昨日、大千秋楽を迎えた月組公演『今夜、ロマンス劇場で』。
長く御曹司として育てられてきた暁千星にとって最後の月組大劇場公演であり、
次の東上主演を経て、礼真琴率いる星組へと組替えすることになります。
彼女は芝居上手でシックな現トップ・月城かなととの並びが良く、
将来的には組内で2番手へと昇格し、
そのまま月組でトップに就任するかと予想していたので驚きましたが、
とはいえ本人としては良いことなのだろうなとも思っています。
それはなぜか。
彼女に月組以外の別の世界を知って欲しいからです。
暁千星の組替え発表に思う
調べていて驚いたのですが、
暁千星は月組が生え抜き呪縛に囚われていた時代しか知りません。
本公演としては龍真咲主演『ルパン-ARSÈNE LUPIN-』から配属。
龍真咲&愛希れいか→珠城りょう&愛希れいか→珠城りょう&美園さくらと、
生え抜きコンビを頂点に置く環境に約10年在籍したことになります。
100周年以降の宝塚バブルに乗り切れていなかった(ように感じる)月組、
その大いなる原因は、いわゆるサイコ人事だけでなく、
頂点を生え抜きで固定させた停滞感にもあると思います。
そんな月組に、ついに月城かなとが風穴を空けたわけですが、
その途端、急に風通しが良くなったのか、熱血な組ファンだけでなく、
ライト層が戻ってきて、急に賑わい出したように感じられます。
その環境を上手く継承することも出来たかもしれませんが、
暁千星がスターとして飛躍するには、
もっと抜本的な改革を起こした方が良いはず。
そんな期待を込めての、今回の組替えだと私は感じます。
(もちろんスターが欲しい星組事情もありますが。)
奇しくも、礼真琴&舞空瞳はバリバリのダンサーコンビであり、
これまで組内で自分以上のダンサーに
そこまで遭遇したことが無いであろう暁千星にとって、
大いなる刺激を受けられる組み合わせになりそうです。
珍しい生え抜きトップ量産時代
ところで、現在のトップスターの組替え事情を考えると、
柚香光、彩風咲奈、礼真琴の3人が生え抜きトップ。
しかもついこの前まで、
同じく生え抜きトップの珠城りょうが在籍していたことを考えると、
ここ最近は半分以上が生え抜きトップであることになりますが、
実はこれ、5組化以降としては結構なレアケースです。
というのも、少し前までは組替えがもっと頻繁に起きていたし、
そもそも新専科制度というシャッフル人事があったくらいですから、
生え抜きトップというのは本当に珍しい、
あるいは選ばれしトップこその称号だったのです。
裏を返せば、行き当たりばったりな人事ではなく、
計画的にトップへの育成を図る手法が
定着しつつあるとも言えのかもしれませんね。
とはいえ、今の生え抜き濃度の高さは、
柚香光&礼真琴という95期のツートップが頂点に立っているからであり、
しかもこの2人は生え抜きだからこそ意味があるタイプなので、致し方なしかなと。
続く現在2番手の芹香斗亜、朝美絢、鳳月杏の3人だけでなく、
和希そら、永久輝せあ、暁千星のいわゆる9678トリオも、
結果的に全員組替え経験者となったことは、実に興味深いです。
それすなわち、宙組の桜木みなと以外、
しばらく生え抜きトップ候補生がいない、ということになりますから。
また、次に続くアンバサダー5人衆も、
万博が終わり次第いずれ組替えが起こるだろうとも予想しています。
例えば花組がすんなり永久輝せあ→聖乃あすかになるとは思えませんしね。
まぁこれは随分先の未来の話で、
数年後に人事がどうなるかなんて全く予想を尽きません。
今は今なりの、珍しい生え抜きトップ量産期を楽しむのも
それはそれで一興ということにしておきましょう。
可愛い子には旅をさせよ
エンタメ事業で最も避けなければならない、
予定調和や内輪受けを解消する一種のカンフル剤として、
劇団はこれまで何度も組替えを行ってきました。
組替えは、そんな組体制の風色を変える良いきっかけであると同時に、
スターが大いなる飛躍を遂げるチャンスでもあります。
「可愛い子には旅をさせよ」と昔の人は言ったものです。
選ばれしトップとしてプロデュースされる器がある人材ならともかく、
基本的には組替えをし、様々な経験をした方が、
スターとして一人の人間として、魅力的な人材に成長出来ると思います。
今回組替えする暁千星だけでなく、
これから動くことになるであろう多くのスターたちが
新天地で活躍出来ることを祈っています。
☆★☆★☆
ランキング参加始めました!!
ぜひポチっとお願いします↓↓
コメント
瑠風さんが「組替えして来られたゆりかさんが、鮮やかな柄物ブラウスをお召しで、みんなが触発された」(意訳)と言われていた記事を読み、ほぅ、と感心していた矢先でした。
奇しくも、暁さんと共に過ごしたトップ(月城さん除く)は、生え抜き+長期(+自我強め)のお2人。この条件が悪いというわけではなく、色々なタイプのリーダーの背中を見た方が、素晴らしいパフォーマンスにつながるはずだと、私も感じています。
花の香る鳳月さん、雪の結晶きらめく彩さん(+彩海さん)が、暁さんの跡を美しく照らしてくれるといいですね。(座布団下さい)
可愛い子には旅をさせよ、本当にそう思います。
決して全員が全員そうではないのですが、生え抜きだとどうしても孫の成長のようにぬる〜く見守られがちなので、男役・暁千星にとって殻を破る良い機会となってほしいです。
(組替え先の礼さんは長らく組内で孤軍奮闘していらしたので生え抜きのわりにあまりぬくぬく育てられた感はないのですが…)
まもなく始まる星組ファンにとってのお祭りのような「めぐ会い」は、愛月さんを見送り暁さんを迎える前の狭間の絶妙なタイミングで、本当に色々とよく考えられてるなぁ…とつくづく感心しちゃいました(笑)
いつも楽しく、拝見しております。
蒼汰さんの序列ランキングの記事を読んだ時にも、暁さんが月の御曹司として、大切に育てられてきたのだ、と改めて感じましたし、そのまま月で頂点を極められるのだろうな、とも思っていました。
それ以外の道があるとは…、ビックリもしました。
組の個性はあって当たり前ですが、礼さんご自身はトップオブトップの気質であっても、組子には寛容であるようですので、暁さんの個性はそのままに、新たな一面がひきだされるのでは…、と期待しています。
これでまた、星組にも通わないと、です。
蒼汰さんの「サクラサク~」の記事を拝見して、美園さんご卒団時の、何とも表現し難い胸のつかえが解消されたようで、春の花々をめでる日々を楽しませていただいています。感謝、です。