柚香光の退団発表を受け、
彼女のこれまでのスター人生に思いを馳せながら、
私の花組観劇歴を振り返ってみました。
文字を書くことで少しずつ、
彼女の退団について心境を整理していこうと思います。
柚香光という希代のスターに思う
柚香光(と礼真琴)は、本当に魅力あふれるスーパースターだと思います。
基本的に実力偏重主義である私ですら、
彼女の圧倒的なビジュアルを前にするとひれ伏したくなるし、
その姿を目に焼き付けるだけでチケット代の何十倍も大満足出来るほどでした。
ポスターを、ブロマイドを、舞台上で彼女の姿を見かけると目線を奪われるし、
特にグラフの表紙は毎回「カッケーな」と感嘆していました。
ある時はスタイリッシュで、ある時は妖艶で、
触れたその瞬間にバラバラに壊れてしまうような繊細さがある一方で、
オフはやんちゃ味溢れるリアル男子感があり、
食にまつわるエピソードや、舞台上での微笑ましいやり取りも印象的。
色んなギャップを内包している彼女は、まさに思春期の少年のようであり、
その意味で、『ポーの一族』アランはまさにハマリ役だったと思います。
また、その圧倒的なビジュアルだけでなく、
舞台に息づく芝居と、生命力溢れるダンスも彼女の大いなる武器であり、
だけどやっぱり舞台上で発光しているオーラは唯一無二のもので、
何にも代えがたい令和のスーパースター、それが柚香光でした。
追想・柚香光がトップに就任するまで
柚香光の歴史を振り返る時、
私の一つの自慢は『花より男子』を生で観られたことでしょうか。
時は2019年、栄華の89期生体制真っ只中、宝塚は色んな意味で絶好調。
だけど、その前の全ツ『メラコリ』があまりに内輪受け過ぎたこと(色んなブログを巻き込んだ歌唱力是非論争が懐かしいですね)と、
野口先生のノリが古き宝塚ファンに受け入れられなかったのか、
なぜか上演前にも関わらず「不評」というレッテルが貼られた流れがあったのです。
もちろん、私はそんなものを気にせず観に行き、そしてその完成度と、
柚香光の真ん中としてのパワーに圧倒され、大満足で帰りました。
当時彼女は研11、しかも中卒入団。本当に凄いですよね。
そして明日海りおから引継ぎ、お披露目公演は『はいからさんが通る』。
セルフ再演はあまりに雑過ぎると当時は憤怒していましたが、
結果的に現時点での一番の代表作になったわけですから、良かったのかな…?
で、ここでコロナが猛威を振るいます。
当然ながら、座席はガラガラ。
実は私たちは当初から「細けぇことは気にすんな」派だったので、
コロナなんて関係無し!!少しでも座席を埋めようと、
2人で合わせて10回近く観たんだっけかな?(うろ覚え)
たぶんマイ人生で一番生観劇した回数が多いのは『はいからさんが通る』。
それくらい、この作品には思い入れがあります。
振り返る私の柚香光史
だけど…ここから縁遠くなってしまったんですよね。
とにかく花組は東京公演の中止が多く、チケットが飛びまくり、
ついに『巡礼』で私の全作品観劇記録がストップしてしまいます。
ですが、『アウグストゥス』は珍しく陽属性の柚香光でビジュアル大優勝でしたし、
『元禄バロックロック』は若谷先生らしい世界観が柚香光とベストマッチ、
電撃文庫の主人公風のヤレヤレ青年が実にハマった作品でしたね。
『うたかたの恋』のロマンチックでお耽美な雰囲気も、彼女ならではの世界観でした。
これらの作品が限られた人にしか届かなかったことが、
本当に残念で悔やまれます。
そして外箱公演を見ると、
死と刹那の輝きを放つ『哀しみのコルドバ』は永久輝せあとの並びが麗しく、
『フィレンツェに燃える』はくっそつまんなかったですけど珍しい髭香光を堪能出来た一方で、
『二人だけの戦場』は作品自体が素晴らしく、かつ星風まどかとの息ぴったりな芝居で感動を攫った。
『ナイワ』『トプハ』の海外ミュージカルコンビは、
残念ながらライブ配信での観劇となりましたが、
彼女の洒脱な魅力が詰め込まれた、これまた素敵な作品だったように記憶しています。
そして現在上演中の『鴛鴦歌合戦』。
なんだか評判良さそうなので、今からとてもとても楽しみです。
さよなら、柚香光。
…だけど。
確かに全部の作品、素晴らしかったと思いますよ?
思うけどさ、けどやっぱり消化不良なんよな。
別に海外ミュージカルの超大作をやってくれなんて思ってません。
なぜに他のトップは漫画原作やメディアミックスの舞台作品をやっているにも関わらず、
柚香光に少女漫画物をやらせなかったのだろう…。
別に私は彼女の熱烈なファンというわけではありませんが、
だけどスターを等しく愛する「宝塚ファン」の一人として、
こんな消化試合のような作品ばかり充てられて去っていく彼女が、
本当に残念で、悔しくて、なりません。
け、ど。
退団会見での晴れやかで清々しい彼女の姿、表情、
そしていつものおどけたやり取りを見て、
もうそういうことを考えるのは辞めようと思いました。
だって彼女は若く美しく、まだまだ人生は長い。
明るい未来へと既に視野を移した彼女に向って、
そんな陰鬱とした感情をぶつけることが出来ようか!!
今願うこと、それは退団公演である『アルカンシェル』が、
後世に残るような素晴らしい大名作であること。
…は、小池先生なので期待過多ということで、
無事千秋楽を迎えられること、にしておきましょうかね。
新たな旅立ちを迎える柚香光に、乾杯!!
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コメント
いつも興味深い記事、そして議題にコメント欄までが熱く盛り上がり、楽しみに拝見しています。
私は特に花組ファンでも、柚香光ファンでもありませんが、おっしゃる通り、そのスター性が眩しいお方です。
代表作は⁇と言われれば、「はいからさんが通る」なのでしょうけど、私の中では、断然「元禄バロックロック」なんです。
あのコスチューム、れいちゃんでしか、カッコよくないと思っています(^^)
私が個人的に、谷貴也先生の脚本が好きだからかもしれませんが、うっすら歴史をモチーフに、ぶっ飛んだファンタジー。(余談ですが、出島小宇宙も好きです)
あの中のセリフで
まどかちゃんカミングアウトの後のれいちゃん
「苦労かけるなぁ」と言った表情、今でも目に焼き付いています。
かっこいい+ちょっと情けない、襟元はだけがち、がたまらなく粋でした。
そして、退団会見を聞いた後の、あのまどかちゃんの「ずるいなぁ。私の好きばかりが積み上がっていく」
も、今となってはエモいです(^^)
もっと万人受けする作品を、と希望される方もあるでしょう。
でも、私のように、ある作品のひと場面が鮮明に残っている者もいます。
舞台って、人によって、残る印象が全く違う、これもいいのでしょうね。
これからも、記事楽しみにしています。
ご無理のないように、しかし、ファンです♡
(ちなみに、私が上記に記した場面、スカステよりNHK収録の方が、表情がよく見えて、尚いいです)
会見の様子を見て、本人が納得しているのであれば何も考えず退団まで応援しよう!と思っているのですが、ふとした瞬間に「でもなあ」という寂しさというか、何かが欠けているというか、劇団に対して納得がいかないというか、何とも言えない感情がまだ押し寄せてくるのも事実で、あと9か月で自分の中の折り合いがつくのかという状態です。
私は再度の少女漫画物を求めていたわけではないですが、れいまどコンビでの「これだ」という作品が欲しかったのかもしれません。どの作品もそれなりに楽しみましたし好きですが…。理由は異なっても、消化不良な気持ちにはとても同意します。
アルカンシェルがその「これだ」に値する作品であることをただ祈っていますが、小池先生もお忙しそうですし自分の中でなかなか期待が膨らまないのがつらいところです。
いつも更新を楽しみにしております。今後も無理のない範囲で続けていただければ一読者としてはうれしく思います。
こんばんは、初めてコメントします。
いつも楽しみに拝読しています。
鴛鴦歌合戦/グラミラのマイ楽、舞台で踊る柚香さんが泣きたくなるほど美しく、「遠くない未来に宝塚を卒業されても、これからもずっと応援したい」と思ったのは虫の知らせと言いますか、何か予感だったのかもしれません。
このタイミングでの退団発表が本当に信じがたく、劇団に腹が立ちました。でも、次の日の退団会見を見て、清々しく美しい、いつも通りに朗らかな柚香さんを見て、「また違う舞台で柚香さんの違う魅力を見せてくれようとしているんだ、そして、新しい世界にいる柚香さんを見てみたい」と素直に思えました。
こんなに外野がざわついていても、最後までファンにそう思わせてくれる柚香さんは宝塚にも対してもファンに対しても、愛に溢れた優しい方だと思います。
思い描いていたトップ人生とは違っただろうし、辛いこと悔しいこと、ファンには想像もつかないようなことも山のようにあったでしょう。けれど、柚香さんは素晴らしい舞台を作り上げ、何よりもファンの気持ちを慮って、いつもいつも丁寧に言葉を紡いでくれました。苦しかったコロナ禍、柚香さんの舞台や言葉に救われたことが何度もありました。
本当に寂しいし、やり切れない思いはありますが、前を向いている柚香さんが素晴らしい宝塚人生を歩めるよう祈り、最後の一日まで、そしてこれからも柚香光さんを応援しようと思います。
私は全組見るファンで、特に花組 柚香光さんファンではありませんが、令和のスーパースター!まさにそうだと思います。
個人的には、海外ミュージカルや少女漫画モノはともかく、なにより、「柚香光といえばコレ!」という印象に残るショーをやってほしかった。真飛さんのエキサイター、蘭寿さんのコンガのような。瀬奈さんのアパショナードのような。
花組・大介先生というだけで「Cool Beast」は期待したいところでしたが、タイトルからしていまひとつ、良い主題歌も期待できず、蓋を開けても正直ウーンでした。
本来なら、柚香の4.5作目あたりに大介先生を持ってくれば、もう少し代表作的なショーができたのではないかと思ってしまいます。エキサイターレベルの代表作ショーがあれば、対外的にはともかく、ファンの皆様には「これぞ花組男役」でみんな納得感があったのではないかと思います。
その辺りも含め、最近の劇団はプロデュースが下手すぎますね。
蒼汰様
いつも楽しく拝見させていただいております。
私も柚香さんの会見を聞いて、それまで全く受け入れられなかった柚香さんの退団を97%くらい受け入れられるようになりました(100%と言えない往生際の悪いファンですみません)。
これは他のブログで書かれていたことなのですが、柚香さんの当たり役といえば、少尉、道明寺、アラン、と全て2番手の時に出会った役なんですよね。やはり、それらの役をこえるハマり役をトップ期間に当てられなかった(探せなかった)のは劇団のプロデュースミスだと思います。なので、小池先生には、ぜひ「これは柚香さんにしか出来ない!!」というような作品をどうかお願いします笑
柚香さんは蒼汰様が仰るようにビジュアルがずば抜けているだけでなく、お芝居も上手く、私は柚香さんのお芝居が大好きでした。また、任期後半では(これは私がファンだからだと言われるかもしれませんが)歌も上達し、普通に聞けるくらいにはなったと思います。なってませんかね?笑
会見を聞いて、柚香さんに対する今までの感謝がどっと溢れてきて、退団発表からもう涙はでないというほどに泣いていたのに、また泣いてしまいました。今までも大好きだったし、退団してからもずっと好きだと確信しました。柚香さんのこれからが明るく楽しいものでありますように!!!!柚香光、万歳!!!!!
長文なのに変な終わり方ですみません。
こんにちは!
私は柚香さんにそれまで特に思い入れがなかったのですが、巡礼の年のリストを観劇した際、長髪のビジュアルがあまりにも素晴らしくて本当に感激しました。私個人にとっては巡礼の年が柚香さんの代表作です。鴛鴦歌合戦も代表作になり得るかというとそうでもない気がしますが、お話も面白いですしただただ素敵でした。
今回のグランミラージュがまさか最後のショーになるとは思っていなかったので寂しいですが、小池先生のアルカンシェルが良い作品であることに期待ですね!
「彼女は若く美しい」
本当です!これに尽きます。
全てはささいなことに思えてしまいます。
トップ時の彼女、いやジェンヌ時代の柚香光はいつも美しかった。
そして退団する日でさえも、若く美しい。
なんて素晴らしいことなんでしょうね。
いつも楽しく読ませていただいております。柚香さんの任期後半にもう一作代表作があったらよかったなと私も同じく思っているところです。柚香さんはショースターであると同時に芝居の人ですので小池先生の一本物が良作であることを祈ります。
柚香さんで少女漫画、アランや道明寺のようなツンデレをもう一度観てみたかったです。あと、柚香さんは洋風もですが、和物が素敵です。鴛鴦はいい作品ですが浪人でなく平安貴族のような烏帽子の柚香さんの作品をもう一作観たかったです。二番手時代『あかねさす紫の花』の大海人皇子のお役は丁寧で包容力があり美しく素晴らしかったです。ここから一気に柚香ファンになりました。
退団されるその日まで応援します^_^
私はれいちゃんファンではないんですが、原作が好きで「はいからさん」観に行きました。当時はコロナ対策で席も一つ空けで設定されてて最初は隣に気を遣わなくていいなぁなんて呑気なことを思っていましたが舞台から見たら本当に寂しい客席だったろうな…と思います。それでも思い切り演じてくれた花組さんには感謝しています。
少尉のれいちゃんは本当に原作漫画から飛び出てきたようで素敵で。紅緒の華ちゃんも元気でかわいくって、観に行って良かったなと心から思いました。
れいちゃんがこんなに早く退団されると思ってなく、まどかちゃんを見送って新しい娘役さんを迎えてから退団かなと思っていたので本当にびっくりしました。
ご贔屓の方たちにとっては公演中止や延期になった期間が多くて本当にコロナ憎しだと思います。
もっとれいちゃんを見たかったですよね。
作品にしろ、任期にしろ、トップスターの卒業発表はフラグがたっていたとしても信じられないし、さびしく、もっとこんな作品を見たかったと感じるのは当然だと思います。
おっしゃる通り就任時には、ビジュアル特化の漫画原作が最高だろうと思っていたんですが、
私はむしろ、クラシカルな宝塚作品の再演の連続で、新たな柚香さんの魅力を知りました。
BANANAFISH、花咲ける青少年…
きっとバッチリお似合いになったと思いますし、110周年前半にフェルゼン編を彩風さんで上演し、後半に花組でオスカル編も有り得るのかなと思っていました。
それでも、いつもそうですが、会見の晴れやかなお顔を見て、幸せだと言葉を聞けば、(劇団に対してモヤモヤする気持ちはあれど)やっぱり良かったなと思います。
そして、同時期にセットのようにあげられてきた礼さんが、似合うと喜んでいた1789の稽古より前に休養が知らされ、公演中、柚香さんの発表と同じ日に心ならずも休演になり、いまは代役による公演が絶賛されている状況がとても心配です。
タカラジェンヌは有限、トップスターは就任からカウントダウンがはじまります。
いつかは来る卒業もその後の人生も、ご本人が納得され幸せでありますようにと願うだけです。
スミスです。
いつも楽しく拝読しています。
コメントは久々ですが、ずっと読ませて頂いております。
柚香さんは2番手時代のお役がハマりすぎたが故のこの消化不良感なのかと思います。
少尉、アラン、道明寺以上の柚香光をどの作品どの演出家がプロデュース出来たでしょうか…
それくらい2番手時代のこの作品達のインパクトは凄まじく、柚香光の代名詞とも言える3役の壁が厚かったのでしょう。
私はどちらかといえば名作ショーが欲しかったですね。せっかくのショースターなのに毎度同じようなスタイリッシュが売りのショー…。せっかく踊れるのに勿体無いなと感じました。
あとは星風さん、Youは何しに、に本当に共感しました。