柚香光&星風まどかの退団公演、
花組『アルカンシェル』を観劇して参りました!!
これまで3回も当日中止を喰らったもんですから、
出かける直前にに公式ニュースを確認するクセがありまして。
今日朝みたら「NEW!」「花組」「休演」という文字が見えて
ギョッとしたんですけど、下級生組の復帰の報で肩をなでおろしたのでした。←
→なんて4/20夜に悠長に書いていたら、まさかの本日公演中止の報が…。
いやー、ビックリです。1日も早い公演再開を願います。
ざっくり感想編、参ります!!
あの作品にそっくりですよね
前情報的にはまさしく賛否両論といった様子で、なんなら「否」の感想の方を多く見かけたものですから、大丈夫かなと心配しながら行ったんですが…。
あれ、普通に面白かったんですけど???
ま、私はこれまた世間的に評判の悪い『カジノ・ロワイヤル』も普通に楽しめた感性の持ち主なんでアレなんですが。笑
けど、大御所たる小池先生だからこそ紡げる安定感、宝塚的様式美、そしてスターへの配役に演出、当て書き感など、そこそこちゃんとしていたような気がしますけどね。確かに歴史に名を刻むようなスーパー超傑作ではありませんけれど、柚香光と星風まどかファンは普通に楽しい、納得出来る出来栄えなんじゃないかと思いました。
で、なんで個人的に楽しめたかと言えば…これって完全に花組現代版『NEVER SAY GOODBYE』ですよね。反目する男女2人が戦争という緊迫の舞台上で信念が重なり合い、激しく恋が燃え上がるラブロマンス。舞台をスペインからフランスに、主人公をカメラマン&ジャーナリストからダンサー&シンガーに変え、ヒロインに横恋慕する思想強めの政治幹部、レジスタンス、肩を組む男たち、振り回される国旗に銃撃戦…。1幕終盤で主人公カップルが結ばれた、その次の場面で男たちの睨み合いが始まった時は、「ひとつの~心に~♪」ってはじまるかと思いましたよ。笑
唯一違うのは、現代から物語を眺める子孫ポジションがストーリーテラーとして登板していたこと。ま、これも完全に『エリザベート』のルキーニなわけで、さしずめパリジェンルキーニと言ったところでしょうか?まぁとにかくネバセイそっくりで、そりゃ「引き出しがない」と叩かれるのも仕方ないのかもしれません。が、私はネバセイが宝塚オリジナル作品の中で5本指に入るほど好きなんでね。そりゃ大好物だし普通に楽しめました。
宝塚的でいいじゃないか
※ここからネタバレ全開で行きます
で、内容で言えば、すごーく宝塚的な作品だったと思います。ぶっきらぼうなイケメン野郎・マルセル(柚香光)と、知性と美貌を兼ね備えたスーパーレディ・カトリーヌ(星風まどか)、「パートナーとは恋愛関係にならない主義なの」「奇遇だな、俺もだ」とかバチバチやっておきながら、結局コロっと恋に落ちちゃうわけよ。キーーーーッ、憎いねご両人!!
そしてドイツ軍兵なのにフランス人に同情的なフリードリッヒ(永久輝せあ)と踊り子のアネット(星空美咲)の恋模様があり、ジョルジュ(綺城ひか理)のカトリーヌへの横恋慕、からのこじらせ闇堕ちがあり、大ボスのコンラート(輝月ゆうま)の無慈悲で下衆なやり口があり、その結果マルセルとカトリーヌは引き裂かれ、離れ離れになる。けれど運命のいたずらか、それとも愛のパワーか、2人は(フリードリッヒのおかげで)再会します。
そしてラスト、コンラートとの死闘の果てに、まさかジョルジュが銃を撃つなんて思わなかったですよ…いや、普通に考えたらコテッコテな展開なんですけど、観劇時は緊迫感が凄すぎて「なるほどー、良く出来た脚本だわ!!」と膝を打ってしまいました。笑
退団公演に虹が架かる
改めて考えるに、オチが実に現代的ですね。ぶっちゃけ私、主人公死ぬのかなって思いましたもん。ほら、90~00年代くらいまで、洋画も邦画もドラマもアニメも、とりあえず人死んどきゃ感動で泣かせられる、みたいな安易なオチのつけ方があったじゃないですか(事実ネバセイも、そういう終幕でしたし)。だけど今回は(悪役以外は)誰も死なず、綺麗なハッピーエンドで終わった。それが絵空事過ぎるような気がしなくもないですが、これが現代の価値観なのでしょう。
ドイツ軍が撤退したパリの街に、虹が架かる。人々は喜びを分かち合い、そして2人も再び強く深く結ばれ、歩み進めてエンド…。うーむ、良く出来た、とは言いませんけど、大王道でかゆいところに手が届いていて、「そうそう、こういうのでいいんだよ!!」と思わず言いたくなるような納得感のある作品でした。
また、作品の舞台をレビュー小屋にし、1本物にも関わらずレビュー的場面を作り出して柚香光のアレやコレなダンス場面を生み出したのはお見事ですし、「舞台の灯をともし続ける」「見た人を幸せにしたい」というメタ的なメッセージ性も、そこまで説教クサくなく、程好い塩梅で良かったと思います。
気になったことで言えば
ただ、唯一文句をつけるとしたら、曲の印象が残らんということでしょうかね。特に星風まどかの美声で惑わされてましたけど、何を歌ったんでしたっけ…?パレードで再び曲を聞いても「こんな曲あった…?」みたいな現象を始めて体験しました。つくづく、ワイルドホーン大先生って偉大ですね。←
あと、娘役の役が少な過ぎるのも気になりましたね。組長、星風、星空、男の子役に湖春、そしてちょこっとだけ美羽愛…くらいじゃありませんでした?小池先生のこれまでの手法だと、レジスタンスチームにそれぞれ恋人役とか作りそうなのにな、と思いながら眺めてましたが…。まぁその分、トップコンビ、次期コンビ、男役たちの善悪の関係性がより濃く描かれていた気がするので、尺の都合上仕方ないのかもしれません。
っつーことで個人的に普通に楽しめた花組『アルカンシェル』、あとはこのまま最後まで走り抜けるのみですね。一人でも多くの方にこの作品が届くことを祈っております。
気力があればキャスト編も書きます。
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コメント
柚香さん、星風さんは、華やかで本当に花組のトップコンビらしい二人ですね。(演者は素晴らしい。)
舞台が再開できるとのこと、良かったです。
ところで、カジノロワイヤル、アルカンシエルについての感想は蒼汰さんとは異なります。
(私の友人で、長年見ている人に、アルカンシエルは良い、小池先生頑張ったとの強い意見を持っている人もいて、人それぞれだなあとは思いつつ。)
ナチスを持ち出してきてて、ほんわかな印象の物語で終わる(緊迫しているところはあるけれど、主役たちは実質的には関係ない。)というのは、私にはストンと落ちなかったです。
まあ、なくはないとしても、聖乃さんに説明させすぎ、かつ、一本物というのはないだろうと思ってしまいました。
柚香さんのダンスシーンは素敵でした。
が、(今宝塚でやっている月組のショーをみてしまったことも影響あるかもしれませんが)ショーに定評のある花組なので、退団らしいシーンとか、男役娘役を問わず、次世代の若手との絡みが、もっとあってほしかったとも思ってしまったのです。
とはいえ、私が観たのは宝塚で一回限りなので、東京でどのような進化をしているのかは、観に行けたときに確認したいです。
そして、23日に再開できるとのこと。良かったです、本当に。
最後まで、ジェンヌさんとしての素晴らしい輝きを見せていただけることにホッとしています。
こんにちは
私もこの作品結構好きですよ。
「否」の意見として挙げられているものには納得しつつも「それでもやっぱり私は嫌いじゃないんだよなぁ」といった感じです。
ただ楽曲の印象の残らなさは私も感じました。
主題歌もサビの部分(「誇りー持ちー」くらいから)はなんとなく残っているんですが、そこまでの旋律が中々思い出せないんですよね。個人的に全体を通して1番印象に残った曲って一樹さんが歌っていたシャンソン「Frou-Frou」なので宝塚オリジナルの楽曲で何か一つ印象的な曲があればよかったな、と思いました。
無事観劇できてよかったです!公演も再開できてなによりです…
私も同じく悪くないというか普通に良い作品と思いました。曲については、「たゆたえども〜」が脳内リピートされていますが笑
今回それと別に思ったのは、ナチス占領下のパリを舞台にした2本の映画、「天井桟敷の人々」と「終電車」から着想を得ているのが割と丸わかりという点でした。
でも本当にパクリとかでなく、オリジナルにうまーく取り入れていると感じたので、小池先生やはりすごいなと思いました。
無事観劇されて良かったです。
私も前述の方のように「たゆたえども〜♫」が脳内をグルグルしております。
私も今作品、退団公演の一本物としては良かったのではないかと思っています。
Xで見たのですが、ミスタンゲットというレビュー歌手の舞台、螺旋階段のセットなどもソックリで…と書いてる方がいらっしゃいました。モノクロの映像がYouTubeに上がってましたが、確かにセット、衣装の雰囲気はよく似ていました。
小池先生、モチーフがあったのかもしれませんね。
宝塚らしく、お作りになられたのなら、さすがです。
わたし的には楽しめた作品でした。
終盤のあかさんの場面、「アルジェの男」風味を感じて…宝塚らしくて、良かったです。
宝塚、改革は大事かもしれませんが、これからも伝統を大切にして末永く続いていって欲しいと祈るばかりです。