相次ぐ中堅路線の退団に思う/「別格路線で活躍して欲しい」というエゴ【雑記】

 

ここ最近、気になること。

それは中堅スターの相次ぐ退団です。

 

綾凰華、音くり寿、飛龍つかさ、留依蒔世。

「これから別格枠としてさらに美味しくなるのに…勿体ない!!」と、

彼女たちが退団を発表をする度、心の底から思っていました。

 

けれどそれって、実はとんでもないエゴなのかなとも思ったり。

本日はそんな、相次ぐ中堅路線の退団への雑感です。

 

タカラジェンヌが夢から覚める時

 

敢えてストレートな言い方をすれば、

宝塚って「ブラック部活動」に近いと思います。

 

来る日も来る日もほぼ毎日公演で、千秋楽を迎えたと思ったらすぐに次の公演の準備に入るし、その隙間を縫ってのレッスン、路線陣はメディア対応や撮影、娘役たちはアクセサリー作りに勤しみ、若手は新公の準備や先輩へのプレゼント作り、さらに余興の準備や会活動、お得意先対応もあって…。

 

物事に対して「ん、おかしくね?」と思う瞬間が一切無いまま、

むしろ宝塚の価値観にどんどん染まり、

これこそ全て!!これが最高!!と思い込んでいくからこそ、

厳し過ぎるルール、娘役や下級生のお慕い言動も、当然のものになっていきます。

 

けれど、そんな止まらぬ歯車を強制的にストップさせた出来事がありました。

そう、新型コロナウイルス感染症です。

全公演が中止となり、タカラジェンヌたちに無為な時間が与えられ、

改めて自分自身を見つめ直すタイミングが出来てしまいます。

 

当時を振り返って、ほとんどのスターが、

「改めて舞台がなんであるかを考えた」という内容の言葉を口にします。

それはトップスターや路線陣が言うものは、

舞台に立てるありがたみ、待っているファンへの渇望という意味になるでしょう。

 

けれど、下級生や中堅組は?

トップスターを夢見て宝塚に入り、

一般人以上に極限に抑圧された生活を送っているのに、

ほとんどセリフの無いほぼモブ、あるいは汚い役や老人をやらされている自分。

 

それでも宝塚は素晴らしいと全力で走ってきたタカラジェンヌたちが、

ふと足を止め、現実を振り返った時、

「このままで本当に良いのだろうか?」と自問自答する瞬間があっても、

不思議じゃないと思うのです。

 

珍しく配られているアメ

 

これまた勝手なイメージですが、

宝塚って計算通りに辞めてくれた別格枠には手厚い餞別を送り、

そうでない人にはそこそこの餞別しかあげない印象があるんですよね。

 

それでいうと、特に飛龍つかさの退団は、

マジで想定外だったんじゃないかなと邪推します。

 

というか、劇団は96~99期の扱いが酷めですけど、

その中でも彼女の扱いは相当でしたよね。『Dream On!』とか何だったの?(小声)

 

花組は年功序列の組とはいえ本公演の扱いはショボショボ、

上手いからって別箱で3枚目役ばかりさせていたら、

優波慧が辞め、まさにこれからって時に退団されるという。

 

綺城ひか理が星組から花組へとんぼ返りになったのは、

永久輝せあ支えであることはもちろん、

そんな別格枠の穴を埋めるため、という意味合いもありそうです。

 

そして、ここ最近の相次ぐ中堅枠の退団に焦ったのか、

「別格枠として出番が多いんだからええやろ」とハナホジスタンスだった劇団も、

少しばかりアメを配り始めました。

 

そう、帆純まひろと一之瀬航季、

そして天華えまへのバウワークショップです。

 

例えそれがトップになるための道しるべでなかったとしても、

やはりスター本人、そしてファンにとって、

約1,2週間でも真ん中に立てるというのは大きなモチベーションですよね。

 

個人的には、これが他組にも続いてくれることを願っています。

特に夢奈瑠音、蓮つかさ、紫藤りゅう、99期トリオの残り2人といった、

別格枠に少しでもピンスポが当たるといいなぁ、と。

(綺城ひか理は落ち着いたら単独バウしそうですよね。)

 

が、リソースが限られている以上、

別格枠ばかりを優遇するわけにもいきませんので、

このあたりのバランスはなかなか難しいですよねぇ…。

 

例えそれがエゴだとしても

 

26~29歳あたりって「このままでいいのだろうか?」と

自分のキャリアを振り返るタイミングだったりしませんか?

 

はい、私もそうでしたww

そして実際に転職も経験しています。

「このままだったらもっと昇格出来たのに、勿体ない!!」と言われても、

それでもやはり外の世界に出たかったし、その選択は誤りでなかったと思います。

 

タカラジェンヌたちももちろん大人ですので、

自分がこのまま居続ければ別格枠として重宝して貰えるだろうと、

そういう計算も出来るはずです。

 

けど、それでも退団を決意したのであれば、

やはり一人の大人として、その意思を尊重したい。

 

もちろん、目指すはトップ!!だった人に対して

「別格枠として活躍出来たのに」という思いはエゴかもしれませんが、

でも私は、今までの活躍と努力への最大限の労いと賞賛、

そして惜別の念を込めて、そんな言葉を掛け続けると思います。

 

誰しもが「これで良かった」と振り返られるような

タカラジェンヌ人生を送って欲しいし、本人にそう思って貰えるよう、

ファンも清く正しく美しく、応援していきたいものです。

 

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コメント

  1. ジャスミン より:

    連続で失礼いたします。
    素敵な記事をありがとうございます…全文同意です…!!

    やはり、ご本人の意志を尊重するしかないけれど、退団後「色々あったけれど、やっぱりなんだかんだ言っても宝塚で過ごせて良かった」と生徒さん皆さんに思ってほしい。これは本当に、心から願います。

    また、退団時に開催されるミュージックパフォーマンスについても、開催条件のハードル(のようなもの)をもう少し下げられないのだろうか、と思ったりもします。

  2. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    素敵な記事をありがとうございます。私も天華さんのバウ主演について思う所を記事にしたところでした。

    ジェンヌの9割以上はトップにならずに退団するわけですが、宝塚の在団期間を「モブの役を演じ続けた日々」として振り返ってほしくない。物語の中で、捨て駒ではなく、攻めの一手として存在する時間があってほしいと思っています。

    退団後、結婚して子供が生まれて、子供に自分の出演作の録画を見せた時に「このお役、ママ?すげー」って言ってほしいよね。

    バウなら、柴田先生の名作などをワンスアポンアタイムインタカラヅカシリーズ化して、現代に合わせてブラッシュアップして、95分プラスフィナーレをつけて一幕ものとして上演するとか、いろいろやり方はあると思います。

  3. ずんだもち より:

    仰る通りです。
    実は、天華えまのバウ公演に対してのコメントを書きかけていましたが、昨日4度目のワクチンを打ち、今日は一日朦朧としていて。そんな頭で書いていると、天華と星組のことから外れて「バウホール空いてるなら使えよ」といった話になってしまい、テーマが違うのでボツにしました。

    三分割は組Pさんには大変でしょうが、最下級生にも活躍の機会が増えます。ワークショップという形なら色々出来そうです。がっつりの芝居でなくても、ショーでも良いのです。
    私は時間の都合上新人公演の配信は視聴できないので、バウ公演の配信はとっても貴重。
    天華のバウ公演 たとえ“主な出演者”であっても真ん中は真ん中。
    帆純と一ノ瀬のW主演でも主演は主演。どちらのチームも素晴らしかったです。
    瑠依蒔世が宙組生でなかったら‥。彼女に対して酷い言い方かもしれないけど、どうしても頭に浮かびます。
    GRAPHの記事で、遠回しな表現ではありますが、トップスターを目指していたと言ってます。当然ですよ!あれだけの実力があるのだし、宙組生だってトップスターになりたいと思ってますよ!ぷんぷん
    せめてバウ主演くらいさせてあげてもよかったのに。
    それと、バウホールは若手演出家のデビューの場でもあります。新しい才能が出てくるのを期待しています。
    好きなスターが出ていれば、演目の出来不出来は関係ないなんて、思ってないよー!(強調)

  4. サントン より:

    はじめまして。いつも記事を拝見させて頂いております。

    「26~29歳あたり」以降の文章を見て、記事中の別格路線スターもそうですが、ジャニオタでもないのにキンプリを考えずにはいられませんでした。宝塚もキンプリも(蒼汰さんのように芸能のお仕事でない方でも)、コロナ禍や新人としての仕事が落ち着いたことで出来た時間と、別世界の同世代の活躍が合わさって、新しい道を決断をするものなのだろうなと思いました。

    とにかく、早くコロナが落ち着いて、あるいは指針が変わり、公演が全日程開催されることと(希和ちゃんのMS…)、お茶会などでのファンとの交流&ほどよくスターとしてチヤホヤされるということが、復活すればいいなあと思います。お茶会は千秋楽の翌日じゃダメですかねw。

  5. AKIRA より:

    考えさせられるテーマですよね。
     タカラジェンヌを夢見る少女たちが、難関の音楽学校を経て劇団へ入団し数年だつと、本人の思惑とは関係なく憧れからから現実のビジネスの世界へ導かれて行く訳ですよね。例えは少々違うかもしれませんが、現在大人気の女子プロゴルファーと比較した時、勿論、ゴルフは個人競技ですので単純比較は出来ないと思いますが、彼女達も3月のツアー開幕から11月の終了時点までほぼ毎週トーナメントがあるのですよ。しかも全国を移動しながら、かつ、練習ラウンドやオジサンたちに囲まれたレセプションへの出席、プロアマ戦など、ほぼほぼ木曜日から日曜日まで戦場で戦うのです。でも、誰でも優勝すれば2000万弱(メジャー戦になると倍の金額)の優勝賞金や数々の副賞が手に入ります。またさぽーとしてくれる企業も現れます。ぶっちゃけしんどいし現実は一握りのトッププロだけが恩恵をあずかっていますが、夢があると思いません?ジェンヌさんにはこの様なビジネスとしての夢がありますかね。トップになれば別でしょうけど。。。
     ちょっと夢が無さすぎですかね(笑)

  6. May より:

    ブラック部活動、確かになあ。やりがい搾取の世界ではありますよね。
    美貌とプロポーションに優れ、例え路線でなくともジェンヌつまり芸能人としての箔、そして多くは実家の太さを兼ね備え、退団後の結婚へのハードルは一般人より遥かに低いと思いますが、それでもなお結婚適齢期〜出産時期を宝塚で過ごすことについて、ハッと夢から醒めるきっかけになったかもしれないですね。
    綺城さんは色々な面から応援しているジェンヌさんですが、何度もしつこいですがやっぱりコロナ禍で簿記検定を取る発想は凄いと思うのですよね…どの企業でも雇ってもらえますよ…彼女、退団後に会計士とかなってくれないかなって密かに思っていますw
    競争社会、ままならないことは多々あれど、頑張った人には努力の報われる世界であってほしいと願います。

  7. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、拝見しております。
    コロナの影響が形をかえて、及んだのかとも思えてなりません。
    『プロミセス~』で、愛海さんの休演による代役込みで2役をやりきった留依さん。
    あの女役が、ネバセイのパッショネリアに繋がったのか…。いえ、きっかけとなっただけなのか。素晴らしい結果をだし、留依さんへの称賛は、ひとえに培ってきた実力のたまもの以外にありません。
    憧れの世界で、ひたすらに走り続けてきたジェンヌさんたちが、自分を信じて外の世界に挑むのも、また花園で極めるのも、いちファンとして見守り応援したいと、心に決めています。

  8. とと より:

    某Jアイドルグループの件も相まって、非常にタイムリーな話題に感じます。昨日残る側のメンバーのラジオが流れていたので聞いていたのですが、声を詰まらせながら「辛い。だけど頑張りたい」と素直に語る23歳の言葉に思わずもらい泣きしてしまいました。エンターテインメントの世界で生きることの残酷さ、過酷さ。傍から見れば「このまま続ければ絶対にもっと良い地位が確立できるのに」と思っても、それはその中の世界だけの話。そして「このまま続ければ」の「このまま続ける」が如何に大変なことかよく分かっていないからこそ、こちら側もそう思ってしまうんですよね。まだ若手や中堅に思えても、彼等そして彼女達は青春時代の全てをその世界に注ぎ込み、既に十数年芸事に励み続けている。自分を見つめ直した時に、本当にこのままでいいのだろうか?まだ何か新しい場所が、ステージが、世界が、あるのでは?そう感じたんだろうなと。そこできっぱり辞めると決断するのも、いや自分はまだこの場所で頑張るんだと決めるのも、それ相応の覚悟が無ければできませんよね。努力が必ず報われるなら宝塚もJも存在し得ないとは思うのですが、少なくともエンタメに己を捧げて生きる若者達が「この選択をして良かった」と思える世界であることを望みます。

  9. はる より:

    気になっていた事をいつもスッキリと書いて下さり、有り難うございます!

    非情な言い方をしますとモブの役割をしてくれる生徒も作品作りには必要です。(でなければ保育園のお遊戯会のようにシンデレラが5人で台詞分け合ってるお芝居なんて私は宝塚では見たくありません。)それが下級生の間はまだ良い、切磋琢磨しながらタレント契約をそれぞれが目指すのでしょう。

    各組トップスターは必要ですし路線スターが目立ちがちですが、作品作りには脇で心に来るお芝居をしてくれる生徒も絶対に必要です。脇でいいお芝居をしてる方を見つけるのも私は大好物です。きっと宝塚に入ったからにはトップになりたいと真ん中に立ちたいと思っていたでしょうけれど与えられた役で作品に良いスパイスを与える生徒さん。。芝居うまっ!と感動してます。以前、お芝居も素敵で凄く格好良く走り去る姿に惚れた別格スターさんいました。

    最近のスター格の退団は勿体ないな〜と思いますが、入ると決めたのも辞めると決めたのもご本人でしょうから見守るしかないなと思っております。
    コロナの影響で辞めざるを得なくなった生徒さんが居ないと良いなと思っておりますが、こればっかりは、、。ですね。

    劇団も経営や管理など大変でしょうけれど別格スターにもう少し光を当てて上げて欲しいです。そして気になってる生徒さん全員に応援してますアピールは出来ませんけれど見てる人は見てると思って頂けたら、、なんて勝手な事を思っております。

  10. ゆり より:

    こんばんは!
    子どもを寝かしつけて、自分が寝る前にこちらのブログを拝見するのが毎日の楽しみとなっています。
    コメントを書くのは初めてでしたが、今回の記事、とても考えさせられる内容だったのてコメントさせていただきます。
    私は30代になったばかりですが、20代後半って仕事や結婚、女性だったら妊娠・出産など本当に考えることが多くて。。
    全てのジェンヌさんが夢見て憧れているトップスターは本当にひと握りの人しかなれませんが、トップスターになれなくても宝塚の舞台に立ちたい、トップスターを支えたいと思ってジェンヌさんで居続けてくれることは本当に有難いことなのだと改めて思いました。
    一方で、1度しかない人生なのだから、人生をより良くするために退団という決断を下したジェンヌさんの気持ちもよく分かりますし、どうか退団した先にもたくさんの幸せに出会えるよう祈るばかりです。

    これからも素晴らしい切り口の記事楽しみにしております!