雪組『蒼穹の昴』新人公演感想

 

雪組『蒼穹の昴』の新人公演を、ライブ配信で拝見。

改めて東西で無事公演が出来て本当に良かったですね。

 

各キャスト、ならびに全体についての感想を

長くなり過ぎないようさっくりと書いていきます。

主要キャスト感想

 

主人公の梁文秀を務めたのは、これが初主演となった華世京。

…え、嘘やん?

主演2回目の研6生みたいな貫禄と安定感があったぞい???

 

ってことで雪組の次なる御曹司として抜擢を受け、

ついに研3にして初主演を果たしたわけですが、

その抜擢の理由が分かる、恐ろしい程の安定感でしたね。

 

『夢介千両みやげ』の時に比べて舞台人としての明らかな成長を感じ、

それは特に歌唱力に出ていたように思います。

朗々とした歌声が心地よく、本当に素晴らしかったです。

 

また、若手らしい瑞々しい芝居が、

希望溢れる梁文秀と重なっていたのもグッド。

 

この時点でこれだけ出来上がってしまっていると、

いわゆる「伸び悩み症候群」が気になるところですが、

今は一先ず、その出来に素直に感服したいと思います。

 

ヒロインの李玲玲を務めたのは、105期4人娘の一人である音彩唯。

やはり彼女は、天性のヒロイン体質だなと改めて思いました。

どんだけ薄汚れた衣装とメイクをしても、

まるでダイヤの原石のように光り輝いてしまうものがある。

 

また、彼女は実に舞台度胸があるタイプで、

安定した舞台運びながらも慎ましやかな芝居が良かったと思います。

 

2番手・李春児を演じたのは、102期生の一禾あお。

本役である朝美絢とはまた違った、独自の春児でしたね。

キラキラ度というよりは雑草魂感が強くて、

これはこれでありだなーと思いながら見ていました。

 

彼女もまた、歌も芝居も安定しているのですが、

やっぱり別格寄りな上手さだなぁと個人的には感じました。

雪組お得意の強別格コースに乗るのは確実でしょう。

 

その一禾あおと同期である咲城けいは、李鴻章役。

本人の持ち味的に李鴻章と合うのか若干疑問でしたが、思いのほか上手い、

というより凪七瑠海をきっちりトレースしてきたなという出来栄え。

 

正直、私は2番手枠を一禾あおに押し負けたイメージがあったのですが、

タカニュによると本人は凪七瑠海にメイクを教えて貰ったことや、

自分のイメージとは違う大人な髭役がやれたことが嬉しかったようですし、

別格枠として非常に貴重な経験になったのかもしれません。

 

そして順桂を演じた紀城ゆりや。

105期男役7人の最後のドンに、ついに大いなる出番が!!

ソロでは伸び伸びとカッコ良く歌っていて、

彼女の武器が歌であることをようやく認知出来ました。

 

103期の活躍が眩しい

 

続いて、西太后演じた夢白あや。

はい、優勝!!

 

さすが芝居の夢白(と勝手に呼んでいる)のクオリティ。

というか彼女は、ブリブリプリンセスよりも、

こういう役の方が生きますよね。(例:イエレナ)

 

老いを感じつつも未だ衰えず、それが恐ろしくもある美貌や、

そこから発せられる凄みはもちろん、

一番衝撃的だったのは黒牡丹が絶命したシーンで泣いたことでしょう。

 

本当に、あの一瞬で涙を流したもんだから、

「夢白さん泣いてるやんけ、とんでもねー大女優魂や!!!」と、

一緒に見ていた管理人が煩かったです。笑

 

その黒牡丹とを演じたのが壮海はるま。

いやー、めちゃめちゃカッコ良かったですね!!

咳き込む姿が若干大げさなのも含め、マジで2次元の人かと思いました。

 

正直、本公演版(朝美絢&眞ノ宮るい)だと5学年差あるので、

そこまで師弟関係が見えづらい部分があるのですが、

こちらは一禾あおと1期差であることと身長差で、

マジで死にかけのおししょー様に見えて良かったです。

 

あと、伊藤博文がまさかのイケオジでビックリしました。笑

そりゃそっくりさんレベルの汝鳥伶には近づけませんものね。

自身の持ち味を生かした役作りで良かったと思います。

 

で、若干割りを食った印象があるのが光緒帝を演じた聖海由侑。

とはいえ本役よりも儚く抑えた役作りで、

「これは西太后も心配せざるを得ないな」と感じられて良かったです。

 

この3人が同期の103期生なのですが、

その他のメンバーも凄かったですよね!!

 

まずは白太太を演じた愛羽あやね。

『心中・恋の大和路』で頭角を表した彼女ですが、めちゃめちゃ上手かったやんけー!!

本作でも重厚感ある芝居で物語に引き込んでくれました。私は裏MVPだと思うぞ!!

 

同じく芝居上手の莉奈くるみが演じたのは隆裕。

出番ほとんど無しだったのに、あのたった一言「陛下?!」で、

愛されない正妻感がしっかり出ていて凄かったです。

 

そして栄禄を演じたのが紗蘭令愛。

私は彼女を『ほんものの魔法使』で認知して、

その時は顔立ちが特徴的な男役さんだなーくらいにしか思わなったのですが、

よもやこんな立派な男役に成長しているなんで知らなんだ!!

 

濃い顔立ちにこれでもかってくらい髭を埋め込みながら、

小悪党な役をきっちりこなしていて良かったです。

 

残念ながら本作で花束ゆめが退団ですが、

これからの雪組103期の活躍が非常に楽しみになりました。

 

感動した演出面

 

ところで、演出面の話をしておくと、

なんだか本公演版よりもすっきり見やすくなかったですか???

 

たぶん時間カットの都合上、多くのスターに出番を振るために作った場面、

例えば日清戦争や机上の空論タイムをざっくざく切りまくって、

人間の感情が動く部分のみにクローズアップしたために、

NHK的歴史絵巻ではなく、しっかりヒューマンドラマになった印象です。

 

それでいて、その切り捨てた部分を岡圭之介、鎮国公載沢、ミセス・チャン

ストリーテラーとして説明させるという、

作品としてのクオリティと出番作りの両方を兼ねた新場面を作ったのでした。

これ超ウルトラナイスな演出ですよね。凄いぜ若谷先生!!

 

また、場面カットにより番手比重が微妙に変わったことで、

梁文秀VS西太后という構図が分かりやすくなっていたのも印象的。

 

なお、私は途中から番手構図が宝塚版『1789』みたいだなと思ったのでした。

主人公と恋愛関係ではなく、相対するポジションの人間がヒロイン格で、

身近な町娘が2番手格な感じ、微妙に似てません?

 

これを本公演でやられると微妙ですが、

新人公演という「ちょっとした番外編」だからこそ、

しがらみの無い原作に近い演出が出来た、という点もあるのかもしれません。

 

本公演も実に楽しみ!!

 

以上、駆け足ながらも3000字近くになってしまった感想編でした。笑

 

若谷先生の演出面の良さも含め、

全体的にクオリティの高い新人公演だったと思います。

雪組若手陣の活躍がこれからも楽しみです。

 

もちろん、重厚な本公演も素晴らしく、

このまま無事千秋楽を迎えてくれることを祈るばかりです。

 

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コメント

  1. ラングドシャ より:

    こんにちは。
    以前「蒼穹の昴」本公演の感想記事に長々と勝手なコメントを書き送ってしまった、超超ライトファンかつ初心者です。
    その節は大変失礼いたしました……。

    恥ずかしながら趣味に使えるお金の余裕があまりないため、見てみたい気持ちはありつつ、新人公演はいつもパスしているのですが……。

    今回の記事を読んで、せめて今回だけは観れば良かった…….と後悔しました!
    場面をカットして三人のストーリーテラーに説明させるの、すごく良さそうですね!

    本公演の記事に、「内容は妥当にまとめられていた印象」なんて偉そうにコメントしてしまったんですが、本公演でも脚本に工夫する余地はもっとあったのかも……と、考えを新たにしました。私のような初心者が調子に乗って滅多なことを書くものではないな、と反省しております……。

    私の見られなかった新人公演の様子を教えて頂き、ありがとうございました!
    いつも本当に楽しく拝読しています。
    これからも更新を楽しみにしております!

  2. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、拝見しております。
    「ちょっとした番外編」と評された新人公演。にんまりしてしまいました。
    夢白さん、まぁやはり、スゴいです。彩風さんとの新コンビにも、期待大です。

    気になるのは、聖海さん、紀城さんは組替などで、さらに先へと進めないかなぁ…と。

    ともあれ大千秋楽が、無事に迎えられますように。

  3. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    全文同意です!

    原作でも、ヒロインは西太后ですからね。原作でもウラの顔はおしゃれとスイーツと、観劇がなにより大好き、贔屓は黒牡丹!な元乙女ですからね。ヅカオタマダムと、根は一緒だもん!

    原田先生の脚本、宮中での答弁とか、机上の空論場面を連発して、これで原作も史実も良く知らないお客が集中して聞いてくれる、理解してくれるはず!と認識しているなら、大劇場のエンタメ作家としてちょっと先行き不安ですね。

    観劇前は、ミセス・チャンたちをもっと全編通して解説&語り部にするかと思っていました。

    娘役たちをほぼモブのままにせず、女官達だって、男たちの難しい話のあとで、女官達のうわさで「つまり、〇〇ってこと!?」とまとめを入れるとか、何かしらやりようはあったように思うのですが。

  4. 五條 より:

    うーん見ておけばよかった。特に夢白。宝塚版だとそこまで評判よくなくて、まあ専科でしかも男役さんがやってるんだし無理だよねーみたいな感想が多く、流石の夢白でもキツイか…と思ってました。が!東京版すげー評判いいですね。どっかで再放送あったら見なきゃ。

    別件ですが、蒼汰さんが「娘役に動きがあるかも」なーんておっしゃってたら、早速美羽が破線上。星空一直線かなと思ってたらこれですか。動きあるかもしれませんね。

  5. maruru より:

    「1789」かあ。納得…。西太后がやたらクローズアップされてるし、複雑なキャラクターに仕上がってるしで、不思議だったのですが、ヒロインと考えればなるほど〜です。トップ娘役が必ず恋人である必要もないし、今回はほとんどラブなシーンもないし、朝月さんに西太后やらせればよかったのに…。

  6. 遠征するなごやふじん より:

    初めまして、いつも分かりやすい考察をしていただき更新を楽しみにしております。夢千鳥配信から宝塚にはまっているライトファンです。

    今回私の印象通りのコメントがあり嬉しかったのでドキドキしますがコメントさせていただきます!

    本公演、切ないメロディーに歌詞が前向きで舞台が豪華で何回も観に行ったくらいお気に入りの公演ではあるのです。けど何度観ても演出はモヤモヤしてました。
    「長い話をまとめた努力はみえるけど、京劇と日清戦争、タンストン処刑+咲ちゃん達の後半の歌と宝塚らしい見せ場もあるけど、冗長+駆け足が交互に来るな
    。。阿片窟もダンスの見せ場として見応えはあるけど唐突すぎてストーリー的にいるのか?(プログラムを読んで、そこで順桂が家族や国を思う芝居があったらもうちょい爆弾シーンが理解しやすいのに)」と。
    1回目はストーリー追うのにせいいっぱいで2回目からじっくり感動できた感じです。(感動させられる演出の力はあるのです。。文句言いましたが阿片窟は清朝末期の時代を感じるし見応えあります)

    特に西洋パーティシーンの登場人物達。新聞記者sはストーリーテラーをしてるからいいとして夢白ミセスチャンと咲城また従兄弟様は何で登場したのか分からないからもうちょっとうまく役割(出番)を作れなかったのかと。ミセスチャンはポスターにも載ってるのに。

    それが今回の新人公演でそのモヤモヤが解消されてストーリーがバランス良くなりめちゃ分かりやすくなってました✨!
    新人公演は下級生を見るだけでなくこういう演出の違いを楽しむ楽しみ方もあるのかと思った次第です。

    ※話は変わりますが、私は配信から入ったファンで配信がなければ新人公演のチケットなど取れずにここまで奥深く楽しめてないので、コロナは演劇界にすごくマイナスなのですが、配信が活発になった点においてはファンの裾野が広がり良い影響が出たなと実感しています。

  7. はる より:

    新人公演、配信で観ました。超大作に真っ正面から挑んで頼もしい限りでした。公演出来て本当に良かったです。
    壮海さんに注目しているんですが、伊藤博文が電波が悪くなり観られなかった。。涙
    ダンスも芝居も歌も歌えて本公演も目立っているので益々楽しみだなぁと思っております。

    夢白さんも迫力がありましたので何作が相手役を務めた後なら「カラマーゾフの兄弟」出来ますね!