悲しきミスマッチ・月組『DEATH TAKES A HOLIDAY』感想

 

月組『DEATH TAKES A HOLIDAY』を観劇して参りました。

 

 

色々ありましたが無事幕が上がって本当に良かったですね。

個人的感想を綴っていきます。

 

安かろう、悪かろう?

 

(たぶん)小川元理事長が就任して以降、トップは必ず1作は外箱で海外ミュージカルを上演することが通例となっていますが、本作は『ファントム』でおなじみのモーリー・イェストン作詞・作曲による、映画「ジョー・ブラックをよろしく」と同じ戯曲を原作にしたオフ・ブロードウェイ作品です。で、最初に感想を言いましょう。私は全編通して相当退屈しました。あの芝居上手で、麗しい美貌を持つ月城かなと率いる月組による海外ミュージカル作品で退屈するって、我ながらよっぽど肌に合わなかったようです。

確かに、印象に残る良い場面も何か所かありました。例えば、若手メンバーを率いて白河りりが月城かなとと組み大熱唱しながらタップする華やかな場面(1幕開演1時間くらい)や、白雪さち花による亡き息子を想って歌う魂の歌唱(2幕冒頭)、そして人生輪舞と言わんばかりの最後の10分。だけどそれ以外は、退屈な曲をずーっと歌っていました。そう、本作はとにかくずっと歌いっぱなしです。ささいなやり取りも、状況説明も、全て歌。「ミュージカルってそういうもんだろ」とツッコミが聞こえてきそうですが、違うんです。2時間半の公演のうち、2時間くらいは「Home」のような、かったるいバラードが続くんですよ。あれってキメの場面で使われるから感動するのであって、全編通してそんなノリだとさすがに眠くなります。逆に芝居パートになると月組生の実力で少し楽しくなってくるけど、また退屈バラードが始まって…の繰り返し。その割に全然話は進まないし、画面も暗いし人数も少ないしで、完全に寝かせにかかってませんかね???

では、このクオリティが生田先生の演出によるものなのか、はたまた元の作品に準拠しているものなのかは分かりません。だけど結局のところ本作は「オフ」・ブロードウェイ作品ですし、原作からしてなるほどなというクオリティなのかもしれません。それにしたって、月城かなとの美貌と、若手陣の豊富過ぎる顔ぶれをチェックするだけで楽しかった、と言いたいところなのですが、それでも誤魔化せない冗長な作品だったなぁ…。オフだとやっぱり単価が安かったりするのだろうか…そりゃ劇団的には渡りに船だろうなぁ…とか、そんな邪推ばかりしてしまいました。

 

人事的に気になった娘役たち

 

では、キャスト別感想編…に参りたいところなのですが、何よりも驚いたのが彩みちるがヒロインの祖母役だったこと。途中で若返ったりするのかな?なんて思っていたら、マジで最後まで正真正銘の老け役。路線落ちした娘役が「母親役」を演じることはあっても、老婆役はさすがにビビりますね。『ELPIDIO』で外箱暫定ヒロも1回やったことだし、組替えご祝儀期間も終わり完全別格移行、という感じなのでしょう。まぁ本人は楽しそうに演じていましたし、彼女だからこそ表現出来るであろう可愛らしさもありましたため、別格枠として生き抜くための新境地開拓という意味では正解な配役だったと思います。

逆に、ステイ中のきよら羽龍が、若手娘役が演じるようないわゆる「キレイどころ役」を演じていて、いまだ下級生の下にされていませんし、ある意味「守られている」なと思ったり。とはいえ『Anna Karenina』のキティと立ち位置的に同じなわけですから、4年半前に戻ったとも言えるわけですが…。

で、海外ミュージカルにありがちな強い女枠である娘2ポジションは、なんと彩みちるでもきよら羽龍でも男役でもなく、103期生の白河りり。これまで彼女に対しては「月組お得意の強別格になるポテンシャルがある」と書き続けてきましたが、THE・まさしく、ついに表立って活動するようになりました。でもこれって、夏月都の退団による白雪さち花の副組長昇格と、晴音あき&結愛かれんの退団による流れから来るものだと思うので、まさしく「蓋が取れた」がゆえの大活躍なのでしょう。明瞭ハッキリとしたセリフ回しに歌唱、それでいていじらしい乙女な部分の芝居もグッドで、個人的にはMVPです。

 

キャスト別さっくり感想

 

主要キャストをみていくと、月城かなとはまさに今、最盛期を誇っているような気がします。どんな衣装も華麗に着こなしてしまう、とんでもない美貌。凄い、本当に美しいのです。そしていまだかつてないほど歌いまくってますが、どれも安定しているだけでなく、歌いながらしっかり芝居もしているのが彼女らしく、また素晴らしかったです。

海乃美月は、まさしくTHE・ヒロインな役を演じていたわけですけど…。うーん、個人的には微妙でしたね。もともと彼女は硬質なヒロイン像の方が向いているタイプなわけで、カマトト芝居は任じゃないのを若さでこれまで誤魔化していたけど、それが厳しくなってきた感じ。

同じく、風間柚乃。べらぼうに上手いんですけど、それはあくまで舞台人としての上手さであって、スターとしての輝きが薄いというか、ついに路線役に見えなくなってきているような…(これについては別記事で書くかもです)。そもそも役どころが上級生別格が演じてそうな役ですし「上手いのは分かってるから、もっとキラキラした役を演じさせてあげてよ」という感じ。

むしろ、蓮つかさ演じる当て馬くんの方がよっぽど路線役っぽかった印象です。彼女に珍しく美味しい役が回ってきていて、かつ大活躍で嬉しかったです。やっぱり上手いよなー、もう少し見ていたよー頑張ってくれー。

若手チームでは、召使いチームの中に一人飛び抜けた美貌が居る…!!と思ったら瑠皇りあでした。歌唱パートもあり、それがめちゃめちゃ上手いし情感たっぷりだしで泣かせてきます。あと、期待の若手枠である七城雅はシュッとしてきましたね。暁千星を飛び越して、なんだか音月桂みを感じました。また、個人的に気になっている涼宮蘭奈がダンサー抜擢(昔話の少年役)されていたのも印象的。天つ風朱李は完全モブ枠でしたけど、特徴的な顔立ちだからすぐに目を惹くなーと思ったり。

 

生田先生に対する小言と総括

 

最後に、演出を務めた生田先生に対して一言。舞台演出の構成がショボいです。外箱という限られた舞台空間をあの手この手で埋めてこそ「演出」じゃないですか。上下、あるいは前後に人を配置するだけで、あとは紙芝居的に話を進めるのは、さすがに単調過ぎると私は思います。栗田先生、指田先生、若谷先生、野口先生の空間の使い方を見習ってください。映像使えばそれっぽいなんて、もう数年前の価値観です。あと最後の変身の演出、ナメてます?布を持った人間を袖からスタスタ走らせて、栗田先生がやった波状演出の上っ面だけパクるのは、私はいただけないと思います。

で、ここまで書いて気付いたんですけど、少なくとも私には本作を今の月組でやる意義が感じられませんでした。ナイワー、トプハ、ボニクラ、ロクモ、赤黒と、外箱ミュージカル公演って「今まさにこのメンバーだからこそ」というピッタリ感がこれまであったのに、本作は月城かなとが似合うだけであとはミスマッチだったように思います。そういう風に個人的に馴染めなかったからこそ、イマイチだと感じたのかもしれませんね…。

まぁ月組生にもちろん罪はありません。無事千秋楽まで走り切ってくれることを祈っています。

 

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コメント

  1. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、興味深く拝見しております。
    そうなんですね…。うーん、そうなんだ、辛いな。
    どうしてなんですかね、芝居で魅せる事ができるのに、歌うって。宝塚オリジナル作品でも、そうゆう傾向にあるような。で、歌で尺をとりすぎて、説明長台詞でまとめていたり。
    バウ組、頑張っていました。彩海さん、上手い!

    そうなんだ…の作品の本隊組。
    でも、美しいものは見る価値がある、なので、配信でみる予定です(苦笑)。
    風間さんの記事、楽しみにしております。

  2. ずんだもち より:

    奇しくも初日となった日に見て参りました。
    楽しめましたよ。アメリカン・コメディーだからと自分を納得させて。

    1幕は全く集中できませんでした。
    それにはワケがあって、前の席が男性で私は小柄なので舞台中央が全然見えず、月城サーキ・風間ヴィットリオ・佳城フレディのコミカルなやり取りもセリフだけ聞いているとよくありがちなギャグで、たいして笑えませんでした。
    公爵家の人達は舞台一カ所に集まってあまり動かない。大金持ち設定なんだから舞台全体をリビングとしたらよかった。(そしたらもう少し見えたのに 涙)
    2幕のほうが舞台の使い方は良かったと思います。
    ストーリーは登場人物それぞれに人生の喜びと悲しみを切々と歌わせておきながら、結局グラツィアをあの世に連れて行くんかい。
    ラスト、初めから死神と見抜いているみちる祖母が自分を連れて行けと割って入ると思ったのに。
    しかも認知症治ってるって‥え!?
    子供二人失った両親の悲しみは描かれないまま終了‥え!?
    グラツィア海ちゃんの声だけ若いのは私には違和感。20代半ばか後半の女性でよかったのでは。
    純真イコール若いというのもどうなのかと。

    歌唱は皆上手でしたし美しい曲なんだけど耳に残らない。サビ部分も思い出せません。
    お邸のセットと月城と瑠皇りあが美しかった(中央が見えないので瑠皇りあ眺めてました)
    細かいことを気にせずコメディーだからと割り切れば楽しい作品だと思います。

  3. 五條 より:

    おおーここまで辛辣なのは珍しいですね。他ブログですと割と好評に見えたのでビックリ。風間の別記事楽しみにしております。
    しかし彩。ヒロインはもちろん子役や少年役、いい女役も出来て、その上今度は婆さんですか!なんつーかまあ…変幻自在ですね…。ここまで幅広くやらせるもんですかね普通w

  4. ちゃん より:

    いつも楽しく拝読させていただいています。

    私としては「思ってたより面白かった」というのが第一印象でした。それぞれの、死や時間への向き合い方がもっと分かりやすく描かれればメッセージ性の強い作品になったのかなと思います。

    月城さんは本当に美しい。コミカルなお芝居がとてもチャーミングで、シリアスなシーンは引きつけられて、思い返せばそこしか観ていなかったから良い気持ちで終わったのかもしれません笑

    月城さんにはとってもお似合いだったので、もしかしてフレッシュな誰かと公演するつもりだったのでは、と数日経ってから邪推します笑

    これからも更新を楽しみにしております。

  5. パンチ より:

    月城さんが大変美しく歌声もパワフルで素晴らしかったですね。
    彼女はお芝居をしながら役の感情を乗せて歌うことがとても上手なんだなぁと思います。若手とダンスをするシーンも最近ではあんなに踊る姿は見られなかったので新鮮でした。
    この演目で新たな魅力が開花したように見えるのでこれからも色々な役を演じて頂きたいです。
    そしてりりちゃん!
    自分の能力をフルパワーで発揮していてとてもキラキラしていました。
    路線がやるような役ではないけど彼女だからこそ出来るパフォーマンスで舞台を支配していて美しかったです。
    風間さんは海乃さんのお父さんには見えなかったですね。出番は多いですがソロもなく期待よりも印象がちょっと薄かったです。
    いずれトップとなるはずなのに40代の役を今させる意味とは?いろいろ考えてしまいました。
    風間さんの記事、ぜひ見てみたいです。

  6. ジャスミン より:

    色々ニュースが出ているので更新されそうですが、一旦こちらに。
    感想ありがとうございます!
    うーん、好みが分かれそうな作品ですね…
    とはいえ、白河さんの活躍ぶりを聞き、とても嬉しいです!!
    あー、もう1回ヒロインを見たい!!
    (ヒロイン云々はおいておくとしても、白河さんの活躍を耳にしただけに、宙組の花宮さんの「戦士(女)」っていくらなんでもちょっとあり得ないでしょ…と本当に思ってしまいます。)

    そして、蓮さん、私もまだまだ見ていたいです!

  7. missy より:

    蒼汰さん

    オリジナル版を見た人間としては、ちょっとエリザベートっぽいけど宝塚でやったらいいなと思っていたので、ついに来たー!月!と2幕の曲が頭を駆け巡りっぱなしでした。
    版権は間違いなく安いと思いますが、悪かろうというのはキビシ~。初回見て、追加購入は、結構売り切れの日も多く、選択肢が限定的だったので、概ね好評だったという認識です。わたしは歌が多くても全然平気です。
    カーテンの目玉焼きを見たときはこれってオリジナルと違う路線なんだと先が読めました。蒼汰さんが書かれている通り、潤色部分がもう一歩ということなのでしょうか。
    役についてはすでにある作品に人を当てはめるので、多少の無理はあるんでしょうが、出演者の頑張りはともかくとして、多少の無理にとどまらないキャスティングだと思います。ニコライの次の二の線はコラードだけど、風間はなぜか公爵、そして夫人が白雪というアンバランス、彩がヒロイン祖母っていうのも、1曲ありますけど、はめ込んだ感がないですか?
    宝塚の座付き作家がスター制を意識した作りをするのとは違うので、キャスティングには目をつぶれば、宝塚版としてはわたしは満足です。ただし、海乃については蒼汰さんに100%同意です。加えて、月はエトワールをローテでできるくらい歌えるのに、なぜヒロインがあのレベルなのか、全体のレベルに影響するという印象。でも前述の通り、一応満足はしています。

  8. える より:

    いつもブログ楽しく拝見しております。
    ご感想お伺いできて、大変勉強になります。
    昨日ようやくマチソワしてきたのですが、今作は宝塚だと思って観ると相当つまらないのかなと思います…。
    2回目で「海外ミュージカルを観に来た」と思い直して観たら普通にとても面白かったです。
    ただ、作品全体がふわっ…とした感覚だけで話を進めようとするので、登場人物たちの心の揺れ動きが死神に対してどのように影響しているのか、読み取るのがかなり難しかったです。
    バラードのような歌で話と感情を進めようとするため、全場面で真剣に聞いてないと聞き逃しそうというか…。
    宝塚で演出上あそこまで冗長な歌ばかりを連発することって殆どないので、「(皆さん本当に上手なのですが)一人当たりの歌の時間が長いな…」という気持ちさえ抱いてしまいました。
    そして、97期のお二人は上級生としてシックな大人っぽさが魅力だと思うので、21歳の新婚カップルというのはちぐはぐな印象でした。実力でカバーしていますが、その舞台技術の高さがかえって若さゆえに突き進む無鉄砲さと合わず、個人的に違和感を抱き…。
    そういった個人的なマイナス点が目立つほど、バラード曲ばかりは聴き続けるのが厳しいです(笑)
    あくまで個人的に観て思っただけのことなので、これから観劇する方には是非心から楽しんでいただきたいです。そして、千秋楽まで、どうか走り抜けていただきたいです。

    • ヅカオタ研二女子大生 より:

      随分辛辣ですね……。
      この作品の意図は、「本公演でトートとシシィが出来ない2人のための番外編なんちゃってエリザベート」だと思いました。車から放り出されたヒロインが死の気まぐれで生き返ったり、ヒロインが怖がらずに死と結ばれようとしたり、特に終盤の死神と風間パパが言い合いになるシーンなんてまんま「最終答弁」じゃないですか笑
      逆に言えば生田先生はどっかで見たことのあるような演出を平気で入れてくるなあと思いました。全シーンに既視感があった笑
      最後なんてエリザベートの昇天シーンかと。演出家同士とはいえ大胆にパクるんだなと笑

      月城さんは応天の門の菅原道真のような少しやさぐれて斜に構えたイケメンが似合うと思ってたので結構好みでした。

      ラストシーンは賛否両論あったようですが、私の持論ではこの物語全てが家族の夢の世界なのではないかと。交通事故にあっても即死せず植物状態で数日生きてから心臓が止まることはありえます。息子を亡くし、娘まで亡くした夫婦の為に死神がくれたパラレルワールドだから結末は変わらない。死神が両親に見せてくれた夢を私達も見ているのではないかと(ルキーニの語りを聞くように)。

      終盤で、死神が「なぜ人は生命を粗末に扱うのに死を怖がるのか、お前らにとって生命とは何だ?」的なことを問うシーンがありましたが、これは仏のフランクルが説いた「人間が生きる意味を尋ねるのでなく、人生が人間にどう生きるか問うている」といった哲学的思想に近いものを感じました。エンタメとしては少し難しいかなーという感想。哲学が好きな人にしか分からなくて眠くなるかもしれません。
      ロシアとウクライナの戦争や日本人の自殺率が増える中で、こうした重めのテーマのミュージカルを月城さんの美貌で明るく面白くほろ苦くまとめられるという、結局舞台の主演で満足度が決まるんだなと思いました。実力のある主演者でないと務まらない舞台だったと思います。

      風間さんに対しての感想は同感です!笑 さち花ママより年上に見えた当たり、路線スターとしての危うさを感じました。(なんとなく北翔海莉さんコースになりそうで……)

  9. こむぎ より:

    配信で観劇したのでこちらの感想を拝見しましたら割と辛辣な内容で、観た人によってここまで感じ方が変わるんだなぁ……としみじみしてしまいました……笑
    (普通に面白かった、楽しかったという者からの意見です)

    芝居で魅せることができるのに、というご意見はもっともながら、芝居だけじゃなく歌も強いんだぞ、という部分を見せたかったのかなとも思います。
    一幕は思った以上にコメディ色が強くて、色んな意味で月組さんっぽくないなぁと思いながら拝見しておりました。
    (これは星組メインで観劇している者からの意見なのですが、仮にこの作品が今の星組で上演されていたら蒼太さんが感じられた違和感ってあんまりなかったのでは……?と考えてしまいます)(歌が冗長なのもあまり気にならなかったのは普段観てる組の雰囲気に近いものがあったせいですかね……)

  10. N より:

    6/24の配信を観ました。
    今回は蒼汰さんと全く同じ感想です。良かったと思う場面が一緒です。
    この作品は海ちゃんの「あんたの夢叶えたろか」的な作品だったのかと思ったり。こういうミュージカルで歌いまくるお姫様的なヒロインやりたかったのかと妄想しましが、今のトップで正直合いそうなのはまどかちゃんくらいでは。
    みちるちゃんは勿体なかった。月バウを観劇しましたが、あましちゃんは悪くないけど、あみちゃんとは作画が全く合ってなかったので、こちらのヒロインをみちるちゃんにした方が良かったのにと感じました。

  11. より:

    おお。かなりの辛口ですね。

    私はとても好きでした。とは言え月城さんの美声と美貌は堪能しつつも、真ん中よりも英真・彩、夢奈・白河のカップルのさよならの前に少しだけ与えられたロスタイムの切ない美しさのようなものに余白やその後まで勝手に想像して1番心を揺さぶられたので、演出の意図したものとは違うかもしれませんね。

    今回1番しみじみ良かったと感じたのが、これまでそれほど注目していなかった(ごめんなさい)夢奈さんでしたので、新たなスターの魅力を発見できたのはお得でした。

    海乃さんは任じゃないかな……。それでも可愛らしく声も作られていて奮闘していたとは思います。

  12. より:

    せっかくの観劇でしたのに、お口に合わなかったようで残念でしたね。私は配信で拝見しましたが、かなり楽しめました。月城さんの感情の動き、表情、そして美貌だけで200%満足できました!第3形態の破壊力凄まじかったです。終了後1時間くらい「美しい」しか頭に残りませんでした。
    それはさておき。曲が穏やかですよね(笑)フランク・ワイルドホーンさんならここで金管とロングトーン!!って所でふにゃっと終わったり、カナリアのように美しい歌声がひたすら流れたり(実は歌詞が全く入ってこなかった…)。
    そんな中、言葉や感情をきちんと届けてくれた月城さんの歌に感動しました。美貌と芝居力に注目しがちですが、こんなに歌上手かったんですね。
    あと、登場人物8割に活力がないのが気になりました。同じ死神でもエリザベートは全員必死に生きてる感があるのに、デスホリはみんな物憂い…。ロベルトの死を引きずっていて、そこから立ち上がるドラマがあるのかと思いきや、なんかサラッと立ち上がる。見たいのはどう立ち上がるかなんですが…と思いますが、この辺りはブロードウェイだから心情の機微を求める方が間違っている気もします。(アメリカに対する偏見)
    そして月組さんは真面目ですよね。宙組なら冒頭コメディ部分、もっとふざけそうなもんです。月城さん1人だけはコメディもいけるんだ、さすが〜と思いましたが。
    ブロードウェイミュージカルですが、今回の作品は配信・円盤化ができたことが何より良かったと思います。真風ウエストサイドはまだ18作中1作くらい仕方ないと諦めもつきますが、望海20世紀号は観劇できない地方民にとってはトラウマですからね…。見たかった…。
    収益・顧客満足両方の観点からも配信・円盤化できる作品で良かったと思います。
    蛇足ですが、月組は海乃さん以外誰も月城さんとしっくり来ない娘役体制なのが地味に感心しました。合わない子になるくらいなら、ずっとこのままでいいじゃん…って思っちゃいますよね。山吹・音彩あたり似合いそうですが、月組は娘1生え抜き多い上に、アダルト前妻から少女後妻も微妙だし…。もう添い遂げ希望です。

  13. たね より:

    配信を観ましたが、月組でやる必要性がないと感じました。
    厳しいことを言いますが、演出、潤色に工夫が欲しかったです。
    月組生たちが頑張っていたけど、残念な作品でした。
    曲が単調で長い、劇場で観ている方は臨場感があるかもしれませんが、配信は退屈で眠かったです。

    私は元々、芝居中心の作品が好みなので、この手の作品は相性が悪いのかも。
    老け役に風間、彩はちと気の毒で、父親役はちなつさんで良かったのでは?
    映画ではアンソニー・ホプキンスでしたから。無理が‥。
    評価は分かれますが、楽しめた方がいるなら良いのでしょう。

    これは本当に個人的な意見ですが、月城さん、別な娘役と組まないのかな?月組では海乃さん意外の人と組んでいないから。そろそろ新鮮味がなくなってきますね。
    他の人と組めば、もっと役と作品に幅が出てくるし、可能性が広がると思います。

  14. 八栄 より:

    チケットが消えてしまったので、配信で観ました。
    私も蒼汰さんと同じような感想を抱きました。
    月城さんの芝居巧者の歌は、素晴らしかったし、とにかく美しい。海乃さんも頑張っていらっしゃるし、他の演者にも下手な人はいない。
    しかし、途中、意識がなくなりそうになったのも事実。

    死神の愛を知りたいのくだりが長い、また、よくわからない歌が延々と続きすぎる?

    そして、風間さんが、うまいのはよーーーくわかってるし、何でもできるから、彼女にヒロインの父親役をさせてもまったく破綻がない。ただ、二番手の役としては落ち着きすぎて、ときめきの対象ではない・。悪役であった応天門のほうがよかったような。
    ブエノスアイレスのリカルドは魅力的でしたが、あれ以降、惹かれるお役に恵まれていないように思われます。月組としては、これでいくのでしょうか。

    昨日、バウホール公演の配信を観ましたが、こちらは作品としてインパクトがあり,惹きこまれました。
    礼華さん、素晴らしかった。想定よりずっと良かった。難しい役だったと思いますが、本当に男らしく、かっこいい。
    彩海さんも、歌はよいし、個性が立ってて魅力的。
    天紫さんも、これまで見たお役でもっとも良かった。劇場で観たかった作品でした。
    専科の二人と組長さんの力が本格物にしているでしょうが、下級生達も実力者だらけというのを感じました。

    二作品を観て、キラキラ度、スタアとしては、これからは礼華さん、彩海さんの時代だろうな、と感じさせる内容だと感じましたが、これからの大劇場公演では、どういう配役(比重)になるのでしょうね。

  15. 雪ん子 より:

    蒼太さんはお気に召さなかったようですが、私の周辺ではかなり好評でした。世界大戦のナレーションから始まるオープニングは映像を上手に使い、「なぜ死神が休暇を必要としたのか」を示しました。人が乗ったまま車が真っ二つに割れるシーンには今までにない舞台装置の技術が込められています。歌はメロディが難しい曲でした(歌っている皆さんも言っている)が、歌詞は聞き取れましたし、月城かなとはじめ、風間柚乃から彩みちるまで歌ウマぞろい。全体的に上質で品の良いコメディに仕上がっていました。大技で笑わせるのではなく、細やかなお芝居で自然に笑いが生まれるという、そんな作品が最近はないだけに貴重な公演だったと思います。ただ、最後に約束を破って連れて行く結末はいただけません。恋をハッピーエンドにしたがるアメリカンストーリーの悪い癖ですね。とはいえ、原作がそうなら生田先生でもどうにもならないことだったのでしょう。

    • masa 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます!!個人的には唯一オチだけ納得したので(悪い意味ではなく)本当に感想って人それぞれだなって思いました。笑
      ヒロインは最初から死んでいたからこそ死神と一緒に行くこと=元の状態に戻るということになり、ここにカタルシスが起きるよう準備していったはずだろうに、それが不発だったなぁというのが個人的感想です。