熾烈な101期生男役路線レース

 

月組公演『1789-バスティーユの恋人たち-』で入団した101期生は、

入団成績5番までが全員男役だったことから、

「男役の期」と言われ、注目を集めてきました。

 

そんな彼女たちも、この春で新公学年を卒業し研8になり、

路線レースに参戦していくことになります。

 

改めて魅力溢れる101期生たちを紹介していくとともに、

現在の立ち位置を確認してみましょう。

 

縣千:101期生のトップランナー

 

■縣千

入団成績:4番

身長:171cm

新公主演:2回『凱旋門』『CITY HUNTER』

バウ単独主演:1回『Sweet Little Rock ‘n’ Roll』

その他:アンバサダーメンバー

 

101期生のトップランナーと言えば、皆さんご存知、縣千。

雪組の次なる一人っ子として早くから目され、

『SUPER VOYAGER!』では研3ながら綾凰華と既に並ぶ立ち位置に置かれます。

 

そのまま研4『凱旋門』で新人公演初主演。

図らずとも、元雪組トップである轟悠最後の後継者となりました。

 

…が、ここで突然育成がストップ。

望海風斗主演作である5回を全て外されるという事態に陥り、

一時的に干されたような扱いに。

 

が、コロナ禍突入ともに再びプッシュモードに戻り、

『パッション・ダムール』『ほんものの魔法使』で2番手格、

そして『CITY HUNTER』で丸3年ぶり、2度目の新公主演を果たしたのでした。

 

彼女の魅力はやはり、アクロバティックなダンスに、

昨今では珍しい骨太でクラシカルな男役像。

 

そして何より、メンタル。

もちろん素の彼女を知る由もありませんが、

スカイステージ等での言動を見るに、既に男役としての覚悟を感じるし、

自分の魅力と弱点を理解しつつ、長所を全面に押し出せる精神力が有る。

 

上級生にもガツガツ絡んでいきながらも、

けど空気を読んで締めるところはしっかり締めるあたり、

頭の回転の速さも感じます。これぞまさしくトップの器というもの!!

 

歌唱力に大きな難点がありますが、

宝塚とは不思議なもので弱点があるほど魅力的に映るのでノープロブレム。

 

バウ単独主演を踏まえ、雪組4番手スターに躍り出るであろう彼女は、

まさに101期生のトップランナーに相応しい存在だと言えるでしょう。

 

鷹翔千空:ツインタワーになれるのか?

 

■鷹翔千空

入団成績:1番

身長:175cm

新公主演:2回『天は赤い河のほとり』『オーシャンズ11』

その他:阪急阪神初詣ポスターモデル

 

その縣千と双璧を成していた、宙組の鷹翔千空。

いや、正確に言えば、常に縣千の先を行っていたはずの彼女。

 

入団首席、初詣ポスターモデル起用、

101期生初の新公主演も、初スチール入りも、

実は縣千ではなく、鷹翔千空でした。

 

ところがどっこい、今度は彼女が現在ステイ中。

これは彼女都合というより、宙組都合という方が正しい気がします。

 

何せ宙組は期待の若手をバンバン生み出し、

整理することなくそのまま全員をほぼ平等に上げ、

結果全部ダメにしてしまう、ということを繰り返す組。

 

鷹翔千空も瑠風輝は抜けないし、

下から風色日向や亜音有星が出てくるし、という状況に陥っています。

…育てられないなら早く外に出してあげれば良いのに。(ファンの呟き)

 

そんな彼女の魅力は、歌唱力。

アンダー100期の正路線チームの中では、一番正統派な歌ウマさん。

そして謎の落ち着きがあり、シックでアダルトな魅力があること。

 

縣千の対抗馬として実に素晴らしい素質の持ち主だと思うのですが、

いかんせん本公演で目立ててないんですよね…。

 

今後については、ずばりバウ単独主演を取れるかどうかでしょう。

そして宙組を出して貰えるか、

あるいは誰かが動いて昇格出来るか、かな?

スポットライトが当たることに期待したいですが、果たして?

 

礼華はる:虎視眈々と狙う第3の男役

 

■礼華はる

入団成績:17番

身長:178cm

新公主演:2回『桜嵐記』『今夜、ロマンス劇場で』(予定)

 

101期生は縣千と鷹翔千空のツインタワー体制でいく、

かと思いきや、実に面白い立ち位置となっているのが礼華はる。

 

月組男役勢は、入団成績2番の天紫珠李が居たものの娘役に転向。

さらに知名度の高い彩音星凪もいましたが、

新公主演というチケットを、2度もゲットすることになります。

 

しかも本来主演予定であった『ピガール狂騒曲』がコロナで流れたことから、

退団公演である『桜嵐記』が巡って来て、

さらにお披露目公演『今夜、ロマンス劇場で』を取ったのですから、

退団&主演を取るという超路線級扱いとなったのでした。

 

例え棚ボタラッキーだったとしても、チャンスはチャンス。

いや、もっと振り返ると、

最初のチャンスは轟悠主演の『チェ・ゲバラ』かもしれません。

 

この公演は月城かなとが休演し、風間柚乃が2番手格に昇格。

ここから色んな役が玉突きで上がっていることが想像出来ますが、

当時の彼女の立ち位置を考えた時、ルイス役はどう考えても抜擢でしょう。

 

ここでチャンスを掴んだのか、

続く『I AM FROM AUSTRIA』新人公演で2番手役に選ばれ、

そのまま『ピガール狂騒曲』で初主演の切符を手に入れたのでした。

 

そんな彼女の魅力は、ずばり令和顔なこと。笑

化粧後の顔が鳳月杏系なのでヅカ受けする顔だとも言えますが、

顔の作り、スタイルが、驚く程K-POP系。

 

彼女の今後については、雪組から彩海せらがやって来ることで、

今後の立ち位置がどうなるのか、でしょう。

 

一緒に上がるのか、ステイなのか。

それにより月組が、101期生路線構図が、大きく変わってくることになります。

 

碧海さりお:例え別格の星と言われても

 

■碧海さりお

入団成績:5番

身長:168cm

新公主演:1回『眩耀の谷』

 

ラストは星組の碧海さりお。

彼女については意外に低身長であることに、まず驚きという。笑

 

成績が良いことから入団直後から新公主演の配役は路線系が多く、

入団2作目『こうもり』で当時3番手だった礼真琴の役を演じることになります。

 

そのまま、礼真琴のお披露目公演である『眩耀の谷』を射止め

見事、路線スターの仲間入り。

とはいえ、上に極美慎、下に天飛華音が居ることから、

彼女は既に別格コースに入りつつあると言えます。

 

しかしながらその実力は確かなもの。

舞台を見ていて、極美慎や天飛華音を探そうかなと思っていても、

つい目で追ってしまうのが、碧海さりおだったり。

なぜって彼女の舞台姿は、実力がありながら実に丁寧だから。

 

礼真琴率いる今の星組の素力の向上は凄まじく、

突然アクロバティックな組に早変わり。

目立ってナンボの星組の中で、確かな実力を見せながらも、

一つ一つ丁寧にこなす彼女が目に付くのは、当然のことだと思います。

 

確かに101期生のラストランナーかもしれませんが、

その実力は折り紙付き。

上手くいけば星組を支える超別格として、活躍出来るかもしれませんね。

 

熾烈な101期生男役路線レース

 

以上、101期生の男役路線4名のご紹介でした。

全員の共通点は、持ち味がどちらかというとクラシカルで、

古き良き宝塚的である、ということでしょうか。

 

101期生は現段階でトップ娘役が輩出されていませんし、

男役のますますの活躍に期待したいですね。

 

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コメント

  1. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、拝見しております。
    いつぞやの記事で、蒼汰さんが書かれていたように、101期は93期に似ている、なんだなぁとしみじみ。
    それにしても、トップコンビと二番手さんの魅力満載、組替できた和希さんも合流し、期待溢れる野口作品の雪組本隊が、世情によるやむにやまれぬ公演中止で、呆然としたファンには、まぁ底抜けに明るい若手メンバーによるバウ公演は、癒しと希望を与えてくれました。
    主演の縣さん。強運の持ち主なのか、引き寄せる何かがあるのでしょう、か。
    雪組って、やっぱりいいなぁ(すみません、結局そこにゆきつく一ファンです)。

  2. あやこ より:

    我が家の理事長(母)が少し前から『月組に男前を見つけた』(=礼華)と騒ぎ始めたのですが、認識したきっかけが面白い。パレードのフィナーレ、月組は最後尾の下級生が「マウンテン型」に並ぶ為、トップスターの真後ろにおり、よく目についたとの事。なるほど、千秋楽LVともなると、トップスターの挨拶が長引けば長引くほど、目を細めて笑ったり(←マサさんが好きなやつ)涙をこらえたりする、アジアンビューティーの礼華さんを大画面で堪能できた!笑(ちなみに、現トップが小柄な星組の下級生は「ブリッジ型」で整列する事が多く、娘役のかわい子ちゃんがセンターに配される傾向にあります)
    これも“もってる”礼華さんの強み。運も実力のうちです、ね。
    対照的に、いろいろ“惜しい”鷹翔さん、碧海さん(←褒めてます)も、応援したくなる。
    無双・縣には、もう何も心配していません笑。
    ガンバレ101期!

  3. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    縣の入団成績が4番ということを今知りました。ちょっと意外です(笑)入団した頃はもっと歌えたのか、劇団の試験はダンスの配点が高いのか?

    身長は2021年度のおとめでは172cmとなっていますが、入団以降伸びたのでしょうか?ライビュでは海坊主はとても大きく見えたのですが、今の宝塚では特に長身という訳でもないのですね。

    弱点があるほど魅力的というか、一芸型の生徒のほうが、自分の使える武器の選定や戦術に意識的にならないと生き抜いていけない分、自己分析とセルフプロデュースに長ける傾向がありますね。

    鷹翔さんの今のところのイメージは万能型で、特に歌うまアピールをしていませんが、歌うまですよね。星組には暁が行って、組替えも無く、このまま埋もれるのは惜しい。初バウで「こうもり」みたいな、著作権の切れたオペレッタ等で歌うまアピールできないものでしょうか。

  4. nana より:

    元々龍真咲さんが結構好きだったので、似た顔立ちの鷹翔さんも気になっています。他のスターさんとは被らないタイプのオーラを持つ方ですし、もっと本公演で活躍の場をあげてほしいと勝手に思っています。
    なのに次はネバセイだから若手の目立つ場面はないですよね…

    縣さんはワンスのロケットが女装にしか見えなかったことが印象に残っていて、さすが縣だなあwwって思いました、海坊主もそうですけど「男」感がすごい笑
    持ち前の華とダンス力でこれからも彩風政権を支えてほしいですね。

  5. RICOりお より:

    蒼汰さま

    初めてコメントします。いつも鋭い考察と文章力に感服しながら楽しく記事を拝見しております。

    私も101期に注目しています!

    101期では、細身で万能な鷹翔さんを推していますが、ご指摘の通り、宙組が育成下手で本公演で目立てていないのが残念です。。全国ツアー版のアクアヴィーテ‼︎では人数が少ない分、番手が上がって見応えがあったのですが。

    歌がお上手な方なので、外箱などで歌うまアピールをする見せ場を作ってほしいですね。バウ単独主演、待ち望んでいます。

    月組では、今回のロマンス劇場でも礼華はるくんに目が行きます。背が高く、ヅカメイクもお似合いで、まさにKPOP美男子ですよね。ありちゃん演じる大蛇丸の従者、礼華&天紫コンビは「101期、いい味出しているなぁー」といつも楽しく見ています。新公主演は逃したけれど、ちなつさんの付き人役の彩音星凪も目鼻立ちクッキリで、つい目で追ってしまいます。

    縣は運も強そう。このままの勢いで駆け上がっていきそうですね。碧海さりおも様々に安定感があって安心して見ていられます。

  6. kobara より:

    新公主演していないので路線ではないのですが、注目しているのが宙組の真名瀬みらさん。音楽の宝箱で瑠風さんと歌っているのをたまたま見かけましたが、宙組の男役に疎いため「歌がうまくてスタイルもよくてアイドルっぽい爽やかさもあるこの男役は誰??」と調べてみたら真名瀬さん。プロミセス・プロミセスでは目立つ役ではないのですがちょっと話題になっていたみたいですね。(配信見たかった…)
    新公では路線どころの役が付くことはなかったみたいですが、鷹翔さんと同組配属だったのがもったいなかったですね。
    鷹翔さんもこのままではもったいなと常々思っていましたが、真名瀬さんも組替えなどでもっと活躍の場があるといいのにと思います。ダンスもお上手みたいですし、歌の弱めな組へ組替えしたらショーなどですごく戦力になりそう。