キャラ渋滞が楽しい・宙組『HiGH&LOW-THE PREQUEL-』感想

 

諸事情により、宙組『HiGH&LOW-THE PREQUEL-』

宝塚大劇場で観劇してきましたー。

 

どんな諸事情かと言いますと、

関西で友達が結婚式をする。

→ついでに宝塚大劇場で観劇しようかな?

→ピンポイントで友会申し込みしたら見事当選!!という流れ。

 

お断りしておくと、実は私はLDH関係と微妙に世代がズレており、

EXILEと言えば『Carry On』で止まっているような人間でして、笑

なんならハイローも一切の予備知識無く観に行ったので、

そういう人間の感想だと思ってご覧下さい。

※以下、めちゃめちゃネタバレしています。

 

意外と面白かった『HiGH&LOW』

 

で、感想。

SNS等の前評判がイマイチだったわりに

普通に面白かったんですけど?

 

いや、それは嘘だな。正しくは、前半45分の時点では

「野口先生、これはやっちまいましたなぁwww」だったんですけど、

留依蒔世演じるリンが率いる苦邪組が出てきたくらいで、

やっと話の筋が見えてきて面白くなってきたな、という感じ。

 

この物語のスジはつまり、

不良少年と病弱少女が束の間に出会い、そして病に引き裂かれるという、

60年代から使い古された古典的ボーイミーツガールと、

普段は拳で語り合う敵対する漢同士が、ひとたび共通の敵が現れ、

この地球(と書いて「ホシ」と読む)の危機が訪れた時、力を合わせこれを倒す、

映画版ドラゴンボールのような世界観を、ドッキングした話なんだと思います。

 

ってことで全体を振り返りますと、

冒頭5分は、キャラ紹介を兼ねた大階段を使ったショー。

分かりやすく「SWORD」の皆さんが登場し、掴みはオッケー!!

 

で、ここから40分が、いわゆる日常パートなんですけど、うーん。

シリアスな話かと思いきや、突然ヤンキーたちのラフな展開が続いて、

観客たちは戸惑っていたというか、スベッてたといいますか…。

(このあたりはファンが流れを掴んだ東京公演の方が盛り上がる気がしますね。)

 

とりあえず潤花演じるカナちゃんが「余命半年」だと

久しぶりに会った真風涼帆コブラに突然暴露。

これは「実はずっと昔から好きでつい言ってしまった」と私は勝手に脳内変換。

 

ここからカナの死ぬまでにやりたいウィッシュリストを2人で叶えていく、

ついでにSWORDの皆さんそれぞれと少しずつ絡んで出番を作り、

かつ2人の距離が縮んでいく、という展開に。

 

その結果、コブラと芹香斗亜演じるROCKYがぶつかるんですが、

実は裏で糸を引いていたのが苦邪組のリンであることが発覚。

SWORDのメンバーたちはこの街を守るため、

苦邪組に乗り込むのであった…というのが大筋ですかね。

 

ありがちと言えばありがちですが、

とはいえ男の腕の中で女が死ぬ場面を見せられれば、そりゃ泣けてきてしまうし、

敵対してた男達が本当の敵に向かっていく場面は、そりゃ燃えるよねって話です。

ピンチの時に意外な仲間が助けに来て「ここはアタイに任せな」展開はやっぱりズルい!!

 

もちろんツッコミどころも多くて、

クラブやスラムを爆破は分かるけど、高校を爆破ってどゆこと??!!だし、

そもそも死にかけの病人にウェディングドレス着せるの??!!って話ですが、

まぁ細けぇことはいいんだよ!!!!!と見流して楽しむが吉でしょう。

 

だって最終的には「出ちゃったハァト」ですからねww

一風変わったヤンコメ(ヤンキーコメディ)だと思って、皆さん楽しみましょう!!

 

つまりは「キャラ萌え作品」

 

さて、原典である『HiGH&LOW』は、

「全員が主人公」であることが売りだそうで(さっきプログラムを読んで知った)

それはつまりキャラ萌えこそがこの話を楽しむ根幹だと私は解釈します。

 

それで言えば、やはり私のツボは圧倒的に苦邪組メンバーでしょう!!

(たぶん苦邪組は宝塚オリジナルキャラですかね?)

というか、苦邪組が最終的な敵というポジショニングで、

SWORDの5人は設定上全員出なきゃいけない→出番が分散されるという構図から、

なんなら桜木みなと以下の路線組より美味しかった気がします。

 

リーダーのリンこと留依蒔世、これが男役の集大成だぜ!!!!

という意気込みが全力で伝わってくる熱いワル芝居が心を打ちます。

『カルト・ワイン』が映像で残らかった分、

より強い覚悟が感じられる、素晴らしい存在感でした。

 

リーダーよりも年上だろう松風輝演じるGENは、

こんなナンバー2いるいるwwと言いたくなるインテリヤクザポジション。

無名街の女の人とのタバコのやり取りもゾクっとする面白さでした。

 

個人的MVPは、闇に堕ちたチュ〇・リーのような小春乃さよですよ。

格ゲーですごい鋭角な飛び蹴りをかましてきそうな彼女。

後で「変装を得意とする」という設定を読んで、なるほど…という感じ。

 

澄風なぎ演じる特攻隊長担当のSUZAKUは、

他のメンバーに比べキャラが薄いかと思いきや物語上しっかりやらかすので、

野口先生も上手いキャラ設定作りです。

 

真白悠希が演じたのは、メンバー唯一の未成年ロン。

狂気性を持つ少年ってのもまさにいるいるwwですが、その芝居力に脱帽!!

宙組下級生の中で特に勢いを感じる彼女、個人的MVPその2ですね。

 

そしてフッツーに留依蒔世にしな垂れかかっていた美少年役に泉堂成、

小春乃さよの手下役として中華風バルログ女戦闘員に春乃さくらと、

まさにキャラ渋滞。

 

あ、味方チームで気になったのは、

どっからどう見ても若き日の哀〇翔の若翔りつでしょうか。笑

 

とにかく登場人物が多くて、

普段は完全モブに徹するであろう若手たちにも少しずつ出番がある雰囲気なので、

組ファンは楽しめる作品なんじゃないですかね?

 

ぜひ皆さんもお気に入りの登場人物を探して、

キャラ萌えすると、より作品が楽しめると思われます。

 

一本物にすれば良かったのでは?

 

と、ここまで書いて思ったのは、

登場人物も魅力的でし、話も膨らませそうなので、

一本物で作れば良かったのでは?という話ですよ。

 

コブラとカナが出会い、そして心を寄せていく様を丁寧に描き、

SWORDのメンバーそれぞれの思惑や関係性が分かる展開を交錯させつつ、

苦邪組との対決までをドラマティックに描く…出来そうですよね?

 

ってかぶっちゃけさ、真風涼帆の退団公演じゃないんだったら、

芹香斗亜のお披露目一本物大作公演にすれば良かったのでは???

と思ってしまったのですが…まぁこれは無粋というものでしょう。(小声)

 

確かに、詰め込み過ぎがゆえに薄味という評価も正しく、

かつ一切宝塚感が無いという批評もその通りでして、

じゃあなんで私が楽しめかと聞かれたら

「野口先生と相性が良いから」という元も子もないものかもしれません。

 

けど、下馬評ほどおもんないというわけではない、ことを書きたく、

東京公演が始まる前に感想を書いてみました。

 

これから観に行く方は、少しハードルを下げつつみれば楽しめますよ、きっと。

新たな世界観を是非満喫して欲しいと思います。

 

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コメント

  1. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、拝見しております。
    本家の『High&Low』を全く知らず(そうゆう年代です)、予習もせず、宝塚版のポスターに引き寄せられるまま、観劇しました。
    とても楽しかった!
    真風さんはじめ、寿さん、芹香さん、桜木さん、留衣さん、そして娘役さん達が、スーッとしていて(カッコいいの意)暑苦しくなく、さすが宙組!と思いました。
    路線スター渋滞気味の組ならではの、各グループごとの紹介で、舞台上にイケメンが勢揃い、なんて贅沢、見応えあります。
    グループごとにスポットがあたるので、今回は下級生の顔と名前を知る良い機会にもなりました。
    本家のファンの方々にも、タカラジェンヌが作りあげた今作品は、ハートフルで楽しめるかと…。
    初日から無事に幕が開き、皆さんが元気で舞台にいる、大劇場に行ける、それが何より嬉しい!そんな観劇日でした。
    花組大千秋楽も、大成功でありますように。配信で、卒業を見守ります。

  2. ずんだもち より:

     ワタクシはヤンキーの本場?関東南部民です。大劇場初日の深夜、族が沢山走っている音が聞こえてました。遠く離れたココでも初日祝いかと思ったわww
    以前勤めていた工場には「昔ニケツしてハタ振ってた」(意味判りますか?)姐さんとか、元ヤンけっこういましたよ。女でも「⚪⚪じゃねぇよ!」、「⚪⚪つったじゃん(⚪⚪って言ったじゃん)」とか荒い言葉が使いが普通な世界です。皆丸くなってますけどね。
     なので「ハイロー」の演目発表時、「何で日比谷行ってヤンキー観なきゃならないの!?」と思いました。(でも宙担だから1回くらい観ないとね)
    まだ観てないけどストーリーも予想がつくし、1時間半でちょうど良いんじゃないでしょうか。個人的にはショーと2本立てでよかったと思ってます。架空の世界とは言え、3時間近くヤンキーもので、フィナーレもヤンキーみで、ウチに帰って来たら近くで族走ってるよ!って、宝塚に非日常を味わいに行ったはずなのに、やめてぇぇっ!となります。笑

  3. みみ より:

    いつも楽しく拝見しております!

    私も観劇しましたが、下級生まで本当に幅広く台詞や見せ場があって、ある程度下級生の名前も分かっている組ファンが楽しめる公演だったなと思います笑

    反対にライトに見るには番手組の出番がバラけすぎていて楽しみにくいかな、とも。
    ホームズのようにここが萌えどころ!推しどころ!と分かりやすい方が宙組入門としては分かりやすいかもですね。

    そして…ハイロー感想があったとのことでカプリチョーザ感想も大いに楽しみにさせていただいているのですが、
    水音志保ちゃんのポジションがすごいことに娘2天彩峰里のシンメで…!その辺りのお話もぜひ伺いたいです!

    ひろこちゃんはナイスガイの薔薇の少女で話題にはなりましたが、
    アナスタシアの馬車のシーンでモブ役和希そらとの絡みで強烈に「オタクに見つかった」印象です。

    ダンサー美人として2個下の夢白さんとキャラ被りしていたことで割りを食ったところはありますが、逆にこの年次で見つかったからこそ現在絶滅危惧の美人系スゴツヨ別格娘役の道を切り開いてほしい!と思ったりします。

    最近のスカステでの活躍も含め、同期の星蘭さん同様映像ウケのいい美人さんとして、なかなか面白い道を歩んでいらっしゃる気がするのでその辺りぜひぜひ見解伺いたいです!

  4. ズモーキー より:

    ハイロー大好き世代です。既に複数回観劇していますが、私の周りでは本家を知っている人もそうでない人にも大好評!宙組のビジュアルが好きな人にはヒットする作品ですね。

    ハイローは役が多く、リーダー格以外もキャラ設定が細かいので、95分ではチームの紹介しかできないと思っていたので、むしろ、あの軽い内容がちょうどよいかと。

    チームごとの劇中歌がほぼ同じ&人気キャラが宝塚版でカッコよく再現されていて、初見の感想はお芝居仕立てのミュージックビデオのように感じました。プログラムを見たら、野口先生も「ミュージックビデオのように楽しんでもらえたら」とあったので狙い通り⁈

    真風コブラ、芹香ROCKY、桜木スモーキー、瑠風の日向、鷹翔の村山は見事なまでの再現ぶりで、周りのメンバー(紫藤のヤマト、亜音のテッツ、風色のKOO、天彩の苺美瑠狂など)も雰囲気バッチリ。ビジュアル最強の宙組路線軍団のカッコよさは見る度にテンション上がります。

    ただ、コブラとカナの恋愛物語が入ったことで、ご指摘の通り、チームごとのストーリーが消化不良なので2幕にしてくれたらよかったのになぁと思います。本家ハイローみたいに宝塚でもスピンオフをやってくれたら嬉しいです。