姫役者・珠城りょう【雑記】

 

突然ですが、ここで管理人masaさんのどうでもいい格言をご紹介します。

 

宝塚には3種類の男役しかいない。

娘役と組んで萌えを生む者、男役と組んで萌えを生む者、

そしてたった一人で燃えている者である。

―――管理人masa

 

イメージはテレビ番組「恋のから騒ぎ」の冒頭みたいな感じ。笑

(分かる人にしか分からないネタ)

ちなみに一人で燃えてる人の代表格は明日海りおだそうですよ。

 

男役としての珠城りょうの属性

 

月組トップスター・珠城りょうのパブリックイメージと言えば、

男役として恵まれた体躯、包容力、優しさ溢れる人間味、などなど

いわゆる「理想の旦那様」的なものだと思います。

 

ですから当然、彼女は娘役と組んで萌えを生むタイプのスターだと

ずーっと思っていましたが、最近になってむしろ、

男役と組んで萌えを生むタイプのスターかもしれないと思うようになりました。

 

しかもそれは、いかにも男役的な、

キザでニヒルでホストで悪っぽくてバディな芸風ではなく、

男役に囲まれてキャッキャウフフと楽しそうにしている、

いわゆる姫役者タイプなのかもしれない、とも。

 

それは『ピガール狂騒曲』で色んな男たちに囲まれててんてこ舞いになる姿や

『Eternità』で仲の良い男役たちに持ち上げられての照れ臭い対応に、

イメージとは違うギャップに可愛らしさを感じたことに始まりました。

 

そして思い返せば『グランドホテル』も『カンパニー』も『幽霊刑事』も、

なんだったら代表作であろう『月雲の皇子』も、

男役として恰好良い姿より、追い詰められたり嗜虐心を煽るような役どころの方が

むしろ彼女にハマッていたように思うのです。

(その意味で、男役としてのカッコ良さとイジりたくなるキャラ属性のバランスが見事な『BADDY』ってやはり傑作だとな思う。)

 

そして舞台から降りた後も、例えばタカスペで先輩に弄られて喜んでいる姿や、

「歌劇」のコーナーで他のトップスターたちに

「私とどこに出掛けたいですか?」なんて聞いちゃう様を見るに、

なんというか、こう、いじらしいなぁという感情が芽生えるわけです。

 

2番手期間が無かったことの弊害

 

そして今、退団を間近に控える彼女に対して思うことは、

そういう部分をもっと早くに出したり、

上手いこと演出出来れば良かったのにな、ということです。

 

いや、もしかしたら彼女のファンは当然知っていたことかもしれないけれど、

少なくともライトなファンには届いていませんでした。

 

なぜなら彼女は、研9トップ・超早期就任という十字架を背負い、

その重圧により、自由で伸び伸びとした姿を見せることが出来なかったからです。

 

だからこそ、彼女が退団を発表し、

少しばかり肩の荷が下りて自由になったこと。

そして学年は上がったことで心に余裕が出来たことで、

本来の彼女の人間味みたいなものが、やっと出せるようになったのかもしれません。

 

つくづく、超早期抜擢の弊害だなぁと思います。

本来であれば、芸風の変遷や試行錯誤は3~2番手期間に行われるものなのに、

それが全く与えられなかったのですから。

 

もし仮に、きちんと2番手期間があれば、

「見た目は体格が良くていかにも男役なのに、実は中身が乙女、

けれども舞台に立つとやっぱりカッコ良くて、まさに理想の旦那様みたいな人」

という2重のギャップが生まれ、違う未来があったかもしれないのに。

 

いいや、それだけじゃない。

タカラジェンヌとして生きるということは、そんな試行錯誤すらも、

もっと楽しく、自由なものだったはず。

 

就任直後の苦しそうな顔、そして彼女の退団挨拶を思い出すにつけ、

「劇団が行うべきプロデュースとは何なのか」について考えてしまいます。

 

…まぁ、今更言っても仕方ありません。

『ピガール狂騒曲』からの『桜嵐記』での雄姿という流れで、

そのギャップを周知し、きちんと昇華してみせたのだから。

 

そして今、月組の盟友たちと楽しそうに芝居をする姿を見るにつけ、

最後の最後でそこに辿り着けて良かったね、という思いになります。

 

歴史は繰り返すようで繰り返さない

 

姫役者な男役と言えば、最近だと凰稀かなめもそうですよね。

彼女も男役に囲まれて輝くタイプのスターだったし、

相手役である実咲凜音との間に萌えを生まないトップコンビでした。

 

そして実は、当時の凰稀体制と今の珠城体制のスタンスが

微妙に似ているなぁと思ったり。

 

姫役者のトップ(珠城/凰稀)と、その愛人(鳳月/緒月)。

可哀想なヒロイン(美園/実咲)と、共に歩んだ幼馴染(暁/朝夏)。

 

だけど描く未来は全く違うものになりました。

美園さくらは添い遂げ退団を選び、鳳月杏は一緒に退団しなかった。

そして次期トップスターは暁千星ではなく、月城かなとである。

うーむ、興味深いですよね。

 

ということで実は、この記事は前振り。

本題は次の、萌えを「売らない」月組トップコンビ論に続くのでした。

 

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コメント

  1. みき より:

    おっしゃる通り、珠城りょうさんは早期抜擢すぎました。
    実力がないというのではなく、単に早すぎたのですね。

    何だか、背が高くて、かっこよくて、爽やかで、良い意味でソツが
    なく、大物感がある下級生がいるなあ。。。と、一般ファンが思い、どんなスターさんなんだろう?と、恐らくこれからもっと興味津々で見よう、と思う時点で早くもトップスターになってしまったわけですから、一般ファンも、珠城りょうさんってどういうスターなんだろう?とよく分からず、珠城りょうさんも自分がどういうスターか掘り下げる間もなく、試行錯誤の状態で、とにかく責任を果たそうと頑張ってきた感があります。

    思い起こすのは、前トップの龍さんの退団千秋楽。龍さんに頑張りなさい、と喝を入れられて、「はい!」と、音楽学校の予科生のように直立不動で答えた姿がなぜか忘れられません。以来、大きな重圧と戦ってきたのでしょうね。退団発表でも、就任年数といい、作品といい、恵まれていた方だとは思いますが、それでも、心残りがあったような涙は、トップという重圧を楽しむのではなく、トップスターという重圧を演じてきた自分への心残りだったように思います。

    当時、月組や宝塚がスター不足だったわけでもなく、せめて1-2作、2番手を体験してからでも十分だったのに、珠城りょうさんの早期就任は謎でした。でも、有終の美を飾られて良かったです。

  2. こんちゃん より:

    masa様

    いつも楽しみに拝読しております。シェイクスピアの言の葉を初めて知ったのは恋のから騒ぎのOPだった地方民です。あーあのカラオケしにくい曲が頭をぐるぐる(笑)

    私が宝塚ファンになったころには、「萌え」という概念がまだうどん県の私の周辺には届いていなかったので、コンビ萌えという概念が今までピンとこなかったのですが、辞書を調べると

    ”狂おしいまでの庇護(ひご)欲”

    なるほど!男役には庇護したいタイプと、庇護されたいタイプと、一匹狼がいるのですね。とても勉強になりました。

    私はいつも文章がダラダラ長くなって脱線しがち(たぶん私は宝塚そのもののファンというよりは、宝塚は自分語りのネタなのだと思います)なので、いつか、masa様のような愛ある格言を生み出せるよう、宝塚ファン道に励みます。

  3. あやこ より:

    月組千秋楽LVではにかむ珠城さんは、なんでしょう、引退後の浜口京子さんを見ているようでした(伝われ)。
    男役のスイッチもちゃんとある、楽しそうにもしている。ただ『無理してでも、ショーを盛り上げたい』という真っすぐさが、ちょっぴり切ない。
    だって、瞳の奥がキラキラの乙女だから。
    続編もお待ちしております。(便乗して語ったらすみません)

  4. おさかな より:

    蒼汰さん

    年末のスカステ番組にて、真風さんが珠城さんを「みきちゃん」呼びして驚きつつも、はにかむ珠城さんが可愛く見えました笑。彩風さんも「みきちゃん」呼びでしたし、紅さんや明日海さんも珠城さんを可愛がっていた印象です。

    後輩からもいじられつつも慕われている感じがして、でもそんな彼女の一面をライトファンが見られるようになったのもコロナになってからのような気がします。

    「萌え」を売らないトップコンビ論、楽しみにしてます!

    • もみ次 より:

      私も蒼汰さんの記事を読んで同じことを思い出していました。
      みきちゃんと呼ばれるのを初めて聞いたので真風さんとは特に仲がいいのかなと思っていました。
      真風さんはトップ最下級のまこっつぁんより気にかけてて、各組トップの中では明らかに天然扱いの珠さんなのでした。(きょうのわんこ風)

      (以前投稿していますがPNうろ覚えです…なりすましではないと一応記しておきます)

  5. こころ夫人 より:

    いつも楽しく、拝見しております。
    私の子育ては、人様に語れるようなものではなく情けないのですが、三人の男の子を育てた妹が、2才下の弟(次男)、5才下の弟(三男)をもつ就学前の長男を、ふと、かえりみた時に、ぎゅっと抱きしめた事があった、と語っていたのは、もう随分と昔の事です。

    主演男役・珠城りょうさんの、楠木正行は、最後まで、月組の長兄であった、のではないかと思います。

  6. MS より:

    娘を初めて宝塚に誘ったのが、月組の「All for One」でした。私が家でスカステ等を見ていても、全く宝塚には興味を持たなかった娘ですが、SS席の中でも良席でしたし、何となく気に入りそうな演目だったので、念願の母娘観劇をしました。
    娘の珠城りょうに対する反応は、高校の時のバスケ部のキャプテンそっくり。男子バスケかと思ったら、女子バスケでした。
    かっこよくて、女子の後輩に人気があったとか。体格がいいけど乙女なとことか似てる、でした。
    乙女?と当時は思ったのですが、蒼汰さんのブログを読んで思い出し、なるほどと思いました。
    TVで宙組の「VIVA!FESTA!」をチラッと見た娘が、「男がいてるやん!」とびっくりしてた真風さんや、「どっからどう見ても可愛い女の子が頑張ってる」と最近の花組しか観劇していない息子の明日海さんへの感想。あまり先入観なく観劇する子供達の感想が、結構面白かったりします。
    明日から久しぶりの宙組です。娘役と組んで萌えを生むトップスターを堪能してきます。

  7. なか より:

    何時も楽しく、激しく頷きながら拝読しております。
    珠城さんには強いファン意識というより、人として生きる標を感じています。
    前にもお話ししましたが「I AM FROM AUSTRALIA」がお披露目だったならば・・・。とまた改めて思います。
    「たら、れば」を言っても仕方がありませんが、これほど多くの「たら、れば」を呟いてしまう私にとっての珠城さんです。

    と、同時にその「たら、れば」を打ち消すほどの努力と覚悟でトップを努める姿をみせてくれた珠城さんから「生きる標」を感じずにはいられません。

    与えられた立場に真摯に立ち向かう。その積み重ねがあの退団を決めた時の会見での涙であり、大劇場ではその涙を必死に封印し自らが築き上げた男役を全うし続けた勇姿と思います。

    私にとって珠城さんは単に「宝塚男役」「トップスター」とは別次元の「生き様」をみせてくれたスターさんです。
    その姿勢を見続けた月組生だから今の月組があると思います。

    蒼汰さん、「桜嵐記」素晴らしいです。
    珠城さんが、月組生が、東京での初日から千秋楽まで完走できることを、ただただ願っています。

  8. わんこそば より:

    いつも楽しみに拝見しております。

    本当に、おっしゃる通りだなと私もかんじます。早期就任、珠城さんご自身が一番予想外の出来事だったのではないかと思います。

    先日のスカイステージで、珠城さんご卒業記念で過去の番組が再放送されていましたが、美穂さんMCで珠城さんが出演されていた番組を見ていました。
    珠城さんは純粋にお芝居が大好きらしく、外部のミュージカル、ストレートプレイなどたくさんの舞台を観劇されていて、そのプログラムもどっさりと持ち込んでお話されていました。

    そんな珠城さんが早期就任され、大好きなお芝居を楽しく演じる余裕もなく、苦しかったのだろうと思います。
    どれだけの苦しみや葛藤があったか、それに負けず頑張ろうと努力されたか計り知れません。

    でも今、眩しいほど輝いている珠城さんを見て、私も蒼汰さんと同じく、良かったねと思います。

    今後、ジェンヌさんたちがそのような思いをせずにいられる環境を劇団がつくってくれることを期待して、珠城さんご卒業のその日まで温かく見守りたいです。

  9. さいもん より:

    男役の姫役者って、言い得て妙ですね。
    自分は珠城りょうを知るにつれ、「動物のお医者さん」のチョビに似ていると思っていました。