先日、涙の千秋楽を迎えた『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』ですが、
私はたまたま人生初の宝塚大劇場遠征をしたため
西で2回、東で休演間近に1回見ることが出来ました。
遠征の際に本筋のざっくり感想は書きましたが、
「キャスト別感想は東京で見てから書きます」
とまとめたまま放置しっぱなしでしたので
千秋楽の生放送を見たうえで今更ながらさくさく書いていきたいと思います。
キャスト別ざっくり感想
ヌードルス/望海風斗
まさに男役18年の集大成的な役柄、芝居でしたね。
特に青年期から壮年期に見られる熟成された芝居は
これまでの経験全てを集約して形作られたものなのでしょう。
『ファントム』しかりですが、
彼女は静の芝居の中でも感情を爆発させる表現が多いのですが、
そのコントロールが本当に素晴らしいなと思います。
いつもは冷静沈着なヌードルスが、
愛するデボラや仲間たちのことになると操縦不能になってしまう、
そんな男の不器用さが上手に表現されていた印象です。
そして、歌ね。
今更その素晴らしさを褒めたたえることはしませんが、
とはいえ本公演でこれだけ歌いまくるのって本当に大変だなぁと。
場面や心情の変化が
彼女の「歌」のおかげできちんと表現されていることを踏まえ、
今作は宝塚的ミュージカルの集大成でもあるなぁと思ったのでした。
デボラ/真彩希帆
前から言っていますけれど、
彼女は歌の人だけでなく、
その「声質の良さ」を生かした芝居も素晴らしいと思うのです。
幼少期、青年期、壮年期と、ビジュアルや動きだけでなく、
「声」で完璧に演じ分けする様は、本当にお見事。
特に少女時代のデボラね。
「ゴキブリって言うのよ、それ」の台詞回しなんて
ツンとした雰囲気を含め、笑っちゃうほど「幼女」してます。笑
個人的には、自分の実力を信じて研鑽し続けて
やっとブロードウェイの皇后様になれるかと思いきや…の場面以降の
地位を失いつつも誇りは失わんとするデボラの芝居がツボでした。
作り上げた砂上の楼閣は、時代とともに手から滑り落ちてしまうけれど、
だけどその手には砂の欠片が輝いている。
そんな時代を懸命に生きた人々の象徴としての女性像を
見事に演じ切っていたと思います。
マックス/彩風咲奈
映画を先に見てしまうと、
どうしても「これがマックス?」となってしまうのですが、
とはいえ彩風風味にアレンジされたマックス像もまた見事でした。
計算高く腹黒いというよりは、
野心だけが溢れすぎていて向こう見ずな男性像なのですが、
それが彼女の陽オーラと相まって
謎のキラキラオーラとして発光しているよう見えました。
もちろん、その超絶スタイルで魅せるスーツ姿は
ザ・宝塚の男役!!ですよね。
このシルエットを見るだけでご飯3杯いけるってもんです。
ジミー/彩凪翔
今作のMVPは彼女でしょう。
物語の鍵を握る重要な役を、
手堅く好演出来るのは彼女の芝居の実力がゆえだと思いますし、
何よりもやっぱり顔面が良い。
そんなイケメン顔から発せられる鋭い眼光と眉間のシワで表現される
一筋縄でいかない男感が、本当に良かったです。
特に壮年期のジミーは絶品でしょう。
銀橋の中央でデデンと仁王立ちしながら取材を受けるシーンや
ペイリー長官に歌いながら理詰めする芝居など、見どころ盛りだくさん。
あと、フィナーレでの彼女のいぶし銀キラキラ感も
まさに絶品の男役芸という感じで良かったです。
キャロル/朝美絢
今回はスピークイージーの歌姫役ということで
とにかく歌う、歌う、歌いまくる役どころ。
宝塚大劇場で見た際は2回とも「インフェルノグァーーーーーール」の高音が
辛くて出辛そうな場面がありましたが
東京版ではしっかり完璧に出していて、
「これが舞台を通しての成長と言うやつか…」と感動してしまいました。笑
本編では一番クセのあるビジュアルなのに
一番感性が真っ当という不思議なポジショニング。
簡単に言えば「ダメ男に弄ばれるダメ女」的役どころなわけですが、
それでも可哀想過ぎず見えるのは、
『CASANOVA』で鳳月が演じたコンデュルメル夫人と同じく、
男役が女役を演じているからこそでしょうかね。
コックアイ/真那春人
ハーモニカ芸はもちろんですが、
ずーっと左目を潰す(?)芝居を自然にしていたのが
さすが手堅い雪組別格四天王って感じでした。
あと、相変わらずビジュアルが若い。
縣演じるパッツィーと比べるとちょっぴりお兄さん感があって
きちんとキャラ分けされていたのが面白かったです。
パッツィー/縣千
最近ではなかなかに珍しい骨太系若手男役ですよね、彼女。
何が凄いって、望海、彩風、真那という上級生と並んでも
引けを取らない体躯とオーラがあることでしょう。
四騎士の中ではアホキャラ的方向性での役作りでしたが
彼女自身の持つ屈託のなさと相まって、
それが魅力的に見えて面白かったです。
ニック/綾凰華
この役は小池氏が生み出した
原作には無い完全オリジナル的存在なわけですが、
彼女に合ったこれまた意外と美味しいポジションだったと思います。
デボラと同じく、自分の実力で成り上がるミュージシャン(?)ですが
年相応の爽やかさと屈託の無さが感じられて
「本当にロウアーイーストサイド育ちか?」とツッコミたくなるほど白い役です。
個人的には、ディナーに行くデボラを見送った後に
ダンサーガールズからニックの奢りでご飯を誘われた時の
「えー、仕方ないなぁー(デレデレ)」の感じが
洋画でよく見る展開的で面白かったです。笑
サム/煌羽レオ
笑っちゃうほどハマリ役。
「下心溢れる業界人」ってまさに彼女のためにある役ですよね。
インフェルノの場面では
一人だけ明らかに垢抜けている感(なんせ髪色がピンク)があって、
その役作りの高品質さに改めて感動してしまいました。
また、サム以外の役で出ている時は久城あすと組む場面が多く、
94期同期コンビが見られたのが個人的には眼福でしたね。
ベティ/星南のぞみ
デボラ(真彩)、ニック(綾)、そして彼女の
雪組98期トリオが舞台で共演する瞬間があって嬉しかったです。
まぁ、修羅場なんですが。笑
彼女はその麗しいビジュアルの一方で
セリフ回しの独特の棒っぽさが魅力だと思うのですが、
「西部のワイルドビューティー!! バーン!! (棒)」
こそが、まさに彼女の魅力が凝縮された一場面だったと思います。
ボーイ・記者ほか/望月篤乃
雪組感想編恒例の、
私の推しの101期・望月篤乃紹介コーナー。
今作は通しの役がなく、
色んな場面で色んな役で出ているわけですが、
それを探すのも楽しいなぁと思いながら舞台を眺めておりました。笑
一番分かりやすいのは、海辺のレストランの場面にて
ヌードルスの上着を受け取るボーイの役。
(ちなみに横並び時に隣に立っているのは105期首席の音彩唯)
それから連邦準備銀行爆破の後に、
警察と記者とキャロルがなだれ込んでくる場面において
「銀行が爆破されたらしい!!」というセリフを言ったのも
たぶん彼女だと思うのですが…。分かる人、情報求むです。
→(追記)コメントを頂き、やはり彼女で正解だったようです!!ありがとうございます。^^
ギャルソンもコート姿も似合っていて、まさに眼福でした。
他にも登場していますのでぜひ皆さん探してみて下さい!
宝塚版から東京版への進化と深化
今回、生まれて初めて
一つの作品を宝塚版・東京版の2回見たわけですが、
「芝居が変化する」というのが本当にあるんだなと今更ながら実感しました。
約3ヶ月の中で進化、もしくは深化していくのも
舞台という生き物を楽しむ一つのファクターなんだなと思いましたね。
スカステ生放送はしっかり録画しましたので
あの後繰り返し何度も観ているのですが、
いやはや、本当に良い作品ですね。
今作は東京公演が途中で休演となってしまったため、
多くの人がこの公演を観られなかったことが本当に残念でなりません。
一日も早く今の混乱が落ち着き
宝塚の幕が再び開くことを祈って感想記を〆たいと思います。
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コメント
見れば見るほどはまっていく宝塚版ワンアポですね!残念ながらBDでの視聴ですが、雪組の持つ気品あふれたパワーに引き込まれてしまいました。望海さんシーンの一押しは、ACT1の最後で、デボラを押し倒してで去られていく場面、男の哀愁を見事に演じていますね。真彩さんは冒頭のダンスレッスンシーン。少女の可愛さがはじけていました。彩凪さんはさすがにカッコ良すぎる!あの目力に釘付けです。彩風さん演ずるマックスはちょっと微妙だったかな。。。
でも、やっぱり生で見たかった。
初めまして。
いつも楽しみに読んでいます。
「銀行が爆破されたらしい!!」というセリフは望月くんが言っています。
あとはストの場面の上手階段上からマシンガンを持って出てくる3人のうちの1人だったり…
おっしゃる通りいろんな場面で出ています。
これからも望月くんコーナーを楽しみにしています。
いやもう、星南のぞみのくだり面白すぎる!!
そうなんですよ、「棒っぽさ」!
これほど言語化したいけどうまく言葉にならなくて、そもそも言っちゃっていいのか?と思っていたこと。
心の底から言いたい、
星南のぞみの魅力は「棒っぽさ」!笑
あの場面はそれの最たるもの。南キャンのしづちゃんを彷彿とさせてると思ったのは僕だけでしょうか。
星南のぞみをけなしてるわけじゃなく、愛を持って言ってるのが良いですね。
気に入りましたわー。なんか、スッキリしましたわー。満足。
良いもん見た笑
あと、前々から思ってたんですけど、ちょっと面白いことを書いたあとに余白多めですよね笑
恐らく意図してやってると思うんですけど、
読み手がクスッとして笑える間をもたしてくれるので、次の内容に移る前にリセットできるのと余韻を感じれます笑
舞台上でアドリブいれて笑かすけど、本筋に戻るまでの一瞬の間と似たものがあるんじゃないかと。
考えすぎてたらはずいですけど、構成がうまいなぁと個人的に思ったのでコメントしてみました笑
お久しぶりです、いつもコメントありがとうございます‼
いわゆる「ボケ表現」の時は、滑ったらどうしよう、
「スターに失礼!!」的怒りのコメントが来たらどうしようといつもヒヤヒヤなのですが
そう言って頂けて嬉しいです。笑
結局、大劇場のライブビューイングを観て、スカステの千秋楽を録画して観て終わりました。初めて当たった友会チケットも友人が頑張って取ってくれたチケットも休演となりました。東京で観れた方がむしろ凄いです、蒼汰さん!!
録画を何回か拝見しましたが、観れば観る程、新しい事を発見しクセになる作品なので生で観ていたらどんなに感動したか!と口惜しい事この上ないですね。(コロナがにくい)
テレビ画面からでも伝わってくる迫力とか臨場感でいっぱいの舞台。
望海風斗は真彩希帆は今の雪組は凄いぞ!としみじみ思いました。
思うにこのトップコンビは両想いな役もありながらの望海さんが真彩さんを大好き!で崩壊して行くかしそうになるってのがオフとは逆っぽく見えてて面白いですよね。
4月から忙しくなるはずがコロナのおかげでそうでもなくなりました〜。笑