昨日は星組 『Le Rouge et le Noir』のライブ配信放送日でしたが、
なななんと、わたくし、
梅田芸術劇場にて生観劇して参りましたー!!
ありがとう、星ヲタ管理人!!(一緒に遠征中ですがチケ難過ぎて別日観劇)
いやー、凄かったです。
これぞ宝塚歌劇団が放つ珠玉の逸品!!
本日はそんな星組 『Le Rouge et le Noir』の個人的感想を綴っていきます。
あなたの熱意を感じました
まず、大前提として。私は「考えるな、感じろ!!」系の作品があまり好きではありません。宝塚に限らずですが、エンタメ作品の良し悪しの評価の基準として、「一見さんでも内容が理解出来るか」という点に私は非常に重きを置いていて、これにより内輪受け全開の作品や、演出家の自己満足に走りすぎる作品に当たると「金と時間を費やしてこんなものを見せられるのか!!」と勝手に怒りを覚えてしまうんですよね。
で、本作。いわゆるイマドキのフレンチミュージカル作品であるからして、物語はその緻密さに重きを置かず、歌唱や演出の斬新さが優先され、ストーリーの展開としては、実は意外と急だったと思います。かの有名な『赤と黒』と同様、第一幕は主人公・ジュリアンが村長の妻であるレナール婦人との不倫関係に陥って、第二幕ではラ・モール侯爵の娘であるマチルドとの愛の駆け引きが展開され、浮かび上がるある男の成り上がりと破滅の物語。とはいえ、「あなたの瞳が俺を惑わす」「この人こそ私の安息なのです」と唐突に言われても、え、いつの間に?と突っ込みたくなったのですが、それを吹き飛ばすほどのエネルギーがこの作品には溢れていました。そう、何でも小難しく考えてしまう私が、「うん、感じた!!!!!!!!」と舞台を見て打ち震えたのです。笑
じゃあ何がそれをさせたかと言えば、礼真琴の圧倒的な技巧、選抜星組生たちによる素晴らしい表現力、この作品を上演しようと決めた宝塚歌劇団、その全てなのですが、一番のMVPはたぶん、若谷先生の演出力でしょう。とにかく舞台演出の見栄えが美麗でした!!
フレンチミュージカルって、なぜか衣装はパステル地っぽいぼやーっとした色味で照明だけギンギラしているイメージがあるのですが、本作はとにかく「赤」と「黒」とでパッキリ分かれていましたね。それは軍服と僧服の色であり、愛と憎しみであり、ジュリアンとレナール夫人の衣装であり、ジュリアンとジェロニモの衣装の対比でもあり、暗闇に浮かび上がる薔薇の花、ヒラヒラと舞う花弁、闇に浮かび上がる鮮烈な十字架と、とにかく色味が綺麗で、だけどそれが自己満足的でなく、ジュリアンを中心とする人間模様を効果的に演出していて、非常に良かったです。
あと、コロス的に無名のキャストたちが常に舞台上に複数人立っていて、もちろんそれは中堅若手に出番を振るための配役なんでしょうけれど、それにちゃんと意味と効果を持たせていたのが素晴らしかったです。舞台演出の諸々(幕の開閉とか)を行いながら、ある時は裁判の傍聴人に、ある時は不穏な空気の擬人化に、ある時は使用人たちの平和な日々にと変わりつつ、特に雨夜に彷徨う礼真琴ジュリアンに照明を当てる場面は、その行為自体に意味が感じられて(「誰かが見てるぞ」的な)、とても印象的でした。
そして、公演パンフが地味に最高。キャストスチールも小粋で良いですよねぇ…。全員分欲しいくらいです。
若谷先生は独特なスチームパンク風な世界観が有名ですが、月城かなと主演の『ダル・レークの恋』でも見事な潤色をしていますし、宝塚歌劇団が長く求めているポスト小池修一郎(海外ミュージカルを宝塚ナイズトさせる天才)の最右翼だなと、本作を見て思いました。この枠が今足りなくて、齋藤(IAFA)、稲葉(アナスタシア)、生田(CASANOVA)と劇団はお試し期間中なわけですけれど、ついにここに見つけれり、です。劇団ははよ彼に大劇場での海外ミュージカル演出を任せるべき!!
実に宝塚らしい「昼ドラ」感
で、話の内容はというと。いままで宝塚で上演していた『赤と黒』より、よっぽど見やすく、よっぽど感情移入出来るお話でした。なぜってそれは、下世話な表現をすれば「昼ドラ」ちっくだから。
その大いなる野心のために女性たちを利用し社交界を成り上がろうとしたジュリアン、だけど結局は愛に殉じて破滅する男の物語、というのが従来の『赤と黒』だったと思います。だけど本作は、とにかくジュリアンが不憫でした。
演出の都合上、「成り上がってやる!!」という独白が少なくなり、かつ礼真琴が持つスター性がゆえに、「口では偉そうなことを言うけど、結局は愛に飢えている孤独な少年」に私は見えたんですよね。女を利用するのかと思いきや、案外コロッと人を好きになってしまう、そのチョロさが愛しいです。笑
そんな彼が、貞淑な妻でありながら一時の情熱に絆されるレナール夫人と、病み合う男女の愛憎劇を紡いでいく。そこに邪魔するレナール村長、ヴァルノ夫妻、メイドのエリザ、そして愛の証明のための当て馬のようなマチルド。舞台の色味と有沙瞳の様相も相まって、火曜サスペンス風味というか、TBS愛の劇場風味というか、良い意味での下世話感があって、私はそれが非常にツボでした。
だけど不思議と礼真琴には生々しさがなくて「…という物語でしたとさ」という距離感が有り、だからこそ気軽にライトに、フィクションとして本作を楽しめる。もちろんそれは、暁千星演じるジェロニモの立ち位置のおかげ、つまり若谷先生の演出力のおかげでもあるわけですが、その塩梅が実にちょうど良かったです。
さっくりキャスト感想
キャスト面の感想をさっくり書くと、レナール夫人はトップ娘役になるにはしっとり感が強い有沙瞳にぴったりな役だったし、まるで神田沙也加のような溌剌とした魅力あふれる詩ちづるにもまた、マチルドはぴったりでした。実力派の小桜ほのかは熟女枠を美味しく演じ切り、瑠璃花夏も手堅く一人のありふれた、だけど残酷な女性を演じていました。
男役でいうと、星組の暁千星・猛プッシュモードがあからさま過ぎて面白かったです。とはいえベルツッチオ、アヴァクに続き、ストーリーテラーポジション、つまり手っ取り早く人気が出せるルキーニ手法を3作連続でさせるっつーのは少し芸がないのでは?と突っかかりたくなりましたが、とはいえ大活躍だったんだから仕方なし!!礼真琴と並ぶことでリミッターが外れ、ダンスに芝居に歌にと大活躍でした。
礼真琴の同期であるひろ香祐も実に手堅かった。その実力をいかんなく発揮し、これぞまさしく美しき同期支え。『ロミオとジュリエット』でともに役替わりで愛を演じた碧海さりお、希沙薫は、まさに「死」と「愛」的に舞台を彩り、その輪舞が素晴らしかった。2人ともメイクにだいぶ凝ったのか、碧海は常に退廃的で、希沙が常に耽美的(素の顔から相当作りこんでいましたね!!)で分かりやすかったです。
専科より、英真なおきは一時期ガリッガリで心配しましたけれど、生気溢れる表現力が戻っていて良かったです。そして個人的MVPは紫門ゆりやかな。改めて彼女の顔面の良さに惚れ惚れしましたし、嫌らしさと道化感の塩梅が実に素晴らしかった。専科異動と聞いた時、正直ここまで活躍出来ると失礼ながら思っていませんでしたが、宝塚としては実に貴重な人材であるなと改めて思いましたね。
そして礼真琴の素晴らしさは言わずもがな、ですよね。ジュリアンという役は本当ににピッタリで、ファンは彼女のこういう姿を見たかったんでしょうけれど、そんな人々の想像を遥かに上回る存在感を放つのが本当に凄いです。
宝塚的価値観の極北
そう、礼真琴の技量は、現時点ですでに宝塚という枠を飛び越えてしまっています。そんな彼女は、率いる星組の中で「一強」の存在として、少なくとも『めぐり合いは再び』では君臨していました。
だけど本作は違います。有沙瞳が、暁千星が、詩ちづるが、小桜ほのかが、専科の2人や星組生が、礼真琴と対等に渡り合おうと全力全開で活躍しています。あまりの実力の高さに、それは全くもって「宝塚的でない」と評価しそうになるけれど、女性が理想の男性像を演じる虚構性、かつ潤沢な予算と演出技巧でこそ表現出来るものであり、逆説的にまさに宝塚的であると私は思いました。宝塚歌劇団における実力特化の極北、それが『Le Rouge et le Noir』です。
だ、け、ど。やっぱり礼真琴の相手役は、舞空瞳こそ適任なんだなと思い知らされた一作でもありました。それは作画的、ダンスの実力の相性もさることながら、舞空瞳には圧倒的なヒロイン性が有るし、それが礼真琴と似合うんですもの。だから本作は、あくまで番外編。外箱でやるからこそ意義が有るのでのしょう。
コロナモードでいまいち活躍が出来なかった礼真琴に、宝塚歌劇団が挑戦状として叩きつけ、彼女はそれを見事に昇華。上げ過ぎたハードルを軽々と飛び越え、まさに次期トップオブトップにふさわしい逸品となりました。これがこの公演日程数と箱サイズであることが実に惜しい。東京公演まで無事完走し、一人でも多くの方が本作を見られるよう祈っています。
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コメント
配信を観ました。チケットが取れなかったので。
礼真琴さんの実力は現宝塚ではダントツで、これは誰しも認めるところでしょう。それは、宝塚の枠内にとどまらず、ご卒業になれば東宝をはじめ、外部の大きな舞台の主演をされる(だいもんさんのライバル?)と予想しています。
ただ、私個人は、彼女が完璧すぎるがゆえに、これまで、面白くない…というか、なんとも申し訳ない受け止め方をしていました。
歌は、完全プロで、あまりに上手く、ストレスなく聞けるがために、スーッと聞き流してしまう(いやな観客です。)とともに、お芝居は若干オーバー気味で、なかなか、ひきこまれないというか、感動しないというところがありました。
しかし、今回の作品は、響きました。ひねくれものの私ですが、礼さん演じるジュリアンの屈折した、哀しい気持ちがビンビンきました。
歌も、その心情に惹きつけられました。素晴らしかった。瞳が訴えてきた。劇場で観たかったです。
(私個人の屈折しているような主人公が好きという性癖のせいかもしれないですが。)
「ロクモ」は観ていないのですが、同じような作品だったのでしょうか。観たかったな。
また、暁さんは、一人舞台に立って観客を睥睨できるというか、客にこびずにいられるスター性、存在感がありますね。
今夜ロマンス劇場にのときに、彼女の迫力に驚きましたが、その続きのような妙な異次元の世界観を持っているというか。
彼女の存在で、この赤と黒が一つステージを上げられていると感じます。技術的には、さらなる高みを目指し、貪欲に、礼さんから、どんどん吸収してほしいです。
ファンとしては、歌にダンスに芝居に、いきいき活躍している姿が個人的に非常にうれしいです。
ただ、欲張りなので、今度は、違う役回りを観たい。(桜蘭記の後村上天皇のような役は、星組ではないかしらん。)
有沙さん、詩さん、小桜さん、瑠璃さん、本当に素晴らしかった。
ひろ香さんは、普段の温厚な雰囲気とはガラッと違う悪役、プロだなあと感激しました。紫門さんといい、ひろ香さんといい、この方たちが役者であるからこそ、舞台全体の質があがりますね。
ダンサーも、生き生きしてやっているのがよくわかりました。
画面のみでも、礼さん達に魅了されたのですが、谷先生の舞台に関する評価を拝見し、そうだったんだのか、オンブルたちももっと見たかったなあ、生の舞台を見たかったなあ、いじいじ、という思いです。
うらやましいなあ、という感想で終わります。
すいかの種より
蒼太様
半年ぶりの投稿です。
スマチケが微笑んでくれ、23日に観劇が叶いました。
観ている間「まこっちゃん、どこまで行くの?」と身震いし、観劇後も反芻していました。まこっちゃんは自らのリミッターを外し、どこまでも自身の高みを目指しているので、観客の想像を軽く超えるパフォーマンスを魅せてくれます。
さらに今回素晴らしかったのは、出演者がそれに食らいついていた事。1人独走の礼真琴を追いかけ、皆が実力アップ、その気迫もすごくて舞台に熱中しました。ありちゃん効果もありましたよね。
でも「まこっちゃんにはやっぱり舞空瞳!」そこ大事です。詩ちゃんも良かったけど、お慕い芸とは違う孤高のペアとして「ことなこ」には更なる高みを目指して欲しい!
蒼太さんのコメントにも感激でした。いつもありがとうございます。これからも楽しみにしています。
蒼汰さま
はじめまして。いつも楽しく拝読しています。
今回の記事、あまりに同意だったのでコメントさせていただきました。
今回の外箱は歌がとても上手なメンバーさんで固められていて、確かに礼さんの代表作になるだろうなぁと思いました。
礼さんに歌が上手な相手役さんをという声もありますが、私はやっぱり相手役は舞空さんが良いです。
詩さんはとてもお上手だけど、個人的に詩さんには「天才子役」的な雰囲気を感じてしまい、それが少し苦手だからでしょうか。あと、礼さんと並ぶとあまりにこじんまりしてしまうように思いました。
昨日、全国ツアーを拝見したのですが、凪七さんのお相手をした舞空さんも、素敵だけれど、何か「もやっと」した感じが残りました。スタイルが良い凪七さんより、礼さんと並んでる方がしっくりきます。(慣れないからなのでしょうか)
大好きな「ことなこ」コンビの舞台がこれからも見られますようにと祈りつつ、まずは次の1789を楽しみにしてます。
蒼汰さん、これからもブログを楽しみにしてます。
素晴らしい、的確なご感想ありがとうございます!!
私も、無事にライブ配信視聴しました!!
本当に、物語の展開早すぎなのですが(笑)、皆様の素晴らしいパフォーマンスで、そんな小さなことはどうでもいい!!と。
そして、(有沙さんや詩さんとの絡みが素晴らしかった上で)、その上で尚、舞空さんが相手役でありトップ娘役である素晴らしさをも感じたし、蒼汰様のご意見に全文同意です!
その上で感じたことです。大前提として、詩さんのマチルダは素晴らしかったと私も思っており、その上で、です。
私、「めぐりあい」新公未見だから思ったのかもしれませんが、
今回感じたのは、
次回「1789」の新公、詩さんはアントワネットが似合うのではないかということ。
詩さん、丸顔で童顔タイプなのですが、舞台の持ち味自体は大人びていて…星風さんや舞空さん、音彩さんのような「わかりやすいプリンセスタイプ」ではない気がして。それが今公演は生きたけれども、場合によってちょっと難しい部分になる可能性もあるな、と。
私はむしろ、瑠璃さんは本来プリンセスタイプだったんだなと思いました。お役の関係もあるとは思います。(「ロミジュリ」新公がなかったのが改めて残念になり…もし瑠璃さんがジュリエットを演じたとして、確固たる路線に踊り出たとは状況的に考えにくいですが、演じてみてほしかったなと!)
ということで本当は、確率的に低いのは承知だけれども、瑠璃さんオランプ、詩さんアントワネットで観てみたい、と思ったのですよね。
とはいえ。詩さんが(組はどこであれ)トップ就任候補であるなら、ここできっちりオランプ役を演じて「瑞々しい正ヒロイン」感を更に身につけていってほしいとも感じます。
(その場合、瑠璃さんにはアントワネット役を!)
まあ、これは私の個人的意見なので、全く異なる見方をされる方もいるとは思いますのであしからず。
最後に、暁さん、プレッシャーも凄かっただろうと想像しますが、素晴らしかったですね!!
礼さんの相手役はやっぱり舞空さんでないとお思われる方が多いと思いますが、私はこの公演を見て逆に歌や芝居が得意な相手役と組んでいたらとんな演目をやってどんなトップになっていたんだろう?というifを考えるようになってしまいました。
有沙さんも詩さんも小柄なので横に並ぶだけで、ああ礼さんはちゃんと男役なんだなとドキっとしてしまったり、歌のデュエットも素晴らしくてもっと聞きたいなと思ったり。
礼さんをすごいと思うことはあっても、芝居で男役としての格好よさや色気を感じたのは今回が初めてだったので、相手役や演目によってこんなにも変わるもんなんだとびっくりしました。
礼さんと舞空さんのデュエダンはいつもすごいですが、超絶スタイルに目を奪われて舞空さんばかり見ちゃうので、舞空さんもスタイル的にのびのび踊れる相手役だったらどんなトップ娘役になったのかなーなんて思ったり。
飽きがこないように別箱で相手役と離す配慮だったのかもしれませんが、違う相手役だったらのifを考えてしまう自分のようなタイプもいるので若干危険をはらむ措置なのかなと思いましたね。
た、確かに…。そう考えると舞空さんがシックな芝居が出来るようになれば最強なのかもしれません。けど、それは望み過ぎというような気も…。
返信コメントいただき恐縮です。
ことなこはコンビ人気があれだけあればコンビとしては正解だとは思うですけどね。礼さんが今回あまりにも色っぽくて格好よかったのでつい色々考えてしまったんですよね。ほんと高望みで。
(色気のある男役娘役が大好きなので…)
考えたんですけど、例えば逆に礼さんの相手役が芝居上手だけどあんまり踊れないタイプ…ってなっても結局は文句が出ると思うんですよね。長期&添い遂げが大前提でしょうから、こうやって時々ガス抜きしながら味変を楽しむのが丁度良いのかもって思いました。
私も同じくライブ配信を観た一人です。
礼真琴さんは少年~青年の役が一番似合いますね。
ジュリアンはピッタリでした。
歌は勿論、総てにおいて高得点の実力で見る者を圧倒します。
ただ、上手すぎて面白くない、かな?
このニュアンス、分ります?
安定しすぎていて危険な香りが少ないのです。
その点は、ありちゃんのジェロニモの方がアブナイ奴感が出ていましたね。
ルイーズ役の有紗さんは大人の女の艶があり、ステキでした。
対象的に若さで攻めた詩さんのややキツメのご令嬢の対比が面白かったです。
他は、紫門さんのさり気ない存在感と巧さ。月組時代は失礼にもさほど魅力を感じることが無かったのですが、「桜嵐記」の師直で演技に開花されたように見受けられました。専科入りに当たり、一念発起されたかのようで、その流れで今回の役も的確に演じておられました。頼もしい方です。
同じく英真さんも安定感があり、存在感がたっぷりでした。
コロスのリーダー格の碧海さん、希沙さんは違いがハッキリしていてこれまた良かった。
星組はトップさんが超絶上手い方だから皆さん、必死についていこうとしている姿に感動します。
この作品は星組に合っていましたね。
私の好みからは少しずれがありますが。ちょっとフレンチミュージカルは苦手かも・・・(笑)
モーツァルトの方が好きですね。
蒼汰さんが最後に「やっぱり礼真琴の相手役は舞空瞳」と書いてくださり、嬉しくて涙が溢れました。
舞空さんのアンチが望む「小柄て歌ウマ」の有沙さん・詩さんを礼さんと組ませれば、「任期後半はそちらに相手役を変えろ」と彼らが騒ぎ出すことは火を見るより明らかでした。
しかし、有沙さんではジュリエットはできなかったし、詩さんではアンジェリークやルスダンはできなかった。(詩さんの新公のアンジェリークを見ましたが、歌もお芝居もとても上手なのですが、立っているだけで滲み出てしまうプリンセス感というか、キラキラが足りないと思ってしまいました。そしてルスダンは、プリンセスみがなかなか取れないクィーンという不安定さを表現するにあたり、やはりこの絶対的プリンセス感は不可欠ではないかなと)。
赤と黒を見て、お2人は、なんでもできてとても素敵な娘役さんではあるけれど、私が勝手に思う「星組のトップ娘役」とはちがうと感じました。
圧倒的存在感の礼真琴さんの隣はやはり圧倒的プリンセスの舞空瞳さんぐらいのキラキラがないと釣り合いがとれず、「コンビ感」は出ないのだと思いました。小柄同士、歌ウマ同士くっつけたところでいいコンビになるとは限らない。
礼真琴さんと舞空瞳さんは纏うオーラ、熱が同じ。だから身長差がそんなになくても、舞空さんが礼さんほど歌ウマでなくとも、こんなにも唯一無二の「トップコンビ感」を感じさせるんだと思いました。
私は、赤と黒は宝塚版でさえ、ルイースをトップ娘役がやることに違和感があり、かといってマチルドでは出番が少なすぎると、もともとこの作品はトップコンビ制度を敷く宝塚には向いていないと思っていました。
ことなこファンの方が冗談で、なこちゃんが赤と黒に出ていたらルイースにしてもマチルドにしても、絶対にどこかのタイミングでジュリアンと駆け落ちするか心中してると言っていましたが、案外的を射ているのかな、と。
外部的なことをやるには、ヒロイン2人とも「相手役」ではないほうが都合がよかったのかもしれません。やはり、ことなこはどっちつかずの三角関係ではなく「お互いしかいない、運命的な」関係性が似合います。
舞空さんは決して器用な方ではなく、歌もお芝居も巧者というわけではないですが、私は彼女の計算とはちがう、その時感情が動いてしまってどうしようもない、みたいな歌とお芝居大好きなんですよね。礼さんとのハーモニーも。
先日、全ツを見に梅田に行ってきました。舞空さんが、とても輝いていました。とくにショーでは、複雑な気持ちでいないわけないだろうに、娘役スキルを存分に活かし、凪七さん、瀬央さん、天飛さんらと、また娘役たちと、それぞれ異なる素敵な世界観を見事に作られていて、感動して涙がでました。
トップ娘役のプライドを見せつけられたといいますか。舞空さんが組み替えするときに明日海りおさんが言った言葉「舞空瞳なら大丈夫!」を思い出し、さらに涙が止まらなくなりました。
私は、やっぱりこの人がトップ娘役でいる星組が本当に好きなのだと痛感しました。
そして、やっぱり、ことなこの並び、ことなこのデュエットダンスが早く見たいと思ったのでした。
全ツは、お芝居は古臭さはありますが、古き良き宝塚がつまっていて、これもこれで素晴らしい公演です。
配信があることを願っています(なかったら酷い)。
またまたまとまりのない長文になってしまい、すみませんでした。
蒼汰さんが生で『赤と黒』を観劇なさったと聞いて喜んでいます。常々、礼真琴の舞台の醍醐味は映像では伝わらないと思っているので(とはいえ、あまりのチケ難で生で観られなかった方が多いのは本当に残念です)。
私は礼真琴は上手すぎるから面白いと思っています。異次元に突き抜けて、笑っちゃうぐらい上手いから極上の面白さです。安定なんていう言葉とあの面白さは相容れないです。
今回は歌も芝居も上手な有紗・詩との組み合わせが非常に新鮮かつ美味しかったですが、それが成功したのは、小柄同士の組み合わせでも成り立つ小劇場空間だったからのこと。大劇場の大きな空間では、礼真琴の隣にはすらっと背が高く手足の長い舞空瞳でないとダメですよ。
劇団は昔から霧矢大夢しかり、安蘭けいしかり、小柄な男役には背が高くスタイルの良い相手役を付けていて、視覚的なバランス効果をよく分かっているなと。例外的に、望風斗と真彩希帆は突き抜けた歌ウマ同士の掛け合わせが視覚的バランスを犠牲にするほど価値があると判断したのでしょう。もっとも真彩希帆は娘役としては小さくなかったですけどね。ともかく、宝塚歌劇団は大劇場で映えるビジュアルのバランスが大切ですから、あくまでメインの大劇場での見栄え優先です。
舞空瞳は歌や芝居に多少難ありかもしれませんが、超ダンサーですからね。彼女にしても、男役を食うと言われることなく(花組で柚香光と組んで踊った時には、完全に柚香を食ってしまって不評でした)思う存分ダンスの実力を発揮できる相手は、礼真琴しかいないでしょう。礼真琴があそこまでダンスの技量を発揮しきれる相手も、舞空瞳以外にはいないです。
今回、トップ公演の外箱としては異例な小劇場だからこそ成立した、特例的な掛け合わせが生んだ最上級に贅沢な舞台だったと思います。そして若谷先生は、あのコンサート風なフレンチロックミュージカルを実に華やかさも耽美もある洗練されたお洒落な演出でちゃんと宝塚の舞台として仕上げていて、お見事でした。同じフレンチロックミュージカルでも、『モーツァルト』は石田先生のお粗末すぎる歌詞やセリフで残念感がありましたが、今回はそんな残念感は微塵もなく、その面でも極めて満足度が高い舞台でした。若谷先生に拍手!