まさに祝祭星劇!!・星組『めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人-』感想

 

星組公演、無事開幕して良かったですねぇ。

 

 

星組ファンの管理人は大歓喜だった本作、

いつもはレビューの方から感想を書くのですが、

今回は思うところがありまして、

『めぐり会いは再び next generation』の方から書いていきます。

 

青年期の別れは、ある星組との別れ。

 

ところで何故、このタイミングで『めぐり会いは再び』なのでしょう?

 

コロナ禍でいつ公演が中止になるか分からないし、

予算が少なくて済む(衣装も着まわせる)オリジナル作品でありながら、

人気作の続編という話題性を持てる、

ローコストな逃げの一手として企画した、だけではありませんでした。

 

本作のテーマは、ずばり青年期との別れ。

モラトリアムから抜け出し、

責任という十字架を背負って大人の道を歩み出す物語です。

 

ルーチェがニートから抜け出し、

アンジェリークと永遠の愛を誓い次期国王となる、

そんな物語に重なるのは、柚希礼音政権の星組との別れです。

 

礼真琴がルーチェ役に抜擢された

『めぐり会いは再び 2nd〜Star Bride〜』からちょうど10年。

 

愛月ひかるの退団により、星組濃度が濃くなっている現在ですが、

次作から月組から暁千星がやって来ることが決定済み。

 

暫定2番目が礼の同期にして星組生え抜きの瀬央ゆりあであり、

星組の父母として君臨した天寿光希、音波みのりも本作で去る。

 

そんな新体制前夜の、

星組の星組による星組(ファン)のための祝祭星劇!!

これが企画の根本なのだと思います。

 

それは同時に、100周年時に大人気組となっていた、

柚希礼音政権以降の星組の終焉でもある、というわけですね。

 

これまで星組を継ぐ者として作品を複数再演しながら追ってきた礼真琴が、

柚希礼音のフォロワーという立場を捨て、

新たなステージに立ち向かう、高らかな宣言のようなものかもしれません。

 

自分自身で過去の自分を振り返り、

作品自体も「モラトリアムとの別れ」であることから、

明日海りおにおける『ME AND MY GIRL』なのかな、とも思ったり。

(次作が『金色の砂漠』→『斜陽のルスダン』なのも興味深いですね。)

 

とにかく、礼真琴の第一章と第二章のつなぎ目のような、

内輪な小休止的演目なのだなと勝手に納得したのでした。

 

つまりは星組カーニバル的な一作

 

では、肝心の内容についての感想はというと…。

衣装が可愛かったですね、以上。

 

…いや、正直に申しますと、

これって前作、前前作を見ていない人って、

果たして理解出来たんでしょうかね?

 

今回は小柳先生の悪い方のクセ、

つまりキャラを多く出し過ぎて全体的に説明不足な感じが出ていた印象です。

 

ただでさえキャラ渋滞、かつ聞きなれないオリジナル名称ばかりなのに、

例えば冒頭で「コスモス帝国に行ったエルモクラート」(意訳/初演に出演していた真風涼帆のこと)

のような、そこに居ない人のことまで説明し出すから、

過去作をなんとなく覚えている私ですら「?」という点が多々有り…。

 

よく分からないまま腹筋スクワットして、酒場でダンスパーティーして、なぜか王女が拉致られて(普通に考えたらルーチェの方を始末しません?悪役が王女本人にペラペラと内情を話しだして驚きましたとも)、後で気付いたのですが探偵事務所が襲われたらしくって、ルーチェはウジウジしてただけだけど大団円で、「恋人の好きな花くらい覚えておけよっ」って極美慎が言ってましたけど、何か伏線ありましたっけ?みたいな。ちなみに結局のところ真夜中の依頼人って何の比喩だったの?(小声)

 

とはいえ、最後の20分で無理やりハッピーエンドに持っていきながらも、

謎のアツさと感動があるあたり、小柳先生の手腕だなぁとも思います。

そう、彼女だからこそ大きな破綻なく、

「ん?」で済むハッピーラブコメになっているかもしれないわけで。

 

過去作に出ていたキャストの血縁関係者、

同じ衣装を着た人が出ていたし、

そもそも物語がプリンセスの花婿探しという初代をなぞる展開なのですから、

柚希礼音政権時からのファンはニヤリとするに違いない演出でしたねぇ。

 

また、銀橋で音波みのりが舞空瞳を、天寿光希が礼真琴を励ます場面が有り、

あー、これがやりたかったのね、と思いながらも、

やっぱりグッとくるシーンでもありました。

 

個人的には、綺城ひか理、極美慎、小桜ほのかの並びが、

いかにもファンタジー作品の悪役!!って感じで、

美麗で素敵だったな、と思ったり。

 

礼真琴が達者なのはもちろん、

お披露目からアダルト→少年→アダルト→少年と入れ替わりでやっていますが、

本作の少年感丸出しなのも、そりゃ当然上手いわけで、

今の星組だからこそ出来るカーニバル的作品なのだなと思ったのでした。

 

ところで、パート4はあるのか?

 

ま、観ていて一番気になったのは、

まさかの大怪盗ダァトのネタは次回へ持ち越し、的な展開になり、

パート4への伏線を微妙に張っていたことでしょう。

 

そんなダァトの名を語る場面が有ったことから、

劇団は天飛華音あたりで主演を狙ってるんでしょうかねぇ…。

 

ま、勢いとノリで圧倒するあたりがさすが星組とも思った本作。

軽快なラブコメが好きな人なら刺さる作品だと思いますので、

深く考えず、気軽に見たい人には是非お勧めです。

 

このまま無事千秋楽を迎え、

より多くの人が観劇出来ることを祈るばかりです。

 

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コメント

  1. mm より:

    いつもブログ更新楽しみにしております。

    星担の私からすると小柳先生ラブコメ×大介先生ショーは御馳走のような公演でした!

    ことの発端の、アージュマンド(瑠璃さん)がレグルス(瀬央さん)の事務所に依頼に来た時間が22時35分を指していて、夜風に当たってくるとルーチェが出かけるので夜なんです。
    初見だとわかりにくいですよね…

    演目発表時点では「アンジェリークとその友人たちが煮え切らないルーチェに向けて計画を立てた」のが「アンジェリークの周りの周囲が本人には内緒で計画を立てた」にあらすじが変更されてました。

    なので当初は真夜中の依頼人=アンジェリークのはずが、アージュマンド(公爵・フォション・レオニード)になっていたということですかね?

    天寿さんと音波さんの退団発表により、改変されたのかもしれません。
    どうか、東宝は新公含めて全日程完走出来ますように…

  2. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、興味深く拝見しております。
    よい意味で、高濃度の星組との別れ…、なのかもしれないですね。AB別れての公演の時から考えると、本当にわちゃわちゃ(なんだか可愛い)と舞台上に、星組パワーが溢れていて。
    礼さん政権の第二幕の始まり!期待しかありません。

  3. マーガレット より:

    星組記事、楽しく拝読しました。

    極美慎ロナンの「恋人の好きな花ぐらい覚えておくんだな」という台詞ですが、これは花婿選びの課題の一つに「恋人の好きな花をプレゼントする」というのがあって、ロナンはちゃんとデュディスの好きな花をプレゼント(デュディスが「簡単な課題だった」とか何とか言っています)、一方ルーチェが選んだ花は、アンジェリークがアレルギー反応起こしてしまってクシャミが止まらず、クシャミの勢いで花がポキっと折れて落ちてしまう、それを見たロナンがバカにして笑う、というシーンがありまして、それを受けたものだと思います。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      あーなんかそんなシーンあったなぁと思い出しましたけどクシャミが止まらないとか全く記憶に無かったです…笑
      たぶん集中切れしてたタイミングかもですね。

  4. May より:

    前楽、ようやく唯一のチケットを手に見て参りました!
    いやー、なんとマイルドなご感想でしょうか…笑 星組ファン目線からしても、「うーんドタバタしている!」という印象でしたので…コメディって難しいですね。コメディにおける前トップの圧倒的な強さが良くわかりました。
    星ファンならクスッと笑える小ネタが大量にあり、オンブル家の歌が聞き応えがあったり(ALI PROJECT?)、断片的に色々と良いんですが、まとまりが。これは筋書きの問題なので、組子のみなさんは健闘されていたと思います。そして小桜さんこんなに可愛かったっけ!?と驚きました。
    カンタンテは一気に礼さんの歌圧が上がってウオー!という感じでした。舞空さんは歌の人ではないので、美穂さんとデュエットさせていただくのは名案、大正解でしたね。
    「いつかパソドブレ踊ってほしいです」と礼さんと舞空さんに手紙を書いたのは2019年春のことでした…ダイスケ先生ありがとうございます。感涙です。