明日海りおの根幹「負けん気」

昨日、明日海りおが退団した。

宝塚100周年から劇団をけん引し続けた

偉大なるトップオブトップに、一本記事を捧げたいと思います。

 

明日海りおと大運動会の雪辱

 

明日海りおのトップの歴史を語るうえで絶対に外せないもの、

それは100周年の大運動会であると思います。

 

明日海りお率いる花組は、

5組中最下位であっただけでなく、まさかの個人賞ゼロ。

帰りのバスの中がお通夜状態だった、なんて言われていますね。

 

この大敗を喫した悔しさというのは、

その後、彼女の中に長く残る「しこり」になったのだと思います。

それはなぜか。

 

宝塚に限らず、エンタメ事業の内部は常に競争社会。

喰うか喰われるか、蹴落とすか蹴落とされるかの世界で皆生きています。

 

ですが、一たび主演(トップスター)になると、

戦う相手というのは他の誰かではなく、自分にとって変わります。

 

例えば〇組と□組のライブビューイングの売上数を比べて、

〇組の方が高かったとしても、

□組の主演者が負けたということにはならないのです。

 

いや、厳密には負けたのかもしれませんが、

□組の主演者が本当に負けたのは、昨日の自分であり、去年の自分であり、

これまで蓄積されてきたはずの「魅力」が至らなかったから、

売上げが振るわなかった、ただそれだけです。

 

 

その中で、大運動会というのは

トップスター同士が組を率いて競争し、

しっかり勝ち負けがつく珍しいもの。

 

だから花組が大敗を喫したことは、

彼女の中で明日海率いる花組を否定されたことと同義だったのかもしれません。

 

大運動会なんて、ほとんど出来レース。

その時の長期トップ(当時は星組の柚希)が顔を立てられ優勝して、

若いトップの組は可哀想な扱いになるのが通例。

だから負けても仕方ない。

 

言うは易しですが、そう簡単に割り切れて、

はいはいビリッケツですよーっと納得しちゃうような人間だったら

彼女がここまで偉大なるトップスターになることはなかったでしょう。

 

それから花組トップ前期(花乃期)までの彼女は、

「花組を認めて貰うため」に必死だったように見受けられます。

 

だからこそ彼女は舞台の修羅となり、常に高みを目指し続けた。

そんな彼女の「負けん気」が、

その後の花組を作ったと言えるのかもしれません。

 

揺るがない負けん気

 

と、実はこの上の部分、

前身ブログ時代に書いていた記事の一部でして。

少し想像が過ぎるかなと思い、結局は載せなかったんですよね。

 

ですがその後、横浜アリーナでの「恋するアリーナ」公演にて

まさか「恋するMEGA運動会!」として、

その雪辱を晴らそうとするなんて思いませんでした。笑

 

まぁ、なんっつーか。

 

よ っ ぽ ど 悔 し か っ た ん で し ょ う ね 。

 

横アリで昔の怒りをぶり返したことに関して、

ファンの中では正直、賛否両論だったと思います。

(懐のだいぶ広い私でも、正直ビックリしました。)

 

ですが、常にトップであり続ける人というのは

これくらいの負けん気が無いと立ち続けられないのかなとも思うわけで。

 

宝塚に限らず、スポーツも、アイドルも、営業職も、

常にトップで居続ける人が呑気な平和主義者だなんて見たことがない。

 

そして競争社会に身を置く人間は、

誰もが等しく努力し、負けん気があるわけですが

「時代の顔」になりえる人に求められる資質とは、

実はこういうものなのかもしれないな、と彼女を見て思ったのでした。

 

「フェアリータイプ」という呪縛

 

そしてもう1つ、彼女の負けん気エピソードとして興味深いもの。

それは「フェアリータイプ」への反骨精神。

 

今、現存する彼女の新公主演作品への感想についてのブログ記事を読むと

だいたいが「上手だけど、可愛らしいから将来が心配」

「スーツ物が出来ないから、長期は厳しいかな」等

似たようなことが書かれていて、非常に面白いです。

 

「フェアリータイプ」という言葉は

実はそんな批判や懸念たちをオブラードに包んだ表現でもあるわけですが、

彼女はそんな自分の持ち味だけに頼るのではなく、

あえて骨太な男役像を目指し続けたのでした。

 

ここで分かるのは、

彼女は決して現実から目を背けないことでしょう。

 

華奢で身長も高くなく、顔も可愛らしい。

それに対し「男役らしくない」という批判の声があることも分かっている。

 

だからこそ、男役としてどのようにあるべきか、

批判から目を背けず、それらの声をねじ伏せるために、

研究に研究を、練習に練習を重ねてきた。

 

それが昨日までの彼女を形作ってきたものであり、

同時に彼女の魅力の根幹でもあります。

 

歌が上手、顔が可愛い、演技が深い、だけでなく、

常に現状で満足せず、高みを目指し続けるその姿勢こそ、

彼女の高い人気の要因でもあると言えるでしょう。

 

さよなら、明日海りお。

 

先日、明日海りおの全作レビュー記事を書きましたが

振り返ると改めて、彼女は「戦う孤高のスター」だったんだと思います。

 

置かれた環境、チャンス、そして昨日までの自分に、

常に孤独に戦い続け、高みを目指してきた。

それが100周年後も続く宝塚バブルを支える原動力であったわけですね。

 

昨日で宝塚のページに、一つの区切りがつきました。

そして時代は変わっていきます。

果たして、次は一体どんな5年間になるのでしょう。

 

新たな時代の予感が楽しみでもありますが、

今はただ、明日海りおの残した余韻に浸っていたいところです。

 

男役に全てを捧げてきた明日海りおに感謝を込めて。

本当にありがとうございました。

 

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コメント

  1. こんちゃん より:

    蒼汰様

    いつも楽しみに拝読しております。ライビュ専科の地方民です。明日海さんラストディのもう超個人的な感想です。

    エリュさんが出てきた途端、なぜか「あ、エドガーさんお久しぶり」と感じてしまいました(笑)。そう思いだすと人間への想いを抑えられないエリュ様に春の雪の清様の面影が重なり、罪の青に染まってせり上がるところは「トート閣下今日は青くていらっしゃる」・・・という具合に、エリュさんを依り代に、これまで演じた役たちが次々降りてくるのを見るような、これまでのライビュでも体験したことがない不思議で幸せな思いで客席に座っておりました。

    ライビュのおかげで明日海さんの人生でおそらく一番大切な時間を共有できたこと、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼
      これまでの演じてきた役がエリュを演じる明日海を通して表れ、そしてそれがラストランへと続いている、
      なんて素敵な体験ですね!!言葉を読むだけでも感想してしまいます。笑
      まさに退団公演のライビュでないと得られない感覚でしょうね。楽しまれたようで良かったです。^^

  2. ゆり より:

    蒼汰様

    ブログ、いつも楽しく拝見しています。ありがとうございます。
    明日海さん、あんなにふんわりしているのに、実はすごくガッツがあるんですよね。そして、愛情深い。

    「負けん気」と自らへの厳しさと、そして、組子への愛情が
    花組トップスター「明日海りお」を作ったんだろうなと思います。

    「青い薔薇の精」
    物語としては、完成度は低いと思います。
    でも
    これほどたくさんの生徒にセリフがあり、役があり、ライトがあたり、舞台上にたつ時間がある作品は、なかなかないと思うのです。

    明日海さんが希望したのではないでしょうか。
    「多くの生徒に光を当ててほしい」と。

    物語のアラは、自分と組子の力で埋める。そういう気概をもって舞台を作っていたように思います。

    「責任は私がとるんだから、みんな(組子)には、のびのびやってほしい」
    「お客様に、花組には、こんなに素敵な生徒がたくさんいるんだということを知ってほしい」

    明日海さんの言葉を思い出すと、
    きっとそうに違いないと思えてくるんですよね・・・

    • 蒼汰 蒼汰 より:

      コメントありがとうございます‼
      白姫、乙羽、城妃と退団者がだいぶフィーチャーされてましたが、実際どうなんでしょうねー。
      まぁオリジナル作品ってそのあたりの調整が出来るのが便利だと思います。