前回はレビュー編の感想を書きましたが、
本日は『夢介千両みやげ』の感想を書いていきます。
私は雪組ファンなので、
無意識化で雪組作品に甘い自覚があります。
そして前評判で「石田先生のわりに面白い(酷い)」と聞いていたので、
それはそれは楽しみに会場に向かったのですが、
ごめん、ダメだったわ…。
※以下、辛口です。
雪組『夢介千両みやげ』感想 ※辛口
「彩風咲奈は雪組の御曹司だし和物はマストだよね、けどスター性的に和物は似合わない(他に着せたいコスチューム物がある)し任期早めに消化しとこう。前任の望海風斗が悲劇ばかりだったし、違いを打ち出すためにほっこり系喜劇で行こう!!」
という大人の会議が繰り広げられたのかは知りませんが、
少なくとも作風の方向性は正解だったと思います。
そして原作に『夢介千両みやげ』を持って来たのも、まぁ正解だったでしょう。
じゃあ何がいけなかったのかって、そりゃ演出家が作った本の内容ですよ。
それは彩風咲奈演じる夢介の喋り方でも、
子供たちにセクハラ紛いのことを言わせることでもない。
単純に、面白くなかった…。
すごく根本的な話ですけど、物語って起承転結じゃないですか。
この話って、起起起結って感じじゃありませんでした?
ビックリするくらい「内容が無いよう」ですよ。もうぺらっぺら。
夢介が悪者に出会う→金をばらまく→解決(?)→改心、という流れを、
お銀編、浜次編、春駒太夫編、総太郎とお松編、三太とお糸編、悪七とお滝編
の全六編変わり映え無く見せられた感じ。
途中から、15分1話の幼児向けのアニメ(ドラ〇もんとか)を
連続で6本見ている気分になりましたよ。
まぁ「何も考えずに見られる」と言われればそれまでですし、
「これが古き良き時代劇の定形型だ」と言われてもそれまでです。
これが世間様の評判がまずまずだと言うのだから、うーん。
そういえば、私は一昔前に流行った、
いわゆる「日常系」に全く食指が伸びなかったタイプなので、
本作のようなほっこり作風はそもそも向かないのかもしれません。
『夢介千両みやげ』良かったところ
と、つまらんという感想だけではアレなので、
良かったところを必死に探したいと思います。笑
まず、話に余白が有り過ぎるからか、
出演者のアドリブ祭が楽しいところでしょう。
(雪組でここまでアドリブ全開なの珍しくないですか?)
コメディ枠での出番が多い朝美絢がキレッキレなのはもちろん、
和希そらと兄弟たち、悪者御一考あたりも、
毎日楽しそうにやってるなぁと思いながら見ています。
キャスト陣で言えば、配役表に名前が無いにも関わらず、
恐ろしく出番の多かった華世京の達者さにビックリ。普通に上手いやん…?
芝居度胸もあるし、これからが楽しみな逸材であることはもちろん、
雪組の推しも本気であることを改めて実感しました。
個人的MVPは、八丁堀の市村忠兵衛役の桜路薫かなぁ。
白髪混じりの重鎮役でしたけれど、
そこはかとなく粋な雰囲気も出ていて、普通にカッコ良かった!!
彼女も黄金世代・95期生の一人なわけですが、
雪組別格のドンとして大いなる地位を築きましたね。
それから、朝月希和、和希そら、妃華ゆきのの96期トリオが、
3人だけで芝居する場面があって「おぉー」とプチ感動しました。
この場面、3人とも楽し気に芝居していて、見ていてほっこりしますよね。
…以上です。笑
コメディ作品って難しい
つくづく、コメディ作品って難しいんだなと思いました。
例えば男女の愛憎劇や復讐物は話に起伏が作りやすく、
1時間半の物語を簡単にドラマティックに出来る。
けどコメディ作品は、そう単純明快に物語が展開出来ませんからね。
とは言うものの、同じ和風コメディ作品である、
『ANOTHER WORLD』は死ぬほど感銘を受けたんですけどねぇ…。
やはり根本的に自分が石田先生と合わないだけかもしれません。
まぁいいんです、同時公演の『Sensational!』が神ショーだから!!
結果、毎回「今回も良かったわ(ニッコリ)」と帰っていけるので、
今回は中村B先生様様、という感じです。笑
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コメント
いつも楽しく読ませて頂いてます。
私は見ていてフツーに楽しめましたが。
この作品のMVPは何と言っても私も桜路薫さんでした。
芝居上手いし台詞が耳に心地よいで誰かしら?と思っていたら神95期の方なんですね。
またひとつ雪組見る楽しみが増えました。
いつも楽しく、興味深く拝見しております。
何も考えずに気楽にご覧ください、っていう事だったので、気楽に観させてもらいました。
彩風さんの股旅姿もいいなぁ、とか。朝美さんは3枚目役だけど、美は美で、深川マンボで魅せてくれたなぁ、とかで(お芝居内容は観てない?のか)。
和物の雪組を牽引してきた上級生の卒団が続いた事ですし、今回は若手の鍛練の場だったと捉えております。
芸者の裾さばき、着流しに雪駄での立ち回り、岡っ引きに町娘、間抜けな悪役たちに、マジックショー芸人と、個々に楽しく役作りされていたように思います。
とはいえ、新体制になっての本公演の、貴重な一作品として、どうなのか?とも思えました(ジェンヌ人生は期限付きですので、演出家先生、お頼み申します)。
縣さん金の字のお白洲シーンは、似合っていましたね~。いつの日か、和物大作で主演するスターさんだ、と妄想しました。
ブログ更新いつも楽しみにしています。
夢介、ネバセイの後に観たので余計その作品としての印象の違いに雪担としてショックを受けたことを正直に告白します。
でも、おっしゃる通りアドリブ祭りだったり、何も考えなくても困らない気軽さで見ていられたり、朝美さんのファンとしては和物の出で立ちの美しさが堪能でき、舞踊会出演に先がけて深川マンボも見ることができて、どんな風にでも楽しもうと思えばそう出来るものだなと、これもひとつの修行のような作品でした。
望海風斗トップ時代あれほどハッピーエンド、コメディ作品を求めたのに、結局悲しい作品、復讐や不倫の方が宝塚作品としてウケるんだなぁと改めて思ったりもしました。
そうそう、桜路薫くん!とってもかっこよく落ち着きがあって素敵でした!
妃華ゆきのさんも前回裏切りの美女役に続き活躍です!
時代劇風コメディでも、喰らわんかやアナワは面白かったですね〜。
何が違うのか…まず、ミュージカルと銘打っておきながら、楽曲が少なすぎたと思います。
道楽修行と惚れちゃったのアレンジ変えでやっつけるのではなく、せめて1曲でも、泣かせるメロディーラインのある歌があれば良かったのに…
まあ、言うのは簡単、作るのは大変ですよね。
関西寄りの瀬戸内エリア代表としては(こんちゃん先輩の橋の対岸です)あぁ、これはよしもと新喜劇ね、と言われると、違う!違うんじゃ!と言いたい。最近の新喜劇は、起承転結、伏線回収、テンポ、ストーリーのメリハリがしっかり練られています。かつ、展開にリズムを出すためにも、主要キャストに『声のよく通るツッコミ』が不可欠。(小藪、紅、彩凪)
喜劇の脚本、そもそも人を笑わせる、って、奥が深いですよねぇ。。。
私もアナワは大好き!古典の芯も感じられ、なんなら泣きます。ベタベタコメディは、芹香宙組(+瑠依・優希)に期待!
蒼汰様
いつも楽しみに拝読しております。桃太郎県の向かいに住むライビュ専科の地方民です。
まあ、夢介は吉本新喜劇というよりは、「ちょっぴりオトナ向けアンパンマン」の類型かもしれませんね。夢介はアンパンマンで、やきもちお銀はドキンちゃんで、一つ目の御前がバイキンマンで(最後爆発するし)
小田原の親父どのがジャムおじさん?(時代背景を考えたら、マッカーサー?)
日本の大衆には、こんなタイプの話がそこそこウケる土壌があるのでしょう。昭和の頃は遠山の金さん、令和のちびっこにはアンパンマンで、知らず知らずのうちに夢介イズムが受け継がれてきたと思うと、日本の大衆文化論にまで発展しそうですね。
こんばんは、贔屓組については甘い評価になりがちと仰りながらも正直な蒼汰さんの記事がとても大好きです。
私も西で1度観劇しました。
悪くはないけど、リピしたい作品ではないかなぁと思ってましたが、起起起結、同じ流れを6本連続、なるほど的確な表現だと思いました。
私は星担ですが、先日千秋楽を迎えたばかりのめぐり会いは再びも私にとっては内容がないようの極みでした。
蒼汰さんがどのような感想を持たれるのか、是非ご観劇の際には辛口でもいいのでお聞かせ頂けたら嬉しいです笑
久々にコメントさせて頂きます。
ANOTHER WORLDは、谷正純先生が「地獄八景亡者戯」という落語の中でも異色の傑作である、ストーリー性の高い(と言っても爆笑しっぱなしの展開ですが)ネタを、宝塚でやりたくて構想40年ようやく実現したという代物なので、比べるのは厳しいかもしれません…
夢介は短編連作なので、原作自体中盤に大きいうねりというか盛り上がりはそもそも足りなかったかもしれないですね。昭和ののんびりした時代劇で育った者としては、何も考えず楽しめる作品ではありました。