計算勝ち?月組立て直し計画遂行中

 

月城かなと率いる月組が、好調である。

 

お披露目公演『今夜、ロマンス劇場で』は全席満員御礼で、

好評を博した公演として2022年度3月期決算短信に掲載。

 

さらに、間もなく上演が開催される『グレート・ギャツビー』も、

コロナ禍以降難しくなった宝塚大劇場での完売を、現時点で達成しました。

しかも暁千星が一人欠けることになったうえで、です。

 

まさに「人気組になった」と言って差し支えない状況ですが、

もちろんこれは、劇団の用意周到な準備と計算があったうえのものです。

 

海乃美月トップ就任劇に思う

 

さて、月組はいわゆるサイコパス人事の常習犯で、

振り返れば…いつからでしょう?笑

とにかくファンも驚くビックリ人事が長く続いてきました。

 

それがカンフル剤となって良い方向に転がることも多々ありましたが、

ここ10年近くは不発続き。

 

100周年以降、宝塚がミュージカルバブルを享受している間も、

月組だけは低空飛行モード、その決定打となる美弥るりかの2番手退団により、

ライトファン離れが強烈に加速したのでした。

 

たぶん、劇団的には月組のテコ入れこそが最重要課題だったのでしょう。

劇団はあの手この手を打ちますが、

その秘策の一つが、海乃美月のトップ娘役就任です。

 

ご存知の通り、コロナ禍直後の娘役シャッフル人事において、

星風まどかが花組へスライド ← 潤花が宙組へ ← 朝月希和が雪組へ

(ついでに夢白あやがひっそりと雪組へ袖の下異動)

という三角貿易トレードが巻き起こりましたね。

 

この時、完全なる蚊帳の外だったのが、月組でした。

しかもそれは、トップ娘役である美園さくらが

既にトップ娘役の退団を発表しているにも関わらず、です。

 

それはつまり、人事を小出しに発表していたくらい、

しっちゃかめっちゃかだったあの頃の時点で、

既に劇団的は海乃美月に照準を充てていた、ということになります。

 

月組立て直し計画遂行中

 

当然ながら真実は闇の中ですが、

私はやっぱり珠城りょうの退団は想定よりも早いものであり、

なんなら月組100周年のホストも務める予定だったんじゃないかと邪推しますが、

とりあえず劇団は次期を月城かなとに『ピガール狂騒曲』の時点で決定します。

 

なんと彼女、当時まだ研12であり、

その1年ほど前に『夢現無双』にて怪我による長期離脱を経験。

 

2番手歴の長い芹香斗亜や、

頑丈そうな愛月ひかるの落下傘も有り得そうなのに、

それでも彼女を選んだ、というのは相当強い意志のあるものでしょう。

 

じゃあ相手役を誰にするか、と考えた時に、

月組大好きな男の娘である天紫珠李や、

104期のスーパーガールであるきよら羽龍ではなく、

劇団は既に一度トップレースに敗れている海乃美月を選びました。

 

それは最も組んだことがあり、最もファンに望まれ、最もサイコとは程遠い、

最も無難なザ・スーパー順当人事であるからして、

いかに劇団が本腰で月組立て直し計画に挑んでいるかが分かると思います。

 

そしてこの2人のトップ就任劇は、

諸手を上げて喜ばれていたように記憶しています。

当時、予想だにしないトップ就任劇が多かったですからねぇ。(小声)

 

そこから、お披露目からガッツリ芝居物の『川霧の橋』に、

『Dream Chaser-新たな夢へ-』ではラブラブ感を素敵に演出。

『今夜、ロマンス劇場で』で、これまた宝塚らしいラブコメの世界を作り出し、

そして2人に縁の有る『グレート・ギャツビー』に挑む。

 

実に用意周到な段取りですよね…月組らしくもない。笑

ま、結果成功を収めているわけですから、

今回の人事は大正解だったと評価出来るでしょう。

 

常に順当人事はつまらない、というのはよく分かりますが、

ファンを不快にするようなサイコパス人事ではなく、

普通に望まれるような人事を行えば人気に繋がるということを

いい加減月組さんは踏襲して欲しいですね。

 

今、最も宝塚らしい組へ

 

月組の人気の理由は何か、と言われたら、

私は「今、最も宝塚らしい組だから」と答えるでしょう。

 

月城かなとは男役としての、まさに理想形。

美しい顔立ちに恰幅のあるスタイル、

平均以上の歌唱力に、何よりも見る者を引き込む芝居力。

 

ダンスは苦手だけれども、それは相手役である海乃美月がカバー。

娘役らしい美しい所作もまた、理想形ですよね。

 

そして上級生2番手として支える鳳月杏も、

一般人が考える男役像に素晴らしくマッチングしたスターであり、

歌に芝居にと大活躍!!

 

さらに、組の勢いに乗ったのか、

上級生から若手までの生き生きとした姿が素晴らしく、

まさにノりにノった状態だと言えるでしょう。

 

この「今、最も宝塚らしい組」というのは、

真風涼帆就任直後の宙組にも感じましたけれど、

今の宙組は組としての円熟期を迎えたからこそ、

フレッシュな月組に、そのポジションを明け渡したように思います。

 

そんなわけで「初めて宝塚を見に行くならどこがおすすめ?」と聞かれたら

今なら私は「月組でしょう!!」と、胸を張って答えます。

そんなライトファンへの受けの良さこそが、

今の月組の魅力であり、成功の鍵だと私は思います。

 

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コメント

  1. あやこ より:

    あ!さらっと『頑丈そうな』とか言った!笑
    来月のシフトが決まったらチケット追加しよーっと♪(ムラの平日ソワレはそんなもの)と油断していたのが甘かった。。。ポスターで煽られ、製作発表会で煽られ、我々ライトファンが月組におびき寄せられているのを痛感しています。
    高身長や歌ウマだと『生観劇でナンボ』となるんですが、美形の演技派トップは、大画面の配信に強い(←偏見)。時代の追い風までをも味方につけている印象です。
    潔く暁さんを送り出し、気持ちよく彩海さんを迎え、その2人が涙の引き継ぎ公演を成功させた、というドラマ性も美しい(殴る蹴るの暴行付き)。
    かつ、今秋の幹部交代も、つつがなく円満に執り行われる見込み。(これ、なんとなくザワつく組もありますよね)
    役の振り幅が大きく、安心して見ていられるトリデンテ。後は、頑丈そうな次世代が、海ちゃんをリフトしてくれたらなぁ。。。と、小声で締めくくりたいと思います。

  2. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    思えば、珠城さんの「天海祐希以来の早期就任」ウリは誰得だったのでしょう。天海さんは早期就任、早期退団で、若くして芸能界に進んで大成功しましたが、私は当時から「天海は男役芸としては未完成のままだったなあ。」と思っていました。

    珠城さんに3作くらい2番手経験を積ませてからトップにしたほうが、本人にもファンにもよっぽど平和だったと思うのですが。トップとしての男役芸のピークは、どんな逸材でも研12~研16あたりだと思います。

    珠城さんは、トップ男役としての余裕で魅せるには若すぎたし、長期就任したので卒業後TVドラマに新人としてバンバン売り込むにはちょっと微妙な年齢になり、舞台活動も宝塚OGばかりの舞台に出ていて、

    外部のミュージカルやストレートプレイの畑の人とガツガツ共演して顔を売る気はあるのか・・・すべてが中途半端になってしまってせっかくの逸材がもったいない。

    でも今思えばグランドホテルの頃、だれが間に入れたか。美弥さんも遅咲きでしたからね・・・まず轟理事に1作降臨していただき…ショーが…

    ショーは美弥さんが主演となってワンクッション置き、美弥さんが2作トップを務めて2.5作、珠城さんはオーストリアでお披露目…変則過ぎますね…

  3. より:

    頑丈そうな愛月さん(笑)

    確かに月城さんは元々ダンサーではないですしショーやRoNを見ていても怪我の影響があるのかなという懸念はありますが、そんなことを帳消しにするくらいの魅力もまたありますね。ダンサートップが多い現在、芝居に特化(しつつ歌も十分すぎるほど)でクラシカルかつ端正な持ち味の月城さん率いる月組は他組との差別化もできていて人気も納得です。

    暁さんが抜けた後のショーは下級生の抜擢でなんとかするのでしょうか?研2-4くらいにも魅力的な下級生さんたちがいらっしゃいますので、華世さんや鏡さんに続いての抜擢もあるかもしれないと期待しています。

    いずれにせよトップコンビも組子も生き生きとして見ていて楽しい組となり、この先も楽しみです。

  4. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、拝見しております。
    そうですよね、友人を誘って観劇するなら、「宝塚らしい月組」を、なのかもしれません。
    「グレート~」の日程は、夏休み期間で、U25割引の効果もあってか(我が姪も、大いに利用させてもらっています)、平日火木の公演チケットも、いつの間にか完売していて、このところの大劇場公演では、珍しい現象ですね。

    安定のトップコンビの魅力と、二番手のスター性、研15並みの実力と唄われる新たな三番手。
    以前おっしゃっていたように、若干いぶし銀揃いではあるようですが、キラキラは礼華&彩海コンビを中心に、若手が魅せてくれますね、期待大です。
    本公演の次の別箱・全ツも、楽しみです。

  5. 90年代ヅカファン より:

    決算短信のコメントは、雪組と並列で「お披露目公演が好調だった」という内容ですね。とはいえ、実際に売れていなければ特筆されることはなく、ギャツビーの制作発表の小池先生のコメントを見ても、好調なのは評価されているんだと思います。
    月城かなとさんは、新規のお客様を十分に引き付けるビジュアル、実際に見ればセリフが聞き取りやすく引き込まれるお芝居、破綻がない歌唱力と、宝塚ファンも納得と、幅広い層を満足させるトップさんだなあと改めて思います。
    人事のゴタゴタがあると、作品以外にいろんなことを考えなければいけないのがしんどいです。劇団としてはコロナを織り込みつつ、110周年に向けてまたいろいろ仕掛けてくるのだろうと思いますが、しばらくは久しぶりに心穏やかに見られる月組さんを楽しみたいと思います笑