宙組『夢千鳥』さっくり感想

 

昨日、宝塚歌劇団主催の全ての公演が

5月12日から順次再開されるとの発表がありましたね。

本当に喜ばしい限り。

 

私たち観客も、なお一層の感染予防対策を心がけ、

上演が続くよう取り組まなければなりませんね。

 

ということで、昨日ディレイ配信された

和希そら主演『夢千鳥』。面白かったですね。

 

感想編を書こうと思ったのですが…

もう方々で絶賛されまくってる様子なので良いかなぁと思ったのですが、笑

マイペースにさっくりとまとめていきます。

 

ありそうでなかったオチ

 

本作は栗田優香氏の演出家デビュー作。

私がブログを始めてから演出家デビューした方は

女性が多いなぁと思いながら調べてみると…。

 

町田菜花『PR×PRince』指田珠子『龍の宮物語』

竹田悠一郎『PRINCE OF ROSES』、そして栗田優香『夢千鳥』の以上4名。

3/4女性というのは多いのか少ないのか…どうなんでしょう。

 

そして不思議なことに、和物でデビューする女流作家が多いな

勝手に思ったりしたのですが、

上田久美子『月雲の皇子』のイメージが強過ぎるだけでした。笑

 

ってことで上田『月雲の皇子』指田『龍の宮物語』栗田『夢千鳥』、

この3作品は同じ男女の愛憎劇を描いているようで、

当然ながら方向性もカラーも全く違います。

 

『夢千鳥』はこの中でも一番世界観がドロドロしているにも関わらず、

なんと元鞘(という表現があってるのか?)に収まるというオチ。

宝塚的「破滅の美学」とはまた違うゴールを描いていたのが面白かったです。

 

テーマは「青い鳥(という名の真実の愛)探し」ですけれど、

青い鳥は見つけるものではなく、自分が卵から育てるものだ(意訳)

というメッセージは斬新でしたし、なるほどな、と腑に落ちるものがありました。

 

最後は想像以上にあっけなく元鞘に収まって少し驚きましたが、

現実世界の男女の関係もあんな感じだったりしますから、

退廃的な雰囲気を残しつつも、実に地に足着いた、

実在的な舞台作品だったな、というのが感想です。

 

ちなみに、バーでくだをまく白澤に「甘えてるのはお前だ」と

マスターが説教をかます場面があったと思うのですが、

「分かるわー。クズ男は結局、女にデロデロ甘えてるだけなのよ。」

一緒に見ていた管理人が共感しまくりな様子でした。笑

 

総合すると、世界観が上手に構築されながらも綺麗に話がまとまっている、

素晴らしい作品だったと思います。

 

各キャスト・さっくり感想

 

各キャスト感想はさっくりと。

 

まず、主演の和希そら。

やっぱり何でも出来ちゃう実力派ですね。

 

彼女ってどちらかというと少年系なスター性が魅力じゃないですか?

そんなキラキラ感を敢えて封印し、

任でない役どころを魅力的に見せてしまうのですから、

これを実力者と言わず何と呼べば良いのでしょう。

 

一歩間違えれば不快感しか無いような女たらしの主人公を

これだけ魅惑的に演じられるんですから、いやはや大したものです。

 

その流れで言うと、ヒロイン・天彩峰里も凄かったなぁ。

勝手ながら彼女って、ヒロイン志向の強い娘役さんなのかと思ってまして、

役どころ的にどうなんだろうと思っていましたが、杞憂でしたね。

 

耽美な色香が上手に醸せていましたし、歌も高維持安定。

上手い具合にヤンデレディを演じ切ってくれました。

 

今作が大抜擢となった105期4人娘の1人、

山吹ひばりは娘2ポジションである彦乃を熱演。

台詞回しは正直まだ及第点でしたけれど、

噂通りの美貌と、舞台度胸は素晴らしかったですね。

 

個人的にツボだったのは、第三の女・お葉を演じた101期生の水音志保。

普通に上手だったし、感情の振れ幅の表現が良かったです。

『アクアヴィーテ』でも目立つポジションにいましたし、

脇候補として上げていく感じなのですかね?

 

中堅組では、老け役での活躍となった99期生の若翔りつ。

『異人たちのルネサンス』新人公演ではグイド司教を演じた彼女。

その頃からべらぼうに上手いなと思っていたのですが、今作でもさすがでした。

 

そして2番手格として、屋台骨のように支えたのは留依蒔世。

彼女って宙組にしては珍しいコッテリした芸風が売りだと思うのですが、

作風がドロドロ系だったために、上手い具合に抑えていて、

そのバランスが良かったと思います。ソロ歌唱もさすがの一言!!

 

印象的だった「赤い鳥が逃げた」

 

個人的に印象的だったのは、

フィナーレで歌われた中森明菜の「赤い鳥逃げた」。

 

これ、彼女の代表曲である

「ミ・アモーレ」の別歌詞バージョンなわけですが、

歌詞を読むとまんま「夢千鳥」なんですよね。

まさか宝塚でこの曲を聞く日がくるなんて思ってもみませんでした。笑

 

ディレイ配信のおかげで、

多くの人の目に留まることになった「夢千鳥」。

私も無事見ることが出来て本当に良かったです。

 

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コメント

  1. pico より:

    私も昨日視聴しました。和希さんや天彩さんは本当に素晴らしかったです。その中でも気になるジェンヌさんで竹久不二彦を演じた美星帆那ちゃんも良かったです。(彼女は山吹ひばりちゃんと同じ105期生です)歌も良かったです(^^)

  2. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

    正直、「青い鳥は探すのではなく、卵を温めなくては」のメッセージは、青い鳥を探して愛でるどころか、青い鳥の生き血を吸って栄養にして卵(作品)を産むような業に生きている夢二に届くのか?とドキドキしていたら

    「え?元鞘戻るの?」

    栗田先生、穏便な着地点に持って行くために妥協した?感はありました。もう一度見たら、また違う感想になるのかな?作家は処女作に向かって成長するというけれど、栗田先生はいつかこの主題を深化した作品を作られるのかな?

    「赤い鳥逃げた」はびっくりしましたねえ。私の世代でも、「ミ・アモーレ」は知っていますけれど、「赤い鳥逃げた」のほうは特別企画としてレコードが発売されたけれど、歌番組ではほとんど歌われていなかった、マイナーな存在だった記憶なのですが。

    さすが演出家になる方は、色々なところからインスピレーションを得るのですね。

  3. MS より:

    月城・海乃コンビや、次の愛月・有沙コンビのように、別箱でトップコンビの公演に匹敵しそうな公演はありますが(愛月さんは予想笑)、4番手のスターがトップコンビ公演と肩を並べるなんて、ちょっと前代未聞ですね。
    途中で公演が中止になったのは、まるで配信をするためだったような運命すら感じます。
    そらくんは、ウエストサイドストーリーのアニータや、アナスタシアのリリーで、宝塚を卒業後の活躍も容易に想像出来ますが、ずば抜けた歌唱力とダンスだけでなく、演技力がいつの間にこんな事になってしまったのか。トークも楽しい人ですし、末恐ろしいですね。
    宙組は、キキちゃんのトップ時期に注目が集まってますが、その下のジェンヌさん達の役不足にも、モヤモヤします。明日付で副組長の美風さんは組み替えです。新しい副組長の発表と同時に組み替えの発表もあるのでしょうか。

  4. おすぎ より:

    夢千鳥、すごく評判いいですね。
    私も観たかったのですが、内容がちょっとR18っぽいと感想で見たのでさすがに主人と子どもの前では観られないと、配信は諦めました。
    子どもが結構しっかり一緒に観るので、さすがにDV男とヤンデレのお話は…笑
    大人しくスカステ待ちですが、早く観たい!

    それにしてもGWは配信祭りで楽しかったですね。
    行くとこもやることもなかったので助かりました。
    夢千鳥を幻作品にしなかったことも含めて劇団GJです。

  5. せち より:

    成り上がり系ジェンヌとして推しておられた和希そらさんの作品なので、ガッツリ公演評を書かれるものと思っていたのですが、あっさりでちょっとだけ残念な気持ちがしています。
    和希さんと天彩さんの熱演、栗田先生の演出など見応えのある作品でしたので…。皆さんがSNSなどで熱く語られてるからのあっさりなんでしょうか?
    あと、蒼汰さんは天彩さんがあまり好みじゃないんですか?(笑)少しだけ、頭をよぎりました。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます!!
      おっしゃる通り、私が記事を書いた時点でブログ村の上から下までぜーんぶ絶賛の嵐だったので、
      まぁ私が書かなくても良いのかな、みたいな気になってしまいまして…笑
      天彩さんも好きな部類なんですけれども、彼女もまたファンが多い方の印象なので、あっさり風味なのかもしれません。
      と、書いていて気付いたのは、私はもしかしたらアンチが多い娘役が好きなのかもと思ったり。もちろん皆さん同じくらい頑張って欲しいなと思いますが。

      • こんちゃん より:

        蒼汰様

        いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。

        確かに「夢千鳥」配信翌日、ブログ村は絶賛の嵐でしたね。

        個人的には、ラストの展開が、夢二が追い詰められて、追い詰められて、

        ふっと「実は劇中劇でした」で2人がよりを戻すオチが、ちょっと寸止めというか、水戸黄門の印籠的「あれ、そこに落としこむ?」という思いはあったので、ちょっと拍子抜けした感はあったのですが。

        「ホテルスヴィッツラハウス」も、スパイものミステリとして、スパイのロマンスとしては、ラストが甘いなあ。とは思ったのです。

        Twitterについては、誰をフォローするかで人により見える世界が違い過ぎるのでよくわかりませんが、

        先日劇団から「誹謗中傷はおやめください」という指示が出てから、ブログ村の皆さまちょっと作品の評価について、本音の批評を忖度していやしませんか?という印象もあります。