面白い!!と思えると、感想もさくさく書けますね。
ってことで永久輝せあ主演『冬霞の巴里』の
キャスト別感想を書いていきます。
【全体感想はコチラ】
花組『冬霞の巴里』主要キャスト別感想
オクターヴ/永久輝せあ
父の復讐のため、パリの街に戻ってきた青年。
色んな人から声をかけられる姿を見ると利発な美青年だろうに、
復讐にかられ運命の歯車が狂ってしまった人物。
やっと実力を発揮できる役に出会えて良かったね、
というのが第一感想です。
とにかく美形。美しい、あの髪型が似合うって何事?
最初は母や叔父たちへの怒りで顔を歪ませ、
後半は真実を知りアイデンティティが崩壊したことで顔を歪ませ、
とにかく終始顔を歪ませてて、眉間の皺フェチにはたまらん役どころでしょう。
どんな衣装も着こなし、歌唱力も安定、
そして大声を出さずとも感情がダイレクトに伝わる芝居が、良かった。
彼女はもう出来上がってますね、いつでも主演を張れますが、
劇団的にはもう少し熟成モードに入るのでしょうか…勿体ないです。
アンブル/星空美咲
オクターヴの姉で歌姫として活躍中。
結局、彼女がオクータヴとともに復讐に身を投じた理由は何だったのでしょう?
どんなに懐いていたとはいえ、義理の父の復讐のため実の母を殺す?
「オクターヴと一緒に居られたら、それでいい」のであれば、
禁断の姉弟愛、危ない魅惑の恋の匂いが立ち込めます。
で、そんな役柄が似合ってしまう研3~4娘役、恐るべし。
『銀ちゃんの恋』を拝見した時は、まだ少し危なっかしさがありましたが、
今や安定したヒロイン芝居をしていました。
声もカワイイ、歌も上手い、可憐だけど儚げな雰囲気も良い。
トップ娘役候補生として最強の存在になりつつありますね。
ヴァランタン/聖乃あすか
謎の男、すなわちアナーキスト。
世を憎む感情を理性で抑えているかと思いきや、
最後の最後でトンデモ大事件を起こす人物。
これまでの正統派貴公子キャラから一転、
めちゃくちゃワイルドな役どころにビックリしました。
最後のギョーム宅で家族が大暴露大会をしている後ろで、
チャッキーばりに不気味な笑みを浮かべながら手を叩く姿…。
初見時、ゾッとしました。
なので生観劇時は見逃すまいとガン見しました。笑
『COOL BEAST!!』からバリバリの花男感が出てきていましたが、
刈り上げツーブロック、切迫感のある芝居と、
男役として一皮剥け、さらなる進化を遂げたよう。
本作は彼女にとってターニングポイントな作品になったかもしれません。
ギョーム/飛龍つかさ
オクターヴの叔父で警視総監。
ライブ配信観劇時はオーギュストに抑圧されていた、
いわゆる「本当はイイ人」の被害者なのかと思っていましたが、
生観劇だと一転、それだけでは無い「何か」を感じさせる芝居でした。
結果的にクロエと結婚してますものねぇ。
オクターヴのことも本気で目の上のたんこぶ扱いしてる時もありますし、
だてに大都市パリの警視総監に登りつめた人物だけあります。
最近は3枚目ポジションが多かった飛龍つかさですが、
当然こういう役柄も上手い。
二筋縄ではいかないイケオジ感が良かったです。
私は彼女のことをよくポスト瀬戸かずやと評しますが、
もはや誰のポストでもない、飛龍つかさというポジションになれたと思います。
長く見続けたいスターの一人です。
クロエ/紫門ゆりや
オクターヴの母。
離婚するハメになるわ妾の子を託されるわ長女を亡くすわで、
よくよく考えたら壮絶な人生の人。
けどその美貌で叔父を誑かしてるのだからファム・ファタールなのかもしれない。
紫門ゆりや、月組時代はただのロイヤル枠、
すなわちただ立ってる綺麗な人、みたいなポジションかと思っていましたが、
ここ最近の覚醒っぷり凄くないですか???
『桜嵐記』の高師直から返す刀で美熟女役ですよ?しかも単純に綺麗!
タヌキ顔フェチの自分の食指が動くくらいの女役っぷりでした。笑
彼女の真の実力に脱帽です…専科でのさらなる活躍に期待大ですね!!
ミッシェル/希波らいと & エルミーヌ・グランジュ/愛蘭みこ
オクターヴの義弟と、その婚約者。
汚れたオクターヴ&アンブルとは対照的な、
綺麗な世界で生きている人たちの象徴的人物。
最後の最後までオクターブを心配するミッシェルの心の清らかさが眩しい…。
こんな人物と相対したら、私ですら自分の汚さに辟易してしまいそう。笑
エルミーヌは完っ全にオクラーヴに心揺れてますが、
仕方ない、舞台作品ですもの。
三角関係の清らかな当て馬としては正解過ぎる存在でした。
希波らいとはスタイル抜群過ぎて、凄い。
歌はもう少し頑張ろう。
愛蘭みこはチャンスをものにしましたね。
舞台度胸もありそうで、堂々とした芝居が見事!!歌も良かったです。
学生シルヴァン/侑輝大弥 & 新聞売りシャルル/美空真瑠
期待の若手枠ってことでこの2人。
侑輝大弥はアナーキズムに傾倒し過ぎた医大生役。
芝居の作り方が思いっきり水美舞斗で笑っちゃいました。
汚いメイクでも分かる顔の美しさが凄い。
新人公演主演、取れるといいですね。
美空真瑠は新聞売りの少年役。
顔立ちも可愛らしく、ダンスもキレッキレで良かった。
学年が若いからか滑舌はこれからかな…。
『The Fascination!』でもピックアップされていた点も踏まえれば、
花組の105期男役の中では彼女が劇団推しなんだと思いますが、
小柄だし可愛らしい顔立ちだしで良い意味で花組っぽくないですよね…。
どちらかというと月or雪っぽいですが、果たして?
その他、キャストについて
ジャコブ爺の一樹千尋は、ビックリするほどのザ・老人。
さすが専科生ともいうべき重厚感は、
本作の雰囲気づくりに一役買っております。
下宿の女主人役の美風舞良、彼女もまたさすがの歌唱力だし、
おっかさん芝居の上手さはさすがです。
オーギュスト役の和海しょうは、
なんて贅沢な使い方なんだろうって思っちゃいましたよね。
ほぼ声を発さず、あまり歌いもしない。
佇みだけで芝居するという高度なテクを披露してくれます。
フェロー男爵夫人役の春妃うらら、
あまり空気は読めないけど悪い人ではない貴族の夫人感が出ていて良かった。
3人のエリーニュスは、咲乃深音、芹尚英、三空凜花。
その中でも歌で活躍したのは、エトワール経験者でもある咲乃深音。
すっごい上手かったし、雰囲気が怖かった。
妙に目立っていた記者役の海叶あさひ、103期生。
初めて認識しましたが、安定した舞台運びでしたね。
こういう初めての出会いがあるから、別箱鑑賞は止められません…!!
私のプチ推し、青騎司はアンブルに求婚する人役と、くしゃみをする人。笑
相変わらずのビジュアルの良さでカッコ良かったです!!
ラストは、アンブルの少女時代を演じた湖春ひめ花。
私は彼女を桜一花→音くり寿の系譜と読んでいるのですが、
期待通りの素晴らしい少女っぷりでした。
花組の濃厚な芝居を見た!!
本作を見て改めて実感したのは、
主役によってカンパニーの雰囲気って大きく変わるのだな、ということ。
煌びやかな柚香光をセンターに置くスタイリッシュな花組も良いけれど、
永久輝せあがセンターに立つ重厚な芝居もまた良いですね。
今作は適材適所、若手までたくさんの見せ場があり、
実に見応えるのある作品だったと思います。
花組のこれからの活躍を期待するとともに、
指田先生の次の作品も楽しみに待ちたいです。
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コメント
いつも楽しく、興味深く拝見しております。
ドラマシティで観劇した時のなんだかよく掴めない感覚が残り、只々、永久輝さんが美しい、とだけで。
今回の記事で、また学ばせていただきました。
勝手にグループ化し、まとめて応援している「つかさ」さん(花組には2人いますね)。
飛龍さんは、もうすっかり上級生で、別箱では常に重責を担う存在で、感動しています。
華やかな花組の、また違った佇まいをみせてもらえました。
柚香・星風コンビの充実感が素晴らしいので、VISAガール永久輝さんのトップ就任を早々に他組で、でもいいんじゃないかなんて簡単に思っていましたが、違いますね、やはり花組で…、ですね。
数年後の花組体制を見ているようなカンパニーでしたね。
蒼汰さんのおっしゃる通り、永久輝さんはもう準備万端に思えました。ですが実際はまだ2番手でもないので、これから(早くとも来年)2番手経験を積んでからと考えると確かに旬を逃すのは怖い。けれど他の組でも状況はそう変わりませんし、今の花組体制も大好きですのであまり人事や先のことで思い煩わず楽しみたいと思います。(こう言えるのはライトファンの強みですね)
聖乃さんは一皮むけましたね。
おっほりほんわかフェアリーなだけでは少し物足りなかったのですが、将来のトップ候補であることは間違いないのですから今のうちに様々なお役を演じて幅を広げて欲しいと思います。
私は今週あと一回観劇予定がありますので、楽しんで参ります。