花組『A Fairy Tale-青い薔薇の精-』感想

昨日、明日海りお最後の雄姿を目に焼き付けてきました。

まさかチケット当たるとは思わなんだ…

ありがとう、セ〇ィナ。

 

というわけで、さっそく感想を書こうと思うのですが、

実は大体の感想(という名のこき下ろし)

以前の全作レビューで書いてしまったので。笑

 

 

今日は前回書かなかった今作の美点と、

キャスト別さっくり感想を書いて行こうと思います。

 

女性脚本家は演出上手?

 

今作で一番印象に残っているのは、

ずばり演出の素晴らしさ。

 

まさしくおとぎ話のように美しい薔薇園に始まり、

19世紀のイギリスの繁栄との対比、つまり美と破壊、

変わらないものと変わっていくものの対比が非常に分かりやすかった。

 

そして舞台の奥行や高低差を利用した演出。

特にヴィッカーズ商会の場面では、

人々と精霊たちが同時進行で様々なことをしているのが分かりやすかったし、

結婚式や忘却の粉等の光の演出も、とても効果的に使われていた。

 

さらにあえて(?)猫や鳥を安っぽいぬいぐるみを使うことで

なんとなーく「おとぎ話」感が出ていたし、

それをドヤ顔で持ち歩く乙羽映見も面白かった。笑

 

っちゅーわけで、上田久美子もそうですけど

女性脚本家って舞台演出上手な方が多いんですかね?

 

想像よりも楽しく見られたのは、

個人的にはこれら演出の妙が大きかった印象です。

 

 

作品の内容で言えば、全編から2000年代の宝塚的作風

ビンビンに伝わってきたのが印象的でした。

 

具体的に言えば、

「細かい設定なんてどうでもよくて、その高貴な雰囲気を楽しむ」

「物語の完成度よりも、スターのカッコよさを追求する」という感じ。

 

つまりまぁ、雰囲気重視な作品なわけですけれど

それでも演出が突き抜けているからこそ、

その世界観が構築されうるわけで。

 

偉大なるトップオブトップ、明日海りおの退団公演として

彼女の魅力を十二分に詰め込んだ作品…とは言えないですけど、

演出が上手くいったからこそ、個人的にはそこそこ楽しめましたね。

 

キャスト別さっくり感想

 

オリジナル作品ですから役が多く、

退団者&下級生にも満遍なく振られていたし、

それぞれが任にあっていて良かったです。

 

というわけでキャスト別感想、

サクサク書いて行こうと思います。

 

エリュ/明日海りお

 

退団まで1週間を切っているからか、

「全身全霊、命かけて芝居してます!!」感が凄かったです。

 

最後の最後が妖精役だし

衣装もそんなにパターンが無さそうで可哀想でしたが、

その熱量できっちり世界観を構築し、

佳作っぽく見せられるのは、さすが偉大なるトップオブトップでした。

 

個人的には最後の幸せそうな姿よりも、

途中の恋と葛藤に苦しむエリュの方がハマってるあたりが

彼女らしいなぁと思いながら見ていました。

 

 

シャーロット・ウィールドン/華優希

 

やっぱり芝居の人ですよね、彼女。

冒頭のブリブリした演技が無理なく出来るトップ娘役は、そういません。

 

後半、徐々に大人になる悲しみに打ちひしがれる様、

あるいは老婆となってもどこか夢を忘れていない様など、

含みを持たせる芝居もさすがでした。

 

ハーヴィー・ロックウッド/柚香光

 

CASANOVA、花男とコメディ色強いキャラを演じてきたからか、

真面目なキャラでも役の奥深さ

前よりも格段に感じられるようになったと思います。

 

思うに、彼女はコメディセンスも高いですよね。

間の取り方や表情の付け方もそうだけど、

そもそもザ・宝塚顔な彼女が間抜けなことをすると

それだけで面白いというか。

 

これからどんなトップスターへと変貌していくのか、

その行方が非常に気になるところですね。

ぜひ頑張って頂きたい!!

 

オズワルド・ヴィッカーズ/瀬戸かずや

 

やはりスーツとヒゲオジが似合う。

ターンの仕方から指先まで、

きっちり男役芸を見せてくれるから素晴らしいですよね。

 

生粋の悪役ではなく、どこか憎めないポジションとして演じられるのも

彼女の技巧あってこそでしょう。

次期体制では花男&屋台骨としての活躍を期待したいです。

 

フローレンス・ウィールドン/城妃美伶

 

出番少なくない?

 

ヒロインの母親役、物語の起点ということで、

美味しいのか美味しくないのかよく分かりませんが、

とりあえず薔薇のような気品ある女性の役で良かったと思います。

 

ニック・ロックウッド/水美舞斗

 

出番少なくない?(2回目)

 

物腰やわらかい雰囲気が彼女にあっていて素敵でした。

あと、物語の筋に関係ない箇所でも小芝居(ハサミを入れたり)をしていて

細かい芸してるなぁと感心してしまいました。

 

空気の精・クラルス/白姫あかり

 

組長・高翔演じる樫の木の精に常について回っている

姉妹の空気の精の一人、ということで退団者餞別ポジですね。

 

普段はダンサーの印象ですが、

今回は素敵なお姉さまポジとして物語に差し色を加えてくれました。

唐突ですが、今作の彼女、雛形あ〇こに似てません?笑

 

Mysterious Lady/乙羽映見

 

凄い退団者餞別ですよね。超役得。

めっちゃ歌うし、最初と最後に〆るし、衣装も豪華。

 

正直、フローレンス(城妃)より美味しい役のように見えたので

逆にしても良かったのでは?っていう。

…それだと水美&城妃でコンビ萌えしてた人たちが怒りそうですが。笑

 

しかしまぁ、彼女独特の艶っぽさというか、

謎の気品みたいなものが出ていて面白かったです。

 

マシュー/帆純まひろ

 

想像よりも出番があってビックリしました。

正直ニック(水美)より舞台に立ってませんでした?

逆にしても良かった(以下略)

 

柚香演じるハーヴィーの良き友人として、

帆純の持つイイ人感が出てて良かったです。

少し情けない声質もツボでした。

 

ブライアン/希波らいと

 

『花より男子』で一躍脚光を浴びた103期生。

その頃に比べ、シュッとした&男役化粧が板についたのか、

すっげーイケメンになっていた。

 

その足長お化けスタイルも凄い。

ということで将来が非常に楽しみな若手の一人ですね。

 

「Never forget everything of you」

 

さて、この話のテーマはというと、

たぶん「変わっていくものと変わらないもの」なんだと思います。

 

「自分を忘れて欲しくない」というエリュのエゴが、

自身を青い薔薇の精に、薔薇園を深い霧に包ませただけでなく、

結局シャーロットを苦しめることになってしまう。

 

少女の心を失わなかったばかりに、

長い間、辛く苦しい時を過ごすことになるけれど、

50年の時を越え、ついに再会を果たした2人。

掟のため、忘却の粉を振りかけるも…記憶は失われなかった!!

 

エリュとの美しい思い出は、

さながらおどぎ話のように語り継がれ、

時代が変わっていっても、私たちの心に永遠に残るだろう…。

 

ってコテコテの退団公演ですよね。

「Never forget everything of you」という歌詞が全てを表しちゃってる。

 

男役を追求し続けた明日海りおの退団公演として

今作が有りか無しかで言えば、

私は残念ながら「無し」ですけど、

 

でもやっぱり「Never forget everything of you」と歌われれば、

謎の感動を覚えてしまうわけで…笑

 

黄泉の帝王にはじまり、薔薇の精で終わるというのも、

それはそれで粋なものなのかもしれません。

 

というわけで、なんだかんだ言っても

彼女の最後の姿を生で見られて本当に良かったです。

次はレビュー公演の感想!!

 

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コメント

  1. はる より:

    思いがけずチケットを手に入れる事が出来まして先日、拝見させて頂きました。観劇後、花組を生で観るのは20年ぶり以上な事に気が付いて慄きました。。笑
    城妃さん、水美さんの出番は少なくない?と私も思いました。

    トップオブトップの明日海りおの退団公演として作品的に有るか無しかなら私も無しです。
    ただ組子から明日海さんへの想いがずしずし伝わって来る様とそれを受け取っていつも以上のパワーを出しているだろう様を感じてただただ圧巻でした。
    いよいよラスト3回になった本公演。
    紅さんに続き、明日海さんもとなりますと宝塚の歴史の移り変わりをみせて貰っているなぁと感じています。
    送る側も送られる側も想い出深いものになります様に。。。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼20年ぶり?!それは凄い。
      やはり退団公演って、そのスターを美しく見送ろうとする組子、スタッフの熱い思いがビンビンと伝わってきて、
      それが作品の出来不出来を越えたパワーとなって伝わってくるものですよね。
      退団まで残り2日。美しいその散り際をぜひ目に焼き付けたいですね。