月組『GUYS AND DOLLS』を宝塚大劇場で観てきました!!
ちなみにアデレイドは彩海せらverです。
今回もご縁があって一桁列目。
月組の細かい顔芝居をまじまじと拝見させていただきました。←
さっくり感想を書いていきます。
【礼華はるへの人事的感想はコチラ】
令和版にアップデートされたけれど
宝塚では4度目の上演となる本作、演出が稲葉先生へと変わり、だーーーーいぶ令和版にアップデートされた作品となっておりました。冗長な演出や番手の整理を行って全体的にスッキリ見やすくなりつつも、群舞などで下級生にしっかり出番を作り、かつバハナの客席降りや妄想小芝居で客席を盛り上げるなど工夫がなされていて、最後まで比較的飽きずに見られました。
ま、最初の30分は言い回しがおかしいというか会話が噛み合ってない部分もありましたが(『アナスタシア』もそうでしたよね…)、それは救世軍の説明が難しいのが一因かもしれず、けど普通に見ていたら「街の風紀委員的存在」と分かるので、そこまで問題ではないかと。深く考えなくとも誰もが楽しめるハッピーミュージカル、とても良かったと思います。
ただ、近年続いた「キャストがピタりとハマった、過去を塗り替える最強の一作」となっていたかと言われたら、個人的には「うーん?」と首を捻ってしまいました。本作の魅力は「ワルでイケメンな男たちに、女が振り回される」という、いわゆる昭和平成な価値観に基づくもの。今の月組主要キャスト陣はそれを本人の特性に合わせ現代にアップデートしていたけれど、それが果たして正解だったかはピンと来てない、というのが正直な感想です。
根本的スター論・ネイサンという役
例えば鳳月杏スカイは本当にギャンブラーなの?というくらい品行方正なただの好青年だし、天紫珠李サラはカタブツお嬢ちゃんが似合っていたけれど歌唱力がアレレな感じ。そして一番は風間柚乃のネイサン、彼は女性からしたら本当にどーーーしようもない人間で、カダギではない、約束も守らない、婚約して14年間も放置する、そんな女性の敵の権化のような役柄なのに、じゃあなんでアデレイドが彼から離れないかと言われたら、それを全て帳消しにするような顔(=イケメンオーラ)があるからでしょう?こんな男といたって絶対に幸せになれない、周りからも止めときなと言われる、だけどどーしても愛さずにはいられないという、現実世界で叶えたくない、けど一度は経験してみたい恋愛観が宝塚歌劇団だから成立する、そう楽しめるのが舞台興行の在り方なわけで。
確かに風間ネイサンは、見た目イカツイのにギャンブラーに振り回される可哀想やられキャラとして成立していたし、彼女らしい堅実な役作りで良かったと思います。が、それだとアデレイドが単純に不憫に見えてしまうし、令和の時代の特に若いライト層にそんな恋愛模様がピンと来るのかな、と。舞台技術が低かろうと、紅ネイサン(そしてたぶん、観たことないけれど大和ネイサンも)の方がお話としてはしっくり来る気がしてしまって…。だけどそれは風間柚乃が悪いわけではなく、スターシステムとして致し方ないと考えると、「キャストがピタりとハマった、過去を塗り替える最強の一作」とは言い難いな、と思ってしまった、というのが私の正直な感想です。
※ちょっとキツく書いてしまった風間柚乃に関しては、別でいつか書こうと思います。
その他キャスト感想
でも、それ以外は結構完璧なんすよね。←
礼華はるのナイスリー・ナイスリー・ジョンソンは本作を象徴する憎めないハッピーキャラで、かつそれが彼女の持ち味である暖かみのある芝居とピタリとハマっていた。彩海せらは良い塩梅で男役を抜けきらないところが年増感が出ていたことと、何より圧巻の歌唱力が素晴らしい。一方で、婚約14年待たされても美貌を維持していることに抵抗がなく見えたのは令和ならではであり、礼真琴が可愛い過ぎる!と評されてから10年でだいぶ価値観が変わったんだなとしみじみ思ったり…。
次期副組長の夢奈瑠音は、まさかの若めの役作りだったのに爽やかに見えたし、白雪さち花ミミもあれはあれで正解な役作りでした。英かおとは贔屓目が入ってしまって恐縮ですがカッコ良かったし、警部役の佳城葵の安定感はもちろん、大楠てらがポスト輝月ゆうまとして堅実に成長していることにも感動しました。あと、真弘蓮が本当にカッコ良いんですよねーーーーー。スーツ姿の似合いっぷり、ニヤリと口角を上げた時の表情なんて、まさしくザッツ男役。新公主演させてあげれば良かったのに、悔やまれます。
若手陣は天つ風朱李が冒頭の街の場面で一人ワルボーイ役なので目立つ一方で、美颯りひとは群衆芝居でも目を惹くキラキラがあるという107期のバチバチが面白いですし、翔ゆり愛もカメラ小僧役として一瞬目立ってたかな?(たぶん)。
そして前章でサラっと流してしまいましたが主演である鳳月杏スカイ、凄く良かったです。賭け事として女性を落とすというより、困っているサラを単純に助けてあげているうちに恋に落ちちゃった、みたいな正義感の強いスカイが新鮮でしたし、かつ物語に説得力をもたらしていました。高学年だからこそ魅せられる男役芸だけど、クサ過ぎず上品でこざっぱりしているのが彼女の持ち味であり、それがいかんなく発揮された役だと思いました。
ガイズの新たな魅力
そんなわけで、作品が本来持つアメリカーンなハッピーミュージカルとはまた違った、すっきりさっぱり爽やかな雰囲気となり、それはそれで楽しめた公演でした。月組生のこまか~い芝居も賑やかで、何度も観に行く人も素直に楽しめることでしょう。
本作が比較的チケ難だったことを考えると、やっぱり海外ミュージカルは需要が大きいんですよね。労働環境見直しによりだいぶ作数は減ってしまったわけですが…それでも年2本くらいやってくれないかな?と勝手なファンとしては望んでしまいます。
一人でも多くの方が本作を観られますように。
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コメント
いつも楽しく、拝見しております。
ひさしぶりの海外ミュージカル作品で、魅力的な下級生が沢山発掘されて、楽しく観劇に通わせてもらっています。
が、そうなんですね、だからなんだ、と納得です。
BLUFFでの風間さん、素敵でした。すんなり自組でトップに、だと思いますが、どうなんでしょうか。
風間さんについての記事、楽しみにお待ちしています。
私も同様に、風間ネイサンは珍しく苦戦してるなと見てて思ったクチです。何がそう思わせるのだろう?と考えていましたが、そうたさんの文を見て納得してしまいました。
演者さん皆さん歌唱力が高い方が多いので、今回天紫サラの高音不安定さは少し目立ってしまいましたね。
しかしながらハッピーミュージカル、とても温かい気持ちになって帰れました。
イケメンかどうかはその人の好みになってしまいますが、私は風間ネイサン良いなと思いました。
14年結婚を延ばされてもアデレイドが耐えうるだけの魅力とは。紅さんは顔、風間さんは愛の強さなのかなと。紅さんはアデレイドに対しても軽すぎて本気で愛していないから結婚しないのだと感じられたので。
よりリアルに14年延ばされてもアデレイドがネイサンを愛してしまうなんてどんな顔よ?となりますが、お互い本気で愛しているから14年も、の方がよりリアルですし。(もともと14年なんて非現実的ですが)
風間ネイサンもイケメンでしたし笑(ブログ主さん的にはそうではなかったようですが)