『ME AND MY GIRL』。

月組の名作ミュージカルを明日海りおに!!って

月組の再演物が続きますね。

 

『ME AND MY GIRL』といえば

過去も役替わり公演であることが多く、

今回も漏れなく役替わりがあったわけですが、その数が凄い。

 

芹香、瀬戸、鳳月、柚香、水美、鳳、桜咲、仙名と8名が関係者となり、

その準備は大変だったことでしょう。

ですが、この苦難があったからこそ若きスターたちが一致団結し

明日海を中心とした花組の体制が安定に向かったとも言えるかもしれません。

 

そして明日海は相手役である花乃まりあと組んで1年、

これまで相性の良さをあまり感じてこなかったのですが、

このあたりから徐々に噛み合ってきた様子。

 

明日海は研14らしからぬフレッシュさを湛えていますが、

これはもちろん、計算しつくされた芝居の上で成り立つ存在。

そしてそんな彼に必死に食らいつき、呼応した演技を見せる花乃まりあ。

 

この噛み合いが作品のポップさと上手くシンクロし、

花組の安定、もとい明日海りおトップオブトップの片鱗がついに芽吹き始め、

そして、次の作品となります。

 

オススメ度:★★★★(4点)

 

『金色の砂漠』ギィ

 

上田久美子が作り出した、

前期明日海りおの傑作と言って過言では無い一作。

 

この世のどこかの砂漠の国の、

女王様とつがいの奴隷の許されざる愛憎劇。

 

憎しみ合い、でもその憎しみは消せぬ愛欲から生まれ、

理屈や道理では決して割り切ることの出来ない、

絡まる糸のような辛く離れがたい愛の物語を、

宝塚の世界で具現化した傑作です。

 

常に苦悶の表情を見せる明日海もですが、

傲慢で美しく、でもどこか儚いタルハーミネという役どころに、

花乃はまさにハマリ役でした。

まさに、このコンビでしか成立しない作品と言えるでしょう。

 

この砂漠のどこかに 美しい場所があるという

金色の砂の海に この命砕け散る 砕け散る

 

このメインテーマは、もちろんギィとタルハーミネの関係性を象徴する歌なわけですが、

同時に、宝塚という世界で高みを目指し続けた明日海と花乃の歌でもあります。

 

最後、金色の砂漠で互いを抱きしめ合いながら命果てる姿に

2人のトップとしての歩みの意味を見出すことが出来るしょう。

 

 

ちなみに、上田氏の作品に奥行きがあるのは、

このトップコンビだけでなく、

親世代や姉妹兄弟にも物語性を見出すからでもあります。

 

特に次のトップ娘役に決まっていた仙名彩世演じる王妃アムダリヤの最期、

愛する夫を殺した今の王を愛してしまったがゆえの身投げなんて、

ザ・ウエクミって感じですよね。

 

そしてこの作品、芝居大好きな明日海りおにとって

非常に演じがいのある役で楽しそうだなぁと思っていたところ

本人もいたく気に入っているのでしょう、

『明日海りおメモリアルブック』の表紙を飾っています。

 

まさに明日海りおの代表作の一つとなったのでした。

 

オススメ度:★★★★★(5点)

 

全作レビュー・前半戦終了!!

 

というわけで前半戦、つまり10作中5作までまとめてみました。

振り返ると、この蘭乃&花乃期は明日海にとって

トップオブトップへたどり着くまでの苦難の道のりと言えるでしょう。

 

急激な若返りを果たした組体制、

相手役に当時まだ逆風吹き荒れた96期を迎え、

和物や役替わりなどの負担の大きい公演をトップとして牽引し続けること。

 

まさに明日海にとって戦いの歴史のようなのでしょうが、

だからこそ今、宝塚の歴史に名を刻んだ

偉大なるトップスターへと成長し得たとも言えるのかもしれません。

 

というわけで後半は、3人目の相手役仙名を迎え、

花組が百花繚乱咲き乱れる、明日海充実期の時代のレビューになります。

 

【後半戦はこちら】

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コメント

  1. ねこ より:

    いつも楽しく拝見しています。

    お披露目の「エリザベート 」について、一言。明日海りおのお披露目のためというのも勿論ですが、これが退団公演となった、蘭乃はなの希望、そして退団後の東宝エリザベート 主演 への布石だと思います。
     蘭蘭コンビでやめとけば良かったのに、あのお花様とWキャストなんて、ええ度胸だと散々、叩かれてましたよね?
     懐かしいお話を思い出しました。

    • 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼
      もちろん知ってます。笑
      というか、みんなそればかり言っているけど、劇団的には記事のような明日海のフォロー的な人事的意味合いがあったよね、という意味です。
      当時の荒れっぷりは凄かったですよね。まぁ舞台を見るとさもありなん感は否めませんが。笑