不思議な天華えまの立ち位置

 

天華えまが座長を務めている『Stella Voice』が好評のようですね。

私は残念ながらライブ配信を見られず、

管理人も年度初めで忙しく遠征は出来ませんでした。

 

今日はそんな彼女について書いていきます。

 

不思議な天華えまの立ち位置

 

天華えまは98期生、推しも推されぬ新公主演3回経験者。

しかもトップ退団公演の『桜華に舞え』

お披露目公演『THE SCARLET PIMPERNEL』のダブル取りという、

期待の若手の証のような扱いを受けていました。

 

が、気付けば別格路線ロードまっしぐら。

これに対して「なんで梯子を外されたんだろうね?」と、

不思議に思う方が多い様子。

 

けど、正直、私は、

「だろうな」って思って見ていました。

 

大前提として私は真ん丸お目々のタヌキ顔好きなので、

彼女の顔が好みの範疇外というのも大いにあるとは思うのですが、

それでも、ぶっちゃけ若手時代の彼女は全然跳ねなかったですよね…。

 

確かにスキルは高いのだけれど、

星組にはオール激ウマな礼真琴が3期上に居るし、

そもそもオールラウンダータイプは人気に直結しづらい。

 

「劇団のプッシュ度と人気は比例しない」という詭弁も有りますが、

彼女が配属されたのは人事上手な、だけどある意味残酷な星組。

 

期待の若手を貰っても、人気が出そうなスターが他に出ると、

あっさり鞍替えしてしまうのが星組なわけで、

彼女も例に漏れず、新公学年を卒業した途端にピタッと勢いが止まります。

 

そう、星組は極美慎&天飛華音のダブル押しモードに心移りし、

天華えまは徐々に徐々に梯子を外されていってしまったのでした。

 

ある意味で成り上がり人生

 

だがしかし。

本来であれば、あっさり路線落ちするところなんですけど、

彼女には2つの微妙な追い風がありました。

 

1つは、極美慎のスターへの自覚の芽生えが遅くて、

星組のプッシュモードに一瞬の停滞が起きたこと。

そしてもう1つは、コロナの影響で舞台がストップしたことで、

極美慎の育成に時間がかかったこと。

 

この隙間に『ロミオとジュリエット』が有り、

天華えまは死の役でプチブレイク。

花組からやって来た綺城ひか理とのコンビ芸も相まって、

不思議な人気を勝ち得ていきます。

 

だけど、この人気を醸成出来たのは決してラッキーではなく、

もともと高かった舞台スキルをさらに磨き、

礼真琴率いる「実力の星組」でのポジションをしっかり確立したからでしょう。

 

また、言動を見るに非常に自己プロデュース力が高く、

(コロナ禍の宝塚GRAPHにて、全員の写メ1枚特集で一番センスの良い画像を披露していたのを強烈に覚えています。)

綺城ひか理とニコイチ芸をしたかと思えば、

同期の暁千星がやって来たら彼女を立てつつ、

今は自身が別格路線だと分かっているような立ち振る舞いをしている印象です。

 

そう、暁千星が降ってきたことで、

元超路線候補でありながら成り上がり属性も得るという、

実に不思議な立ち位置を確立したのでした。

 

必要不可欠な別格路線

 

ここ最近の宝塚は、本来であれば「別格」と呼ばれるスターが、

「正路線」として組み込まれている状況が続いています(例:瀬戸かずや)

 

が、しかし。

「トップにはなれないけどある程度の人気があるスター」

少し前は一定数居て、それが組の底上げに繋がっていたのです。

 

この存在の最後は…誰だろう、澄輝さやと?十輝いりす?

と、書いていて気付きました。そうだ、天寿光希が居たじゃないですか。

そんなわけで天華えまのゴールは、

天寿光希のような星組の不動のお兄様ポジションなのかもしれません。

 

確かにトップロードは厳しいかもしれないけれど、

腹を据え舞台スキルを磨き続ければ、きっと見える景色があるはず。

彼女にしか表現出来ない世界観を、これからも魅せ続けて欲しいですね。

 

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コメント

  1. コスモスハート より:

    蒼汰様

    相変わらず、上手く例えられているなぁと、感心しました〜。
    私はライブ配信でしか見ていないので、生で見たかったなぁと思いました。
    清々しい、そして、若手の成長の為の舞台であるということも、自分の置かれている立場を責任を持ってまっとうしている、そんな感じがしました。
    そう、誰もがトップになれない、しかし、どういう立ち位置を目指すのか、ロミジュリは、様々な人の鍵となる演目だったかなと。
    つくづく思いました。
    後輩への声がけで、君たちには輝かしい未来が待っているんだ、と言われていて、彼女の心情をあれこれ想像し、タカラジェンヌの厳しい現実の一面を笑顔の奥に見たような気がします。
    そして、1789を前に歌唱力の底上げ、それも劇団は考えての今回のバウだったのかも、とも思いました。

  2. ずんだもち より:

    Stella Voice 視聴しました。
    下級生はまだ力不足なところも多々ありでしたが、精一杯、でも固くならずにとても良かったです。
    自前の劇場でセットも華やかなので、じゅうぶん宝塚を観たと満足できました。
    天華えまは、もちろん輝いていました。上級生の貫禄もありましたし、歌もダンスも上手い。キラキラしてるけど暑苦しくない。 でも‥
    暁千星と入れ替えで月に行かせなかったのは、天華の持ち味は月組とは水と油 浮いて漂ってしまいそう。
    思い返せば、綾凰華も星→雪 紫藤りゅうも星→宙 
    月に行くにはスター性だけではダメで、月の鍵穴にはまる鍵のようなものが(例えば渋み)必要なんだ
    なーんて思いながら視聴してました。
    (全然違うかもw)
    天華えまの“死”は 死というより、あるいは悪というより“虚無”を感じました。
    クレバーで冷酷 ホームズのモリアー ティなんて合うかも。
    これからに期待しているので、Stella Voiceが退団餞別でないことを切に切に願ってます!

  3. May より:

    なるほど、天寿さんポジション。物凄く腹落ちしました。
    路線であり続けたいなら、同期の綾さんのようにこの段階で退団を選ぶオプションもあったでしょうから、もちろん競争社会で先頭集団を走った者として胸の内に悔しさはあったのではないかと思いますが、もし彼女自身が覚悟を決めてその立場を全うするのであれば、上級生にもきちんと花を持たせる星組は良い環境なのではないかと思います。
    死は天華さんなりにすごく良かったのに、愛月さんが元超路線のオーラとある種トップを諦めたという意味での腹の据わりを全力で注いだあの死が強烈すぎて、比較として不運でしたね。
    極美さんは、バウ主演からようやくキリッとしてきて、100期の3人目として俎上に上がってきた感じがします。
    別格路線の同期がいて娘1.5の同期もいて、暁さんは本当に幸せな番手修行期間ですね。オン・ザ・タウンで必死でチケットを売ったりした御曹司らしからぬ下積みの末に、ここまでトップに頼りにされて、上に憚らず全力を出せる環境になって、やはりトップにトップたる力量が備わっていることは非常に大事だと痛感します(結局毎回ここに戻ってきてすみません。「赤と黒」ご感想、拝読して感動しておりました!!)。

  4. はは より:

    なるほど、「不思議な立ち位置」と称されましたか!(上手い!)

    暁千星という、絶対的エースかつトップスター確定案件を同期にもちながら、入団時成績はしっかり3位の彼女。
    下級生時代から安定した実力を発揮していました。

    新公卒業以降、確かに急に梯子を外されてしまった感が強く、ファンとしては判官贔屓の対象ともなりえる存在。
    それでいて(これ彼女の人となりが大きいと思うのですが)まるで弥勒菩薩のような微笑みをたたえ全てを受け入れるが如くの振る舞い。

    宝塚歌劇という、ヒエラルキーの塊である集団の中において、
    良く言えばおおらか 悪く言えば鈍感
    この雰囲気が、彼女の不思議な存在感につながっているように思います。

    トップスターという立ち位置と彼女の目指すところが、ひょっとしたら最初から異なっていたのかもしれませんね。

    踊って歌っているのが楽しい!と、伸び伸びと舞台に立っている彼女は、観ている人に「頑張ってほしいな」と思わせる存在ですね。

  5. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、拝見しております。
    バウ公演、観劇しました。下級生を見守りつつ、確かな実力のもと、ひときわ輝いていた天華さん!素敵でした。

    和希さんのバウ・「ハッスルメイツ」のような扱いでないのが、何とも残念で…。
    ですが、これからもまだまだ魅せてくださるジェンヌさんであることは、まちがいなく、その存在が星組の強みなんだと思っています。これからを見守っています!

  6. ちょっこー より:

    天華えまのゴールが天寿光希なのはなかなか興味深い考察。
    確かにそうかも。必要不可欠な存在ですよね

  7. らきあ より:

    月に行って耽美系に進む姿も見てみたいと思ってしまいました。
    弟キャラだったみやるりが月で中性的な魅力で花開いたように。
    ポストみやるりになれる才能(ビジュアル含む)を、ロミジュリの死で見た気がしており。