スターの自覚と覚醒・眞ノ宮るいの場合

 

宝塚歌劇団の良さとは何か?

それは100年の伝統が紡ぐクオリティの高い舞台、だけでなく、

出演者の成長を見守る楽しさ、もあると思います。

 

タカラジェンヌは全員一生徒であり、

音楽学校入学時から初舞台、そしてそれぞれのゴールまで歩むその姿を、

ファンは見守り応援するのです。

 

今風の言葉で言うところの「推し」文化、

今の日本では当たり前のことのように思いますが、

もしかしたら宝塚がその先駆けなのかもしれませんね。

 

…とまぁ、冒頭から壮大な切り口で始まりましたが、

本日は雪組100期生・眞ノ宮るいの小話です。

 

眞ノ宮るいの若手時代

 

宝塚歌劇団の記念すべき100期生たち。

私はというと、うっすら眞ノ宮るいを応援していました。

 

しかしながら、ライトファンである私の目から見ても、

若手時代の彼女には、押し出しが足りなかったように思います。

 

眞ノ宮るいが初めてチャンスを得たのは、

たぶん全ツ版『SUPER VOYAGER!』の海の見える街選抜に選ばれ、

そこから『凱旋門』新人公演で本役:彩風咲奈に抜擢された頃でしょう。

 

その出来栄えについて、素人の私にはよく分かりませんが、

少なくとも雪組は同期である星加梨杏に

ちょーっとばかりプッシュを移行してしまいます。

 

そしてその頃、スカイステージ正月特番で放送された、

100期生対抗クイズ番組のコーナー、

あの番組はある意味本当に残酷でしたね…。

 

突き抜ける程に器の違いを見せつける風間柚乃、

出演していた『アルジェの男』の主役の名前を忘れてしまったのに、

テヘヘで許される極美慎のスター性。

 

それに比べてしまうと、

雪組100期コンビの、なんとも素人っぽいことよ…。

 

ですから、100期生は各組から1人ずつは新公主演を出すのではないか?

という大方の予想を裏切り、雪組からは1人も輩出されなかったことは、

仕方なしかなと納得してしまう部分もあったのでした。

 

スターの自覚と覚醒を見た

 

そんな彼女に、スターとしての自覚が芽生えたのは、

果たしていつからだったのでしょう。

鑑賞者として感じたのは凪七瑠海特出の『パッション・ダムール』かなぁ。

 

幕開き、キャストが勢ぞろいしポーズを決めて待っている時の、

彼女のその鋭い目に「おやおやおや?」と心惹かれたのを覚えています。

 

そして2021年7月1日より、第6期スカイ・ナビゲーターズに就任。

もしかしたらこれが大きな転機だったかもしれませんね。

 

最初の挨拶でも良い意味で素人感があった彼女ですが

(他のメンバーは畏まっているのに、一人だけ「やったー!!」みたいなリアクションだったのでよく覚えている)

そこから、「見られる」ということへの意識が高まったのかもしれません。

 

そして『CITY HUNTER』新人公演ですよ。

本役:綾凰華が演じた槇村は、柔和さが際立つ役どころでしたが、

眞ノ宮るい版は一転、とんでもないキザ野郎だった!!笑

 

特にアルマ女王と車でドライブする場面なんかは顕著で、

カーナビ説明の時も、突然王女が現れてビックリするリアクションも、

とにかく男役クサい芝居の作り方をしていて、

「こんなアプローチの仕方もあるのか!!」と感動したのを覚えています。

 

そう、彼女の理想とする男役像は、

どうやら花男や星男の系譜、つまりクサい男役芸のよう。

それがついに花開いたのが、今回の『ODYSSEY』です。

 

ド頭の主題歌歌い継ぎで、のけ反りながら「Ah…」とため息をついてみたり、

ダンスもウインクバチバチ、キレキレに踊りながらカッコつける。

だけどどこか気品があるあたりが、雪組育ちよなぁ。

 

自身の目指す男役像がハッキリしたことで、追求する姿勢が明確になり、

スターとしての魅力が一気に開花したように思います。

これぞまさしく、スターの自覚と覚醒ですね。

 

雪組別格男役枠への道

 

そして、唯一の弱点であった歌唱力が大幅に向上したことも見逃せません。

超絶歌ウマとは言わなくても、バリバリ踊ってキメても、

一応「歌える」部類になったのは、スターとしての大いなる成長です。

 

確かに新人公演の主演は出来なかったかもしれないけれど、

他組の微妙路線より美味しいポジションかもしれない、

雪組別格男役枠というのがありますので、

彼女が目指すのはきっと、そこなんだろうなと思いますね。

 

100期生は現在研9。男役10年とはよく言ったもので、

中堅所としてさらなる進化と飛躍を期待したいところです。

頑張れ、眞ノ宮るい!!

 

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コメント

  1. あやこ より:

    CH、夢介あたりで「雪組チンピラ軍団」若頭として覚醒したのも頼もしいかぎり。彩凪のオラつき芸、煌羽のダーティー芝居、綾のスマートなダンスを上手くハイブリッドして、ちょっとこじらせてみました、みたいな、彼女なりの『自分探し』が、いよいよ花開きそうな予感。
    彩風・縣・華世、おおらかダイナミック型の狭間で、ちょこまかキザる貴方は貴重な逸材。今後ますますの活躍を期待しております。

  2. yumei より:

    いつも楽しく拝見しています。
    眞ノ宮さんのことを真彩希帆さんのMSで注目された方も多かったのではないでしょうか。配信されたこともあり、気合の刈り上げアピールで、かっこいい人がいる!と記事にされている方も複数見ましたし、個人的にも記憶に残り、パッション・ダムールなどでも注目して見るようになりました。
    スカイナビゲーターズ初回ははしゃぎっぷりにちょっと心配に思いましたが笑(キティコラボグッズ紹介で娘役さん以上にキャピキャピされていて)、ますます存在感を高められ、活躍されていくのが楽しみです。

  3. エックルバーグ より:

    初めまして、いつも楽しく拝見しております。
    今回のオデッセイ公演、はいちゃんの活躍は本当に嬉しく素晴らしいものでしたね!

    私自身は、彼女の覚醒は真彩希帆ちゃんのミュージック・サロンからと思っています。

    無観客配信という初めての試み、カメラに向けたパフォーマンスとして、今までにない見せ方を考えられたのかなぁと。

    そこからのパッションダムールでは、有観客で自分をアピールする喜びを爆発させてるようで、微笑ましくも色気増し増しの姿にびっくりした思い出です。

    今後も雪組を盛り立てていく要として活躍を見ていきたい一人です。

    • 木箱 より:

      こんにちは。いつも楽しく拝見しております。
      「気になるスター達を取り留めなく語る・雪組編」で眞ノ宮くんを取り上げていらっしゃったのをよく覚えています。
      蒼汰さんがおっしゃるように、私もパッション・ダムールあたりから男役としての覚悟が深まったように感じました。
      頑張りと持ち味と魅せ方が噛み合って来たと言うか、あ、こういう男役をやりたいのね、というような。
      オデッセイではキサスキサスでのクサさ!色気!への振り切りっぷりが気持ちいい程でしたね(笑)
      歌についてもガンガン踊った後の声量に良い意味でビックリしました。

      縣くんのバウではお芝居3番手かつフィナーレでもビジュー付き燕尾、そして今回と別箱での抜擢が続いてるので、本公演での活躍も期待したいです。

  4. orange芋 より:

    いきなり最初から出来上がってるのではなく、目覚しい成長も見られるというのも宝塚の醍醐味なのかもしれないですね。

    下級生の方のみならず、上級生の方でも「あら!?」と思わせられる演技やダンスをされたり、演目によっては「こういうの合ってるじゃないの!!」と新しい驚きを見せてくれるので何回観てもいいものですよね…(嬉しいため息)

  5. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、興味深く拝見しております。
    目を引きますね~、素敵なジェンヌさんです。
    花組次回別箱公演のように、はいちゃん&かりあんで、バウW主演公演を開催してくださればなぁ、と願っています。是非!

  6. おかず より:

    こんにちは。
    私も眞ノ宮氏は、パッションダムールで、すごいイケメンいる!と気づいた一人です。
    いいですよね~。ダンスシーンでのあのやんちゃな感じのキメ顔とかガシガシ来る感じとか少し大人のセクシーの感じを出そうとしてるところとか。もうたまらんですよ。私は100期、雪組の箱推しなのでドンピシャなのですよ。
    これからますます楽しみなジェンヌさんですね。

    一人で興奮してしまい、失礼致しました。